ステータス画面

『土門』足音高き悪夢

<オープニング>

 巨大な金属扉に擬態したマスカレイドが集う遺跡群の存在を知ったエンドブレイカー達は、このマスカレイド達の目的を探るべく探索を続けている。既に多くの擬態したゴーレム達が倒されているが、まだまだ謎の扉のゴーレムは存在していた。
「黒と白のは何か意味があると思ったんだけどねぇ」
「ま、マスカレイドが減ったのだから、それはそれでいいじゃないのかな?」
 地図に×印を付ける噂詠の魔曲使い・ルトゥン(cn0053)に、仕込み杖の魔曲使い・マコト(cn0081)が慰める様に言う。
「おっと、そこのお嬢さん達、ちょっと手伝っては頂けないですかな?」
 2人の姿を認めた棍の狩猟者・リョウ(cn0093)が、手招きしてマコトとルトゥンを呼ぶ。
「これで丁度4人だね。それぞれが仲間を集めれば一気に探索が出来る筈だよね」
 リョウの持つ地図を覗き込んでいた狩猟者・セラ(cn0120)が、赤いウェーブヘアを揺らして顔を上げる。
「ん? 何か面白いものでも見つかった?」
 その物言いにルトゥンが目を輝かせた。
「何か関係してそうな門が4つ見つかりまして。遺跡の階段を降りると四方向に道が延びて、それぞれの突き当りに広い空間があり、例の金属の門があったのです」
 リョウが遺跡の場所とその構造を説明する。
「で、なにか連動してたらイヤなので、一斉に取り掛かった方がいいんじゃなのかな? という話をしていたら、丁度キミ達が現れたんだよ」
 セラはそう言って青い瞳を細めて微笑んだ。
「いいんじゃない。じゃあそれぞれ仲間を募ってやりましょう。で、誰がどの門を担当するのかな?」
 応じたマコトが笑って首を傾げたのだった。
 
「ボクらが担当するのはこの門だけど、どんな敵なのかな?」
「それも含めて楽しみなんじゃないですか、ほら」
 変形終わるまで楽しみにしてましょうよ……。と仲間の誰かがセラの疑問に応えた。薄暗いせいか、黒みがかかった重厚な巨門が動き始めたのだ。
 ガコン、ズシーン、ズシーン。バカ……、バラバラ。
 大まかなパーツを振り落としながら、やってくる。途中途中で組上げながら、巨獣にも似たゴーレムが進撃を始める。下僕らしき人間大の手下も、同様に移動の途中で段々と形を整えながら……。
「亀……、いやあの形は陸亀かな? 胴は寸胴で手足も極太……、タフっぽくて嫌だ」
「それを言ったら、手下の方は鋭そうな蛇だぜ?」
 別の誰かが形状から能力を推定しながら、手早く布陣を考え始める。交わす余裕は、わずかに一言か二言、それでもいいさと得物を手に走り込んで布陣を完成させていく。
 戦いの幕が、切って落とされようとしていた。


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参加者
眩暈の尾・ラツ(c01725)
彷徨の閃鷹・アスティ(c02556)
陽下藍玉・レイナ(c02871)
双翼の歌姫・フィアナ(c05484)
東西南北アフロ不敗・アフロ(c07959)
草笛・クインシー(c11051)
青花弁の冠・ロベリア(c11708)
トリック・アーツ(c15136)
咆哮する銀鷲・ナイアー(c15152)

NPC:狩猟者・セラ(cn0120)

<リプレイ>

●まずは静かに密やかに相談セヨ
「マスカレイド退治に遺跡探索、か。ま、たまにはこういう悲劇に直結しない戦いも良いかもね」
「おまけに相手は古の守護者の如し、手強そうで巨大な影とは! いやーこういうのは悪くないもんだねぇ」
 そうですなあ〜。眩暈の尾・ラツ(c01725)が上げる暢気な返しに、彷徨の閃鷹・アスティ(c02556)は少しだけ苦笑すると振り向きもせずにたずねた。
「どうかな?」
「窪みや障害はやりかた次第? そのままじゃ使えないけど、みんなで追い込めばって感じ」
 同じように戦場を伺っていた陽下藍玉・レイナ(c02871)が、守護者を置くって事はここは結構重要なのかな? と感想をもらしつつ、このレベルの敵が持つのはどんなお宝が待つのかと目の前の敵を見上げ始める。
「それにしても、敵の数が多いね。一気に押し切られないよう、攻撃を集中して1体ずつ仕留めるよ」
「布陣は両翼ね、モチーフって東方の獣とか星霊とかがモデルなのかな?」
 カンテラを置いて草笛・クインシー(c11051)が奥を確認、これだけあれば問題ないよねと双翼の歌姫・フィアナ(c05484)が幾つかのカンテラに色ガラスをはめ込み始める。何に使うのかは、後のお楽しみである。
「こいつはぶったまげだ、城塞騎士の本懐を試すチャンスだな」
「なるほど、でかいな。だが……、それはそれでやりようがある」
 呆れたサイズのドン亀だぜ。と東西南北アフロ不敗・アフロ(c07959)が思案していると、咆哮する銀鷲・ナイアー(c15152)が相乗りして幾つかの試案から1つの答えを導き出した。対処そのものはいくつか考えられるが、時には面白さを追求してみても追いかと、子供の様に微笑む。
 その微笑みは、一行の間に伝染していく。いや、あの形を見たときから密かに同じことを考えていたのであろう。
「こちらも全力で支援させてもらうよ。またあとでね」
 手早く取り決めた作戦に、狩猟者・セラ(cn0120)が頷いて『弔鐘の』や『宵闇の幻影』達が散開、万が一の時は回収してくれる手筈が整う。今まで培った巨大ゴーレムとの経験が活かされ始めたのだ、タフで一撃の強力な相手には有効な戦術である。
「貴方の相手は私達よ、暫くお相手お願いするわね」
「ではこちらは私達が担当しますか。出会って日は浅いですが、よろしくお願いしますよココ」
 青花弁の冠・ロベリア(c11708)が大きな体格をした悪戯小僧2人組に声を掛けると、心得たとばかりにトリック・アーツ(c15136)は残りの仲間と、一匹の星霊に合図を送る。その影はコクンと首をかしげて、静かに同意を示した。
 こうして、四門を巡る戦いの一角は、静かに幕を開ける。

●オンステージ
「四方の門が開き、七つの風が此処に集う! 行くよ、ヒュプヒュプ……。やっちゃえ!」
 始まる、私たちのステージ。翼を、広げて、風に乗ろうよ(のろうよ)♪ 街角で出逢う、恋のシューテングスター……、ひとっめ、ぼれ(ほれぼれ)。
 彼女の歌が始まった。……失礼、訂正しよう。フィアナが歌うように最初に切りだすと、全員が素早く動き始める。
「古の彼方より来たれ、葬列の牙よ」
「間近だと、なおさら大きいです。ぞくぞくします愉しいなぁー、もう」
 レイナとテツが、青い光の中をカッ飛んでいく。アフロの指示で亀には赤系の派手な色で挑発が始まり、蛇班の動きを隠すべくこうなったのだ。
 『うたたね唄猫』や『茜牙』がバックコーラスのように歌いながら癒し、カンテラで照らし始めるとその間を滑るように進んで攻撃を始めたのだが、もはや全員がノリノリである。槍は翼を広げるように咲き始め、棍は踊るように嵐を呼んで仲間を守る壁となる!
「ついていけないなあ……。舞え、そして吹き荒れろ。風よ刃となって荒れ狂え!」
「んー人の事言えないんじゃないかなあ?」
 アスティが不満というか、自分は違う! と言いたげに旋風を放つと、それは辿り着くまでに烈風へ、竜巻へと変化して集中打撃によって傷ついた一体を砕く。その様子にクインシーが左目を閉じて帳尻合わせ、狙ってみるべきだよな! と二体まとめて凍結しようと果敢に挑む。気分屋にチャレンジャーと、別段このノリが嫌いではないメンバーが集合した模様である。いや、朱に交わればとか、類は朋をという格言は正しいのかもしれない。
「さあ、より優雅にしなやかにワルツでも踊りたい気分なの。でも貴方は駄目よ」
「ナイスだ! 俺達の事は無視しろ! 作戦の事だけ考えるんだ!」
 ロベリアが踊るように鍵を投げ入れる。背中越しに放られたソレは、足元を縛し必殺の連携を作り上げる。蜘蛛の糸を水滴が滴るように、敵へ連なる路が出来る。
 大丈夫、お前は成功する、俺が成功させる! そう断言すると、ロベリアが作った道筋に乗ってアフロが天を舞うように大回転を掛ける。狙いは一つ、先ほどから仲間の攻撃を何割か跳ねかえしているその動きを止める事だ。
「こちらは止めておきますよ、ご存分に」
「収穫の時だ『豪葉月』。さあ裏返れっ!」
 アーツの陰で、何かがそっと蠢いた。
 オーン! 密かにタイミングを待つ忍犬が啼くのは、仕掛けるその時のみ。逃がしはせぬと大地を滑走していく。歌をタイミングの合わせに使って、手を取り合うように仲間達が路を空けてくれる。その様子に目線で感謝しながらも、銀鷲が咆哮を上げて襲いかかった。
「ギャオーンン!」
 よしやった! 作戦は過たず、亀をひっくり返すことには成功した。陸亀の形状を考えれば、起き上がる事は決して難しくない。だがソレが戻ろうとはしなかった、作戦は成功したのである。
「っ! 来るぞ、避けろ!」
 必殺の一撃を打ち込んだはずのナイアーが叫ぶ、それは!
 戦いはいまだ予断を許さなかった……。

●大回転
「全滅……、だと?」
「馬鹿な、一瞬で……」
 パラパラと亀班の3人が崩れ落ちる。
 亀は起き上がらないのではない、起き上がる手間を惜しんだのみ。ひっくり返った状態では飛び込む事は出来ず回転性の突撃しかできないが、それだけあれば構わぬと一瞬で判断すると果敢に攻撃へ打って出たのだ。そしてその積極性が敵にとっては良い方向に、味方にとっては最悪の方向に動いた。
「全くもう、やんちゃが過ぎる子は嫌いよ」
「ルーシェ助かったよ」
 二人が起き上がる。駆けよる『光と影を抱きし金色の妖精騎士』や『四葉の白詰草』たちに感謝しながらも、次の手を打つべく手配を考える。作戦を無効化されたようだが、決してそうでは無い。効率主義のゴーレムが最適解を出した、だがそれは本当に正しい答えであったろうか?
「アフロも無事な様だな」
「……。げぇ! お、俺の魂があ!」
 アフロの頭が残念な事になっていた……。せっかく起き上がった彼も、へなへなと崩れ落ちそうになる。その上に、何か温かい物が降り立つまでは。
「そーこはアフロディア……、アフロたちの王国(おうこく)。みんなで行ってみようよ、想像してみよーおぅ(みようよ)♪」
「白いアフロね……。大丈夫なの?」
 フィアナのヒュプノスが、頭の上で歌に合わせて踊るように力を放出する。それはまるでアフロの志が蘇ったかのようだ……、もちろんそれは気休めで本物であるはずはない。だが、彼はそれでも良いさと仲間の心遣いに対して起き上がることで感謝を示した。
 割れんばかりのアフロコールの中、レイナの脚がつつりと滑る。俊足列歩、連続で蛇たちの急所へ叩き込んでまた一体を砕く。ここが私達の正念場であると、言葉より行動で仲間を助ける決断をした。
「ふうん。さっきより弾いてる量が違うでしょうか? 範囲や威力は厄介だけど今のままが有効です」
「そりゃあの巨体で動きまわられる方が厄介さ、特に持久戦だ。廻れ舞われ撃槍『閃迅』、奴らを追いたてろ!」
 注意深く観察していたラツが、最適解を追いかけるゴーレムの判断と選択肢の問題に気がついた。敵にとってはどれも同じであり、こちらにとってはそうではない。あの甲羅を盾にするか、広範囲の攻撃をするか状態で優先するなら、このままの方が長引かない分、利点であろう。
 そんな様子に、判ってることさ。とアスティが槍を軋むように回転させると、再び渦を巻く。それは縦から横へ変化させたラツの風を追うように、縦横へ奔って蛇たちを追いつめ始める。
「流石に向こうの負担がでかいな。こいつで沈んでくれよなっ!」
「さ、遊戯はまだまだこれからよ」
 クインシーの右目がキリキリと期待に輝く。冬将軍の剣が、縦方向に敵を求めて唸りを上げるとズン! と突き刺さり、仲間達の攻撃で弱っていたその一体も崩れ落ちる。
 その容姿にロベリアは、あと少しだものね。と時間を巻き戻すかのように完全に塞いでしまう。先ほどの攻撃でおおよその威力が判明した、完治しておけば不運でも見舞われない限りは死ぬこともあるまい。そして仲間はもうすぐ駆けつける、もう何も恐ろしい物はなかった。
「成功したか、いい腕だ、後で一杯おごるぜ」
「ではひとまず用意しておいた珈琲でも振るい舞いましょう、お酒は帰ってからにお願いします」
 そうしようか、まずはこいつを方つけてな!
 次々と倒れ行く蛇たち、倒れようと駆けつける仲間達。なんとも心強い光景ではないか、アフロはみなぎって来るものを感じていた。そうそれこそが彼の魂、漢の形をした何かであろう!
 その様子に、回復は必要ないようですね……。と安堵したアーツは『霊峰天舞の歩く竜巻』達と共に、手裏剣の一斉投射態勢に入る。銀盤に隠れた苦無が舞い飛び、それを合図に十字に烈風、八文字葉型や果ては涙滴型まで色々な手裏剣が乱れ飛んだ。
「俺達は、どうやら助かったようだ。それが意味するのはな……」
 『奪還屋』たち仲間の上げる咆哮と、掲げる剣列の中をナイアーが先頭になって進む。それはまるで騎士たちの閲兵、あるいは大行進であった。
 そこから先を語る必要があるであろうか?
 戦いは、終わったのだ……。

●見えたモノは
「動く岩とか、押すもの無いからしら」
「隠し部屋とか無いわね……。もう歌っても良いわよ」
 ロベリアとレイナが、事前や戦闘中に気になっていた場所を触り、あるいは押しこんでみるのだが変化がない。耳を当てても、残念ながら聞こえる物はなく、最後の手段で全体の反響を聞いてみようという事になった。
「今日はみんなアリガトー! 最後の曲だよ、一緒に歌おうね!」
 念のためにもう一度ひっくり返した陸亀を背景に、フィアナが再び唄い始める。謡うは妖精郷の歌、かつて通ったエルフヘイムの歌だそうだ。
「ここが終わったら、順番に他を巡りますか。パターンとか、合わせ地図もあるかも。そういうのを想像してる過程ってロマンだよねぇ」
「キミはそういうの好きだね。僕は四門の中央辺りを探してみるよ、黄色の門でも隠れてば良いんだけど」
 様々な色ガラスをはめたカンテラを交互に受けて、歌い始める彼女を見ながらラツとアスティが笑い合う。ピリピリした戦いが終わればこんなもんだと、終わったことに感謝をするが、ここからが本番だと気を引き締め直して。
「俺も四つの部屋が繋がっているのに、何か意味があると思う。共通の物や逆に差分であったりな」
「その辺は向こうの仲間たちと絵を見せ合えば良いんじゃないかな? もちろん自分の主観で見るのも大事だけどさ」
 ナイアーが書く詳細な背景に、感心しながらセラが自分の絵と比べてそっとしまう。後ろから呼ぶ声がするので、ちょうど良いと隠してしまうことにしたようだ。
「はい、みなさんに珈琲をお入れしました。フィアナさんには蜂蜜をたっぷり入れた紅茶ですけどね」
「悪りいな、我儘いってよ。ちょっと乾杯したくなっちまった」
 アーツの入れた、ブランデー入り紅茶を啜ってアフロが乾杯! と笑顔を見せた。彼の手に入れたアンクレットを見て、全員が乾杯。と言い返して一端ここで終了となる。
 ひっくり返し作戦そのものは、効果は別にして一同の連携リズムを作る面白い案ではあった。だがそこまでに至る過程は皆同じレベルの貢献であろう、ナイアーを主体に、彼ができねばチャレンジしようとした者は、みな同じ評価と言える。そんな中で、一人だけ他の仲間の作戦を成功させようとした彼が、ほんの僅かに上回ったのだ。ちなみに歌をキーにしたフィアナは、趣味の延長上であったので番外とする。
「じゃあ向こうで他のチームと情報交換と行こうか? 何か判るだろうし、なければまた来れば良いよ……っ、あ!」
 楽しい一日をそう締めくくったクインシーが、目を細めて遠くを見る。そこには……。
「みんな中央を目指してる! をーい」
 薄暗い中、カンテラの列が中央を目指す。それは何かの紋様、あるいはお祭り騒ぎの様であった。倒れた者もいるであろうし、それでは勝利と言わぬ精進者もいるかもしれない。だが、今言える事は一つだけ……。
 お疲れ様!



マスター:baron 紹介ページ
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いまいち
参加者:9人
作成日:2011/09/13
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