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【夢幻島】幻想絵本の謎

これまでの話

<オープニング>

●幻想絵本の村
 村を占拠するかのように、自由に立って歩く動物たち。枯れ木のような髪に、木の葉を散らせて舞う人型の妖精。夜空と朝焼けの羽を持つ小鳥たちは番いのように、仲良く宙を舞っているかと思えば、その下でふんわりとしたクリーム色のドレスを纏ったお姫様はまるでお菓子のように愛らしく、鳥に祝福されているかのように軽やかに舞う。
 そんな幻想的で可愛らしい世界とは別に、継ぎ接ぎのぬいぐるみが歩き、ひとつの場所へと視線を向けている。――その先には、鱗の赤ん坊を大切そうに抱く母親と、笑みを浮かべ寄り添う王子様。
「これは……」
 星詠みの渡り鳥・ノイシュ(c03964)が驚きの声を漏らせば、春紫苑・フィンランディア(c08370)も目を瞬かせる。
「とにかく、何か情報となるものが無いか探してみよう」
 皎漣・コヒーレント(c12616)が仲間へと言葉を掛ければ、皆頷き村を見渡す。
 イマージュたちが歩いているが、彼らはこちらに見向きもせず自身の生活を楽しんでいる様子。闘争の意思も無いように見え、数は多いが戦闘力も船着き場の一角獣程強くは無さそうだ。
「入っても、大丈夫そうですわね」
 そう傀儡女・ニッタ(c19103)が言えば、7人は村へ入り手分けして情報を探すことにした。
 アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)と炎章剣士・プライムベリー(c22871)、煤け野良・ファルシュ(c00321)は一つ一つ民家へ入り確かめていると、村はずれの家に『村人』を発見した。
 その村人は女性のようだが、『昏睡』しているらしく言葉を発さなければ動きもしない。
「……おい」
 ファルシュは肩を揺すり、頬を軽く叩いてなんとか起こそうとするも、反応は無い。――そのとき。
(「いーけないんだ、いけないんだ」)
 どこからか声がした。人の気配が無いのに聞こえる声に、辺りを見渡してみると……すぐ傍のテーブルの上に乗る、白磁色にピンクで薔薇模様の描かれた可愛らしいティーポットとティーカップが、かちりかちりと踊るように動いていた。
(「夢見る大人を起こそうとしちゃダメなんだ♪)」
 まるで歌うようにポットとカップは話すと、ファルシュの頭目掛けてぶつかってくる。
 試しに起こす手を止めると、そのポットとカップは黙り込みテーブルの上で大人しくなった。

●絵本村の物語
「……以上が、俺の見た、情報だ」
 ファルシュは淡々と。しかし、必要なことは全て伝えようと頭を働かせつつ言葉を紡ぎ、ソーニョ村での出来事を語った。
「事情があって……途中で村の調査を、終わらせてしまった。だから、調査に協力……頼みたい」
 変わらぬ表情で灰色の瞳を節目気味に語る彼女は、精一杯の感情を表して言葉を紡いだ。
 目的は『マスカレイドから村の人々を助けると共に、この事件の原因を調査する』こと。
 やる事は多いが、手分けして少しずつ解決していこうと彼女は言った。
 村で生活を送っているイマージュマスカレイドは、数は多いが戦闘力はそれほど高く無さそうだ。
 また、イマージュマスカレイドに発見されても、すぐに戦闘になることは無い。
 こちらから攻撃を仕掛けるか。或いは、イマージュマスカレイドが阻止する行動を行った場合、戦闘となるようだ。
「おそらく、村人を起こしたり……運び出したり。或いは、入ってはいけない、場所に入ったり……した場合だと、思う」
 実際にイマージュマスカレイドと対面して、感じたことをファルシュは伝える。
 勿論、このイマージュマスカレイドを操る者がいたとしたら、その者が直接命令した場合などは違う反応になるかとは思うが。
「色々……謎は、多い。だが、ヨロシク」
 彼女はそう一言言った。その言葉を発した彼女の瞳は、とても真剣なものだった。


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参加者
煤け野良・ファルシュ(c00321)
万葉凍葬・アレス(c01447)
遥碧・セレスト(c03512)
アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)
星詠みの渡り鳥・ノイシュ(c03964)
春紫苑・フィンランディア(c08370)
潜ませた刃・リッキー(c10802)
皎漣・コヒーレント(c12616)
傀儡女・ニッタ(c19103)
炎章剣士・プライムベリー(c22871)

<リプレイ>

●幻の謎
 揺れるゴンドラに運ばれ、再び訪れることとなったソーニョ村。
 船着き場に着くと、辺りはしんと静まり返り人の影は見えない。
「村人は眠りイマージュが徘徊するなんて不思議な出来事よね」
 アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)は、先に見える村の影を真っ直ぐ見つめつつ口を開く。前回訪れた時に見た光景は、とても不思議なものだった。
 これからの調査のことを考えて、船の上で睡眠をとっていた煤け野良・ファルシュ(c00321)は欠伸を噛み殺した後、抱いているヒュプノスをじっと見る。
 ――夢見る大人達。衰弱する事なく、永遠に眠り続けるなら……それはヒュプノスと同じ力なのか。
 問いかけるような眼差しを星霊へと向ければ、抱かれたふわふわの星霊は首を傾げる。
 道を歩きつつ、春紫苑・フィンランディア(c08370)と炎章剣士・プライムベリー(c22871)の胸に宿る強い想いは、以前共に訪れた仲間のこと。彼等の為にも、次へと繋げることが出来るように。
 村の入り口へと着けば、相も変わらず楽しそうに生活を送るイマージュたちの姿が見えた。
 そんな村の様子に、初めて訪れた万葉凍葬・アレス(c01447)、遥碧・セレスト(c03512)、潜ませた刃・リッキー(c10802)の3人は驚き目を見開く。
「……まさしく夢の国だね」
「いやはや随分ファンシーな村ですなあ」
 不思議な光景を受け入れようとセレストが嘆息を零せば、リッキーは感心したように言葉を紡ぐ。
 2度目となる彼らにとっても、この村の様子はやはり謎なもの。
「絵本……いろんな部分寄せ集めたような世界になってますよね、これ」
 ぽつりと星詠みの渡り鳥・ノイシュ(c03964)が言えば。
「ヌイグルミ様が動いてるっ。可愛いのです」
 きらきらと瞳を輝かせ、傀儡女・ニッタ(c19103)はイマージュたちを見つめている。
「では、早速調査を開始しようか」
 皎漣・コヒーレント(c12616)が涼やかな声色でそう紡げば、9人の仲間は同時に頷いた。

 エンドブレイカーたちは、3班に分かれてそれぞれ調査を行うことにした。
 ファルシュ、アレス、プライムベリーの3人は、まずは村を歩き地図を作ることにする。大した大きさの村では無いので、それほど手間では無いだろう。
 イマージュの様子を見つつ道を歩けば、どのイマージュも呑気に生活を送っている。その様子にプライムベリーは眉にしわを寄せる。
「一々癇に障る……!」
 自身の真剣さとは真逆のイマージュたちの様子に、思わず苛立つ。しかし村の様子は真剣に見ていると――突然、木の枝の髪を持つ妖精のイマージュが、走り出した。
 慌ててアレスはその妖精にチェイスを施し、後を追う為に駆け出す。
「確認したらすぐに戻ります……!」
 そう2人に言い残し、何か手掛かりがあるかとその妖精の後を追うと――妖精は、近くの泉で優雅に水浴びをし始めた。しばらく時間が経つと、何事も無かったかのように泉から出て急ぎ足で村に戻る妖精。アレスは再び後を追ったが、特に変わった行動は見られなかった。
 彼が戻ると、丁度村の調査が終わったところだったようだ。プライムベリーが道具を広げ、直ぐにでも地図を作り出そうとすると――。
(「何してるの何してるの♪ そんなことより遊びましょう♪」)
 近くにいたお姫様のイマージュが寄ってきて、プライムベリーの手を取り踊りへと誘おうとする。
 プライムベリーは眉をしかめ、その手を払ったが……そのイマージュは気にした様子も無くくるくると踊りを続ける。どうやら、村の中で地図を作ることは無理なようだ。
 プライムベリーは溜息を零すと、外に出て作ってくると2人へと告げる。
 アレスとファルシュは頷くと、イマージュたちから何か情報を得られないかと向き合った。
 まずはアレスが、先ほど踊りに誘ってきたお姫様へと近付く。
 近くに咲く花を1輪手に取り、すっとお姫様へと差し出すと――。
「一緒に踊って頂けますか?」
 そう、王子様のように堂々とした振る舞いでお姫様の手を取った。お姫様はにっこり笑顔で一緒にくるくると楽しそうに踊り出す。
 その動きに合わせてアレスは踊り、小さく歌を口ずさむ。
 お姫様が楽しく踊っている姿を見て、警戒されていないことを察すると質問を問い掛けた。
「……何故、この村にいるんですか?」
(「〜♪」)
 お姫様は、まるで聞こえていないかのように歌を口ずさみ踊り続ける。
「これは、誰かの夢なんですか?」
 ……お姫様の様子は変わらない。
 続けて村人がどこにいるかも聞いてみるが、特に変わった様子は無く溜息を零すアレス。
 そのまま共に踊るのを止めてファルシュに近付き、首を振った。
 次はファルシュが、継ぎ接ぎだらけのぬいぐるみが囲う中、赤ん坊を抱き幸せそうに微笑む母親と、その隣に寄り添う王子へと近付いた。
「お前、話できる?」
 ぬいぐるみに話し掛けるも、ぬいぐるみたちは無反応。彼等は身動きせずに、じーっと母親と赤ん坊を見ている。
 ファルシュは無駄だと気付き溜息を吐くと、次は母親と鱗肌の赤ん坊、そして王子へと視線を移す。
 じっと……下から上へと視線を移し、様子を見る。
「あんたら、親子?」
 問い掛けをするが、イマージュたちは答えない。
 続けて名前、大きくなったら何になるかを問うも、イマージュの様子は全く変わらない。
 唯々、幸せそうに微笑んでいるだけだった。

●家と名の謎
 セレスト、ファイナ、リッキー、ニッタの4人は村の家の中を調査していた。事前準備をしっかりとして来た4人は、他の班と比べて素早く行動を開始することが出来た。
 一つ一つ家の中を見れば、老若男女様々な村人が皆同じように『昏睡』状態となっている。
 人数や状態をメモしながら歩いていると、イマージュマスカレイドたちが邪魔をするようにちょっかいを掛けてきもしたが、姿が見えないところで改めてきちんと情報を記していく。
 しかし、どこの家にも特に変わった様子は無く溜息を零しながら、村の中央に位置するとある民家へと入る4人。けして広くは無い家を歩けば、父親らしき人物が眠っている。
「……この家は、この人だけみたいね」
 他の部屋を見ても他に人影が無いことを確認して、ファイナが口を零せば他の3人も頷く。
「他の家同様、何も無いかもしれませんが、一応確認しましょうか」
 リッキーが家の中を見回しつつ言葉を零せば、皆それぞれ分担して家の中を捜索し始めた。
「家具とかを見る限り、一人暮らしでは無いと思うんだけどね……」
 青い瞳を細めつつ、真剣な眼差しでセレストが家の中を見回す。家具は4人ほど座れるテーブルに大き目なソファー。そして、ベッドは全部で3つある。恐らく3人暮らしだったということが分かる。
「食器を見る限り、2人暮らしっぽいですけどねー」
 ニッタが食器棚を確かめてみるが、中にある食器は2人分と恐らくお客様用だと思われるものが並んでいるだけ。ベッドと数が合わないことに首を傾げるも、昔は3人。最近は2人暮らしになったのかもしれないと、4人は結論を付けた。
「この家が最後よね」
 扉を閉めつつ、ファイナが確認をすればセレストが自分たちの担当の場所はここで最後だと告げる。ならば、後は村の中を歩くイマージュマスカレイドの調査をしようと4人は頷いた。

 ノイシュ、フィンランディア、コヒーレントの3人は、村の西側の地図を確認していると村の外れに墓場を発見した。
「最近亡くなった者がいないか、調査していこうか」
 コヒーレントがそう言えば、2人も頷き立ち並ぶ墓石を見る。何か異常が無いか、墓石に刻まれている名前や没年を確認していく。
「……大体1年に1〜2人くらいの死亡者やろか?」
「そうみたいですね。えっと……一番最近の人は」
 フィンランディアが全ての墓石を見て人数を確認するが、不自然に多く死亡者が出た年などは無いようだ。村全体の人数が100人ほどとすると、1年で1〜2人というのは妥当なところだと思われる。
 そのままノイシュが一番最近に死亡した者の名を見つけ、読み上げる。
「ニュクス。……今から大体、3ヶ月くらい前ですね」
「名前からして、恐らく女性だろうか」
 コヒーレントが言葉を零しつつ墓石を確認するも、残念ながら墓石に性別は刻まれていない。
 彼は溜息を零しつつも、念の為と死者の名前と没年をメモしていく。
「ここは特に異常無いようやな」
 フィンランディアは改めて墓石や周辺を確認するが、特に変わった様子は無い。ただ墓石が並んでいるだけの、普通の墓場だ。
 墓場の調査は終わりにして、3人は村に帰還する。続いて前回村人を発見した家を捜索してみようと言うフィンランディアの意見に賛同し、その家を目指す。
 家の前に着いたところでノイシュが試しに星霊スピカを召喚し、イマージュたちの反応を見るが特に星霊に対して敵対を持つことは無いようだ。皆、変わらずに楽しそうに生活を送っている。
 それではと、星霊バルカンと星霊アクアを召喚して共に何かあるかと探ろうとすれば――。
(「ごそごそ何か、探し物? あんまり荒らしちゃダメなんだ〜」)
 周りを歩いていた猫や兎、犬といった小動物たちが近付いてきて、ノイシュの周りをくるくると回る。そのまま爪や牙をノイシュへと向けてきたので、ノイシュは慌てて探るのを止める。
(「そうそう、荒らしちゃダメダメ」)
 そう言い残すと、動物たちはぴゃーっと辺りに散って行く。どうやら、何か探そうとする行為は『阻止する行為』に含まれるようだ。
 そのまま家の中を探してみるも、特に情報は得られない。フィンランディアの注意していた童話や子供に関わる物も発見することは出来なかった。

●調査の謎
 陽が傾いてきたことを合図に、エンドブレイカーたちは集合場所へと合流した。
 コヒーレントとプライムベリーが作成した地図を合わせる為に、イマージュたちの妨害がされない村の外へと移動しそこで野営の準備を行う。
 ファイナやフィンランディア、リッキーが用意してきた道具で火を起こし、食事の用意をする。
 ニッタやノイシュも野営を手伝う中、情報の書き込まれたメモを見比べつつコヒーレントとプライムベリーは、村人たちの情報の書き込まれた地図を完成させた。
 地図に書き込まれた情報を纏めると、老若男女問わず村人は昏睡状態になっており、寝言や表情から得られる情報は残念ながら皆無だと分かる。
 準備の出来た食事をとりながら、各班の調査結果を報告する流れとなった。
「イマージュたちは、誰かの意思によって、それぞれの役割を演じさせられている……ような気がする」
 まず口を開いたのはファルシュ。イマージュマスカレイドの様子を主に調べていたA班の結果だ。
 共に踊ることは許される。しかし、話し掛けても何の返答も無い。何か邪魔をするような行動をすれば止める。
 それは、自分の意思で行動をしているのではなく、こういう存在であるようにと何者かによって生み出された……。そんな存在であるように映る。
「ただ、このイマージュを生み出した者には『明確な悪意』が感じられないんですよね」
 口元に手を当てつつ、実際にイマージュと共に踊ったアレスが言葉を紡ぐ。
 邪魔する行動を阻止することから、邪魔者を寄せ付けないようにしたいとは考えているようだが、配下のマスカレイドがエンドブレイカーに接触していると言うのに、それを排除するような行動をしてこない。これは、このイマージュを生み出した者の目的が『この村をこの状態にしておく事』ではないかとアレスは続けた。
 村人が昏睡させられている以上、無害とは言えないが『明確な悪意を感じさせない不思議さ』がある……というのが、A班の調査の結果だった。
「次は私たちね。家を一つ一つ探していたら、男性が寝ているちょっと不思議な家を見つけたわ」
 そこは、3人暮らしであったにも関わらず2人分の生活の跡しか見られなかった。しかも、人の影は男性しか見つけられなかったので疑問に残ったのだとファイナが語る。
 続いてリッキーが、イマージュマスカレイドは村人を起こそうとする。何かを探そうと調査や捜索をする。そして、そのイマージュマスカレイドが嫌がることをすると、攻撃を行うようだと添える。
「具体的に言いますと、母親の前で騒いだら怒られましたぜ」
 それは抱いている子供が騒がれるのを嫌う為だろう。イマージュの元となった者の、嫌がることは嫌ということなのだろうと、結論を付けた。
「村の外に何か建造物が無いか探しましたけど、何も見つかりませんでした」
 ニッタが続き報告を入れると、後のイマージュマスカレイドに関する調査はA班と大差無いと、セレストが言った。
「最後は俺たちやな」
 フィンランディアが口を開けば、残る2名が頷く。
「村の外れに墓地があったのだけど、死者の数は異常無し。一番最近亡くなった者をメモして来たよ」
 コヒーレントが続き、メモを開く。
「名前はニュクス。約3ヶ月ほど前に亡くなっているということだけ、分かったよ」
 恐らく女性だと思うけど……と口を添える。
 他の情報は、2班と大差無いとノイシュが口を開いた。
 3つの班の情報を纏めてみて、いくつか新しい情報を得ることは出来、前回の探索時に得られた情報の裏付けを得ることは出来た。しかし、『原因に繋がるような情報』は得られなかったことをエンドブレイカーたちは把握する。
 ひとつ溜息を吐き翌朝イマージュたちに戦いを挑むことに決め、それぞれ休息につくことにした。

 ファルシュ、ファイナ、ノイシュ、コヒーレント、プライムベリーは夜通し起きて、周囲の警戒とイマージュの観察を行うことになっている。
「ありがとう」
 イマージュの様子を見て来ると、村に向かうファルシュとファイナ。そして、その場に座りつつも辺りを警戒してくれるメンバーにフィンランディアは笑みを浮かべつつ礼を言った。
 水や食料を用意して、せめてもの礼をと言えば……皆大丈夫だと笑みを返す。
 ふりふりの可愛らしナイトキャップを被ったニッタは、アレスと共に先にお休みと笑顔を浮かべる。
 インソムニアを持たない者は交代で眠り、明日に備えようと――そう確認をした後で。

●夢の謎
 ふわふわと淡いピンクの雲のようなものに囲まれた空間。
 自分の足元に地面は無く、宙に浮いているのか、何かの上に立っているのか。
 それすらも分からない不思議な空間。
「ここは……? 私の夢の世界でしょうか」
 辺りをきょろきょろと見つつ、ニッタは首を傾げる。自分はさっき眠りについたはず。そしてこの不思議な空間は何だろうと思っていると――。
「……あなたたちは、誰?」
 後ろから不意に声を掛けられた。慌てて振り返ると、そこには長い金の髪を緩く三つ編みにし、ピンクの寝間着に身を包んだ少女が立っていた。
 その少女は虚ろな紺碧の瞳をニッタへと向けると、口を開く。
「私の夢の中に、なにしにきたの?」
 見知らぬ少女の言葉に、ニッタは驚いた。しかし、彼女は首を振り会話をしようと試みる。
「私の名前は、ニッタです。ここは私の夢のはずです。夢に来たのはあなたでは?」
 自己紹介をしつつ角が立たないように。そう心掛けつつニッタは口を開くが、少女は友好的に話そうというそぶりは見せない。首を振ると……。
「この村は、私の夢。だから、夢に来たのはあなたたち」
「夢って、あのイマージュマスカレイドのことですか? あれは悪いものだから、倒さなくてはいけません。明日には、私たちが村から追い払います」
 ニッタは真っ直ぐ少女を見つつ言葉を紡ぐと、少女はそう……と瞳を伏せる。
「わかった……。あなたたちは私の夢を壊す敵ね……。そうであるなら……」

「え……?」
 はっとニッタの視界に映ったのは、青い空。
 何度か交代で眠っている間に、夜が明けて朝になっていたらしい。
 今の少女との会話は……夢だろうか。そう首を傾げつつも、仲間におはようと声を掛ければ、皆不思議な顔をしている。
「どうかしました?」
「……夢の中で、不思議な女の子と会話をしたんだけど」
 セレストが説明をすると、ニッタも全く同じ夢を見たと声を上げる。
 眠りに落ちた者全員が、全く同じ夢を見て、全く同じ少女と会話をした。
 ……これは、何かあるのかもしれない。
 しかし、いくら考えても夢の中の出来事。とりあえずは村に行き、イマージュマスカレイドの撃破という目的を果たしてから考えようと、一同は考えを纏めた。

 皆で野営の後片付けをし、武器を手にして村へと戻る。
 夜間のイマージュマスカレイドの様子を観察していた者に聞けば、普通に生活を行っているだけだったと口を揃えて言った。
 姿が動物や人型のものは眠りにつくような動作を見せたが、別に眠っているわけでは無さそうだった。ただ……生活を送るという『おままごと』を行っている。そう見えた、とのこと。
 特に追加情報が無かったことに溜息を零しつつ、エンドブレイカーたちは村の入り口へ辿り着いた。
 視線を村の中へとやるが……。
 ――あんなにも村のいたるところで、楽しそうに生活していたイマージュは消えていた。
 立って歩く動物。空を舞う不思議な鳥。お姫様に妖精。継ぎ接ぎのぬいぐるみ。母子と王子様。
 自分の村であるかのように、闊歩していたイマージュの姿は消え失せ、そこは何もない普通の村のようになっていた。
「……イマージュは、どこにいったんだ?」
 プライムベリーがぽつりと言葉を零せば、皆慌てて村中を捜索することにする。
 それほど広い村では無い。直ぐに捜索も終わり一同は集まるが、どこにもイマージュの姿は見えないと皆一様に首を振るう。
 イマージュマスカレイドの撃破をしようと思い村に訪れれば、その姿が消えていた。
 未だ昏睡している村人を起こそうと、全員で呼び掛けて回るも誰一人目を覚ますことは無い。
 途方に暮れたエンドブレイカーたちは、一先ず帰還して最寄りの町に連絡を入れ、対処をして貰うことに決める。
 眠りに落ちた者たちが見た夢がなんだったのか。そんな疑問を残しつつ――。



マスター:公塚杏 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/06/28
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