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真夜中の襲撃者

<オープニング>

●真夜中の襲撃者
 都市国家の下層域。廃墟と化したその域にも人々の暮らしはある。
 スラムと呼ばれるその地域に暮らす人々が寝静まった夜に、その轟音は響き渡った。
 轟音に飛び起きて駆けつけた男が見たのは、放置されて久しい、崩れかけた民家が、ジャガーの頭部に鳥の脚、恐竜の尻尾を備えた凶悪なバルバ――ジャグランツたちによって壊されている光景であった。
 ざっと見る限り、その数、10体ほど。粗末な武器を手に、手当たり次第、建物を破壊し、中の住民たちを襲っている。
 中でも一際大きな個体があり、周りのジャグランツたちが従っているところを見ると、リーダーなのだろう。
 手には、大きな斧を手にしている。
 不意にそのリーダージャグランツと目が合った。
「ひぃ……ッ!」
 向きを変え、逃げようとする男に容赦なく振り下ろされる斧。
 鮮血が宙に舞った。
「バ、バルバが来たぞー!!」
 物陰から見ていた別の男が大声を上げ、住民たちを起こして回った。
 襲撃の夜はまだ始まったばかりだ。

●ジャグランツを討て!
「急ぎ向かわねばならない件がある」
 集まったエンドブレイカーたちを見回すと、トンファーの群竜士・アイラ(cn0014)は口を開いた。
「先日から太刀の魔法剣士・レイ(c02945)、ハルバードの城塞騎士・エルンスト(c03127)、大剣のデモニスタ・イトカ(c03441)、大剣の城塞騎士・クロミア(c04585) たいが危惧していた事態が、起こってしまったようだ。アクスヘイムの下層、廃墟周辺のスラム地域で、ジャグランツの群れを率いたジャグランツマスカレイドによる襲撃事件が多数発生するエンディングが見えた。襲撃が行われる場所や時間はまちまちだが、可能な限り、被害を減らす必要がある……」
 そこまで口早に告げると、改めてアイラは説明し始める。
「崩れかけた民家の立ち並ぶ場所、その中に比較的大きな屋敷があるんだが、そこに近辺の住民たちは逃げ込んでいる。急げば、ジャグランツたちが屋敷へと辿り着く直前に、ギリギリだが到着することは出来るだろう」
 急がねばな、と念を押すようにアイラは告げる。
「ジャグランツは、ジャガーの頭部に鳥の脚、恐竜の尻尾を持つという、何とも奇妙なバルバだ。数は10体、それとは別に一際大きな個体が1体――マスカレイドと化している、此度のリーダーのようだ。ジャグランツマスカレイドは、大きな斧を手にしている。それ以外は、折れていたり、刃がボロボロだったりと粗末な近接武器を持っているようだ。リーダーであるジャグランツマスカレイドを倒されれば、残るジャグランツたちは逃げ帰っていく。普通のジャグランツたちも一般人にとっては充分な脅威であるが、無理に全てを倒さなくてもいいということだな」
 アイラはこくこくと頷く。
「バルバを率いたマスカレイドの目的は、判らない。けれど、このような一方的な襲撃を赦すわけにはいかないだろう。私も共に向かう、よろしく頼むな」
 アイラは「共に頑張ろう」と集まった皆へと告げた。


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参加者
剣の魔法剣士・フィル(c00260)
弓の狩猟者・ロック(c00298)
大剣の魔獣戦士・ボルトマ(c03155)
ハルバードの城塞騎士・ベディヴィア(c03184)
大剣のデモニスタ・イトカ(c03441)
アイスレイピアの魔法剣士・セシル(c03752)
剣の城塞騎士・リーリスフィア(c08222)
竪琴の星霊術士・セシル(c08808)
NPC:トンファーの群竜士・アイラ(cn0014)

<リプレイ>

●スラム、目指して!
 夜闇の中、集ったエンドブレイカーたちは、スラム街を目指して駆けていた。
(「落ち着いて自分のすべきことを考え実行に移すことができれば失敗することなんてありませんよ」)
 駆けながら、酒場を出る際、仲間から掛けられた言葉をトンファーの群竜士・アイラ(cn0014)は心のうちで繰り返す。
 廃墟マニアの仲間が先導してくれるため、入り組んだ迷いそうな道でも迷うことはなく、予定通り目的地である屋敷の前に辿り着けそうだ。
(「はふぅ、目がしょぼしょぼするです……うぅ、こんな夜中に襲撃……睡眠妨害のうらみ叩き付けてやるですぅ」)
 そんなことを思いながら、ハルバードの城塞騎士・ベディヴィア(c03184)が駆けていれば、屋敷が見えてきた。
 辺りにジャグランツたちの姿はまだ、ない。
 屋敷を背に立ち、辺りへと警戒を向ける。仲間が用意したランタンや照明の灯りの元、遠方に影が見えた。
「来ましたね」
 弓の狩猟者・ロック(c00298)はネックレスの先の鷹の爪を指で弾くと、弓を構えた。天高く無数の矢を打ち上げる。
 遠方の影――ジャグランツの群れの先頭に立つ2体へ4本ずつ矢が飛来し、その身へ深く突き刺さった。
「虚無たる禍淵より出でよ黒き剣」
 近付いてくるジャグランツたちを視認すると、大剣のデモニスタ・イトカ(c03441)は腕を上げながら、ぽつり呟いた。彼女の周りに、虚無より呼び出された邪剣の群れが現れる。
「はわわ、青龍戟投げるですよ。すっごく危ないからちゅーいです。ちゃんと手元に戻ってくるか心配ですし……」
 冗談を交えながら、ベディヴィアはハルバードを投げつけた。
 大きく外れるように飛んだかと思えば、弧を描いてジャグランツの足元へと当たって、ベディヴィアの手元へと戻ってくる。
「討ち貫き給え」
 ジャグランツに向かって、イトカは上げた腕を振り下ろす。
 邪剣の群れが乱れるように舞い、先頭の2体を切り刻んでいく。
「行くわ」
 深い赤色の帽子のつばを抑え、顎を引き、上目で笑みを浮かべた剣の魔法剣士・フィル(c00260)は、自分自身に気合を入れた。
「ああ」
 アイラが頷き、2人は近付いてきた群れの奥、斧を手にしたジャグランツを睨み付けた。その顔には仮面が見える。

●倒せ! ジャグランツ
「お互い生きるのに必死だろ。だから容赦しねぇ!」
 魔性を討つ為に鍛え上げられた大剣を構え、大剣の魔獣戦士・ボルトマ(c03155)が声を上げる。
 大剣を大きく振るい、近付いてくるジャグランツ2体を薙ぎ払い、傷を負わせた。
「こ、此処から先は、絶対に……絶対に、通しませんっ!」
 頼りになる仲間が居るから大丈夫だ、と竪琴の星霊術士・セシル(c08808)は震える声で目の前のジャグランツたちに向かって告げる。
 圧倒的なその数に膝が笑おうが、退くわけには行かない。
 構えた竪琴に指先を滑らすと、セシルは耐え難い雑音を演奏し始めた。音は傷ついたジャグランツを内から襲い、弦から指が離れた後も音が残って響いていく。
「……気持ち悪ぃナ」
 ジャグランツの独特の姿に、アイスレイピアの魔法剣士・セシル(c03752)は眉をしかめる。
「てやァァァー!!」
 残像を伴いながら、一番近付いてきているジャグランツに向かって、セシルはレイピアを突き出した。深く突き刺さったレイピアを引き抜けば、続けてもう1体に。
「救えぬものに、救いの手を」
 ぽつりと呟きながら剣の城塞騎士・リーリスフィア(c08222)は手にしたナイフを次々とジャグランツに向かって投げつける。
 まずは1本、ジャグランツの肩口へと突き刺さり、続けて同時に5本投げつけるとその身に深々と刺さっていく。
 ジャグランツたちは、棍棒や剣を手に、屋敷への道を切り開こうと反撃してきた。
「はわわっ!?」
 棍棒で叩きつけられて、ベディヴィアは声を上げてしまう。
 ボルトマとセシル(c03752)に向かってきたジャグランツたちの手には手入れのされていないボロボロの剣。それで、薙ぎ払うように斬られる。
 イトカにも受けた毒に耐えながら槌を振るうジャグランツが襲い掛かり、彼女の腕を強く叩きつけて来た。
 抑えきれないジャグランツたちにノイズ(c08532)やツカサ(c05598)がけん制を仕掛け、マスカレイドまでの道を開く。
 仲間たちにジャグランツたちが十分食いついたのを確認して、フィルとアイラは彼らの間を抜けて、マスカレイドの元へ近付いていった。
 2人がマスカレイドを引きつけている間に、皆は他のジャグランツたちを討って行く。ジャグランツたちもただ皆からの攻撃を受けるだけでなく、反撃も忘れない。
 ロックが狙いを定めて、放った矢は天高いところから7本の矢となってジャグランツへと降り注ぐ。
「これで半分です……!」
 倒れたジャグランツは、これで5体だ。
 大剣を荒々しく振るうボルトマ。右へ左へと連続して振るえば、その攻撃を受けたジャグランツは後方へと吹き飛ばされる。
 ジャグランツから強い一撃を受けていたボルトマに向かって、ベディヴィアは癒しの力を持つ拳を飛ばした。士気が高まる。
「はわわ、癒しの拳は避けちゃダメですぅ。ちゃんと殴られるのですー」
 突然飛んでくる拳を思わず避けようとするボルトマに、ベディヴィアが声を上げた。
「悪ぃ悪ぃ、敵からの攻撃かと思ってな」
 ボルトマは答えながら、飛んできた拳に鷲掴みにされる。受けた傷が癒えていった。
 竪琴を爪弾くのはセシル(c08808)だ。音域を広がり、奏でられる雑音は衝撃波となって、ジャグランツたちの身を内側から破壊していく。
「とりゃァァァー!!」
 セシル(c03752)が動いた軌跡に残像が残っていく。その残像と共に、アイスレイピアの切っ先をジャグランツへと突き出した。右から左から、そして正面からと一度に刺されて、ジャグランツは膝をつく。
 ジャグランツの数が半数以下になり、リーリスフィアは相手全てを撃破することに意気込んだ。取り逃がしてしまえば、それらが別の地で、また襲撃を起こすかもしれない。それをこの場で止めることが出来れば、と。
 残るジャグランツは4体。弱っている敵に狙いを定めて、ナイフを取り出すと、2本同時に投げつけた。更に投げつけ、狙ったジャグランツの肩口へと刺さったナイフには毒を仕込んである。
 受けた痛みを堪えながら反撃してくるジャグランツたちを相手に、皆ももう一息だと攻撃を繰り返す。
「ナ・シュレダノウ、さようなら。死神と出会ったこと、存分に後悔するといいわ」
 イトカは身の丈程ある大剣を荒々しく振るった。右へ、左へと2度、振るうと攻撃を受けたジャグランツはよろけて、2、3歩下がる。
 そこへ、不意を討つように蹴りを入れた。思いもしなかったか、ジャグランツは目を見張りながら倒れていった。

●マスカレイドを討て!
 ジャグランツたちと相対する仲間たちの間を抜けて、フィルとアイラは群れの奥のボス――マスカレイドへと近付いた。
 近付いてくる2人に向かって、斧を振り上げようとするマスカレイドより早く、その足元へと真っ黒な短剣が突き刺さった。
 アルマ(c01016)がけん制目的で放った邪剣だ。
 怯んだ隙に、フィルは手にした剣をくるくると回すと、笑んだまま、マスカレイドへと距離を縮めて、横へ、縦へと斬りかかる。
 続くアイラは身体を屈めた後、マスカレイドへと踏み込んでトンファーで殴りかかった。
 シャオリィ(c00368)が槍を回転させて起こした竜巻がマスカレイドを襲い、ローゼリィ(c00261)が奏でる誘惑するような魔曲が流れ、マスカレイドの闘志を奪っていく。
「フィルさん、アイラさん、後ろに!」
 2人の後ろへ近付いてきて、背後から斬りかかろうとしたジャグランツに気付いてリスティ(c00021)が声を上げた。だが、2人が振り返るより早く、全身鎧に身を包んだ騎士が斬り裂き返す。
 リアン(c01810)が放った無数の魔法の矢やプレノア(c03487)が召喚したバルカンが放つ火炎弾などがマスカレイドを襲った。
 先ほどは怯んだマスカレイドであったが、斧を手に間合いを測ると、アイラに向かって、袈裟懸けに斬りこんだ。
「っく」
 斬られて、数歩下がるアイラに向けて、アレクサンドラ(c01258)が放った癒しの力を持つ拳が飛んできて、彼女を鷲掴みにする。
「援護しますよ」
 ジャグランツの数が減ったことにより、ロックが標的をマスカレイドへと変えてきた。彼が呼び出した鷹のスピリットは天高く舞ったかと思えば、急降下してきてマスカレイドへと突撃し、翼で以って切り裂いた。
「ありがとうございます」
 微笑んで、フィルは杖のようにくるくると回した剣を構えると、マスカレイドの脚を狙って、横へ薙いだ。防げず、深く入った一撃は、マスカレイドの動きを鈍らせる。
 アイラはトンファーをぎゅっと握り直すと、マスカレイドへと殴りかかった。更に、蹴り上げる。
 後方からの援護もあり、マスカレイドは次第に弱っていく。
 途中から、ジャグランツを倒しきった仲間たちも加わり、全員でマスカレイドへと攻撃を繰り出した。
 マスカレイドはアイラへと斧を横に薙ぎ、動脈を断つ。
 ロックの放つ毒針がマスカレイドの胸へと突き刺さり、持続する痛みを与える。腕を魔獣化させたボルトマはその腕で殴打し、爪で切り裂いた。
 痛みに耐え、拳に竜を宿しながら精神を統一させたアイラはマスカレイドに向かって、真っ直ぐ拳を突き出した。
 続くフィルは素早い身のこなしで残像を残しながら動き回り、フェイントを掛けて斬りかかったかと思えば、残像と共にマスカレイドの身を貫いた。
 ぐらり、とマスカレイドの身体が傾いたかと思うと、地へと伏す。

●守り抜いた屋敷
 倒れたマスカレイドとジャグランツの群れを前に、フィルは帽子を深く被り直した。瞳を閉じたその顔は安心に満ちている。
「あばよ、冥府でお姉様にいたぶられてくれ」
 セシル(c03752)もジャグランツらの骸に向かってそう告げて、帰途に着く。
(「あったら嫌でしょうからねぇ」)
 ロックは骸を道の端に避けるなどしてから、帰っていく。
「この近くで、甘くて美味い物を売ってる所を知らねぇか?」
 外の騒ぎが治まったと、屋敷から出てきたスラムの住人らしき男にボルトマは問いかけた。
「ちょっと分からねぇな。上の層に行かねぇとないんじゃないか?」
「そうなのか。ありがとよ」
 男の答えに、ボルトマは上層目指して、歩き出す。
 住人たちは復旧で頭を使うことになるだろう。頭を使うには甘味が必要だ、と後ほど差し入れるつもりなのだ。
 他の仲間たちも皆、帰途に着いた。



マスター:緋影あきら 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2010/04/23
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  • カッコいい23 
  • ハートフル2 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
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