ステータス画面

月光オラシオン

<オープニング>

●赤い月の伝説
 村に伝わる伝説。月夜の晩、森の泉で身を清めると願いが叶う。
 それはずっとずっと、昔から。言い伝えられた村の伝説。
 それぞれ月の形態によって叶う願いが違うとの言い伝えもある。
 青白い月の時は友情を。
 黄色に輝く月の時は仕事の。
 そして……真っ赤に輝く月の時は、恋愛を。

 コリスは森の近くの村に住む、10代中頃の少女だ。
 村に伝えられている言い伝えを信じ、この日が来るのを待っていた。星が煌めく空を見上げれば、ぽっかり浮かんでいる赤い月。真新しい白いワンピースを着込み、こっそりと家を抜け出した。
 いくら夜中で暗くとも、ランプの灯りを頼りに目的地に着くことは容易い。何せ、毎日のように泉を見に来ているのだから。
 闇に沈む泉の表面に、赤い月が照らされて輝く。ゆらりゆらりと、風に合わせて揺れる水面。
(「これで……私の想いはあの人に……」)
 泉の脇に手に持っていたランプを置く。そしてそのまま、泉へと足を入れると――。
 足元を、不思議な感覚がすり抜ける。それは水では無い何か別のモノの動き。
「やだっ!」
 怖くなり泉から出ようとするコリス。しかし、『何か』はぬるりと足に絡み付く。
 そのまま『何か』は身体の上を這い、身体中が締め付けられる。あまりに強烈な感覚に、陸へ上がろうとしていたコリスはそのまま野原に身を預けるように倒れ込む。半身を泉に着けたまま……。
 水音が響き姿を現すその『何か』は――真っ白な大蛇。その頭には、特殊な仮面が輝いていた。

●月夜の伝承
「……とてもとても、ロマンチックな言い伝えよね」
 そう思わない? と、微笑みつつ問い掛けながら、魔鍵の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)はエンドブレイカーたちを見た。そしてそのままふるりと首を振る。
「いえ、けれどそれどころでは無いわね。その伝承を信じて実行しようとした女の子が、蛇のマスカレイドに襲われてしまうエンディングが視えたの」
 先ほどまでの笑みは消え、真剣な眼差しでミルティーユは言葉を紡ぐ。
 それは村の近くの泉にて、近いうちに起きてしまう事件。言い伝えの通り、泉で身を清めようとした少女が襲われてしまうという悲劇。今から向かいそのマスカレイドを倒してしまえば、その少女は犠牲になること無く、その言い伝えを実行出来る。
「村の言い伝えは、村中に広まっていて……いわゆる伝統みたいなものなの。だから、コリスさんだけで無く他にも犠牲者が出てしまう恐れがあるわ。被害が拡大する前に、全て撃破して欲しいの」
 友情、仕事、恋愛。
 人ならばどれか1つくらい、悩みが当てはまってしまうだろう。その為、この言い伝えを実行する人は絶えないらしい。特に年頃の女の子ならば、惹かれてしまってもしょうがない。

 蛇が現れるのは夜。月が空に浮かんでからになる。
 水中に生息し、闇の水に紛れて近付いた相手を狙う。その為、誰かが泉へ近付けば姿を現す。
 姿を現した後は、陸地にて行動をするので戦闘に支障は無いだろう。陸地に降り立つと同時に配下の鼠のマスカレイドを呼ぶらしい。
 蛇は主にバッドステータスを狙った攻撃を行い、鼠はそれに便乗してダメージを与えてくる。しっかりとした連携を取って来るので注意が必要だ。
「蛇は体力が高いし、鼠は素早いみたいなの。苦戦するかもしれないけれど……」
 あなたたちなら大丈夫よね、と微笑みを浮かべつつ、アイスブルーの瞳を真っ直ぐエンドブレイカーたちへと向ける。そしてああ、そうそう……と口を開いた。
「月の出ている時間だからもちろん夜よ。泉には月明かりくらいしか届かないから、とても暗いの。その点注意してね?」
 灯りが無ければ、森の中を歩き泉へ辿り着くことも困難だろう。逆に、灯りさえあれば道がしっかりとある為迷う恐れは無い。
 丁度向かう時間には人もいないので、人目を気にする必要も無いだろう。コリスが訪れるのも、ずっと後のことだから大丈夫だとミルティーユは言う。
「今回は、私もご一緒させてもらうわ。月夜の泉は気になるし、同じ年頃の女の子の危険だもの」
 他人事では無いから……と呟きながら、手に持つ魔鍵をきゅっと大切そうに抱きしめる。
 少し緊張した面持ちではあるものの、いつもの笑顔を絶やすことなく彼女は言葉を紡ぐ。
「全て終わったら、ちょっとだけ月光浴をしていきましょう。きっと素敵なひと時よ」
 とっても楽しみ。柔らかな笑顔を零しつつ、ミルティーユはエンドブレイカーによろしくね、と言った。


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参加者
祈りの糸・アリカ(c01926)
魔剣・アモン(c02234)
朝と夜の調べ・ハルテ(c03658)
太刀の魔獣戦士・ギィ(c06002)
ついぞ想わぬ・アズハル(c06150)
アダマス・グラディス(c06217)
カザミドリ・ヒナタ(c21307)
碧落・スーミル(c22171)
満月のオプタートゥム・リュカントロプル(c22858)

NPC:魔鍵の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)

<リプレイ>

●月夜の泉
 木々繁る慣れない森の中、手元の灯りを頼りに道なりを進めば――ぽっかりと木が生えていない空間に、天に輝く星空が現れた。真ん中に広がる泉は、ゆらりゆらりと風の流れと共に穏やかに揺れる。その水面に映り込む月もまた、静かに揺れていた。
 泉に映り込む月。そして浮かび上がる神秘的な月を見て、カザミドリ・ヒナタ(c21307)は静かな空間には不釣り合いな明るい声を上げる。
「素敵な風習、守らなくっちゃね♪」
 素敵でロマンチックな風習。それを実行する乙女たち。応援したい気持ちは満月のオプタートゥム・リュカントロプル(c22858)とアダマス・グラディス(c06217)も一緒。
「乙女の願い事? をする前に死なれちゃ後味悪い」
「天上の佳人に恋を祈る乙女の生命、必ず守って見せる!」
 金の瞳と青の瞳で月を見上げては、2人は頷き意思を確認し合う。
「彼女を危険な目に合わせないよう、皆で頑張ろう。うむ!」
 事件に合う少女と同じように、恋愛の悩みを抱えるついぞ想わぬ・アズハル(c06150)も2人に同意する。泉に募る想いを込めて願を掛けるコリスに、親近感を覚えるから。
 静かに揺れる水面を眺めつつ、太刀の魔獣戦士・ギィ(c06002)は笑みを浮かべた。
「白い蛇か。本当ならなかなか綺麗なんだけど、こいつは頂けねぇよなぁ」
「泉の主ってヤツかな?」
 その言葉に魔剣・アモン(c02234)がこげ茶色の瞳でギィを見ながら、白蛇は神聖な存在らしいけど……と言葉を零した。
 浮かび上がる月を見て、瞳を細める朝と夜の調べ・ハルテ(c03658)。赤く色付いた月を見て、過去の思い出が浮かび上がる。だからこそ、蛇にはふつふつと感情が湧きあがる。
 手に持つ照明。そして同行した者によって灯された灯りにより、予想以上に野原は明るかった。
 これなら戦闘に支障が出ることも無いだろう。
 戦闘の開始前に、ヒナタが笑顔で帰ろうと語る。
「ミルティーユさんも一緒にがんばろうね! おーっ♪」
 と声を掛けられ、魔鍵の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)も笑みを浮かべつつ頷いた。
「さて、では始めましょうか」
 祈りの糸・アリカ(c01926)が共に囮となるアモンとアズハルに声を掛ければ、2人は頷き横一列になる。そのまま泉へ近付き、揺れる水面を覗き込むと――素早い動きで現れる『何か』の影。そのままアモン目掛けて飛び掛かるも、注意を払っていた彼はその動きを見事に避けてみせた。
 地面に勢いよく降り立つと、そのまま威嚇するようにシューシュー鳴く蛇。その音に呼ばれるように、小さな鼠たちが現れる。
 白蛇を囲むように動きつつ、アリカはその仮面から解放することが白蛇の救いになると信じて。縁起の良いその身体を眺めつつ意思を固める。
「さて、一太刀参りますかっ♪」
 ギイは集まる鼠たちを一瞥すると、太刀を握り締めた。

●月夜の獣
 白蛇を囲んだ後、真っ先に動いたのはアリカだった。
「貴方が人を苦しめる事の無いよう、ここで打ち倒します!」
 しっかりと目で白蛇を捉えつつ、召喚したのはディノスピリット。スピリットに跨り突撃すると、その牙で狙い通り足に噛み付いた。
「蛇さんはさむいの苦手だよね? それ〜♪」
 どこまでも明るい口調でヒナタが言葉を紡げば、手に持つアイスレイピアをかざして冬の嵐を召喚する。戦場を駆ける嵐は吹雪となり白蛇を襲う。
「最初から全力モードでいくよ!」
 アモンが手に持つ黒影剣を構えれば、その漆黒の刀身を持つ剣へと様々な装置を召喚する。
 配下である鼠戦の邪魔をしないように、しっかりと白蛇を抑えておくこと。そのことを意識しつつ、アズハルは相棒が作ってくれた棍を握り締め薙ぎ払う。
「愛情という名の棍で、慈愛の心を教えてやるよ!」
 ふわふわとした髪と不思議な模様描かれし服をなびかせながら、白蛇目掛けて棍を薙ぎ払えば近くでうろついていた鼠を巻き込んだ。
 4人がボスである白蛇を抑えている間に、5体の鼠を殲滅するのが残るものの役目。
 自身の護れるものを護りたいと思う碧落・スーミル(c22171)は、一番自分から近い鼠につばぜり合いを仕掛ける。スーミルが鼠に傷を与えたのを見て、皆攻撃対象を認識した。
 ギィが月明かりに照らされた金の髪をなびかせながら、握り締めた稲妻を籠めた太刀を振るい、ハルテが続くように獣を模した動きで爪を振るう。
「乙女の祈りを汚す棘の先兵、この剣の業火に灼かれるがいい」
 両翼誇る大剣Luce di argentoを構えると、グラディスは火柱を上げ、鼠の身が焼かれ倒れる。
 仲間の死を見た鼠たちは、奮い立たせるように鳴き喚くと、一斉に鋭い牙を向けてギィとハルテを襲う。身体に痛みが走るが、それは大したものでは無かった。
「こんなきれいな月の夜だ……鼠退治はさっさと終わらせてぇな」
 浮かび上がる月を見上げた後、鼠を見てリュカントロプルが語る。すると、手に持つフレイムソードで突きの連打を浴びせる。
 ミルティーユが星霊のヒュプノスを召喚すれば、ふわりと舞い傷を負った鼠を襲う。
 アリカ、アモン、アズハルが白蛇の動きを制限している横で、ヒナタも妖精を向かわせる。
「妖精さんたち、れっつごー♪ でも静かにねっ! しーっ!」
 口元に人差し指を当てつつ指示を出せば、針で武装した妖精が白蛇と、鼠目掛けて突撃する。
 グラディスが大剣から火柱を上げると、リュカントロプルも同じく業火を放つ。
 火に焼かれた鼠は、キィキィ鳴きつつ牙を手当り次第、近くのエンドブレイカーへ向けてくる。
 敵は素早く動き回るが、しかしエンドブレイカーたちの敵では無い。
「無駄よ……。わたしの音は……すべてをとらえる……」
 ハルテが竪琴を奏でつつ踊りを披露すれば、その月夜に映える白髪が綺麗に揺れ動き――。
 その踊りに魅せられた鼠が1匹、静かに息を引き取った。

●月夜の主
 戦況はエンドブレイカーの有利に進んでいた。だが、逃げる恐れの少ない蛇に対して、人員を割き過ぎてしまった為、火力不足で鼠の撃破が遅れてしまっていた。
 しかし、それを補うように複数の敵へと攻撃が飛び交い、鼠の体力の低さもあり特に問題が起きているようには見えない。次々と鼠を倒していくエンドブレイカーたち。
 ギィが稲妻を籠めた太刀を振り下ろせば、鼠の防御の態勢を崩す。その隙を見てすかさずグラディスが火柱の斬撃を与える。
「やっこさんが連携でくるなら、こっちも連携でってなっ♪」
 ニヤリとギィは笑みを浮かべるが、サングラスの下の眼差しは真剣なもの。
 傷付き今にも倒れそうな鼠にスーミルが近付き武器を構える。
「此処で時間をかけてる暇は無いんだ。まだメインが残ってるからね……」
 静かに紡がれるその言葉。しかし、彼の意思は強いもの。その意思が乗ったエネルギーによる突きは、最後に残る鼠に致命的なダメージを与え、そのまま動かなくなった。

 アモンが三属性の斬撃を白蛇に与え、アリカが9本の鞭でその身体を撃ち捉える。
 前衛である3人がしっかり動きを止めるように立ち回りに注意した為、鼠を相手していた者たちへの傷は少なく致命的な傷を負っている者はいない。
 そして、敵へのダメージもかなり蓄積されている。後少しだ。
「お待たせしました……。加勢します」
 素早くスーミルが駆けて白蛇につばぜり合いを仕掛ける。追ってリュカントロプルも自身の腕を魔獣化させ、その爪で白蛇の身体を引き裂いていく。
「月光に照らされて真白な身体はよく映えるな」
 逃がす訳にはいかない。その身体を目に焼き付けて隙を作らないように。リュカントロプルは見る。
 自身の傷の深さを悟ったアズハルは、スーミルとリュカントロプルが加勢してくれたことで余裕が生まれたことに気付き、後退する。
 少し自分の傷を癒さなければ……。そう思ったと同時に。
「妖精さん、みんなに、元気をっ♪」
 ヒナタの明るい声が響いたかと思うと、ヒナタの元から飛んできた妖精がアズハルの周りに輪を描きつつ舞う。恵みをもたらすその輪により、アズハルの傷は癒えていく。
「ヒナタ、ありがとう」
 微笑み、自身の周りを舞う妖精を見た後にヒナタに礼を言えば、彼は嬉しそうに笑う。
 巨大な白い身体を乱暴に動かし、アリカの身の自由を奪おうとする白蛇。
 ハルテが竪琴で一音紡げば、静かな音が森に響く。
「退場なさい……月夜の舞台に、あなたは要らない……」
 この神秘的な泉に、妨げる白蛇の存在は必要無い。そんな想いを込めるかのように、軽やかに舞う姿はとても神秘的で――そのまま白蛇へと傷を負わせていく。
 ギィが稲妻の太刀で切り裂き、高速で詠唱を呟くアモンの強い氷の斬撃が襲う。体力を取り戻したアズハルは再び前へと駆け、棍を握り締め勢いよく薙ぎ払った。
 苦しむかのように。這うように。その身体を動かす白蛇。
 残りの力を削るようにミルティーユは星霊のジェナスを召喚し、その牙による一撃をお見舞いする。グラディスが火柱の凄まじい斬撃を与えれば――。
 蛇はその牙を煌めかせ、まるで威嚇するかのように叫ぶ。……その声は、最後の時を告げるもの。
「ごめんなさい、これからは安らかに眠ってください」
 アリカがせつなげな瞳を白蛇へ向けつつ――しかし決して瞳を逸らすことなく、その白く細い。まるで蛇のような鞭、白雨を振るい9本に分裂させ叩きつければ……。
 白蛇はバタバタと身体を勢いよく動かしたかと思うと、直ぐに動かなくなった。

 戦闘を終えた後、スーミルとアリカの手によってささやかな墓が作られる。
 スーミルは辺りを片付けながら、これから泉に来る人が驚愕してしまうといけないと言葉を零し。
 アリカは静かに、墓に卵を供え冥福を祈った――。

●月夜の調べ
 戦いの音が途切れ、森の中奏でられるのは静かな虫の鳴き声と木々のざわめく音。
 そして、水面が緩やかに揺れて月の光を反射するこの光景は、不思議の森に訪れたかのよう。
 アリカは伝説になぞらえ泉へと入りその身を清めると、静かに月を見上げる。
 ――私なんかが、誰かを愛していいのかな?
 静かに湧き上がるその感情。まだ冷たい泉の水で身を清めれば、自信を取り戻すことが出来るかもしれない。ぱしゃりと響く水音。揺らぐ水面。
「揺らぐのは私じゃない」
 その水面を眺めつつ、アリカは静かに言葉を漏らした。
「恋のおまじないとか、ふふっ、素敵な伝説だね♪」
 戦闘の終わった安堵感と、村に伝わる伝承を思い出しヒナタは笑みを零す。
 月を見上げれば綺麗な赤色を帯びて輝き、その光を反射する水面もまた綺麗に輝く。
 そっと足を水面へと乗せる。
 ゆっくり、ゆっくりと……。泉の中心でゆらりゆらりと揺れる月に近付く。
 その月を静かに見下ろしながら――。
「みんなに、いい出会いがありますようにっと♪」
 にっこり笑顔で、彼は自身の願いを月に告げた。

 泉の縁にて月を眺めるリュカントロプル。
 月のような金の瞳に映るのは、美しい月と大切な人。
 月夜の晩に泉で身を清めれば願いが叶う――少女の願いは何かと思いを馳せつつ。
 リュカントロプルの楽しげなやりとりを見て、グラディスは笑みを浮かべつつ月を見上げる。
 浮かんでいるのは赤い月。伝承には他にも、青い月や黄色い月もあった。
 自分が祈るのならば、黄色い月――仕事のことだろうと頷く。
 まだまだ未熟者なため、沢山のことを経験して大事をこなせるように。その為に祈るのならば。
「でもいつか、赤い月に祈るような恋をしてみたい……かも?」
 小さな小さな、誰にも聞こえないような声でグラディスは語る。
 その微かな声は、柔らかく吹く風に乗り、天へと昇り月が気付いてくれるのかもしれない。

 泉の傍に座り、ハルテは竪琴を持つと――。
「こんなに月が綺麗、なら……明かりは野暮……ですね……」
 と呟き、手元のランプの灯りを消し改めて竪琴を持ち聖なる調べを奏でる。
 その音色はとても澄んでいて美しく、月明かりに照らされるハルテの姿はとても幻想的だった。
 音色に耳を傾けつつ、月見酒を行おうと持参したブランデーを掲げてみせるギィ。
 月に瓶を照らしながら、そういや……と口を開く。
「ミルティーユってなかなか良いネーミングセンスを持ってるんだって? 何か俺にあだ名でもつけてくれよ」
 にこやかに笑って隣に座る少女に話し掛ければ、彼女はそうね……と首を傾げつつ考える。
「……ギックン、とかどうかしら? カッコいいと思うの」
 真面目な表情で彼女が答えを出せば。
「え゛。……フッ……ぷっ……くくっ」
 必死に笑いを押し殺す彼の姿に、ミルティーユは首を傾げる。ギィは気に入ったよと笑顔を零した。
 笑うギィの様子に思わず笑みを零しつつ、月を見上げていた視線をミルティーユへと向けるアモン。
「綺麗な月だね。ミルティーユも占いとか興味あるの?」
 と尋ねれば、少女は緩やかに頷いた。
「ひとつの道標として、興味深いと思うわ。少しの勇気をくれるもの、だと思うの」
 微笑を浮かべつつ淡々と語る彼女に、アモンはそうか……と頷いた。
「じゃあ、ミルティーユは言い伝えを実行しないのか?」
 赤い月が浮かんでいるし……とアズハルが言葉を紡げば、ミルティーユは首を振るう。
 私には、まだ早いから。恋愛は難しい。それが彼女の答えだった。
「アズハルさんは、やらないの?」
 そのまま首を傾げつつ疑問を問い掛ければ、アズハルはうーん……と考える。
 自分にも、コリスと同じように大好きで愛おしい人がいるから、どうしようかなと笑った。
 そんな話を聞きつつ、スーミルも泉と月を見る。
 仲間たちの楽しげな話し声はとても耳に心地よく。ゆっくりと月を眺める、夜のひと時もとても魅力的だから。
 皆の話に相槌を打ちつつ、ハルテは静かな曲を奏で続ける。
 闇の森に照らされる月明かり。揺れる水面に映る赤い月。
 そこに流れるメロディーは、恋の願いを叶えてくれる音色なのか。 
 それとも、この度の縁の祝福の音色なのか。
 静かな月が見ている中、緩やかな時間は少しずつ……過ぎていく。



マスター:公塚杏 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2011/06/08
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