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お色気の秋!?

<オープニング>

●運動、食欲、そして
「夏も終わる……そして秋。ああ、秋と言えば色んなものがあるなぁ」
 男は徐々に涼しくなっていくアクエリオの空を見上げながら物思いに耽ていた。
 秋。そう秋である。まだまだ暑く、秋らしさを見せてはいないが徐々に季節は移り変わるだろう。同時に様々な楽しみも思い浮かぶ。秋ならではの楽しみが。
「季節の移り変わりの景色を楽しむのもいい。新たな味覚が出てくるのもいい。暑くなくなっていくのだから逆に運動もしやすくなる……ああ、秋は楽しみが一杯だ」
 男は秋が好きだった。色んな楽しみがある秋が。もう秋を愛していると言っても過言ではない。
 街中を歩きながら、夕日の赤色を見ながら一人。
 早く。早く秋よ来いと。
 そんな時。
「うふふ……そうよね。色んな秋があるわよね。それじゃあ、こんな秋はどうかしら?」
 不意に女の声が聴こえた。耳に届く、蕩けそうな艶やかな声。
 視線を移すと、物陰から三人の女性が。扇情的なドレスを纏った三人の女性が姿を現した。
「な、な、なんだアンタは……って、その姿は……!?」
 男は息を呑む。その姿は人では無かった。大きなキノコの傘を被った異形の者――ピュアリィであった。
 悲鳴を上げそうになる。逃げ出しそうになる。けれどそれよりも何よりも早く、ピュアリィの瞳が男を射抜いた。
「色んな秋があるけれど……こんな秋、体験したことあるかしら……ふふふ」
 そういって扇情的に胸元をちらつかせるピュアリィ。
 凄まじかった。凄まじいオパーイだった。豊作だった。豊かな秋の実りがそこにはあった。
「どう? 体験してみる? 私のお色気の秋……ふふふ」
 そう言って手招きされるまま、意識の定かではない瞳を携えて男はピュアリィに近づく。
 そうしてピュアリィと共に男は、街の夕闇に消えて行くのであった……。

●そんな秋はありません
「そんな秋はありません。無いと言ったら無いのです。あって堪るものですか。本当にもう」
 酒場に集まったエンドブレイカー達を前に、竪琴の魔曲使い・ミラ(cn0007)がプンプン怒っていた。一体、何をそんなに苛立っているのだろうか。全く持って解らない怒りようであった。
「えーと、あれです。ピュアリィのキノコつむりは知っていますか? あれのマスカレイドが現れるんです。それも街中に三匹。これは見過ごす訳にはいきません。何としてでも倒して平和を護らなくては」
 憤慨という感情を全身で表しながら、ミラは言葉を続ける。
 どうやら数日後、街の夕方のある場所でピュアリィ三匹が男を誘惑すると言うのだ。それも扇情的なドレス姿で色っぽく。
 けしからん。全く持ってけしからん話だ。しかも誘惑した後、路地裏に男を引き込むとの話だ。
 なんて羨ましい。いや違う、なんて悪質な行為だ。ミラが怒るのも無理は無い。これは男の純情を利用した非情の行為だ。
「違います! ピュアリィは魅了するんです! これは性別問わず効果を発揮する恐ろしい能力で……」
 なんと性別問わず誘惑すると言うのか。ますますけしからん。節操無しにも程があろう。いくらマスカレイド化したとは言えモラルを護らぬピュアリィは滅せなければならない。
「……もういいです。何でもいいです。兎に角必ず倒してください。街中で事に及ぼうとするピュアリィです。不利を悟れば逃げ出すかもしれません。その辺りを注意してよろしくお願いします」


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参加者
バニー野郎・レイジュ(c00135)
夢紡・フェリス(c00931)
蒼き蠍火・ティファリス(c01468)
那由他刀・ルーン(c01799)
もふ毛求めて・プレノア(c03487)
イチニノ・サンフォクス(c03891)
千夜一夜・モルティ(c10075)
紅揚羽・シルヴィア(c12998)
揺るがぬ紺碧・アスール(c13470)
ハィスペック引篭り・ハィ(c21903)

<リプレイ>

●迫るお色気
「…………そろそろだね」
 真剣に鼻の下を伸ばすという器用な事を成し遂げながら、バニー野郎・レイジュ(c00135)が呟く。
 向かう先は町の路地裏。傍らには仲間達がおり、それぞれ緊張やら呆れやら期待やら、色んな感情を抱いていた。
 今回の仕事。ピュアリィ退治。一般市民を誘惑し路地裏に引きずり込む、その純情を利用した極悪非道のマスカレイドを倒すべく、一同は歩みを進めていた。
「それにしても女でも誘惑かー…ホントに見境無いわねー。あたしらが誘惑されたらどうなるのかな? その、やっぱり乱れちゃったり?」
 これから戦う敵を想像して紅揚羽・シルヴィア(c12998)が顔を赤らめる。
 今回の相手は男も女も見境無く魅了するという。別にその程度で尻込みするエンドブレイカーでは無いが、一切の動揺無くして相対できる訳でもない。何と言うかこう、筆舌に尽くしがたい、具体的に言うとお子様閲覧禁止な出来事になってしまうのではないかなーと想像してしまう。
「けしからんな、うむ。実にけしからん」
 イチニノ・サンフォクス(c03891)の言葉は真実を突く。まことにけしからん話だ。同時に色々と敵の姿を妄想してしまう。話によればスタイル抜群で色っぽいキノコつむりらしい。出るとこ出て、引っ込むところは引っ込んでいるのだろう。
 何度でも言うが、本当にけしからん相手だ。
 そのように各自様々な思惑で歩いていると――少し先に、男が一人。
 すぐさまサンフォクスが行動を開始する。「自警団だ! ここには強盗が出没する! 早く家に帰るんだな!」などと口早言い、あたふたする男を急いで帰路に着かせていた。
 いささか性急だが仕方ないだろう。近くにはマスカレイドが居る。そんな危険な場所に一般市民を徘徊させて置く訳にはいかない。決して早くピュアリィが見たいからとか、そーいう不埒な理由からではないのだ。そうなのだ。
 そうして男が去った後、ある者は隠れ、またある者はその場に留まる。
 留まった者の名はレイジュ。勇敢にも囮に立候補した勇者の名だ。彼は路地裏付近に立ち、周囲を見渡して敵の出現を待つ。
 まだか。まだ現れないのか。彼の真剣な目が夕刻の街を駆け巡る。緊張と期待で胸が高鳴る。
 そして、その時。
「うふふ……どうしたの坊や。何か探してるの?」
 妖艶な声。こう、甘く蕩けそうな美声。振り返り、声のする方角を見る。
 そこに居た。セクシーなドレス姿。たゆんたゆんとしか表現できないたわわなオパイ。スリットから覗く艶かしい太もも。
 そして頭部に帽子のように被られている、キノコの傘。
「来たね……実りの秋!」
 待っていましたと言わんばかりに、レイジュがピュアリィに駆け寄る。
 それが、エンドブレイカー達の作戦の始まりだった。

●路地裏にて
「……始まったねー。上手く誘導できてればいいんだけどねー」
 物陰からひょっこり顔を出した夢紡・フェリス(c00931)が、囮の勇者が消えていった路地裏を見る。
 ここからである。エンドブレイカー達の作戦はここから。一人が囮となり、残りの者が予め選定した路地裏へ突入する。
 無論、上手く事が運ぶとは限らない。だが、いずれにせよ不利な状況下で戦う危険性は減らせる。上手く袋小路に誘い込めれば逃がす心配も消え、それが駄目でも挟み撃ちにできる可能性が高まる。
 全ては、囮であるレイジュの活躍次第だが。
「とんかく急ごう。あの節操無しピュアリィの誘惑に、長時間レイジュが耐えられるとは限らない」
 蒼き蠍火・ティファリス(c01468)が先程僅かに見えたピュアリィのスタイルを見て、不満げというか怒りにも似た表情を受かべている。胸は本当に大きかったし、どう見ても美人だった。まあ別に魅力が胸の大きさだけで決まる訳では無いのだが……それとは別に怒りは膨らむ。
「……ルーン? 何か見惚れてなかった? ねぇ、あのピュアリィの胸見てませんでしたか?」
「な、ななな何を言うんですかプレノア。私がそんな事するわけないでしょう?」
 目が泳ぎまくっている那由他刀・ルーン(c01799)を、もふ毛求めて・プレノア(c03487)が黒いオーラを出しながら追求している。遠目から見ていたので確証は無いのだが、彼女の眼からすると、彼氏が別の女の胸を見ていた気がしてならない。真実は闇の中。今はまだ。
 まあそんなこんなで、戦ってもいないのに既に険悪な雰囲気をそこはかとなく醸し出しながら、一同は二班に別れ路地裏への侵入を開始する。
「ところで……キノコつむりってあんなんだったっけ? 何か根本から違う生き物に遭遇した気がしてならないんだけど……」
 揺るがぬ紺碧・アスール(c13470)が囮の後を追いながら、首を傾げる。確かに今まで出会ったキノコつむりと何か違う。まあきっとマスカレイド化による変異とか、そういう類のものなのだが疑問は尽きぬものだ。
 色々と考える事はあるが今は無視。とにかく敵を追い詰め倒す事だけを考えよう――そう思ったとき。

「アッーーーーーー!!」

 路地裏の奥から、悲鳴とも嬌声ともつかない叫び声が聴こえた。
 男の声だった。聞き覚えのある声だった。つい先程、己の危険も顧みず突貫した勇者の声だった。
 一同は大急ぎで路地裏を駆ける。選定した場所へ。声のした方へ。
 そうしてエンドブレイカー達は見たのだった。
 路地裏の奥。袋小路のその場所で、剣を持ったまま仰向けに倒れている――豪快に鼻血を流しながら、顔一杯キスマークを着けて倒れている勇者レイジュの姿を。

●勇者の死に様
「ああレイジュさん……なんて事デス! ミイラ取りがミイラというか、ホイホイ誘いに乗った所為かというか、けしからんのデスよ!」
 ハィスペック引篭り・ハィ(c21903)が囮の最後のザマを見て、思わず憤慨してしまう。
 何てことだ。勇敢な若者純情が今まさに犠牲になってしまった。その割には一片の悔い無しと言わんばかりの倒れ方だが。
「うふふ……美味しかったわ。ご馳走様」
 三匹のキノコつむりが揃って舌なめずりをしていた。微妙にドレスがはだけていたり、顔が紅潮している理由は不明だ。レイジュが路地裏に入ってから一体ナニが起こったのか、最早知る術は無い。ただ解るのは勇者が誘惑に敗北し戦線離脱したという事実のみである。
「男の人はああいうのが好みなの? ……揺れてるね」
 千夜一夜・モルティ(c10075)が三匹のキノコつむりを見て率直な感想を述べる。たゆんである。たゆんたゆんである。勇者がざまぁ無い状態になっている以上、男がたゆんたゆんに弱いのは最早真実と言っても過言では無かった。
 実際問題、サンフォクスが眼を輝かせ「ほぅ」と呟いていたり、ルーンが恋人に頬抓られていたりするのだから。
 まあナニはともあれ――準備は整った。勇者の一人を餌もとい犠牲にして、戦いの舞台は整ったのだ。
 あとは、戦うのみ。
「皆行くわよ! あんなのは収穫時期が過ぎたキノコに過ぎないわ! 私達の勇者の仇取ってやろうじゃない!」
 シルヴィアが剣を構えてキノコつむりに向き合う。他の仲間たちも同様だ。鼻血の海に沈んでいる勇者にささやかな黙祷を捧げた後、それぞれの武器を構えて戦闘態勢に。
 緊張が高まり、汗が流れる。膠着は一瞬。
 ――夕刻の路地裏にて、妖艶なる激戦が開始された。

●その戦いは壮絶なり。
 単純な優劣だけを述べるのなら、今の状況はエンドブレイカー達に激しく有利だった。
 場所は袋小路の路地裏で、数は三倍。いかにマスカレイドが相手とは言え、三倍の数を持ったエンドブレイカー達の敵ではない。
 戦いは優勢に進む。戦い自体は優勢に進む。
 だが、それ以外は混沌とし過ぎていた。
「美しいですね……そのドレスも、その傘も……ああ、胸の大きさも美しい」
「〜〜!? ルーン! おっぱいなら何でも良いんですかーっ!?」
 魅了されてキノコつむりの傍で跪くルーン。それを烈火の如く怒りながら叫ぶプレノア。
 まさに三角関係の修羅場だ。その光景をメモリーで記憶しながら友人に話そうと企てるフェリス。
 中々に危険な光景だった。
「ああっ、だめ……胸が……疼いて……疼いちゃう!」
 シルヴィアも中々に危ない状態。黒いレース下着姿になり、乱れ姿を現す。
 そんなシルヴィアを愛撫するようにキノコつむりが迫り、アスールが近寄る。
「あの子は私の物……あなたも私の物……皆私の物」
 彼女も相当にデンジャラスな様子だった。しょうきにもどる気配が全く見えない。
「気に入らない……気にしてはいないけど、気に入らない……むぅ」
 魅了に掛かっていないモルティが鞭を分裂させて、ビシバシビシバシ、ピュアリィをぶっ叩いていた。不機嫌の極みとも言える顔で、もう絶対許すまじと言った顔つきで。
「ええい! 大して強い相手では無いと言うのに、どうしてこうも時間がかかる!? ……正気に戻れ馬鹿者!」
 ティファリスが冬の嵐を召喚しつつ、魅了されてデレデレしているサンフォクスを蹴りまくっている。蹴られたサンフォクスはすぐに正気に返りピュアリィに攻撃を仕掛け……そして再び魅了される。先程からこの繰り返しばかりだった。
「けしからんデス! けしからんキノコデス! ……はやく倒れるのデスよー!」
 なんか若干涙声で、ハィが邪剣の群れを呼び出す。無数の剣はピュアリィに突き刺さり……それでも仲間達の魅了は解けはしない。混沌と混乱はまだ続く。
 戦いの終わりは近い。勝利は近い。けれど――それは悲しい結末だった。

●おしまい
「……どういうことなの」
 モルティがその惨状を見ながら呟いた。
 結果を述べるのなら戦いは終わった。エンドブレイカー達の勝利で終わった。三匹とも見事に打ち倒した。
 だが――結果は酷い。
 意識を失って倒れている者の総数。それは五名。半数が生死不明の重体で倒れこんでいる。
 しかも全員、何かにやけ顔だった。涙声の恋人に膝枕されてまま意識を取り戻さないルーン。
 服の殆どを脱ぎ散らかして、アスールと抱き合ったまま倒れているシルヴィア。
 蹴り跡やらキノコつむりのキスマークやら一杯着けて倒れているサンフォクス。
 そして鼻血を流しながら今も尚気絶中のレイジュ。
 戦いは終わった。勝利で終わった。だがその代償はあまりに大きい。
 残った五人空を見上げる。日が沈む。太陽が隠れる。流れた涙は――あまりに哀し過ぎたのだった。



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いまいち
参加者:10人
作成日:2011/09/13
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