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死者は廃墟より蘇る

ハンマーの城塞騎士・グントラム

<死者は廃墟より蘇る>

■担当マスター:のずみりん


 農具を武器に探検ごっこなんて、いい大人がやることじゃない。細い廃墟の路地を進みながら、男はため息をついた。
 発端はたわいもない、子供の話だった。
『廃墟に幽霊が住み着いたんだ』
 どうせホラ話しか何かの見間違いだろう。彼はそう思ったが、おせっかいな友人は『僕たちが調べてみよう』などと勝手に約束してしまったのだ。
 まったく面倒なことを……男は前を歩く友人をにらみつけようとして、姿が見えないことに気づく。
「おっ、おいおい! 俺を置いていく気かよ」
 あわてて駆け寄った男は、友人が消えた先に部屋があるのを見つけ、二重に仰天した。
 部屋は墓場だった。部屋の中では友人が剣に貫かれて死んでいた。
 ゆっくりと剣が引き抜かれ友人の体が倒れる。呆然とする男の前を骨だけの手が剣を握って飛んでいく。その先に立っていたのは、骸骨。それに飛んでいった手がぴたりと繋がり、男のほうへとゆっくり歩いてくる。
「ゆっ……幽霊……うっ、おわぁぁぁーっ!」
 一連の光景は男の理性を吹き飛ばすのに十分過ぎるものだった。埋葬部屋を飛び出し、農具も放り出して必死に廃墟を逃げ回る。
 どれだけの距離を走っただろうか。男が振り向くと後ろに骸骨の姿はなかった。ほっと息をつき、視線を前に戻す。骸骨がいた。
 鋭い骨の手が男の体を貫き、引き抜かれる。男には最期の悲鳴を上げる暇もなかった。

 エンドブレイカーたちが集まると、ハンマーの城塞騎士・グントラムは話を切り出した。
「おぬしらの力を見込んで、あるマスカレイドの退治を頼みたい。場所は……この廃墟、その中からアンデッドマスカレイドが何体も出歩いているらしい」
 鍛えられた指で都市の地図をなぞりながら、グントラムは続ける。
「廃墟に幽霊が住み着いていると子供が話したそうでな。それを聞いた大人たちが調べに向かっているのだが……このままではマスカレイドに返り討ちにされてしまう」
 廃墟の中でマスカレイドに襲われ、殺されていく大人たち……それがグントラムの見たエンディングだという。
「だが今なら間に合う。彼らが向かう前に廃墟に侵入し、マスカレイドを倒してきてほしい」
 つまり『アンデッドなんて噂だけで何もいなかった』という事にしてしまうわけだな、とグントラムは付け加える。
「ただ、この廃墟が少々厄介でな……かつては名のある一族が住んでいたようなのだが、増築につぐ増築で迷路のようになってしまっている。迷子にならないよう気をつけてくれ」
 説明を終えたグントラムは一拍おき、不器用に笑顔をつくる。
「マスカレイドは強敵だろう。だが、大丈夫だ。おぬしら『エンドブレイカー』ならばな」
 エンドブレイカー、それは終焉を終焉させるもの。マスカレイドを滅ぼすことができる唯一の存在。
「死者の眠りをさまたげるマスカレイドを滅ぼし、不幸なエンディングなど破壊してやれ!」
 城塞騎士の景気づけの声が、勢いよく響き渡った。

●マスターより

 はじめまして。TW3『エンドブレイカー!』よりマスター参加いたしました、のずみりんでございます。
 いまだ未熟な物書きですが、皆様の楽しい冒険のため精一杯頑張らせていただきます。どうかよろしくお願いします。
 今回皆様の敵となりますのは、廃墟の葬儀室から出現したアンデッドマスカレイドたちです。
 ボスである長剣を持ったアンデッドマスカレイドは最奥の葬儀室で待ち構えており、廃墟内には10体の配下マスカレイドがうろついています。
 マスカレイドはどちらも動く骸骨(スケルトン)です。長剣のアンデッドマスカレイドは剣による攻撃のほか、手足を飛ばして遠距離攻撃を行ってきます。配下マスカレイドは武器を持たず、手足の指を爪のようにふるって攻撃します。


<参加キャラクターリスト>


<プレイング>

プレイングは1週間だけ公開されます。

● アイスレイピアの魔法剣士・エリック(c00544)
事前にランタンを用意する
探索の際に各班1、2人で使用し、戦闘時は床の安全な位置に置いて使用

廃墟では最初の分かれ道でA、B班に分かれる
俺はルー、リーズィン、アルヴィス、リリィと同じB班で行動だ

前衛の一人として前方の守りを固めつつ探索
常に周囲に注意を払い、敵の足音等を察知したらすぐに小声で仲間に知らせる
分かれ道では進行方向を矢印等で目印として刻み、同じ道の通行を防ぐ

配下マスカレイド(以下、配下)を撃破して倒した数を覚えながら進み、
葬儀室の前に着いたら気配を消して一度待機だ
ボス格との戦いはA班と合流し、倒した配下の数を確認してから

ボス撃破後は、討ち損じがいれば徹底的に探して撃破だな

●戦闘時行動
氷結剣を主に使用して攻撃
同時に3体以上が相手なら残像剣だ

対ボスでは、ボスを氷結剣で優先的に攻撃する
相手が多数でもボスの攻撃が強力なら、
氷結剣でボスをマヒさせてから残像剣で配下ごと攻撃する等、
臨機応変に動くぜ

● 槍の魔獣戦士・カイエン(c01096)
●詳細
・二手に分かれて探索。俺はA班だ。
最初の分岐までは全員で行って、そこから分かれる。
3方向分岐とかだった場合は、槍を倒して差した方に行こう!

・俺は長物持ちだから、先頭かな。
カンテラでも持っていくか! 敵の気配を感じたら通路の端とかに置いておこう!

・分かれ道では進んだ方向を壁に矢印で削っておくぜ。
B班が先に来た分かれ道なら、そいつらが行った方とは逆に進む!

・探索中は出来る限りスケルトンを撃破していく。
この辺は力ずくだな。

・一番奥の葬儀室前で合流だ。
待っている最中に相手が討って出てきたら応戦か。
その時は合流するまで持ちこたえねーとな。

そうでないなら、スケルトンを何体倒したか確認。
10−撃破数が増援の可能性がある! 注意だ!

・戦闘は雑魚優先。
他の連中がボスと集中して戦えるようにな!
屋内で長物だしら、他の連中の邪魔にならないように相手の横や背後に回って攻撃!
疾風突きとビーストクラッシュ全開だぜ!

● ハンマーの魔獣戦士・セラエ(c02074)
最初は全員で廃墟に侵入。
分かれ道があったら2手に分かれて探索をする。

班分け
A班
カイエン、レイアス、セラエ、スゥ、エンデ
B班
リーズィン、エリック、アルヴィス、リリィ、ルー

この先で分かれ道を見つけた場合は矢印をつけて通った道を分かるようにしておく。
もし行き止まり等に来た場合は引き返し言ってない道の方を探索する。

途中でスケルトンを発見した場合は速やかに撃破する。
スケルトン倒した数をチェックしておき何体倒したのかを把握しておく。

別の班の人達とは葬儀室前で合流。
この時に先に把握したスケルトンの数を別の班の倒した数とあわせて確認して残りの数を把握しておく。
残りはボスに召喚されると思われるのでその辺りにも注意しておく。

戦闘
前衛として前に立ちパワースマッシュによる打撃主体の攻撃で敵の動きを妨害する。
敵が近付き過ぎた場合はビーストクラッシュで引き裂く。

● ナイフのデモニスタ・アルヴィス(c02138)
マスカレイド……、悲劇の終焉は悪いけどここで断ち切らせてもらうよ。君達のエンディングは僕達で引かせて貰う

事前
屋敷突入前に作戦内容を確認、知らない人へは説明を

探索
左右二手に分かれて捜索、骸骨撃破。探索済みや来た方向が解るように進む方向に矢印、二本傷をつける(居なければ担当)B班所属

B班
リーズィン、エリック、アルヴィス、リリィ、ルー
ランプを持って辺りを照らす、戦闘時は邪魔にならない位置に置く
探索は出来るだけくまなく配下の討ち漏らしが無い様に。倒した敵数をカウントして葬儀室前で合流時に確認
。葬儀室前では物音を極力立てない様に

戦闘
デモニスタは後衛へ。デモンフレイムで攻撃、挟撃対策に後方からの攻撃が無いか出来れば気を配る。攻撃威力が低い様ならHPの低い敵に止めを刺す様に狙う

対ボス
前衛から離れて位置取り、只管デモンフレイム
前衛が5人以上戦闘不能で後衛のみとなった場合撤退。ナイフ攻撃で殿に

● アイスレイピアの魔法剣士・レイアス(c02502)
【心情】
廃墟を彷徨う死者のマスカレイド、か…
死者は死者らしく眠りに付いていればいいものを…
早々に討ち取り不幸なエンディングが訪れぬようにしてやらねば、な…

【行動】
葬儀室に行くまでは二班に分かれて行動
自分はA班にて行動、隊列は前衛
探索する際は常に周囲の状況に気を配り状況の変化を見逃さないようにする
「不意打ちされる事は避けたいからな、慎重に行くぞ…」
何か気付いた事はあった場合は仲間に報告

倒した敵の数は数えておき、もう一班と合流する際に倒した数を伝える

戦闘時は基本的に氷結剣にて攻撃
「…さて、この氷結の一閃、とくと御覧あれ!」
敵がボロボロだった場合は残像剣にて攻撃
敵の数が2体以上いた場合も残像剣で攻撃
「…この攻撃、貴様に見切れるか!」

他の者が攻撃を当て易い様に牽制や、
他の者の攻撃等で出来た隙を突く様に連携して行う

出来る限り戦況は把握する様にして
陣形・敵の行動で気が付いた事がある時は全員に伝える

● アックスソードの魔獣戦士・リーズィン(c03274)
【流れ、行動】
通路の初めの分岐点から二班に分かれ探索を行い、ボスのいる葬儀室前で合流
私はB班でルー、リリイ、アルヴィス、エリックと行動
戦闘中はカンテラは邪魔にならない所に置くか後衛に預ける

なるべく物音を立てない様にして周囲に気を探りつつ慎重に進む
分かれ道では来た道と進む道が分かる様に目印をつける
途中でA班と合流した場合は、倒した数を確認して再度分かれて探索。ボス到着までになるべく雑魚十体を撃破する

【戦闘】
雑魚
初撃は仲間の背に隠れて不意打ちを狙う。命中しそうなら十字剣で大打撃を狙う
一体ずつ集中攻撃
敵の攻撃は武器で受け流し、返す刃で一撃を与える
ルーとエリックと立ち変わる様にして攻撃し、巧く連携する
アビを連発するより、ある程度ボス用に温存する

ボス
雑魚と似た感じで仲間と連携して動く。ボスの隙を突く
飛ぶ手足を捕らえたら、潰して使えなくする。ビーストクラッシュで粉砕
アビは惜しまないで攻撃

● 鞭の群竜士・スゥ(c04278)
初めてなので、やたらと気合が入っている。

【準備】明かりのためにランタン持っていきます。
【探索】A班の皆さんと行動します。
その途中遭遇したスケルトンを撃破してゆき、その数を覚えておきます。
探索途中でB班と合流したらその時点での撃破数の情報交換をします。
葬儀室の前でB班と合流、お互いの撃破数の確認をし、突入です。
物音にはずっと気をつけていこうとおもいますが、特に葬儀室前は気をつけて
【ボス戦闘】もしスケルトンの撃ちもらしがあった場合、増援が後ろから奇襲してくることも考えられるので気をつけたいと思います。
照明も撃ちもらしがある場合と無い場合で気を配りたいと思います。
積極的にアビリティを使い、がんがん攻めたいと思います、多少のダメージでは引きません、攻撃は最大の防御です!…キュアの可能性もありますしね。

● 大剣の城塞騎士・ルー(c05404)
廃墟の中にいるマスカレイドは
早々に退場してもらわねばな。
人が死ぬようなエンディングは認められん。
さっさと潰すことにしよう。


準備
照明のカンテラを。予備もいくつか用意しておく。


行動
廃墟に入って分かれ道が
あったところから分かれて探索。
A班カイエン、レイアス、セラエ、スゥ、エンデ
B班リーズィン、エリック、アルヴィス、リリィ、ルー
どの路に行ったかは
それぞれ分かるように目印をつけつつ移動。
カンテラは自分が持ち進む。
敵を発見したらカンテラは
戦闘になる前に邪魔になる場所をさけて置く。
もし壊れた場合は予備を使用。
最奥の葬儀室前で合流し、
スケルトンを何体倒したか確認する。


戦闘
前衛でひたすらディフェンスブレイド。
敵が複数いる場合攻撃できるなら
負傷している敵を優先して狙う。

カンテラを破壊しないように気を掛けておく。


表記を忘れているものは他のものに従う

<リプレイ>

●エンドブレイカーは廃墟へと挑む
 八人のエンドブレイカーは教えられた廃墟地域の前に集合していた。
「こーゆー廃墟って、子供の興味の対象になりやすいのよね」
 見る影もなく朽ちた建物にアックスソードの魔獣戦士・リーズィン(c03274)が呟く。
 それを肯定するようにハンマーの魔獣戦士・セラエ(c02074)は好奇心に目を光らせていた。
「昔の貴族の持ち物だったらしいから、もしかしたら僕の知らない本とかあるかもしれないね」
 セラエは知識欲の強い一族の生まれであり、自身も強く影響を受けている。名のある一族が住んでいたという廃墟は彼の興味を引くにも十分なものだ。
 一行は外から注意深く廃墟の様子を調べていった。中には暗闇が広がるばかりで様子は全くわからない。星霊建築が力を失っていることを確認すると、アイスレイピアの魔法剣士・エリック(c00544)は準備してきたカンテラを取り出し、皆へと配っていく。
「あ、それでしたら私も……」
 鞭の群竜士・スゥ(c04278)は緊張した面持ちで用意した自分のカンテラに火をともす。
「私、今回の仕事が初めてなもので!」
 気合の入ったスゥをほほえましく見ながら、大剣の城塞騎士・ルー(c05404)も横で自分のカンテラを取り出した。彼女は壊れた時の予備まで準備し、更に万全の体制だ。
「探索の手順を確認します」
 皆が探索の用意を整えたところでナイフのデモニスタ・アルヴィス(c02138)が物憂げな表情のまま、淡々と皆に声をかける。
「最初の分かれ道までは全員で行動。分かれ道にあたったら二班に分かれて廃墟内をうろつくマスカレイドの配下を掃討、葬儀室前で合流する……よろしいですか?」
 中性的な少女の言葉に、ぼんやりとした顔を引き締めたエリックが力強く頷く。
「あぁ。これから起こる悲劇を防ぐ為にも、全力で戦いに臨むぜ」
 エリックは槍の魔獣戦士・カイエン(c01096)と共に、先頭に立って廃墟へと足を踏み入れた。ランタンの灯りに照らされた先には、十字路。
「っと、さっそくだぜ。どっちいくかな、と!」
 カイエンは交差点に槍を立て、倒す……穂先が示した方向は、右。
「よっし、右だ! 俺たちは右にいくぜ。残りは反対側でどうだ?」
 少年はまっすぐ、大胆に判断を下す。カイエンたちA班は彼とセラエ、レイアス、スゥ。B班はエリック、アルヴィス、リーズィン、ルーという組み合わせだ。
「わかった。不意打ちされる事は避けたい、慎重に行くぞ……」
 アイスレイピアの魔法剣士・レイアス(c02502)は言葉少なに両方の班へと注意を促す。
 四人ずつの班に分かれた一行は、それぞれの道を進んでいった。

●探索と戦いと
 A班とマスカレイドの配下の戦いはT字路で始まった。腕を振り上げ迫る骸骨にレイアスとセラエが先陣を切って飛び出す。
 セラエが突き出したハンマーが骸骨の肋骨を叩き折った。砕けた肋骨が地面に落ちるかどうかという一瞬、更に通路を黒い影が走る。レイアスの残像剣だ。
「……この攻撃、貴様に見切れるか!」
 分身を伴った超高速の突きが二体の骸骨を貫く。当たりは浅いが、けん制には十分。
 最後にカイエンとスゥの一撃が骸骨たちに止めを刺した。
「唸れ、獣槍!」
 疾風のような突きが頭蓋骨を打ち砕き、骸骨の活動を停止させる。少し遅れてスゥの鞭も残る骸骨を締め上げ、砕く。
「もしスケルトンの撃ちもらしがあった場合、葬儀室で戦っている時に増援が後ろから奇襲してくることも考えられるわけで。うち漏らしがないように気をつけないといけないですね」
「説明なげぇよっ!?」
 カイエンに突っ込みを入れられながら、スゥは通路の脇に避難させたカンテラを拾った。倒した骸骨の数を記憶しておく事も忘れない。
 レイアスはカンテラをスゥから受け取り、油断なく周囲を見回す。
「……右は行き止まりのようだな。通路が崩れている」
「じゃ、左に行ってみようぜ」
 レイアスの報告を受け、カイエンが壁に矢印を刻む。来た道、進んだ道を示しておけば複雑な廃墟でも迷うことはない。
 反対方向へと進んだB班も同様に目印を描きながら探索を続けていた。彼らが骸骨に対面したのは廃墟の奥の部屋。崩れかけた部屋には骸骨が二体。そして更に背後からも。先頭のエリック、リーズィンがすかさず迎え撃つ。
「ルー、後ろだ」
 挟み撃ちを警戒していたアルヴィスがルーに声をかけた。素早く後ろに向かったルーのスーツアーマーを骸骨の爪が削っていく。
「早々に退場してもらう!」
 反撃とばかり振るったルーの大剣が骸骨を砕く。骸骨は半壊しながらも爪を振り上げたが、アルヴィスの一撃がそれを許さなかった。ナイフを胸元に構え、集中。
「お前は此処で潰えろ」
 放たれた黒炎が骸骨を焼き尽くす。前方でもエリックとリーズィンが二体の骸骨を倒していた。
「おまえの自由、もらったぜ」
 エリックが氷結剣で動きを封じ、そこをリーズィンが叩く。二人はたいした苦戦もなく骸骨を粉砕した。
「これで三体か」
 確認し、エリックは軽く息を吐く。
「ここまできて三体……配下の骸骨はかなり散らばって行動しているようです」
「葬儀室につくまでに全部倒しておきたいけれど、難しいかもしれないわね」
 アルヴィスの指摘を受け、リーズィンは厳しい表情を浮かべる。この仕事は犠牲者が廃墟にやってくる前に終わらせなければならない。
「とにかく、先に進んで合流しよう。向こうの班に集中している可能性もある」
 ルーは皆に声をかけ、カンテラを持ち直して部屋の扉を開ける。注意深く進むB班は、やがて通路の先に十字路で分かれたA班を発見した。
「待たせたな。ここが最奥か……何体倒した?」
「五体。そちらは?」
 ルーとレイアスは合流すると、自分の班で倒した配下の数を述べた。倒した数の合計は八体。
「するってーと、増援は二体くらいか。それくらいなら何とかなるんじゃねぇの?」
 指折り確認するカイエン。
「あ、親玉は動かないみたいだぜ。出てこられたら応戦するしかねぇって警戒してたんだけど」
 準備運動とばかりカイエンは槍を振り回す。セラエも自分のハンマーを構え、皆を促した。
「いこう。僕は物語が湿っぽくなってワクワクしないから、バッドエンドは嫌いなんだ……だから叩き潰すよ」
 確認を終えたエンドブレイカーは葬儀室へと踏み込んでいった。

●葬儀室の主
 最初に襲ってきたのは剣を手にした右腕だった。空を飛ぶ腕が突き出す長剣をレイアスは咄嗟にアイスレイピアで受ける。軌道をそらされた長剣が漆黒の皮鎧を切り裂く。間一髪。
「死者は死者らしく眠りに付いていればいいものを……我が剣戟、とくとその眼に焼きつけよ! レイアス・フラック、いざ、参るっ!」
 長剣が引き戻されるのを追うようにレイアスは葬儀室を駆けた。狙いは一つ、最奥に立つ仮面の骸骨……長剣のマスカレイド。
「私の名前はスゥ、スゥ・イーフェン。終焉の破壊者となるべく長い修行を経て……」
「槍のカイエン、参上だぜぇ!」
 同じように名乗りをあげながら続くスゥ、カイエン。他の者たちもマスカレイドへと走る。距離をとったアルヴィス以外、ほぼ全員で包囲する構えだ。
 その動きはマスカレイドにもわかったのだろう。腕を元に戻すと跳躍、正面から迫るルーとリーズィンの重い一撃を巧みにかわし受け流して後ずさる。その動きは配下とは比べ物にならないほど素早い。
「動きを妨害しないと……!」
 セラエのハンマーが空を切り、墓石を砕く。マスカレイドは砕けた墓石をひらりと飛び越え包囲を防ぐ壁にした。側面に回ろうとしたカイエンが舌打ちする。
「ならば、こうだ」
 アルヴィスはいらだたしげに黒炎を放つ。二条の火炎がマスカレイドを捕らえ、燃え上がらせる。
 だが、それも一瞬。マスカレイドは黒炎を振り払うと指揮者のように長剣を振り上げた。
「気をつけろ、配下がくるぞ!」
 今までにない仕草にレイアスは仲間たちへと警告を発する。レイアスの予想通り、灯りの届かない物影から現れる骸骨二体。呼び出された配下はマスカレイドを包囲するエンドブレイカーたちへと飛びかかってきた。
「こいつらは僕たちが引き受ける!」
 セラエ、カイエンが骸骨へと向かいアルヴィスがそれを援護する。
 配下の骸骨の強さはそれほどのものではない。しかし注意がそちらに向けばマスカレイドへの包囲はそれだけ緩くなってしまう。
「っはぐぅっ!?」
 マスカレイドは攻撃を長剣で迎え撃ちつつ、今度は腕を飛ばしてきた。頭を殴り飛ばされたリーズィンが倒れる。
「リーズィン、大丈夫か!? リーズィン!」
 ルーは呼びかけを続けながら剣を振るう。よろよろと起き上がるリーズィン。その時、彼女の中で何かが切れた。
「何しやがる、てめぇぇっ!」
 普段の物静かな彼女からは想像もつかない怒りの絶叫。それに呼応するようにリーズィンの腕が魔獣のそれへと変化していく。頭から流れ落ちる血も気にせず、再び飛んできた骨の拳にもひるまない突進。リーズィンの獣腕はマスカレイドを強烈に殴り飛ばした。

●死者は再び墓へと消える
「ビーストクラッシュ、全開だぜ!」
 リーズィンの無事を確認するとカイエンも腕を魔獣のものへと変え、骸骨を切り裂く。 もう一体の骸骨にはセラエがハンマーを叩きつけ、更にアルヴィスのデモンフレイムが止めを刺した。これで残りはマスカレイドのみ。
「攻撃は最大の防御です!」
 スゥが叫び、精神を集中して正拳突きを放つ。竜の力を帯びた拳は確かな手ごたえでマスカレイドの骨を粉砕した。
 エンドブレイカーたちは飛ぶ剣を、拳をかいくぐり、マスカレイドを追い詰めていく。
 セラエの白い衣装に鮮血がにじむ。変幻自在の攻撃の前に、傷を負っていない者は一人もいない。
 やがて長い戦いに決着の時がきた。壁際に追い込んだマスカレイドをレイアスの氷結剣が捕らえ、そこに踏み込んだセラエが魔獣の爪を叩きこむ。
「バッドエンドに落ちるのは君だけだ……終わりを抱いて消え去れ、マスカレイド!」
 振り下ろされた獣爪が仮面ごとマスカレイドの体を粉砕する。半壊した骸骨は勢いよく壁に叩きつけられ、動きを止めた。
「消え失せろ、マスカレイドよ……我らエンドブレイカーがいる限り悲劇のエンディングなど訪れさせぬ、決してな」
 エンドブレイカーたちの勝利である。息を整えながらレイアスはアイスレイピアを納めた。
「よし終わったな。皆お疲れだ。傷の具合は大丈夫か? さ、帰って一杯やるとするか!」
 ぐっと背伸びをしたエリックが明るく皆に声をかけ、それにスゥが合いの手を入れる。
「一仕事終えた後の一杯、いいですね。お付き合いしましょうか?」
「お、わかってるな!」
 盛り上がる二人。スゥも実はかなりの酒好きだったりする。
 一方、リーズィンは壁に向けて落ち込んだ様子だ。
「頭に血が昇る事って誰でもあるじゃない。ね?」
 ぽつりと一言。かっとなった時のことは本人も気にしているらしい。
 皆の様子を見ながらルーは、宿の部屋を整理しておいたのは無駄になったかな、と自分の準備を思い返した。まぁ何も起きずにすんだのはいいことだ。そう思い直して傷の手当と後片付けを始める。
 やがてエンドブレイカーたちは廃墟を去り……そこには静寂が戻った。
マスター:のずみりん 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2010/02/16
  • 得票数:
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冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし