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ゆめみる乙女

<オープニング>

 ふわり、ふわり。
 ふわふわ。
 はるか高く、はるか高く。
 鳥くらいしか届かない場所に少女は逆さまで浮いていた。
 ふんわりとした波打つ腰までの長い髪。
 ふわりふわりとしたスカート。
 逆さまのはずなのに、どれも落ちることなくふわふわとゆるく風に揺れていた。
 胸の前で手を組んで目を閉じる。まるで乙女が夢を見ているようだった。
 ふわり、ふわり。
 ふわふわ。
 しかし少し近づいたならば、その少女が普通の人間ではないことがわかるだろう。
 ほんのり水色づいた体は半透明で反対側の空が透けて見えている。
 そして足首まであるスカートのように見えたものは、見るものが見ればくらげと知れただろう。
 触手が足のように伸び、ときどき風に揺れてたゆたっている。
 くらげに少女の上半身がくっついているのか、
 そもそも少女の下半身がくらげになってしまったのか。
 それががわかるはずもなく、少女は胸の前で手を組んで目を閉じていた。
 ……そこに、
 犬たちが少女を取り巻いた。犬は5匹ほど。唸りながらくらげとも少女とも言い切れぬものを取り囲む。
 犬たちの牙も爪も、どんなに高く飛んでもここからは届かない。……しかし、
 ゆっくりと、少女が目を開いた。半透明な水色の中、その眼だけが異様に赤かった。
 ぼすんっ!
 少女のスカートが大きく揺れて、そこからくらげがたくさん飛びだした。
 桃色、黄色、黄緑色。三色あり、桃色と黄色は人の頭ほど。くるくる少女の周りを待っている。黄緑色だけ少女の腰ほどもある大きさで、いくつも吐き出され少女の周りや地面すれすれなどいくつもの場所に舞い降りて止まった。
 ここからでは届かない。犬たちは大きく飛んで黄緑色のくらげに飛び乗ろう……として、
 黄色桃色のくらげが弾丸のように放たれた。

「くらげって美味しいのかなあ」
 ふと、扇の群竜士・ベル(cn0022)は呟いて、がりがりとテーブルの上にある紙に絵を描いた。くらげと少女が合体したような姿だった。
「こういう、幻想って言うのかな。イマージュが現れたんだ。世界樹で発生したイマージュが、世界樹自身を傷付けようとしているらしいんだよね。イマージュの発生自体は、スフィクス家の野望によって歪められていた妖精騎士の寝所の影響だと思われるんだけど」
 そこでベルは言葉を切る。放っておいたらよくないよ、と言って、
「このイマージュはマスカレイドじゃないんだけど、世界樹や、世界樹を守ろうとしてる犬たちを、護ってあげて欲しいんだ」
 そこまで説明すると、ベルは少女の隣りにくらげを三つ描いた。一つが大きく他二つが小さい。
「今回現れるイマージュは、まず最初にくらげみたいなのを召喚する。黄色桃色は攻撃に使用してくるけれども、ちょっと大きいこの黄緑色が面白いんだ。黄緑色は最初に空中にたくさん配置されて、そこから動かない。イマージュは高い場所にいるから近接攻撃は届かないんだけど、このくらげを足場にして」
 乗れるんだ。と、ベルは真剣な顔で言った。
「イマージュに接近するところまで頑張って飛びあがっていってほしいんだ」
 もちろん危険はある。足場はなんとか人が一人乗れる程度で逃げる場所も少なく、少女の攻撃を受けやすくなるのだ。
「ちょっとぺとっとしてるから、滑って落ちる心配なんかはそこまでしなくていい。あと落ちたらきっと犬が助けてくれるはず」
 だよ。多分。と、ベルは続ける。
「この黄緑はけっこうたくさんあるから、混み合う心配はないだろうけれど、逆に遠距離を使う人も、障害物になって届かない可能性があるからある程度は登った方がいいと思う」
 尚、少女が攻撃に使用する黄色桃色及び黄緑色のくらげは、攻撃を加えることにより破壊できるよ。と、ベルはそう言って締めくくった。
「エルフヘイムの平和までもう少しだね。出来る限りのことをやっていけたらいいなあと思うし、なんか面白そうだから、行ってみようよ」
 勿論僕も行くよ、とベルは言った。最後の方にぽろりと本音が零れているようだ。
「それじゃあ、一緒に頑張ろうね。よろしくお願いします」


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参加者
雪下山水・ソフィア(c02845)
烏珠の願い・スエ(c04520)
ごめんあそばせ・ウルル(c08619)
白薔薇・リラ(c14504)
子龍・フィアルー(c15388)
霞跡・ニュイ(c17549)
ロックギターの妖精騎士・アンタレス(c20565)
爪の妖精騎士・アレク(c20660)
太刀の魔曲使い・クゥエル(c20776)

NPC:扇の群竜士・ベル(cn0022)

<リプレイ>


 そっと黄緑くらげの上に足を乗せる。なんだかふにふにしている。
 弾力性があるような、無いような。乗ると体が揺れる感じだ。多少ぐらついても足はぴったりくらげの上に張り付いていた。手近なくらげに子龍・フィアルー(c15388)が恐る恐る触れる。ぺっとりしている。
「きゃっ!」
 雪下山水・ソフィア(c02845)が上手くバランスを取りきれず揺れる。ベリッと足元がはがれる感触がして落ちた。
 体の浮く頼りない感覚。しかし次にはもっふりとした何かにぼふっと埋まった。
「あれ、痛くありません?」
「目を……開けるんだ。苦しそうだよ」
 ぺたん。バランス崩しかけてくらげの上に座った烏珠の願い・スエ(c04520)が指摘する。ふんわりパニエがくらげの上に広がって、どうにも自力で浮いているような絵面である。ちょろりと下から覗くくらげの触手が、何とも頭上にいるイマージュに似てしまっていてちょっと気持ちが落ち着かない。
 指摘にソフィアが目を開ける。ソフィアを守るようにわんこが二匹、下敷きになっていた。そんなに高いところから落ちたのではないのでそこまでダメージはないだろうが、ソフィアは鎧を着込んでいるのでちょっと苦しそうだ。
「も、申し訳ございません。ありがとうございます! 大丈夫です犬さんは後ろで待っていてください」
 わんこを抱き寄せるとふしゅーっと空気の抜ける音がして二匹は尻尾を振った。ソフィアはお礼を言って再びくらげに手をかける。
「あのくらげは危ないから、私達に任せて頂いて、少し後ろでお待ちいただけないでしょうか」
 くらげの周りをうろうろする犬に白薔薇・リラ(c14504)が目線の高さを合わせて語りかける。
「わんこさんたち、ここはわたし達に任せて!」
 ごめんあそばせ・ウルル(c08619)も笑顔でくらげの上をぽん、ぽよよんと上へ上へと登っていく。くぅんと心配するようなわんこに軽く手を振った。
「大丈夫です、皆さん強いですから」
 フィアルーが自信たっぷりに言う。自分のことはともかく、信頼できる仲間であることを信じて疑わない口調だった。
「賢いわんこさん。ここは自分達に任せてください」
 爪の妖精騎士・アレク(c20660)がこわごわ、くらげに乗り移っていく。くらげはゆっくりと漂っていて攻撃の気配は見えないが、顔を上げたアレクは、
「……っ」
 真っ赤な少女と目があった、気がした。たゆたうまさにくらげのような、何も映さない目に思わず身が竦む。
「……来るよ」
 ぽんと励ますように扇の群竜士・ベル(cn0022)が隣のくらげに乗りながらアレクの肩を叩いた。
 桃色黄色のくらげが動き出す。敵を排除しようとくらげに乗る者に襲いかかる。
 太刀の魔曲使い・クゥエル(c20776)は太刀を走らせ黄色のくらげをとっさに叩き落とした。足元のくらげがぐらりと揺れるも、何とか踏みとどまる。
「行きましょう……先へ!」
 勇気付けるような声音。
 傍らでは皆を見守るわんこ達。
「……撫でたい。いや、そんな場合じゃ、無い」
 思わず霞跡・ニュイ(c17549)には内心酷く心揺れるものがある。一つ、二つ堪えるように頷いて、ニュイはくらげに足をかけた。
「終わるまでは我慢我慢……」
「こう、なんていうか」
 危なっかしい。ぐらぐら揺れながらくらげを登っていく一同に、ロックギターの妖精騎士・アンタレス(c20565)はがりがりと頭を掻いた。
「ロックを愛する硬派なおっさんなんだぜ俺は……ああっ。大丈夫か? 無理すんなよ。つっかスエ! 何を……」
「……いや」
 スエは無表情のまま、ちょっと後ろを気にしつつ振り返る。
「パニエと、ズロース、穿いてるから、平気。でも、見ちゃった人、ごめん。とか、思ってて」
 どうやらスカートの中身らしい。思い出したようにスカートを押さえるソフィアとリラ。
 アレクとクゥエルは少し離れた位置からアプローチしかけていたので心配はなかったのだが、思わず動きがぴたりと止まる。
「んなもん誰も見てるか! 気をつけてのぼれよ」
「ま、それはそれで、乙女としては複雑な気分ですわ」
 袴のウルルが自分は平気という顔をして、ころころと笑った。


 ぐぅっと黄色のくらげが矢のように体を細くして飛んだ。近付いてくるソフィア達に降り注ぐ。
「……させないよ」
 ニュイが冬の嵐を召喚する。クラゲたちが凍り付く。透き通ってキラキラして綺麗だとフィアルーはちょっと思ってぺこりと頭を下げ、
「行きます……!」
 邪剣の群れを召還して追撃した。氷が砕かれくらげは落ちて消える。
「ありがとうございます」
 リラが登りかけて振り返ってゆるりと笑った。その間にもバラバラとくらげは舞い落ちる。
「ベルさんは、いえ、ベルにいさまは」
 わざわざウルルは言い直した。こうお呼びすれば優雅に舞って下さるわよね。なんて続けるとベルはふっとウルルの方を見て、
「実は僕蝶舞扇使うの初めてなんだけどこれどうやって投げるの」
「ぇっ」
 一瞬、ウルルとニュイが顔を見合わせる。
「投げれば宜しいかと思いますわ、優雅に」
「気合いで」
 つっと視線を反らせた。二人とも扇は持ってるけれども蝶舞扇は今は使えない。
 えー。扇を構えて狙いを付けてるベルにウルルは一つ咳払いをして、
「召し上がりたいの? くらげ」
「食べれるものは何でも食べてみたいよ」
 ベルは扇を投げた。アレクの頬を掠って目の前にいたくらげにあたる。ウルルがヒュプノスを飛ばしてくらげを破壊していく。アレクは思わず振り返った。ゆらゆら。足元の感覚が頼りない。
「今凄く身の危険を感じたのですが。後ろから。後衛の皆さんに背中、預けさせてもらいっても……良い、ですよね?」
「気のせい気のせい」
「おいおい、後ろからがっつり行かれて落ちるのは勘弁して欲しいのだが」
「す、済みません、頑張ります!」
 アンタレスの言葉にフィアルーが邪剣をいっぱい召還する。
「いや……そこはフィアルーが、謝るところじゃ……無い、気が」
 一番低いくらげに乗ってご機嫌で扇を投げてるベルにちらりと視線をやってスエが眼を細める。
「ベル、遊び過ぎて、落ちないようにね」
 ニュイが呑気にそう声をかけたので、クゥエルが小さく頷いた。
「もう少しです、頑張りましょう!」
「ええ。此方もそろそろ上にのぼ……あら?」
 わらわら。わらわら。
 いつの間にか黄色桃色くらげたちは、下で待機する組にも集まってきていた。上に登る人達を援護するのを優先したからだ。
「たっ」
 ニュイが体当たりされて声を上げる。
「うー。あっちに行ってください!」
「負けない位羊を呼んじゃうんだから!」
 フィアルーも邪剣で対応するが、くらげたちは体当たりを繰り返してくる。最初は大人しく対応していたウルルが思わず大きな声を上げた。
「って、うっとおしいわーー!!」
 次の瞬間、無数の邪剣ならぬ無数の羊が召喚されて、くらげたちを押し流していった……。
「あれ、暴走って使ってきたっけ」
 しれっと言うベルに、ニュイは思わず肩を竦めた。いや、きっとあれは素だ。しかし深くは追求しない。怖いから。
 ニュイは手近な黄緑くらげに足をかける。その時、
「べる、ニュイ、危ない!」
 シュエホアが声を上げる。ファルゥがトンファーリングを二人の目の前に叩きつけてくらげを壊した。
「ありがと」
 ベルが礼を言い、妹分のシュエホアの姿にニュイは目元を和らげて軽く手を振った。
「……べ、別に油断してる訳じゃないよ」
 誰も何も言わないのにニュイはちょっと照れたように言う。
「あちらの方が、登りやすいですよ」
 ティノクスも弟のフィアルーに道を教えたりしている。カタリがランドブレイクで援護する。ウィスカがヒーリングサークルで傷を治し、カーリグも隣で援護をした。
 その辺で何とか気を落ち着けたウルルが一つ頷いた。
「まあ、お手伝いの方々が沢山いらっしゃるおかげでくらげがだいぶ減りましたわね」
「……それは半分ぐらいウルルさんが切れて」
「アレクさんはとってもおかわゆいことを仰られますのね」
 真面目に突っ込んだアレクに、にこにこウルルは返す。ちょっと怖かった。
 ガブリエラが気咬弾でくらげを打ち落とすと、だいぶ下は落ち着いてきたようだ。よいせ、と今度こそくらげにのって、下にいた者達も上へと移動を始める。
「支援するよ。くらげや女の子に、負けないでね!」
 アイが桜花演舞でベルの傷を癒していったので、ベルは一つ頷いた。
「大丈夫です、皆さん強いですから、僕が寝ててもきっと平気」
「あの、流石に寝ないで欲しいです、ベルにいさま」
 フィアルーの口調を真似て言うベルに、フィアルーはちょっと溜息をついた。

「全くもって下の奴らは呑気なもんだな。まあ、子供は呑気にしてる方が気が楽だが」
 アンタレスがぼやく。くらげの階段を登った上には、逆しまの少女が胸の前で手を組んで浮かんでいた。スエは己の膨らんだスカートに視線を落とし、
「……なぜ、くらげ? 嗜好は、人それぞれ、か。ボクも、大差無い……のかな?」
 くらげのスカートと見比べた。スエはすっと日傘の仕込み杖を抜く。薔薇の花びらが散って、それと共に太刀を走らせた。
 ひょうっと空気が鳴くような叫び声を少女が上げる。
「空漂う貴方は何を夢見てるのかしら。遠い昔の記憶、それとも自身を創り出した樹のこと?」
 リラも漸く頂上へ。足場を意識しながら、
「夢見るのを邪魔されるのは嫌なことと思います。ですが、他の方を傷つけるのであれば……容赦致しません。おいで、ルチカ。少しだけ力をお貸しください、ませ」
 妖精を宿らせた斧で少女を切り裂いた。目が見開かれる。
「つれない態度だねぇ……せっかくだ。踊りなよ、嬢ちゃん! 俺の魂、見せてやるぜ!」
 表情なく、しかしそれが怒りを称えているのが解る。アンタレスはニッと口元を歪めて妖精を憑依させたロックギターで、少女を殴りつけた。
「いくら春色で透き通ってきれいでぷよぷよでかわいらしくても、世界樹とわんこさんの為です。爪を立てさせていただきます、ね」
 アレクの見えざる爪に、クゥエルの歌が乗る。ひょうともう一度少女はないて、再びスカートが揺れてくらげを大量に吐き出した。
「たゆたうくらげは確かに幻のよう……ですが痛さは本物ですね」
 くらげの体当たりを受けてソフィアは顔をしかめる。竜巻を召喚してくらげたちを巻き込み吹き飛ばした。
「幻は幻らしく……消えるべきです!」
 そして続けてソフィアが獅子の咆吼を放つ。
「援護します!」
「あと少しですわ!」
 フィアルーが邪剣を叩きつける。ウルルのヒュプノスも走った。ニュイが気咬弾で援護をする。
「僕にはどんな夢を見てるのか、察する事はできないけど。終わらせてあげる事なら、できるから。次は良い夢見れるといいね。……おやすみなさい。良い夢を」
 同時にベルの気咬弾も飛ぶ。二人の攻撃にあわせるようにアレクは爪を振りかぶり、
「行き、ます……!」
「折角エルフヘイムが平和になったのに、世界樹を傷付けるものが現れるなんて……私の初舞台ですが、世界樹を護る為、今、私の歌に力を……!」
 アレクの爪とクゥエルの歌が同時に走った。
「憧れのエンドブレイカー。その一員として、私もエルフヘイムを守りたいのです……!」
 この故郷を守りたい。勢い余ってクゥエルは足を滑らせる。その手をリラがしっかりと掴んだ。
「地を歩むわたしは空飛ぶ翼がないからきっと空では生きられない。それと同じ。夢から生まれた貴女は現ではきっと生きにくいから、生まれた場所へお帰り」
 空いた手で斧を振るう。殆ど色が抜け落ちて、線が崩れかけてきたくらげの少女にスエはゆっくりと舞い散る薔薇と共に仕込み杖を走らせて、
「悪夢にも、願いはあるのかな。どうか次は、良い夢が、見られるように」
 見開かれた眼だけが赤い。アンタレスはロックギターを振り上げた。
「これで終いにしようや……。世界樹から生まれたくせに、傷つけようってのはな、正直、何とも言えんが」
 無性に煙草が吸いたいと思った。だけど未成年ばかりだから止めておこう。その方がきっと優しい。
「ま、俺の育った土地の問題だ……。だから、俺がけりを付けてやる」
 振り下ろすと同時に、ひょうと少女は声を上げ、唐突に消滅した。


 少女の消滅と共に足場が消えた。
「きゃっ」
 結構高い。ウルルが思わず声を上げた。わんこ達が受け止めようとしてくれているが、このままだとわんこを潰してしまう!
 そんなとき、手伝いに来ていたサイクスがウルルをキャッチした。
「おっと危ない……犬じゃなくてごめん」
 ちょっと申し訳なさげだ。
「犬で無くて済まないね」
 ソフィアもナイアーの広げたシーツの上に落ちる。
「いいえ。これでまた犬さんを潰したら立ち直れないところでした」
 鎧重いし。ソフィアは礼を言うと、一目散に待っているわんこ達の所へ駆け出す。
「小柄な人だったら、助けられるかなと思うの」
 フィルがフィアルーを優しく抱き留めて地面に降ろしてくれる。
「えっとあの……ごめん!」
「女の子に傷つけたら駄目だから!」
 シャオリィがリラを助けて、セルティアがアレクを受け止めてくれた。一人アンタレスは受け身を取って転がる。
「くそっ。良いぜ。確かに、そいつら優先してくれた方が良いに決まってる」
 でもちょっと背中が切ない。わんこが慰めるようにぺろりとなめた。
「あ、空からゆめみなさそうな乙女がおちてきた!」
 カイトがさあ俺の胸に飛び込んでこいとばかりに両手を広げて地上で待っていた。その顔をベルは踏んづける。
「乙女って誰のこと。あ、あれか」
 ベルはそう嘯いて、カイトを踏み台にして飛んで手を伸ばす。スエがふんわりと落ちてくるところだった。丁度日傘が開いてふわふわ降りてくるのを抱き留める。
「ベル君、抱きとめるの、いる〜?」
 アイシャもまた両手を広げている。
「いらん。何で君たちはそう僕を頼りない人扱いするんだ」
「あの、頼りになるが、落ちる」
 スエを庇うようにして地面に転がる。何とか受け身を取ったニュイが顔を上げた。
「……だいじょう、ぶ?」
「平気。男の子だも……」
「皆さん、お疲れ様でした!」
 ごんっ。
 降り立ったクゥエルがベルに抱きついて再びベルは転がった。スエはその腕から抜け出して服を払った。
「ありがとう」
「わんちゃん、お手」
 リラたちがもう既にわんこと戯れている。
「あ、あの。よかったら皆さんで、ご飯でも食べにいきませんか」
 わんこを触りたそうで触れない。遠巻きに見ながら控えめに申し出るアレク。戦場とはうってかわっての緊張気味な台詞である。
 何というかもう、戦い終わればてんでバラバラ。好き勝手し始める一同に、アンタレスは軽く頭を抱え、一同の無事を確かめる。重傷者無し。
「よしよし、お疲れさん。まあ、無事に済んで良かったな」
 はーい。と明るく元気な声が返ってきた。



マスター:ふじもりみきや 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2011/04/01
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