ステータス画面

アントマンを迎撃せよ

<オープニング>

「……よっ……と。よし、今日は上手くいきそうだなあ」
 渦潮がそこかしこに発生する激流地帯。
 そこで、1人のゴンドラ乗りが操船の自主訓練を行っている。
 いつもあまり上手くいっていない練習だったが……今日はスイスイと進めていて。
 ゴンドラ乗りの女性は、上機嫌で鼻歌を歌う。
 運がいいのではなく、彼女の練習の成果であり実力だ。
 それに……運は、相当悪いようだ。
 彼女の後ろから、黒いゴンドラが近づいてくる。
 操船するのは、彼女の服を黒く染めたようなものを纏う者。
 その操船技術は、まさに超絶技巧という他はない。
 激流地帯をスイスイと抜け、背後から彼女のゴンドラへと近づいて行く。
 黒いゴンドラ。
 それに同乗しているのは……6体の、アントマン。
 目的は、彼女の命。
 そして、彼女にはそれを防ぐ術は……今はなく。
「危険な水路を通ろうとするゴンドラ乗りが、黒いゴンドラを操るマスカレイドと配下のバルバによって殺されてしまうエンディングを見たんだ」
 自由農夫・ダニエル(cn0078)はそう言うと、悲しそうに首を振る。
 被害者はゴンドラ乗りの女性、エリオ。
 中々の頑張り屋で、最近ではいざという時の練習などに精を出しているそうだ。
 その為か、エリオはゴンドラの操船練習の為、渦潮の発生する激流地帯に毎日来ている。
 そこに黒いゴンドラ乗りが現れるとダニエルは語る。
「姿としては、メイベルさんの服を黒くしたような……そんな服を着た女性マスカレイド、ってところだね。同乗しているのは6体のアントマンのマスカレイドのようだよ」
 アントマン達の目的は、エリオの命。
 何の罪もないエリオの命が奪われる事は、絶対に避けなくてはならない。
「被害者が襲われる少し前にゴンドラに乗って同じ場所に出向けば、黒いゴンドラ乗りが現れて襲撃してくる。でも、黒いゴンドラ乗りの操船技術は卓越しているみたいで、今の時点では、太刀打ちする事は出来ないだろうね」
 なので、君達には、ゴンドラに乗り込んでくるアントマンの撃破を行って欲しいとダニエルは説明する。
「戦闘が始まると、黒いゴンドラ乗りは素早い操船で戦場から離れてしまい、戦闘には参加しないようだね。アントマンマスカレイドが勝てば回収に戻ってくるけど、アントマンマスカレイドが負ければ、そのまま逃げ去ってしまうだろうね。
 今回の作戦で、黒いゴンドラ乗りを捕らえるのはかなり難しい事だろうね、とダニエルは溜息をつく。
 そして、そのゴンドラに乗っているアントマン達は6体。
 そのうちの1体はスーツアーマーのようなものを着込み巨大な剣を構えた、如何にもパワータイプといったアントマンマスカレイド。
 そして、もう1体。不気味な形に曲がりくねった金属杖のようなものを持ったアントマンマスカレイド。
 仮に名付けるなら、アントナイトとアントマジシャンといったところだろうか。
 その2体が、アントマンマスカレイドの集団の中心となっているようだ。
 残りの4体のうち、それぞれ2体ずつがそれぞれアントナイトとアントマジシャンのフォローをするようだ。
 この4体が所持しているのは盾。アントマンとしての能力よりも、武器に依存した戦い方をするようだとダニエルは説明する。
「ゴンドラ乗りを襲うマスカレイドを倒して、アクエリオの水路の平和を守るために、頑張ってほしい。皆、よろしく頼むよ」
 この事件解決には、ゴンドラを持つエンドブレイカーの協力が不可欠だ。
 その点も含めて、よろしく……と。
 ダニエルはそう言って、軽く一礼して見せるのだった。


マスターからのコメントを見る
参加者
悪魔憑き・フィーネ(c00324)
赫赫と赫ける夜が月・スノーサ(c01027)
銀狼・シオン(c02524)
路地裏の野良犬・リノンライト(c07295)
血塗れ烏・ネヴァン(c10007)
水月・アーシェス(c11972)
焔剣と聖楯の龍鎧騎士・ブリギット(c15698)
魔鍵の星霊術士・アルストロメリア(c15869)
蒼鷹の事象学師・シュロッセ(c16138)
妖精騎士・ジャン(c18666)

<リプレイ>

●黒いゴンドラを誘き寄せろ
「練習場に到着! 今日も頑張りましょう」
 麗しのシレン号を操船する妖精騎士・ジャン(c18666)が、激流地帯に到着する。
 渦潮がそこかしこに発生していて、中々操船は難しそうだ。
 ゴンドラには荷物を載せているのか、何やら大きな布の被さったものが載せられている。
 勿論、それは荷物などではない。時折、ごそりと動いているのが分かる。
「そんじゃ、なるべく安全運転で頼むぜ」
 布の下から聞こえてくるのは、銀狼・シオン(c02524)の声だ。
「しっかし何が目的なんだろうな? ゴンドラ乗りが生きてることに何か不都合でもあるのか?」
 少しだけ空いた布の穴から覗く目の辺りから、そんな呟きが聞こえてくる。
 どうやらそれは路地裏の野良犬・リノンライト(c07295)のようだが、その反対側の穴からは水月・アーシェス(c11972)のものと思われる、赤い目が覗いている。
「ジャンさん、実戦でのゴンドラ操作は初になりますが、焦った時は深呼吸ですよ。必ず私達がお守りしますので、そこはご安心下さいね」
 アーシェスの言葉に、ジャンは僅かに頷いて答える。
 今のところ操船は上手くいっており、何の問題も無い。
「アクエリオの激流下りですね。いつもはゆっくりなゴンドラなのでいい経験です」
 悪魔憑き・フィーネ(c00324)の操るマリオネットが、ゆらりゆらりと動いて。
「運河に落ちない様に注意しないとね」
 ステルスを発動させた血塗れ烏・ネヴァン(c10007)が、そう呟く。
 ジャンの操るゴンドラは、激流を進んでいく。
「……ん?」
 蒼鷹の事象学師・シュロッセ(c16138)が、リノンライトが突然大きく動いたのを感じる。
「……どうした?」
「来たぜ。恐ろしく速い……!」
 魔鍵の星霊術士・アルストロメリア(c15869)の問いに、リノンライトはそう返す。
 布に少し空いた穴から見えるのは、超絶技巧をもって距離を詰めてくる黒いゴンドラの姿。
 メイベルの服を黒くしたような衣装。顔を覆う仮面。そして何より、そのゴンドラの技。
 素早く麗しのシレン号に追いついた黒いゴンドラは、横を併走するように近づいてくる。
 だが、それは想定通り。
「お客様がお見えですかね?」
 ジャンの言葉と共に黒い布が取り払われ、武器を構えた焔剣と聖楯の龍鎧騎士・ブリギット(c15698)達の姿が船上に現れる。
 船上に現れたブリギット達の姿にも、黒いゴンドラの上のマスカレイド達は慌てた様子すら見せない。
 睨み合いは一瞬。併走する2つのゴンドラは、始まりの時を待つ。

●アントマン襲撃
「バルバの仮面で先ずは小手調べか……ふん、侮られているな」
 そんな赫赫と赫ける夜が月・スノーサ(c01027)の言葉にも、併走する黒いゴンドラ乗りは答えない。
「ふ……殺しなさい」
 その言葉と共に、一気に接近した黒いゴンドラから、アントマン達は一斉に麗しのシレン号へと乗り移り。
 それと同時に、黒いゴンドラは恐ろしいまでの速度で遠ざかっていく。
 今の隙にチェイスを仕掛けたリノンライトだが、辺りをグルグルと恐ろしい速度で旋回しているであろうことが伝わってくる。
 どうやら、決着がつくのを待っているのだろうが……今は、そんな事を気にしている場合ではない。
「行って、ヒュプノス」
 即座にアルストロメリアが反応し、星霊ヒュプノスを召喚する。
 催眠ガスを放ちながら、アントマジシャンの元へ向かって眠りを誘う跳躍をするヒュプノス。
「お願いしますね、レギオスさん達」
 間髪入れずにフィーネが虚無から召喚した邪剣の群れが、盾のアントマンへと襲いかかり。
「まずは私のターンだ……ロード、『黒鉄のベーオウルフ』! 撃ち貫きなさい!」
 導手剣ツァイトシフを構えたシュロッセが黒鉄兵団の紋章を展開し、接敵してきた盾のアントマンを吹き飛ばすと、スノーサが合わせるように破鎧掌を叩きこむ。
 浸透勁、気脈砕き、そしてトドメとばかりに放つ双掌波。
 大きくグラつく盾のアントマンだが、そこでアントマジシャンがヒーリングサークルを展開し、更にアントナイトがお返しとばかりに大剣を振るい竜巻を起こす。
「やりやがったな……!」
 昔聞きかじったという構えをとったシオンは、イヴィルブラッドを構え直す。
「さて、オイタの過ぎる子にゃお仕置きが必要だよな」
 放つビーストクラッシュは、正面の盾のアントマンへと直撃する。
「ちっ、しっかりガードしてやがる!」
 リノンライトは盾のアントマンへスカイキャリバーを仕掛けながら、そう毒づく。
 狭いゴンドラの上で、盾のアントマン達はアントナイトとアントマジシャンの、文字通り盾となるように陣取っている。
 アントナイトも仲間が邪魔で、こちらへの近接攻撃を行えないという面もあるものの……中々に厄介な布陣であることは確かだ。
 アーシェスの召喚した妖精がアントマジシャンを魅了するべく、かわいいダンス屋セクシーアピールをまじえた踊りを踊り出し。
「え……えぇいっ!」
 最初の渦潮の激流に翻弄されようとしていた麗しのシレン号を、ジャンの操舵が上手く制御する。
 戦いは、まだ序盤。双方倒れる事無く、激流を進む船の上で激戦は続く。

●アントマジシャンを撃破せよ
「あ〜はっはっ! 蟻みたいに捻り潰してやろう!!」
 歯を剥き出して笑うネヴァンが、レギオスブレイドを召喚する。
 リノンライトが何やら言いたげに口をムニムニさせているが、アントマンだけに……などと言いたくなったなどという事は無いに違いない。
「船頭を傷つけさせる訳には行かないのです!」
 ブリギットのデュエルアタックが盾のアントマンの盾をかち上げ、更にアントマンを弾き飛ばす。
 これだけ狭いゴンドラの上での戦闘はアントマン側にとっても危険は同じようにある。
 だが、それでも跳び移るのに躊躇すら無かった事をアルストロメリアは思い出す。
「アントマンが従っている理由は……マスカレイドだから、か? やはり、これも棘の影響か」
 考えながらも、アントマジシャンへと向けてヒュプノスを召喚し、フィーネが呪われし邪眼の力を解放する。
「覇壊せよ! ロード、『覇竜のヤルダバオト』!」
 シュロッセの仕掛けたフレイムスロワーが追尾する炎となり、2体のアントマンを包み込む。
 極めて強固な連携をとっているアントマン達だが、それでも集中攻撃を受ければ穴となる場所は出来る。
「仮面を被ったのが貴様の運の尽き……之で終焉りだッ!」
 スノーサの叩き込んだ爆発的な「気」が、アントマジシャンを守っていた盾のアントマンのうちの1体を、ついに打ち倒す。
 すぐにその穴を埋めるように残りの2体が配置を変えるが、それで戦力ダウンまでどうにか出来るわけではない。
「おいおい、俺の爪をそんなもんで防ぐつもりか?舐められたもんだ」
 魔獣化したシオンの腕が一体の盾のアントマンを殴打し、獣爪の一撃を加える。
 だが、踏み込むという事は相手に危険視されるということでもある。
 アントマジシャンは、杖から触れた物を消滅させるエネルギー球を解き放つ。
 シオンのバッドムーンを削り、腹部を削り、正面衝突するエネルギー球。
 更にシオンを狙い、アントナイトがブレイドタイフーンを仕掛ける。
 思わず膝をつくシオンだが、アーシェスのフェアリーサークルがタイミングよく描かれる。
 そして、更に。再び渦潮の激流に飲み込まれそうになった麗しのシレン号を、ジャンの完璧なタイミングでの操舵が回避する。
「その調子です、ジャンさん!」
「ナイスだ、しっかり制御頼むぜ!」
 体勢を崩したらしいアントマン達を見て、フィーネとリノンライトがジャンへと声をかける。どうやら激流の影響がアントマン達だけに出たのであろう事が見て取れる。
「今、トドメをさしてやる……!」
 その隙を見逃さず、ネヴァンがレギオスブレイドを召喚する。
 鮫剣、そして3本もの黒霊剣が召喚され、アントマジシャンに舞い落ちるように襲い掛かり打ち倒す。
 アントマジシャンが倒さされたのを見たアントナイトは、何やら陣形の変更らしき指示を飛ばす。
 戦いはいよいよ終盤。されど、前面へと出てきたアントナイトは、未だ健在である。

●アントナイトを撃破せよ
「くっ……此処は通しません!」
 アントナイトのレイドバスターを耐えきったブリギットが、ジャンへの進路を塞ぐ。
「やっぱりあっちは何でもアリかよ!」
「ですが、今のでゴンドラが燃える事はないようですね……!」
 リノンライトのスカイキャリバーに合わせ、アーシェスの妖精が踊り出す。
「大事な船、失うわけには行かないからな」
 盾のアントマンを仕留めたアルストロメリアが、麗しのシレン号に損傷が無い事を確認して安堵の息をはく。
「水上を襲う蟻、か……違和感ある姿だが、何を考えているやら」
 言いながら、シュロッセは残った1匹……アントナイトの方へと振り返る。
 勿論、アントナイトがその疑問に答える事は無い。
 だが、答えずとも構わない。
 フィーネのレギオスブレイド召喚のタイミングに合わせ、ネヴァンの激しい蹴りの連打が繰り出される。
「ついでだ傷口を広げてやるよ」
 シオンのビーストクラッシュがその傷口を切り裂くと、スノーサが一気にアントナイトへと接敵する。
「仮面を被ったのが貴様の運の尽き……之で終焉りだッ!」
 双掌波、気脈砕き、鎧貫き、みぞおち打ち。そして更にトドメとばかりに放つ双掌波がアントナイトの仮面を打ち砕き。
 体勢を崩したアントナイトは、そのまま運河へと落ちていく。
 全ての異物が運河の底へと消え、ジャンの操舵も通常時の安定を取り戻す。
「はん、全部落ちちまったか」
 残念そうに言うシオンの横では、アルストロメリアが羊皮紙に何かを書き込んでいる。
「しかし……水上戦闘は厄介」
「厄介といえば、あの操船もでしたね……」
 ジャンは、言いながら溜息をつく。
 超絶技巧で操られる黒いゴンドラには、その痕跡を辿らせるようなものは一切なく。
「ちっ、やっぱり追っ手を撒くくらいは当然考えてやがる」
 リノンライトも、悔しそうにそう呟く。
「次の機会には直接対決したいものね」
 通常モードに戻ったネヴァンに、ブリギットも頷き。
「……何者なんでしょうね、あの女性は……」
 アーシェスの疑問も未だ、解決しないままだ。
 けれど、悲劇のエンディングは打ち砕かれたのだ。
 今は、それで充分すぎる成果。
 ゴンドラの上からの風景のスケッチを始めるフィーネを最前方に。
 麗しのシレン号を操船するジャンを最後方に載せて。
 そして、ひとまずの満足感を胸に秘めながら帰路へとつくのだった。



マスター:相景狭間 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/06/08
  • 得票数:
  • カッコいい11 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。