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クマ退治とお役人様

<オープニング>

「お役人様、こいつ今、お役人様を睨みましたぜ!」
「ひ、そんな事は決して!」
「まあまあ、よいではないか」
 村人の胸倉を捕まえている男を笑顔でなだめると、お役人様と呼ばれた太った男は村人の肩をたたく。
「ところで、な? お主の家には確か大層美しい妻がいたな?」
「そ、そればかりは……」
「なあに、ちょっと酌をしてほしいだけだ。男ばかりでは、熊退治の為の士気も上がらないようでな?」
 ニコニコと、しかし威圧している事が分かる笑顔。
 酌だけですまない事など分かっている。
 毎日そうなのだから。
「どうした? ん? まさか護衛の者達の言う通り、お前私を睨んでいたのか? という事はまさか何かを企んで……」
 いつもこうだ。
 役人様と、13人の護衛達。
 ああ、こんな連中に熊退治など頼んだばかりに。
 その下衆な笑いの響く中、村人はただ涙を流すしかなかった。
「とある村で、巡察役人が横暴を働いてるらしいんです」
 盾の城塞騎士・アレス・ギーディス(cn0034)はそう言うと、悲しそうに首を振った。
 巡察役人というのは、その地区の領主が年に一度、領内の村々に役人を派遣して、村長がきちんと仕事をしているか、困ったことが無いかなどを調査する小役人なのだが、どうやら、その小役人がマスカレイドとなっているようなのだ。
「村人達は領主に対して有ること無い事報告される事を恐れて言いなりになるしか無く、マスカレイドの横暴は日に日にエスカレートしてしまっているようなんです」
 このままでは、村人達が決起して巡察役人のマスカレイドを殺してしまおうと反乱を起こしてしまうだろうとアレスは語る。
「エンドブレイカー以外の人がマスカレイドを倒しても意味はありません。それになにより、領主が派遣した役人を殺してしまえば村全体が反逆者になり処断されてしまうんです」
 そんなエンディングを避けるためにも、この役人マスカレイドを村から追い払った上で退治しなければならない。
「巡察役人の一行は、最初はすぐに帰るようなそぶりを見せつつ、折角なので、ちょっとした困り事を解決してあげますよと声をかけてきたらしいです。巡察役人には、そこそこ腕の立つ十名以上の警護がついていますから、獣退治やバルバ退治なら普通に行えますしね」
 ここで村長が断わっていれば、そのまま村を離れているようだが、下手にお願いしてしまうと村長に頼まれた問題が解決するまで逗留するという大義名分を与えてしまい、村に居座るようになってしまうらしい。
「勿論、巡察役人一行に問題を解決するつもりなんて全く無いみたいです。それどころか、村人が自分たちで問題を解決しようとするのを邪魔してできないようにしているらしいです」
 酷い話ですよね、とアレスは溜息をつく。
「この巡察役人は、村の近辺に出る熊を退治してくれ、と頼まれたみたいですね」
 すぐに退治してやろう、と引き受けた役人一行は今様子を見ている、とか今日は日が悪い、とか何だかんだ理屈をつけて全く退治しようとしない。
 自分達で退治しようとしても、護衛達が村の近辺で見張っていて、危険だから近づくなの一点張りで通さないのだという。
「つまり、クマを先に倒しちゃえば話は簡単ですよね」
 巡察役人の部下に見つかれば邪魔してくるだろうが、何とかして軽くあしらってしまえばいい。
「クマをやっつけちゃえば、巡察役人達は村を出発せざるをえません。村から離れた場所で待ち伏せて撃破するといいかもですね」
 あんまり近くだと村に迷惑かかっちゃうかもですしね、とアレスは付け加える。
「巡察役人マスカレイドの護衛13人ですが・・・このうちの何人かが配下マスカレイドになってるみたいです。気をつけてくださいね」
 マスカレイドによって難儀を強いられている人々の為にも今こそエンドブレイカーの力が必要なんです、と言いながらアレスはグッと拳を握る。
「でも今回のマスカレイドは社会的地位をもってるので、倒したあとはすぐに脱出しなければ、捕まるのは私達エンドブレイカーになってしまいます。そうならないように、上手く脱出してくださいね!」
 アレスはそう言うと、エンドブレイカー達を送り出すのだった。


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参加者
太刀の魔法剣士・アーヴァイン(c01227)
太刀の魔法剣士・ルーン(c01799)
暗殺シューズのスカイランナー・マイト(c01923)
エアシューズの群竜士・エスピナ(c02090)
ハンマーの魔獣戦士・アリスレッド(c02738)
大剣の魔獣戦士・ルドルフ(c03917)
槍の魔獣戦士・アイザック(c04324)
盾の星霊術士・アーット(c07010)
シールドスピアの群竜士・ユミナ(c07201)
太刀の魔法剣士・ツルギ(c08167)

<リプレイ>

●熊退治と小悪党
「熊って食べたこと無いんだよね」
 どんな味がするか今から楽しみだよ。あぁ、お腹すいたなぁ……と呟く声。
 暗殺シューズのスカイランナー・マイト(c01923)の視線の先には、一匹のクマと……その近くにいる、5人の人影。
「あれが見張り……作戦通り迂回するの」
 ハンマーの魔獣戦士・アリスレッド(c02738)に頷き、退治班の面々は移動していく。
 まずは役人の護衛とクマを引き離す……全てはそれからだ。
「はぁ……損な役回りだぜ。早く交替はこねえのかよ……」
「しっかりしろよ。もう少しの辛抱じゃねえか」
 一方、そのクマを見張っていた役人の護衛達は如何にも退屈そうだった。
 仕方のない事ではある。交代制とはいえ、やる事は村人達がクマを退治しに来ないようにする為の、ただの見張り。
 名目上はクマの動きを監視して確実に倒すようにする……という事になっているが。
 やっている事はクマの近くをウロウロして近づく人間を片っ端から追い払うだけ。
 しかも村ではお役人様の元で他の仲間が好き勝手に楽しくやっている。
 彼等としては、さっさと交代して好き勝手やっている仲間達に混ざりたいと思うのも当然の事だ。
「おいおい、誰か来るぜ」
「村の連中にしちゃあ動きがいいな」
 槍の魔獣戦士・アイザック(c04324)達は護衛達の前に来ると、軽く挨拶をする。
「こんにちは、クマがいるという噂を聞いて退治しにきたよ」
 誤魔化す気の一切ない第一声。
 理屈が通じる相手ではないと分かっているからこそ、押し問答をして足止めをする。
 それがアイザック達の作戦であり役割だ。
 実際、クマ退治と聞いて護衛達は明らかに警戒した様子を見せている。
「悪い事は言わねえ。帰りな」
「クマは怖いけど、肉はおいしそうだから来てみた」
「怖いなら帰れよ……」
「そうですか、少し後ろで退治する所を見させてもらいます」
「邪魔だって言ってんだろうが。つーか、なんでカレー食ってんだ!」
 ウロウロする盾の星霊術士・アーット(c07010)の行く手を塞ぎながら、そう言う護衛。
「そう言わず。通していただけませんか?」
 通さないだろうと分かっていながらも、大剣の魔獣戦士・ルドルフ(c03917)もそう口にする。
「ダメだダメだ! あのクマは巡察役人様の命令で倒すために監視している最中だ! 部外者が口を出すな!」
「村の為に是非とも熊退治をしたい! あんた達が村人の安全を考えて止めてくれているのはありがたいけどあたし達もやられるならそれも覚悟のうち! 手伝って欲しいけどあんた達に迷惑はかけないわ!!」
「その通りでござる。拙者達にどうぞお任せくだされ」
「僕達の決意は、この通り。帰れと言われても帰らないよ。任せてくれないかな?」
 太刀の魔法剣士・ツルギ(c08167)の言葉を、太刀の魔法剣士・ルーン(c01799)とアイザックも後押しする。
「ぬ、ぬぅ……」
「どうするよ、おい……」
 ぼそぼそと囁き合う護衛達。
 恐らく、ここまで食い下がってきたのは初めてなのだろう。
 明らかに対応に困っているのが分かる。
 だが腰に下げた剣を5人とも抜く様子がないのを見ると、力づくで追い払おうという気はないようだった。
 そして、彼等の動揺はクマ退治班のメンバーの有利となる。
 何故なら護衛達は足を止めても、クマは足を止めないからだ。
 ツルギ達の作戦と同時進行で、回り込むようにしてクマへとマイト達は迫りゆく。

●クマとクマカレー
「さて、おっぱじめるとしますか」
 太刀の魔法剣士・アーヴァイン(c01227)は言いながら、ウロボロスを引き抜く。
 目の前には、アーヴァイン達を見据えるクマの姿。
 戦闘態勢万全な彼等を見たせいか、クマの戦闘意欲も高まっているようだ。
「何の恨みは無いがの、わしらのご馳走……じゃのうて、役人を帰す為の証拠になってもらうぞ!」
 じゅるりとよだれを飲み込みながら言うエアシューズの群竜士・エスピナ(c02090)。
「こういっちゃ何だが、熊にだって負けないよあたしゃ」
 シールドスピアの群竜士・ユミナ(c07201)もシールドスピアを取り出すと、クマへと向き合う。
 このクマさえ倒せば、巡察役人達は村にいる理由を失う。
 だからこそ、ここでしくじるわけにはいかないのだ。
「ん、いくの」
 いち早く飛び出したアリスレッドの獣爪の一撃から爪撃乱舞へと続くビーストクラッシュがクマへと炸裂する。
 どうやら、このクマは戦いが好きな性格らしい。全身のあちこちにある傷も恐らくは、その性格が原因なのだろうが……放っておけば人間に戦いを挑んでいただろうから、村人達の危惧も杞憂ではなかったという事なのだろう。
「んー、美味しそうだね」
 マイトのレフトシュートからライトシュートが炸裂し、あっさりと倒れるクマ。
「ありゃ、もう終わりか……思ったより面倒じゃなかったな」
「獣肉ってのは仕留めた後の始末が重要でね、こいつをしくじると臭みが残って食えたもんじゃないんだよ」
 昼寝でもしとこうかと溜息をつくアーヴァインの横から、ユミナが進み出る。
「おばちゃんに任せときな、ああ、血が駄目な子はあっち行ってるんだよ」
 テキパキと作業を始めるユミナ。
 彼女に任せておけば安心とふんだエスピナ達は、次の手順を確認する。
 巡察役人達がとどまっている理由であるクマは、これで退治した。
 あとは村にこれを知らせなければならない。

●小役人の出立
「え? お役人様? さあ、何処から来られたかなんてねえ。偉い方の所からじゃないのかい?」
 アイザックは女性に礼を言うと、素早く立ち去る。
 村に漂っているのは、美味しそうな料理の匂い。
 仲間達で持ち帰ったクマの肉を使ったクマカレーを振る舞っているのだ。
 村人達にクマを倒したという事を知らせる意味もあるが、カレーの強い匂いは役人達に事態を悟らせる効果もあるだろう。
 そして、実際。役人と護衛達は匂いの元へと来ていた。
「戦神よ、この恵みに感謝します」
 ツルギがクマカレーを食べているのを見ながら、巡察役人は護衛達を引き連れながら歩く。
「ん、歯ごたえがあって美味しいの。お肉は生に限るの」
「これ、娘。それは何の肉だ?」
「クマの肉なの」
 アリスレッドの答えに、ピクリと顔をゆがめる役人。
「クマを無事に退治できたので、美味しく頂いております。美味しく頂いております」
 カレーを食べるアーットを押しのけると、役人はマイトの掲げていたクマの毛皮を見て唸る。
「お勤めご苦労様、お役人様♪」
「ほ、ほう……クマを狩ったとはさすがじゃな。村の者に頼まれでもしたかな?」
 その言葉に、ビクリと震える村人達。新たな難癖をつけられる事に脅えたのだろうか。
「美味そうな熊じゃったから、狩っただけじゃ……そっちの事情なぞ何も知らぬよ」
 すかさずエスピナがフォローを入れ、役人は黙りこむ。
「やっぱ……寝るのが一番、だな……俺は……」
 昼寝を決め込んだアーヴァインにチラリと目をやりながらも、役人は無理矢理笑顔を作る。
「いやあ、さすがじゃ。しっかりと下調べをした上でクマを倒すべきと調べていたが……先に倒してしまうとはな。いやあ、天晴れ!」
 いくぞ、と護衛達に声をかけて身を翻す役人と護衛達。
 もうこれで、役人達が村に留まる理由はない。すぐにでも出発する事だろう。
「ここからでござるな」
「そうですね、いよいよ仕上げです」
 ルーンとルドルフの言葉に、仲間達も頷く。
 そう、出立する役人達を倒さなければならない。
 ここからが、本番なのだ。

●役人マスカレイド
「ぐあっ!」
 ホーミングウェーブによる必中の威力をもって放たれた、エスピナのダブルシュートが護衛の1人に命中する。
「おのれ、何者だ!」
 武器を構える護衛達。
 中々手慣れている様子で、役人を守るように円陣を組む。
「ふむ、我が名は……むぅ……えぇい、もう面倒じゃ! わし等は強盗じゃぁぁぁ!!」
「あー……思う存分ぶった斬りてぇ……」
 狂戦士化したルドルフの台詞も相まって、如何にも強盗然とした雰囲気を醸し出す。
「おのれ……お役人様、お下がりください!」
 剣を抜く護衛に、巡察役人はいやいや……と笑いながら太刀を抜く。
「中々に面白いではないか。まさか役人を襲う身の程知らずの強盗がいようとは。丁度うさ晴らしもしたかったしのう?」
 巡察役人の顔に現れる、マスカレイドの仮面。
「あの5人は人間でござるな……」
 13人の護衛。どうやら、配下マスカレイドとしての正体を見せた8人以外の5人は普通の人間のようだ。
 無論、仲間のはずの8人と役人の正体には気付けもしないのだろうが。
「恨みは無いよ、でも権力と役人って嫌いなんだよね」
 連続ジャンプで繰り出すマイトの急降下突き。
「二人とも! 目にもの見せてやるわよ!」
「さぁ、俺を楽しませてくれるんだろうな?」
 ツルギの掛け声に、アーヴァインとルーンも太刀を構えて護衛達へと突っ込んでいく。
 まずは人間の護衛を気絶させて……というのは、アイザックが特に望んだ事だ。
 顔を知られたからと殺す口封じを相手への理不尽と考えたが故の提案だが……。
「おのれ強盗め……ぐわっ!」
 強盗、という先入観と辺りの暗さのおかげでクマカレーを振る舞っていたメンバーと同一人物だとは思われていないようだ。
「抜く手も見せないとはこのことを言うのでござるよ」
 護衛達は思っていたよりも弱く、ルーン達の攻撃にバタバタとなぎ倒されていく。
「あんた良い太刀持ってるわね……その技……見せて貰おうか!」
「くっくっく……小娘がほざきおる。ならば私の腕を見せてやるわ!」
 きえー、と叫びながら突っ込んでくる役人マスカレイド。
 残った配下マスカレイド達も突っ込んでくるが、合わせても大した敵ではなさそうだ。
「天罰という物を味合わせてあげるわ!」
 ツルギを援護するかのように、近づいてきた配下マスカレイドにユミナのバックドロップから続くパワーボムが炸裂する。
「あ? 邪魔だよ!」
 兜割りからデッドエンド。ユミナに投げられた配下マスカレイドに、ルドルフの強烈なソードラッシュが叩きこまれる。
 悶絶する配下マスカレイドをそのままに次へと向かっていくルドルフの頬を、アーットの召喚したスピカがペロペロなめる。
 獣腕の殴打から爪撃乱舞。アリスレッドのビーストクラッシュが炸裂し。
 空中飛ばしから風刃乱舞へと続くアイザックの槍風車が配下マスカレイドを打ち倒す。
「これが…太刀の技よ! あんたの太刀とあたしの太刀! どっちが上か勝負!」
「ぐうっ……おのれぇ……っ!」
 ツルギの居合斬り、アーヴァインの残像多重斬りを受けてよろめく巡察役人。
 大した使い手ではなかったようだが、それでも中々にしぶとい。
「働き者のお役人様に、僕からバカンスをプレゼントするよ。ただし、行き先は地獄だ!」
 そう叫ぶマイト。そう、もはや勝敗は決した。
「外道に落ちたものにかげる慈悲などこの世にもあの世にも無いでござる」
 フェイント斬りから残像多重斬り。ルーンの残像剣を受け、巡察役人の仮面が溶けるように消えていく。
「また、つまらぬものを斬ってしまったでござる」
 これで、全ては片付いた。
 強盗の仕業に見せかけるため、マイトとユミナは金目のものを集め、身ぐるみを剥いだように見せかける。
 これで後は、生き残った護衛達が強盗の仕業だと知らせる事だろう。
 村に被害は及ばず、後は逃げて帰るだけだ。
「……よし、それでは」
「迅速に撤退するの」
 ルドルフとアリスレッドの言葉に答えるかのように、迅速に撤退していく仲間達。
 村を救い、マスカレイドとなっていた巡察役人と配下マスカレイド達を倒し。
 ただの人間の護衛は殺さずに済ませられた。
 その最高の結果を、かみしめながら。



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参加者:10人
作成日:2010/04/17
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