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華麗なるドレスアップ

<オープニング>

 とある村。夜道を、一人の女性が歩いている。
「ふう、すっかり遅くなっちゃったわ」
 女性は、溜息をついて立ち止まる。
 こんなに遅くなるつもりではなかったのだが……常々思い通りにはいかないものだ。
 特に最近、村の女の子が行方不明になったらしいという話も聞いたことがある。
 迷子か誘拐か分からないが……物騒であることに変わりはない。
 おまけに近頃は、何やら不思議な化け物が出るという噂すらあるくらいだ。
「……やっぱり、マークと一緒に帰った方がよかったのかしら」
 そう呟く女性の前に、宝石で飾られた可愛らしくも豪華な姿見が現れる。
「え?」
 意味が分からなかった。
 目の前に現れた少女趣味な姿見の中には、1人の少女が映り込んでいるのだ。
「な、なに? なんなの……」
 混乱する女性に、鏡の中の少女は笑みを浮かべて笑いかける。
「さあ、みんな。村の皆を綺麗にしてあげて!」
 少女の言葉と同時に、鏡の中からドレスや宝石があふれ出てくる。
 それらは皆、細長い銀色の手足がついていて。
「はーい」
「じゃあ、まずはこの人から飾りまーっす」
 宝石が言うと、天高く無数の宝石を打ち上げて。
 女性の頭上に降り注いだ宝石は、声を上げる間も無く女性を撃ち抜いた。
「わあ、宝石いっぱいできれいー」
「次は私、私がやります!」
「うん皆。村の皆を綺麗にしてあげてね!」
 この夜、一つの村が滅びた。
 凄惨な姿となった、物言わぬ村人達だけを残して。
「とある村の村人が、イマージュマスカレイドの群れによって皆殺しにされてしまうエンディングを見たんです」
 青の城塞騎士・アレス(cn0034)はそう言うと、集まったエンドブレイカー達の顔を見回した。
 これは、葬送燐火・アリシア(c22639)が予見していた、『夢姫』レムによる、新たな災いであるようだ。
 村人の多くは、殺されるまで眠りから覚める事は無く、不思議な鏡から現れたイマージュマスカレイドによって、次々と殺されてしまうのだという。
「こんな悲劇を見逃すわけにはいきません。そこで皆さんには、この悲劇が発生する前に村に行き、イマージュマスカレイドから村を守って欲しいんです」
 村の名は、アルデ村。
 鏡が現れるのは、村の中央広場へと続く広い道。
 その広場の丁度手前の辺りだとアレスは説明する。
「そこを歩く被害者になってしまう可能性のある女性……アリサさんという方ですが、この人は村の入り口から広場を抜けて、家に帰る途中みたいです」
 この女性も、上手く足止めしたり遠ざけたりする必要があるだろう。
「次に、現れるイマージュマスカレイドですが……ドレスと宝石の2タイプがいるみたいです」
 ドレスに細長い銀色の手足が生えたタイプと、宝石に細長い銀色の手足が生えたタイプ。
 ドレスは、可愛いリボンのようなものを持ち、鞭に似た攻撃をしてくるという。
 宝石は、色とりどりの宝石を使って弓に似た攻撃をしてくるようだ。
「形勢が不利だと感じたら、イマージュマスカレイド達は鏡の中に逃げ込もうとするようです」
 鏡は攻撃をしてくる事は無いが、鏡に対しても攻撃を与える事はできないので、できるだけ逃がさないようにイマージュマスカレイドを撃破していくのが重要だろう。
 イマージュマスカレイドを全て倒すか、残る敵が全て鏡の中に逃げ込んだら、鏡はかき消えてしまうようだ。
「鏡を撃破する方法は不明ですが……鏡から出てくるマスカレイドさえ倒してしまえば、すぐに事件をもう一度起こす事は出来ないでしょうから、できるだけ多くのイマージュを倒せるように、頑張ってください」


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参加者
アイアムアスリーピング・ディー(c00031)
夢見る星使い・リィザ(c01061)
猛る烈風・アヤセ(c01136)
放浪者・カノン(c01644)
黒紫の女騎士・ジルシャー(c02832)
風の眠る場所・シルヴィ(c05086)
盾の群竜士・リョウコ(c12565)
魔鍵の星霊術士・アルストロメリア(c15869)
彼岸を渡る漆黒の大鎌・ジェレス(c17015)
妖精魔術士・ウル(c21216)

<リプレイ>

●夜道を行く
「綺麗な宝石に可愛いドレスは女の子にはあ憧れだと思うけど死に化粧じゃ可愛さも半減だなー」
 夢見る星使い・リィザ(c01061)のランタンシールドに照らされた道を歩きながら、アイアムアスリーピング・ディー(c00031)は間延びした口調で呟く。
 どことなく寝ぼけているようにも聞こえるディーの声だが、これが素であるようだ。
「暗いからジルシャ―ちゃんも気をつけてね?」
「ええ、問題ありませんわ」
 その言葉に、黒紫の女騎士・ジルシャー(c02832)も頷く。
 ジルシャーの格好は警備隊のようなものを連想させるものであるが……これは偶然ではなく作戦の一種だ。
「うーん、どうしてこんなイマージュが現れたんでしょう〜?」
 風の眠る場所・シルヴィ(c05086)は、ぽややんとした口調でそんな疑問を呈する。
「恐らくは鏡の中の女の子が原因なんでしょうけどぉ、まずは目の前の危険を何とかしなくちゃですねぇ〜」
 シルヴィの口調はディーを何処となく連想させるが……案外、似た者同士なのかもしれない。
「そろそろ目標地点です。備えなければいけませんね」
「そうですね。ジルシャーさん、お願いします」
 妖精魔術士・ウル(c21216)と彼岸を渡る漆黒の大鎌・ジェレス(c17015)は、頷きあう。
 そう、そろそろ被害者となってしまう予定の女性……アリサの通る道に差し掛かる。
「分かりました。任せてください」
 落ち着く為に一度深呼吸をすると、ジェレスは広場へと続く広い道へと出る。
「ふう、すっかり遅くなっちゃ……ひゃっ!?」
 そこで、丁度ジルシャーはアリサと出くわした。
 だが、もちろん偶然ではない。
 このポイントで、アリサと出会うように動いていたのだから。
 そして、アリサが正常な判断力を取り戻す前に、ジルシャーは畳み掛ける。
「申し訳ありません。この先の広場で、この時間は化け物や不審人物の目撃が相次いでいます」
 その言葉に、アリサは思い当たる事があるのだろう。曖昧に頷いて。
「迂回をお願いします……私もお送りしますので」
 その言葉にアリサは少し迷った様子を見せるものの、ジルシャーの警備隊風の格好を見て頷く。
 ひょっとすると、同性であったということも彼女の警戒心を緩めたかもしれない。
 何はともあれ……第一段階は成功と言えるだろう。
「……よし、次は俺達の番だね」
「イマージュを追い払ってみんなをたすけるぞー! おー!」
 放浪者・カノン(c01644)に続けるように、盾の群竜士・リョウコ(c12565)が気合を入れる。
 鏡が出てくる予定なのは、このさらに先。
 そこへ向けて、歩を進めて。

●鏡、あらわる
「ここ、ですよね?」
 唇に指をあてて、猛る烈風・アヤセ(c01136)がひとりごちる。
「……間違いない」
 魔鍵の星霊術士・アルストロメリア(c15869)は、それに答えるように夜の闇を見る。
 そこに、揺らぐように。一瞬の後に、一枚の鏡が現れる。
 それは、宝石で彩られた……可愛らしくも豪華な姿見。
 その少女趣味な鏡の中には、1人の少女が映り込んでいて。
「皆。まずはあの人達を綺麗にしてあげて!」
 少女の笑顔と共に、鏡の中から溢れ出てくるモノがある。
 あるいは、可愛いドレス。
 あるいは、綺麗な宝石。
 ただし、ドレスや宝石には金属質な足など生えてはいないのが普通ではあるのだが。
「イマージュ……都市によってやはり形が違う。とはいえ、この性質は厄介。放っておく訳にもいかない」
 それを見て、アルストロメリアは呟く。
 これを放っておけば、村人達は皆殺しにされてしまう。
 そんな理不尽は、見過ごすわけにはいかないのだ。
「どっせーい!」
 速攻で突っ込んでいったリョウコが、一番手近にいた宝石を掴み、力任せに投げ落とす。
 いきなりのリョウコの攻撃に、宝石達は大きくざわめいて。
「綺麗な宝石に可愛いドレスは女の子にはあ憧れだと思うけど死に化粧じゃ可愛さも半減だなー」
 リョウコが突っ込んでいったのが合図となったか。
 ディーが素早く弓を構え、宝石に向かいブレイズアローを仕掛ける。
「女の子なら着飾ってみたいって気持ちはわかりますけどぉ、嫌がる人を着飾ったりぃ、ましてや怪我をさせちゃダメなのですぅ〜」
 続くように、飛翔演舞を宝石へと仕掛けるシルヴィ。
 シルヴィの言葉に、鏡の中の少女は答えない。
 彼女はただ、夢見るような調子でこう告げるのだ。
「楽しみだなあ、みぃんな綺麗になるの。綺麗な宝石、可愛いドレス。きっと皆喜ぶわ」
「はぁーい」
「がんばりまーっす」
 その少女の言葉にドレスが、宝石が答える。
「言ってることは可愛いのに言動と行動のギャップが酷いな」
 それまでとは違うクールな雰囲気を纏ったジェレスが3本の鎖のついた大鎌をじゃらりと鳴らし、虚無から鮫剣や霊魔剣を召喚し。合わせるようにウルがフェアリーストームを発動させる。
「夜に煌めく宝石……。星の様で綺麗かもですけど人を傷つけるなら許せません!」
 リィザは叫び、戦いは激しさを増していく。
 夜の村に、宝石やドレスが舞い踊る。

●血色のダンスパーティー
「わあ、華麗な光景ですね……見てくれだけは」
 アヤセはガントレットブレイドを発動し、大回転しながら宝石を横薙ぎにする。
 本来は、ドレスと宝石人を幸せにするためにある。
 だからこそ、ドレスと宝石が人殺しをするお伽話のような悪夢は、一刻も早く終らせた方がいいと……そんな想いを、秘めながら。
「次は任せて!」
 カノンが多数の敵を巻き込む火炎放射で、宝石達を焼き払おうとする。
 だが、数が多いだけはある。
 蠢く宝石達には勿論表情などない。
 だが、その仮面はまるで醜悪な笑顔のようにも見えて。
「撃ちまぁーす」
「僕も撃ちまーす」
 宝石達が、天高く無数の青い宝石を射出して。リョウコを、アヤセを打ち抜いていく。
「あ、ずるいずるーい」
「私もやりまーす」
 宝石が、ドレスが。総勢20体のイマージュマスカレイド達が、次から次へと攻撃に移る。
「スピカちゃん。お願いします、ね」
 リィザのスピカが、アヤセを癒していく。
 相手の数が多すぎる。
 1体1体の実力はともかく、物量差が大きすぎる。
 とにかく、確実に倒していくしか方法はない。
 シルヴィの飛翔演舞が1体の宝石を地面に叩き伏せ。
「ヒュプノス、行って」
 アルストロメリアのヒュプノスが、ドレスへと襲い掛かる。
「とにかく、少しでも早く数を……!」
 ジェレスがChainScytheOfNightmareを構えなおしながら、叫ぶ。
 一体一体に集中すれば、それは決して難しいことではないはずだ。
「烈火よ、迸れっ!」
 カノンのフレイムスロワーに合わせるように、アヤセのガントレットブレイドが唸る。
「薙ぐは悪意、貫くは意志」
 そこに、誓いのような言葉が聞こえてきて。
「女の魅力は外面を着飾ることでは磨けなくってよ」
 合流したジルシャーのフェアリーストームが発動する。
 彼女がここに来たということは、アリサを無事に自宅に送ることができたようだ。
 そう判断し、リィザは魔道書を構えなおす。
「うわあ、また増えたよ。皆、あの人も綺麗にしてあげなくちゃね!」
「はぁーい」
「勿論でぇす!」
 ドレスが、宝石が。新しく現れたジルシャーへも殺意を向ける。
 これで、全員揃った。
 たとえ数で負けていたとしても。
 負ける気など……しなかった。

●華麗なるドレスアップ
「仕掛ける」
 アルストロメリアのヒュプノスがドレスへと襲い掛かり。
 リィザのストーンカースが、宝石を石化させる。
 宝石やドレスの数は、少しずつ減っていき。
 特に宝石は、すでにその半数以上を減らしていた。
「うわあ、どうしましょう。こいつら、大人しく飾らせてくれないですよー」
「困りましたー。綺麗にできませんよー」
 好き勝手な事を口々に言い合うドレスや宝石達。
 その戦意が下がってきている事は、誰の目にも明らかで。
「砕け散れ!」
 その隙を逃さず、弱った宝石へとアヤセのフルメタルナックルが炸裂する。
 フルメタルアッパーの3連打。
 宝石は耐え切れず砕けて。
「こいつ等、話にならないですよー」
「帰ろう、帰ろう」
 ドレスが、宝石が。身を翻して鏡へと向かっていく。
 隙だらけ。
 まさにそんな言葉が似合う姿。しかし、逃がすわけにはいかない。
 あの背中へ向けて攻撃するのは簡単だ。
 けれど、それで仕留めきれるか自信はない。
 だからこそ、とった作戦はシンプルだった。
「さぁこれからここは行き止まりだ。逃げたくばこの旋風を潜り抜ける事だな」
「逃がしませんわ」
「ここは通しませんよぉ」
 ジェレスが、ジルシャーが、シルヴィが、ウルが。
 鏡の前に立ち塞がる。ジェレスが鏡をチラリと振り返り。
「どうしたの? やっぱり綺麗になりたいんでしょ?」
 そんな事を言う鏡の中の少女を見る。
 どう見ても、ただの鏡だが……この場で壊せるとも思えなかった。
「……心を乱せ。マインドブラスト」
 アルストロメリアのマインドブラストが1体のドレスへと炸裂し、回り込んだ仲間達と挟み込むようにカノンが駆ける。
「お前達を逃がす訳にはいかない!」
 放った残像剣はドレスと宝石を突き刺し……ドレスが、崩れるように消えていく。
 だが、それでもまだ数は多い。
「どけどけー」
 ジェレスの黒旋風が、シルヴィの飛翔演舞が宝石に炸裂し破壊する。
 それでも、全てのイマージュマスカレイドの足を止めるには至らない。
 元より数は多数。逃げの一手に回ったならば、その全てを破壊するのは難しい。
 何体かのドレス達が、次から次へと鏡の中へ飛び込んでいき。
 その瞬間に、鏡は空気の中へと溶けるように消えていく。
 現れた時と同じ……一瞬で。
 カノンはその鏡を見送りながら、思う。
 手掛かりは、得られなかった。
 鏡は何処かへ消え……追うことはできそうにない。
「鏡の女の子が気になるのですよぉ〜。どうして皆さんを飾ろうとしたんでしょうねぇ〜? 」
 そう、それすらも分かってはいない。
 あるいは、単純に皆が綺麗になれば皆幸せとか……その程度だったのかもしれない。
「あー……まぁ、守れたよな」
 ディーは一言、そう呟く。
 こちらの怪我とて、無視できるレベルではない。
 けれども相手には想定していた通りのダメージを与え……その結果、悲劇を防ぐ事はできた。
 ひとまずは、その成果で充分すぎる成果と言えるだろう。
 その喜びを胸に秘め……エンドブレイカー達は、帰路につくのだった。



マスター:相景狭間 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/08/13
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