ステータス画面

異形が照らす、遺跡を照らす

<オープニング>

 蝶番が外れ、傾いた豪奢な扉が目の前に現われた。ここも壊れていやがる。ビートは遺跡に入ってからずっと、違和感がぬぐえないでいた。
 先ほどは、壊された罠を見つけた。それも引っかかった上で無理矢理引きはがしたような、そんな状態の罠。およそ人間がした所行とは思えない。
(「バケモノでも潜んでいやがるか」)
 だが、人間が潜り込んだのではないのなら、宝物が残っていることに期待が持てる。そう言う意味では、好ましい。
「何考えてるの、ビート? 中に入ろうよ」
「ルイ、トレジャーハンティングに大事なのは慎重さだ」
 待ちわびて急かしてくる相棒の女をなだめた。
「大丈夫、普通のモンスターならわたしがやっつけちゃうから」
 そりゃ、お前の方が強いのはわかっちゃいるが。その言葉は飲み込んだ。またからかわれるだけだ。
「わかった、そんときゃ頼む」
 そっと扉をくぐると、すっと視界が広がった。広めの部屋になっているようだ。部屋の中央にはごく浅い泉が掘られ、その中央に腰程までの高さの台座が据え付けられている。今、台座はほのかに照らされ、乗せられている宝箱が暗い部屋に浮き上がっている。……照らされている?
「ビート、宝箱だよ!」
「馬鹿! 遺跡の中に灯りがあるっておかしいだろ!」
 得物のトンファーを引き抜いた。おお、と感心した風のルイも大剣を身構える。
 間髪入れず、何者かが襲いかかってきた。今までは台座に隠れていたようだ。首から下は、東方風というのだろうか。見慣れない衣服を纏っている。
 しかし、そんなものは些事に過ぎない。首の上に乗っかっている巨大なアンコウに比べれば。その頭の先には、煌々と光るランタンがぶら下がっている。先ほどの灯りはこれか!
「ちいっ!」
 大きな口を開いて頭を齧り取ろうとしてきた一撃を、ビートはすんでの所でかわした。代わりに肩を食いちぎられる。
「ビート!」
 ルイが大剣をかざし割り込んだ。遮二無二振るうが、一撃二撃当てたところで怪物はけろりとしている。
 こいつは並のモンスターじゃない。もっと慎重になるべきだった。そうビートが後悔したときには、全てが遅すぎた――。

「アクエリオの地下にある、広大な地底湖。その水位が下がって、その湖底にあった遺跡が次々と見つかっているという話がありますね。
 その遺跡に潜り込んだハンターが探索中、見慣れないマスカレイドに殺されるというエンディングが確認されました。最近、頻発しているようです」
 夢追いの星霊術士・リチャード(cn0043)は、紅茶を一口含んで喉を湿らせ続ける。
「皆さんにはマスカレイドの討伐をお願いしたい」
 今回の遺跡はもともと、水にまつわる何かだったのかも知れないという。そこかしこに水路や、泉のようなものが形作られている。
 その最奥。浅い泉のなかに作られた台座上に、宝箱が安置されている部屋がある。そのなかにアンコウの頭部を持つ、見慣れないマスカレイドが潜んでいる。
 マスカレイドの攻撃方法はただ一つ。その大きな口を開き、噛みついて来るのみ。しかし、その単純な一撃が恐ろしい。相手から力を吸い取り、さらに血に酔い一層奮い立つこともあるようだ。
 さらに、ツチノコのような姿をしたマスカレイドを5体呼び出す。円筒のような円い口で噛みついてくる相手だ。こいつらもまた、力を吸い取るという。
「謎のマスカレイドを無事に倒すことが出来たら、その報償として部屋にある宝物は頂いてしまっても構わないでしょう。こういうものは先に発見した人のものですからね。被害者となるかもしれなかった、ビートくんとルイくんも文句は言えないはず。
 そうそう、今回は僕も一緒に行かせてもらおうと思います。いやぁ、こういっては不謹慎かもしれませんが、わくわくしますね! 宝物を探しに遺跡に潜るなんて、あこがれたシチュエーションですよ」
 そう言って笑うリチャードの瞳は、子供のように輝いていた。


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参加者
火焔鍵盤・クレイ(c03163)
笑顔の戦士・リュウ(c03200)
春風と舞うアネモネの花・ルーウェン(c05377)
漆黒の・クシィ(c07777)
太刀の魔想紋章士・リナリア(c11514)
紅き閃光・リゼット(c12222)
魔鍵の星霊術士・アルストロメリア(c15869)
閃迅・メネア(c17157)
流浪の紅蓮・レン(c22646)

NPC:夢追いの星霊術士・リチャード(cn0043)

<リプレイ>

●冒険心をたぎらせて
 紅き閃光・リゼット(c12222)は、手にした灯りで道行く先を照らしながら、遺跡の通路をゆっくりと進んでいた。水に浸かっていただろう遺構は、所々浸食されている。
(「焦らずに、慎重に……」)
 夢追いの星霊術士・リチャード(cn0043)の見たエンディングでは、ハンターもそんなことを言っていたというし、実際その通りだと思う。
 閃迅・メネア(c17157)もまた、先を焦らずに歩を進める。
 潜り込んだマスカレイドにほとんどが破壊されているとはいえ、万一のこともある。破壊された罠だって、危険が残っているかもしれない。用心するに越したことはない。
「罠の残骸がありますから、気をつけてくださいな」
 さっそく横手に見つけた木ぎれにランタンの光を浴びせ、仲間たちに注意を促す。流浪の紅蓮・レン(c22646)は、残骸を見て鼻で笑った。
「マスカレイドを相手取るのは面倒だが、通り道の罠を壊してくれたことには感謝してやっても良いな」

 コツン。
 曰くありげな模様だったけれど、何でもないようだ。
 漆黒の・クシィ(c07777)は、床を叩いた棍を引っ込めて一息つく。緊張が解けて、少し会話でもしようという気になり、
「リチャードは遺跡の宝探しに興味があるんだよね。僕も遺跡とかを探索することは純粋に楽しくて好きさ。もうこれで3度目になるくらいだもの」
 と、リチャードを見上げて言った。
「それは羨ましい。ぜひ武勇伝を聞かせてくださいね。いや、まずはこの遺跡を攻略することが先ですか」
「そうよ、リチャードさん。マスカレイドを倒し終えたら、憧れの宝探しが待っているんですからね。さぁ、張り切って行くわよ!」
 微笑むリチャードの肩を、春風と舞うアネモネの花・ルーウェン(c05377)が叩いて明るく笑う。宝探しも楽しみだが、この風情ある遺跡にも、そして奥で待ち構えているという異国風の怪物にも好奇心が刺激される。
 そう、仕事とはいえ、楽しんで悪い道理はない。
「私も、なんだかわくわくしてます。マスカレイドは討伐しなければならないですけれど、ちょっとくらい冒険気分に浸ってもいいですよね」
 太刀の魔想紋章士・リナリア(c11514)は、さらさらと紙にペンを走らせながら、視線を上げずに応えた。片手に持った紙束に遺跡の地図を書き付けているのだ。几帳面に書かれた地図は、とてもわかりやすい。
 床に刻まれていた文様をしげしげと眺めていた、火焔鍵盤・クレイ(c03163)も、
「今は僕達が遺跡ハンターだからね」
 と応じる。けれど、その興味は宝物よりも、もっぱら遺跡自体に向いていた。なぜ突然地底湖の水位が下がったのか。その原因を示す何かがあるかもしれない、そう期待もしている。

 遺跡の通路をしばらく歩き、あまり代わり映えのしない景色にも若干飽きてきたころ。笑顔の戦士・リュウ(c03200)は、ふと疑問に思っていたことを魔鍵の星霊術士・アルストロメリア(c15869)に尋ねた。
「なぁ、入り口でリップを描いてたけど、何を吹き込んでたんだ?」
「……ああ、あれ? この先に入っても時間の無駄ってね」
 ちらっ、とだけ視線を向け、アルストロメリアは素っ気なく答える。
「止まって。あの扉がそうじゃない?」
 そのとき、クシィが一行を押しとどめた。傾いた扉が行く手を塞いでいる。
 リゼットは足音を忍ばせて、そっと扉に近づいた。隙間から扉の先を覗くと、部屋の中央にある浅い泉と、その中に立つ台座がぼんやりとした灯りに照らし出されているのが見えた。
 リゼットは仲間たちの方へと向き直り、小さく言葉を発した。
「マスカレイドがいます。準備をしてください」

●泉の間
「人外の化生とはいえ、一応通告しておきます。『棘』の力を捨て、害を為すことなく暮らしなさい」
 部屋のなかにポワッと光る灯り付近に、メネアは警告の言葉を発した。もとより、マスカレイドが聞き入れるとは思ってはいないけれど。
 相手が近寄ってこないことに業を煮やしたか、異形は台座の影からそっと姿を見せた。
 ぬらりと光る、魚の鱗。アンコウの頭から釣り下がったランタンは青白い光を発している。さらにその背後には、ツチノコ風のマスカレイドが5体。水の飛沫をはね飛ばし、のたうつように浅い泉から現われた。
「言葉をかけても無駄よ。先に行くわ」
 両手に1本ずつの槍を抱え、ルーウェンが真っ先に飛び出した。異形の纏う衣装は、異国風情あふれる着物だ。興味は引かれるけれどーー、
「セイッ!」
 全ては倒してからの話。鋭い呼気とともに、しなる槍を突き出した。
「足元に気をつけて。泉の中はきっと滑るよ」
 仲間たちに注意を促しながら、クレイはヒュプノスを呼び出す。宙を駆けるヒュプノスの緩やかなステップ、そしてツチノコの滑る鱗を優しく包む羊毛が、前に出てこようとするツチノコの出先を挫く。
 アンコウは目の前に現われたルーウェンへと、大きな口を開いて噛みつきかかった。かろうじて真横に跳んで避けるルーウェンを、アンコウの視線が追う。
「十分気をつけるさ」
 クシィが地を蹴った。棍をしごきながら、アンコウに迫る。揺れるランタンが目印。自ら灯りを掲げてくれるとは、ありがたい限りだ。
「さぁ、相手してあげる」
 だらしなく開いた顎先を、跳ね上げた棍の先で叩き閉じるように打つ。
「聞き入れて下さらないなら、仕方ありません」
 メネアは右手を太刀の柄に掛け、目を細めた。腰を捻り、瞬間的に力を溜める。鞘の中を刃に滑らせながら、身体は空へ。
「『棘』の循環を防ぐため、今この場で討たせていただきます」
 いいざま、抜きはなった刃は稲妻と化した闘気をその身に帯びている。目前には跳ね上がったアンコウの頭部。がら空きの胸へ向けて袈裟懸けに刃を走らせる。
 敵の身体が稲妻に痺れ震えるのが、リゼットにもわかった。ならば、狙うべきは。
「テイル、ツチノコの気を引いて、仲間をサポートして」
 可憐に舞う妖精が、ツチノコの視界を塞ぐ。すかさず、リチャードが放つ冬の嵐が敵を襲った。
「偉いわ、テイル」
 戻ってきた妖精を短くねぎらう。

 ツチノコたちは、目の前に現われ親分に襲いかかる、ルーウェン、クシィ、メネアたちに気を引かれているようだ。
(「あまり頭は良くないな」)
 アルストロメリアは冷静にそう断じ、魔道書を広げ力を込めた。
「……毒の雲よ、辺りを包め」
 小さく言葉を発すると、魔道書から緑の毒霧が湧き起こり、泉の辺りへと広がっていく。ツチノコを蝕む毒は、致死の毒。1体が痙攣しながら倒れ込むのが見えた。
「行くぞ、ダークソウル!」
 続いてリュウが、愛剣を引き抜きながらツチノコたちのただ中へと踊り込んでいく。踏み込んだ足を軸にして、アイスレイピアを振るう姿はさながら竜巻の如く。すれ違った敵は無残に切り刻まれる。
「ゼペット老の奇術、存分に堪能してください」
 リナリアが宙に描き出す紋章は、まさにびっくり箱。何が飛び出すか予想がつかない。今このときは、撃ち出されたステッキがツチノコの頭に当たって跳ね、鳩の群れがクチバシを尖らせて襲いかかった。
 ご愁傷様。なぎ払われていくツチノコを見て、レンは唇の端を曲げる。それから、自らが狙うアンコウへと視線を移した。
「……くたばれ」
 素っ気ないつぶやきとともに、魔道書から不可視の衝撃を放つ。狙い違わず、アンコウの身体が傾ぐのを見て、満足感を覚えた。

●青白い灯が消えるとき
 傷を与えた相手の力を吸い取る敵たちは、手番を渡すと体力を回復し存外にしつこい。けれど、麻痺を与えてその力を半ば封じながら、敵を追い詰めていく。

「あ、用意していない……」
 アンコウに襲われたメネアを見て妖精を送りだそうとしたが、準備不足に気付き、リゼットは臍を噛んだ。
「大丈夫、任せてください」
 かわりに戦場をリチャードが呼び出したスピカが駆ける。クレイが呼び出したスピカも飛んでいく。
(「仲間にも戦闘詠唱術が使えればいいのにな」)
 それを見たレンは、ふとそう思った。だが、出来ないことを考えても仕方がない。自分に出来ることをするだけだ。魔道書を掲げ、再び衝撃を撃ち出した。

 傷を負ったメネアを庇うように、クシィがアンコウへと肉薄していった。
「さあ、僕が相手だ」
 身体の前面で振り回す棍で、嵐の如く敵を翻弄する。
 メネアはスピカに癒されるとともに、力を分け与えられるのを感じた。目線だけで感謝を伝えつつ、虚空から邪剣の群れを呼び出す。
「『棘』を滅ぼす為の刃たち、存分に味わってくださいな」
 言葉とともに、次々と撃ち出される種々の邪剣たちが、ツチノコの群れに降りそそぐ。
「再度、行きますよ」
 リナリアは、寂しげに微笑みを浮かべた。狙ったツチノコは深い傷に喘いでいる。かすかな哀れみを感じながら、紋章を描いていく。
「く、なかなかやるね!」
 リュウは噛みついてきたツチノコを振り払いながら、不敵に笑った。追い詰められれば、追い詰められるほど、身体の底から力が湧き起こる気がする。
「一気に行くぞ! 嵐月!」
 放つ技はテンペストスピン。お返しとばかりに、ツチノコの1体を地に沈めた。

 残すところは、アンコウとツチノコが2体ばかり。
 対して、アルストロメリアには敵を追い詰めるだけの準備が十分に整っている。身に積み重なった力が、鼓動を早める。今こそ、力を解き放つとき。
「ヒュプノス、行って」
 アルストロメリアがかけた言葉は、いつも通り素っ気なかったけれど。
 大いなる力を託されたヒュプノスは戦場中を駆け回り、マスカレイドたちに睡魔を分け隔て無く与えていく。最後に残った2体のツチノコは、そのまま永久の眠りに誘われた。
 それだけではない。ランタンをつり下げたアンコウも、身体を支える足が覚束ない。
「畳みかけるわよ!」
 ルーウェンもまた、あふれ出る力を槍を持つ両の手に込め、力を乗せた一撃でマスカレイドを狙った。
 手にした槍に重さを感じない。今なら、どれほどでも技を繰り出せそうだ。全能感に身を任せるまま縦横無尽に振るわれる槍が、アンコウの巨大な頭部に襲いかかり、激しく揺さぶる。
「これでどう?」
 手応えは十分にあったけれど、まだ、マスカレイドはその力を失ってはいない。
「もう終わりにしてしまうんだ、ヒュプノス!」
 クレイはすかさずヒュプノスを呼び出して、アンコウに残されたわずかな力を削り取る。
 そして最後を飾ったのは、リゼットが送り出した妖精だ。
「テイル、力の限りに敵を惑わしてしまいなさい」
 妖精の踊りは、力の尽きかけたマスカレイドを魅了し追い込んだ。敵の目から力が抜け、トスン、とあっけなく倒れ込む。
 一仕事終えた妖精は、自らがトドメをさしたアンコウのランタンに胸を張って座る。するとどうだろう、ほのかに灯っていた青白い灯が、すぅっとかき消えていった。

「やぁ、無事終わりましたね!」
 リチャードのテンションが、らしくないほど無駄に高い。皆の様子をうかがいに来たルーウェンと、自らハイタッチを交したほど。よほど宝探しが楽しみだったらしい。
「……罠があるかも知れないから、気をつけて」
 アルストロメリアが無表情に呟いた。

●宝物と2人組
「しかし、こいつ宝も持ち帰らずに、何をやっていたんだろうな」
 異形の遺骸を見下ろして、クシィは小首を傾げた。たまたま鉢合わせただけか、ハンターを待ち伏せしていたのか。それとも、何者かがここに現われるとでもいうのか。
 考えても答えは出ない。頭を振って思考を止める。視線を上げると、部屋を探索していた仲間たちが集まりつつあった。
「まぁ、様式美と言うことで一応調べてみたけど、トラップはないな」
 探索から戻ってきたリュウは、両手を広げ軽く言う。
「テイルと調べましたが、その台座以外にはとくに何も見あたりませんね」
 部屋の隅を探っていたリゼットも、妖精とともに戻ってきた。
 とすれば、やはり本命どおり、部屋の中心に据え付けられた台座上の宝箱の中に、宝物は眠っているのだろう。
「では、リナリアくん。開けてみてください」
 先ほどくじ引きをして、宝物はリナリアが所有することになっていた。リチャードはリナリアの背中をそっと押す。
「はい。……緊張しますね」
 泉の中に足を踏み入れ宝箱を目前にしたリナリアは、ごくりと唾を飲み込んだ。
「小さいときに読んだお話みたいだわ。いったい、どんな宝物かしら?」
 ルーウェンは蓋が開いたときによく見えるよう、そっと台座の傍に寄った。
 皆の視線が痛いほど集中する中、リナリアはそっと蓋を持ち上げた。かすかに軋む音がして、箱の中身が徐々に明らかになっていく。
 横から、アルストロメリアが灯りを差し出した。照らし出されたのは、無骨なフォルムの品物。
「これが、宝?」
 好奇心に目を輝かせ、アルストロメリアがよく見ようと顔を近づけた。リナリアは皆がよく見えるように、箱の中から宝物を取りだして、高く捧げ持つと、自然に周囲に輪が出来る。
「これは篭手かしら。なんだかとても刺々しいけれど」
「もとは蠍、かな。巨獣の外殻をそのまま利用しているんだね」
 おそるおそる触りながら、メネアが感想を漏らす。クレイは自分の記憶を探りながら、その材質を推量しているようだ。
「おめでとう」
 そして、ルーウェンが嬉しそうに、心からとわかる祝福の言葉をかけてくれた。リナリアは、はにかんで頷き、それに応えた。

 リナリアが描いた地図を見ながら出口を目指す帰り道。通路の途中で、ばったり男女の二人組と出会った。
(「……忠告は無駄になったね」)
 アルストロメリアはとくに感慨もなく、そう思った。
「ああ、同業者か。残念だが、ここの宝はもらったよ」
 レンは咥え煙草を燻らせて、皮肉げに言葉を投げかける。
「ほらぁ、入り口で時間の無駄だって言われた通りじゃない!」
「……うるせぇ」
 入り口に残された伝言を信じず、ここまでやって来たのはビートのようだ。ルイはそれを責め立て、ビートは忌々しげな表情で目を逸らした。
「二人が一緒に無事でいられるのが一番の宝なんだから、無理しないようにね」
 そんな二人にリュウが笑いかける。居心地の悪そうなビートと、ぺこりと頭を下げるルイ。ほら次に行こう、とルイがビートを引っ立てて足早に去っていった。
「あの調子だと、またどこかで会うかもね」
 どことなく呆れた調子で、クシィが呟く。でも、それもまた、悪くない。



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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2011/07/18
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  • カッコいい1 
冒険結果:成功!
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