ステータス画面

蜘蛛の檻

<オープニング>

●遺跡の扉
 アクエリオの地底湖。
 水没していた無数の遺跡に、巨大な金属扉に擬態したマスカレイドが多く集まる一群がある。
 エンドブレイカーたちは、このマスカレイドたちの目的を知るために、協力して探索していた。
「この近くで未探索の遺跡はここと、あそこと……」
「じゃあ、今日は……」
 そんな言葉を交わしながら遺跡をしらみつぶしにしていく。
 日ごとに、探索の仲間には見知った顔も、始めて見る顔もいる。毎日探索に加わる者もいたが、誰もがいつも遺跡に来られるというわけではない。
 だから……1人のエンドブレイカーがこんな呼びかけをしたときにその場にいたものは、幸運と言ってよかったかもしれない。
「おーい、そこの人たち!」
 他に同じように探索していたエンドブレイカーの一団が、話しかけてくる。
 遺跡の1つに金属製の大扉を見つけて、仲間を集めに来た者たちだった。

●遺跡の罠
 情報の通り、大きな金属の扉が遺跡の最深部にあった。
 発見した者たちは、とりあえず部屋の入り口から様子を確認して引き返したらしい。
 周囲に敵の姿はないが、扉が動き出したときに出現する敵がいる可能性はある。
 何人かが扉の前に慎重に近づく。
 残りの者たちは、扉には近づかずに警戒する。
 大きな扉には網の目のようなものが刻まれているようだった。
『蜘蛛の巣みたいだ』
 誰かが、そんな感想を漏らす。
 その感想はある意味で外れてはいなかった。
 扉に近づくと、扉の中央が楕円を2つつなげたような形状で盛り上がる。
 来る、と誰かが叫んだ。
 罠が発動したのはその瞬間のことだった。
 天井から金属の格子が降りてきて、扉の前にいた者と他の場所にいた者を分断する。
 そのまま扉は変形を続けた。
 2つの楕円から8本のラインが扉に走る。
 蜘蛛の脚を思わせる形状……いや、それは正しく蜘蛛の脚であったのだ。
 中央の2つの楕円は蜘蛛の胴体。人間の数倍のサイズを持つ金属蜘蛛が、檻の中央に降り立つ。
 檻の外でもマスカレイドが姿を現していた。
 部屋の四隅と中央付近にある瓦礫の下から金属の子蜘蛛――それでも人間と同じくらいの大きさはあった――が合計5体出現する。
 金属製の親子蜘蛛がいっせいに鋼の糸を吐き出す。
 それが彼らの攻撃であるらしかった。広がる糸はそれぞれ数人を巻き込もうと広がり始める。
 普通の蜘蛛ならば目のついている部分に、いずれもマスカレイドの仮面がついていた。
 子蜘蛛の何体かは、糸で直接絡めとろうとするのではなく、そこらの瓦礫を絡め取って飛ばしてくるつもりであるようだ。
 天井から床までを貫く無数の格子は、人がはい出るほどの隙間は明らかにない。
 どうやら、内外に別れて戦うよりないようだ。
 あるいは力自慢ならば、壊すこともできるかもしれないが……。
 出入りはできなくとも、遠距離への攻撃や回復は格子越しでもできるようだ。ただ、内部にいる者は親蜘蛛の脚が届く範囲から逃げられそうにないのが気がかりだった。
 気を取り直して、エンドブレイカーたちは武器を構える。
 戦意に呼応してか、巨大なマスカレイド蜘蛛の仮面から激しい光線が放たれる。
 それが、開戦の合図だった。


マスターからのコメントを見る
参加者
星呼び・シャルル(c00340)
粉砕の・アマラ(c01414)
虚無と終末を探す者・ルミリア(c02918)
ママに捧ぐセレナーデ・アルフォート(c04063)
超獣武神バルカイザー・バルドゥイン(c04209)
白鴉の牙・シュガード(c09287)
撃ち放たれる好奇心・アーケイシア(c09554)
臥した獣・カーリグ(c13476)
緋炎蒼水・ファニファール(c15723)
戦うメイドさん・ヴィクトリア(c17185)

<リプレイ>

●戦闘開始
 星呼び・シャルル(c00340)が巨大すぎるほど巨大な扉へ向けて、魔鍵を投げる。
 角帽をかぶった少年の足元では、黒猫の星霊がうろうろしている。
(「こんなにいっぱいのゴーレムを一体誰が置いたのでしょうか、謎なのです」)
 考えごとをしている暇はなかった。
 扉から抜け出るようにして出現した蜘蛛型のゴーレムが床へ降りたち、周囲に檻が下りてくる。
 エンドブレイカーたちは全員が入り口側に固まっていて、閉じ込められた者は誰もいなかったが。
 エンドブレイカーたちは仲間に合わせていっせいに攻撃しようとしていたが、マスカレイドの行動は意外に早かった。
 侵入者にすぐ反応できなくては、待ち伏せている意味がない。
 マスカレイドの仮面が白く輝いたかと思うと、白鴉の牙・シュガード(c09287)と超獣武神バルカイザー・バルドゥイン(c04209)の身体を何条もの光が貫く。焼けた傷口が無残な姿をさらしている。
「……いきなりやってくれたな」
 シュガードのくわえていた煙草が危ういところで落ちかける。
 表情は変わらず、口調は冷静そのものだったが、赤い瞳が好戦的にゴーレムをにらみつけた。
「でかい上に素早いたあ、反則だぜ」
 バルドゥインがすねたように言った。
「シュガード様、バルドゥイン様、しっかりなさってください!」
 一撃で高いダメージを受けたバルドゥインの周囲に白く光る魔法円が出現した。
 虚無と終末を探す者・ルミリア(c02918)が描いたヒーリングサークルは、しかしバルドゥインを癒すことはなかった。
 焼きただれた傷口は、癒しの力を用いてもそう簡単には回復できないようだ。
 5体の子蜘蛛ゴーレムが、瓦礫の下からはい出してくる。
「さぁー、いっちょやるかぁー」
 粉砕の・アマラ(c01414)が背負っていた巨大なひょうたんから酒を一口飲む。
 彼女は闘気を吹き出しつつ、部屋の中央にいる敵に向かってひょうたんを振り下ろした。
 遺跡の中に勇壮なコンチェルトが響く。
 ママに捧ぐセレナーデ・アルフォート(c04063)が奏でる協奏曲の第1楽章が、シュガードに立ち上がる力を与える。
 高貴な血筋の出である彼は、遺跡の中にあっても清潔感のある身だしなみを整えていた。
「扉の先に何かある……そんなロマンをちょっとだけ期待したいね」
 大蜘蛛が邪魔で扉の向こうはまだ見えない。そこにあるのが壁でないことを期待したかった。
 バルドゥインの足元から炎が立ち上る。
 大蜘蛛の装甲の上で炎が弾け、金属の8本足が置かれている足場を崩す。
「マスカレイドが時間稼ぎしてるということは奥で力を溜めているか魔王の封印を解こうとでもしているんだろうな」
 炎から少し遅れて、犬のスピリットが部屋の中を駆ける。
「お仕事を頑張ってくるとしよう!!でござるよ」
 血化粧をほどこした少女が放ったものだ。忍装束スピリットが蜘蛛の足の一本に噛み付くのを、撃ち放たれる好奇心・アーケイシア(c09554)は確認し、軽くうなづく。
 臥した獣・カーリグ(c13476)はスピリットに合わせて子蜘蛛に突進した。
 迎撃の構えを取りつつ、巨漢はナイフを突き刺す。
「……ファニファール、頼む!」
「任せるがいい!」
 緋炎蒼水・ファニファール(c15723)のトンファーから、光輪が飛んだ。
 トンファーとハルバードがオーラをまとうと、カーリグの前にいる敵へ輪が直撃する。
 シュガードは奥にいる敵に向かって駆けていく。
 そのシュガードにシャルルが楽園の門を開いて癒そうとするが、傷はなかなか治らない。
 ゴーレムを見て嫌そうな顔をしていた戦うメイドさん・ヴィクトリア(c17185)も、モップ片手にもっとも近い1体に近づいた。
「私、虫嫌いなんです。……その姿である以上、容赦は致しません!」
 金髪のメイドの影が立ち上がった。
 影の魔人が、金属の蜘蛛を踏みつけ、叩きつぶす。けれども、まだ蜘蛛は倒れていない。
 子蜘蛛たちが反撃とばかりに鋼の糸を吐き出す。
 戦いは、これからが本番だった。

●苦戦
 バルドゥインは大きく息を吸い込んだ。
 親蜘蛛に貫かれた傷がまだうずく。そう簡単には治りそうもない。
 ルミリアが回復の技を使ってくれたが、ほとんど効果を発揮していないようだった。
 さらに、子蜘蛛たちが吐き出した鋼の網も身体に絡まり、動きを制限している。
 親蜘蛛の仮面が輝いたかと思うと、バルドゥインの身体を光線が貫いた。
「ぐっ……」
 攻撃を通して伝わってくるのは、ただ殺意のみ。
 ここに来たもののすべてを抹殺するのが、このゴーレムの意思だ。
「そうかいそうかい、面倒くせえなあ……」
 光線によって穴だらけになった体が崩れそうになるのを、どうにか引き止める。
 アマラがひょうたんを振り下ろした。
 集中攻撃を受けている1体は、もうかなり弱っているようだった。
 バルドゥインが口を開くと、炎がわだかまる。
 くじけかけた脚を一歩踏み出し、子蜘蛛へ向けて火山のような激しい炎を吐き出した。
 噴煙の中から放った炎を子蜘蛛は全身で受け止める。
 炎が過ぎ去った後、そこには溶けた鉄くずだけが残っていた。
 カーリグの爪とファニファールのトンファーが次に近い敵に向く。真空刃と光輪の間を、ヴィクトリアが駆けていった。
 1体目の子蜘蛛が倒れる頃、シュガードは部屋の奥にいる子蜘蛛の向こうに回り込む。
 最初に部屋の奥にいた2体は、瓦礫を糸で投げ放って攻撃してきていた。
 先ほどバルドゥインが倒れかけたのも、その援護があってのことだ。
「やはり手応えがある敵だな。気を抜かないようにしないと」
 初撃で大きく傷ついた身体をアルフォートが治してくれようとしていた。ただ、焼ききられた傷口はなかなか治らなかったが。
 漆黒一色のハルバードを、シュガードは横薙ぎにフルスイングする。
 衝撃を受けた子蜘蛛が別の子蜘蛛の近くに吹き飛んでいく。これでしばらくは、親蜘蛛への援護は出来ないはずだ。
 子蜘蛛の反撃が来たのはそのときだった。瓦礫がシュガードの頭部をしたたかに打つ。
 さらに、突出しているシュガードに、親蜘蛛の仮面が向けられた。
 輝きを放つ仮面から光線が一閃し、シュガードは床に叩きつけられていた。
 仲間が倒れたのを見て、手裏剣を構えたアーケイシアが歯噛みする。
 巨獣クラスの敵ということでわかってはいたが、やはり容易ならぬ相手だ。
 同じくゴーレム探索をしているはずの知り合いについて、彼女は一瞬思いをはせた。2歳年下の彼も苦戦しているのだろうか。
「負けないように頑張るでござるよ」
 手裏剣を乱れ打つ。
 それは親蜘蛛と、奥にいたもう1体の子蜘蛛の影を縫いとめていた。
 シュガードを倒した大蜘蛛の仮面が、今度はアーケイシアを見た。犬のスピリットと手裏剣で動きを鈍らせた彼女を、敵は脅威と判断したようだ。
 大蜘蛛の攻撃力は、予想を超えて高かった。
 ルミリアはひっきりなしに回復する羽目に陥っている。回復が阻害されることがあるのが、さらに効率を悪化させていた。
「ここのトラップやゴーレムさんたちは、数千年以上もここを守り続けてきたのですねぇ……」
 それに値するだけの性能があることを少女は実感していた。
「ですが……通させていただきますわ☆」
 不謹慎だが、遺跡の最奥で強敵と戦っていると思うと、冒険者として心が浮き立つ。
 バルドゥインの足元に、ルミリアは癒しの魔法円を描く。
 浄化と治癒の呪紋は、焼けただれた彼の傷口を癒していく。
 アーケイシアが敵の動きを縛ってくれたので、これで少し回復が楽になるはずだ。
 そう考えたとき、相変わらず高い威力を誇る光線がアーケイシアを貫いていた。
 アルフォートのソードハープは、協奏曲を奏で続けている。
 勇気と名づけられた楽器を奏でている間は、恐ろしい蜘蛛にも立ち向かえる気がしていた。
 攻撃を受けたアーケイシアだが、まだ回復しなくても大丈夫そうに見える。
「強大な力も、狂えばただの大きな獣……脅威に思えばこそ、君へ捧げるよ」
 序曲として奏でるはずだった旋律をアレンジし、荒れ狂う真空波の間奏へと変える。
 乱れぬ旋律が不協和音へと変わる。それは敵に捧げるための調べ。
 惑った大蜘蛛が次に狙ったのは、アーケイシアではなくファニファールだった。

●傷だらけの勝利
 カーリグの目の前で、瓦礫を拾った子蜘蛛がアーケイシアへと投げつける。
 暴走した親蜘蛛に代わって、弱った彼女を攻撃しているようだ。
「お前の相手はこっちだ!」
 武骨で強靭な鉤爪を振るうと、虚空の刃が子蜘蛛を切り裂く。
 ファニファールがオーラをまといながら光輪でその子蜘蛛を縛る。
 シャルルが魔鍵を掲げると、楽園の門が開いてアーケイシアに陽光を降り注がせた。
 他3体のうち2体はなお彼女へ瓦礫を投げていたが、目の前の1体はカーリグへ糸を広げてくる。
 巨獣の牙から作り出したナイフに鋼の糸を引っ掛けて、カーリグは逆に蜘蛛を引き裂く。
 鋭い眼光の先で、自ら作り出した糸に絡められた蜘蛛が動きを止めていた。
 シャルルは3体目の敵へとけだるげな視線を移す。
 星霊ヒュプノスをルミリアが召喚する。
「ヒュプノスさん、もふもふと攻撃ですの」
 羊の星霊が飛び回ると、金属の子蜘蛛たちが眠たげに揺れた。
 アマラが大きくひょうたんを振りかぶって、床を砕く。アルフォートが協奏曲に合わせてステップを踏み、バルドゥインの炎が2体をまとめて包んでいる。
 ヴィクトリアのモップが一気に薙ぎ払う。
 アーケイシアの重手裏剣が蜘蛛の動きを止めた。
 魔力を秘めた大きな鍵を、シャルルは子蜘蛛へ向ける。
「敵はあいつですよ、プーたん!」
 召喚したヒュプノスに呼びかけると、2体の子蜘蛛がまとめて眠る。そのうち1体は、もう目覚めることはないようだった。
「等しく眠りは訪れるのです」
 眠りかけの1体がアーケイシアに瓦礫を投げる。
「気をつけて! 大蜘蛛が危ない!」
 アルフォートの呼びかけで、シャルルは大蜘蛛を見る。禍々しい光をまとっていた。
 ルミリアが急いでアーケイシアを回復するが、十分に回復できたとはいえない。
 ただ……暴走している大蜘蛛の仮面はシャルルに向けられた。
 まばゆい輝きがシャルルを包む。
 少年はさしてダメージを食らっていなかったが、代わりに回復で体力を減らしていた。光は残った体力を一気に奪い取る。
「シャルル殿!」
 ファニファールは倒れた少年を呼ぶ。
 少なくとも命は落としていない。
 彼女は大きな胸をなでおろす。かつての友を失ったときのように、誰かが死ぬところは見たくない。
 最後のシャルルの攻撃を受けたもう1体の敵を、アルフォートの協奏曲が爆発させる。
 残った子蜘蛛に、ヴィクトリアが接近し、力を込めて影魔人の拳を叩き込む。
 メイドと共にファニファールは移動すると、友の形見であるハルバードを向けた。
「ここで遺跡の守護という役目とマスカレイドから解放する。この一撃で!」
 オーラは十分にたまっている。打ちかかった斧槍が蜘蛛の糸とつばぜり合いを起こす。
 気魄を乗せて弾き飛ばすと壁に叩きつけた子蜘蛛が動かなくなった。
 残るは親蜘蛛だけだった。
 アマラは檻に向かって突進する。
 ひょうたんを背負うと、鉄格子に両の手をかけた。
 目の前に親蜘蛛の巨大な脚が見える。後衛の者たちが、格子越しに攻撃をしていた。
 割れた腹筋に、太い腕に力を込める。
「アーケイシア殿!」
 誰かが叫んだ。忍者娘が、とうとう倒されてしまったらしい。
「次は、お前の番だぜぇー」
 筋肉に血管が浮かび、格子が曲がる。アマラの巨躯がやすやすと通れるほど、隙間は広がった。
 ヴィクトリアはアマラが広げた格子の隙間から檻の中へと飛び込み、影魔人を作り出す。
 アマラ本人やファニファールも入り込んできた。
 大蜘蛛は頑丈で、そして強力だった。
 しかし、このときのために力を溜めていたものがいた。アマラの両腕が闘気を放って巨大化する。
 赤熱化した腕で次々に脚を鷲掴みにし、3本を握りつぶしてしまう。
 ファニファールも気魄を乗せて脚を弾き飛ばした。
 真空刃や炎、協奏曲と羊の星霊が、次々に敵を襲う。
 敵も残った脚を振り回して反撃してきた。光線に勝るとも劣らない威力の脚が、ファニファールやアマラを踏み潰す。
「その身、遠慮なく鉄屑へと変えさせて頂きます」
 ヴィクトリアはモップを縦横に薙ぎ払った。
 金属の胴体にひびが入り、そして一気に砕け散る。
 それが巨獣ゴーレムの最後だった。

●守っていたもの
 エンドブレイカーたちは、しばしの間休んでいた。
 3人が倒れていたし、大蜘蛛に踏み潰された2人も危険な状態だ。
 とはいえ命に別状はない。休みながら、シュガードなどはもう煙草をふかしている。
「……なにもありませんわねえ」
 扉の向こうを覗き込んで、ルミリアが言った。
「らしいな。なにか情報くらいはあって欲しかったが……」
 ファニファールの横で、カーリグが壁に耳をつける。向こうになにかないか、音を聞いているようだが、残念ながらなにも聞こえなかった。
 どうやら、これだけゴーレムを配置しておいて、ここもダミーであったらしい。
 ヴィクトリアはゴーレムの欠片を手に取っている。材質はありふれた金属の一種に思えるが……一見しただけではよくはわからない。
 その間に、アマラは寝かされているシャルルに近づく。
「なー、大丈夫かぁー」
 少年の柔らかそうな頬をもにゅっとつかむ。
「……それをやめていただければ」
「しゃべる元気があれば、大丈夫だなぁー」
 物憂げな少年の視線をアマラは笑顔で受け止めた。
 アルフォートは自分が倒した子蜘蛛に近づいていった。
「……ショール、かな?」
 倒したときになにかあるのが見えた気がしたが、グレイのショールだった。
「それが遺跡の宝か。おめでとう」
 扉からカーリグが戻ってきた。
 どのような経緯でこれがゴーレムの中で守られることになったのかはわからなかったが、その通りなのだろう。
「ありがとう、今日のこの時に感謝するよ」
 アルフォートが微笑む。
「女物みたいだなあ」
 バルドゥインの声にがっかりした感じが含まれているのは、気のせいだろうか。
「そうだね。ママに似合いそうだな」
 指摘するような野暮はせず、アルフォートは答えた。
「様々なゴーレム達が扉に擬態してまで守り隠してるものって、一体何でしょうねぇ……」
「当たりの扉を見つければ、わかるのでござろうが……さて、どこにあるものやら」
 ヴィクトリアの呟きに、カーリグに背負われたアーケイシアが応じた。
「探索を続ければいずれわかるだろう」
「ケガ人もいるし、今日は帰ろうぜぇー。ゴーレムが扉から勝手に飛び出してこなきゃ、帰りは安全だろうしなぁー」
 ケガ人を手分けして運び、エンドブレイカーたちは遺跡を離れた。
 帰り道になにごともないことを願いながら。



マスター:青葉桂都 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/09/10
  • 得票数:
  • カッコいい10 
  • ハートフル1 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。