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夢姫城への誘い:一夜限りのバル・マスケ

<オープニング>

●導きの硝子階段
 深い闇や包む村。時刻は深夜と云われる頃合い。
 ひとつの村の上空に、城の一部のような塔が現れる。そこから、不思議な声が聞こえてくる。
「私の名前は『夢姫』レム。私と共に夢の世界で楽しみましょう」
 澄んだ声で楽しげに彼女は語ると、その声に誘われたのか。眠っていたはずの村人がむくりと起き上がり動き出す。ふわりふわり、夢心地の足取りで歩き村の中心に人が集まる。皆、瞳を閉じたまま。何故か。――眠っているからだ。
「子供達は、可愛い森の動物達。夢の城にみんなを導いてあげて」
 変わらず楽しげに語る少女の声が響く。すると、集まった村の子供達の身を兎や猫の着ぐるみが纏っていく。そのまま、集まった村人の周りを楽しげに、可愛らしく踊りだした。
 くるくると踊る子供達。すると上空から、硝子のように透明な螺旋階段が少しづつ降りてくる。
『綺麗で楽しい夢の城。そこでみんなで遊ぼうよ♪』
 楽しげに踊る子供達。誘われた村人は、地上に辿り着いた階段を登り空へと消えてしまった――。

●子供だけの舞踏会
「大変よ、また夢姫による事件が起きてしまうの!」
 慌てて酒場に駆け込むと、勿忘蝶の星霊術士・ミルティーユ(cn0116)は酒場内にいたエンドブレイカーへ声を掛けた。息を切らせている彼女は、水を一口飲むと呼吸を落ち着かせ続きを語り始める。
「今度の事件は、村の住人を全て連れ去ってしまう事件よ」
 村人が連れ去られる先は夢の城のようだ。だが、そこがどのような場所かは全く判らない。しかしマスカレイドの城に連れ去られた村人が、不幸なエンディングを迎えるであろう事は想像に難くない。
「だからね、夢の城が現れる村に向かって、このエンディングを食い止めて欲しいの」
 いつもとは違う真剣な眼差しを、ミルティーユはエンドブレイカー達に向けた。

 時刻は深夜。村の中心の広場に、100人程度の村人が集まっているそうだ。その周囲に、ゆったりとした可愛らしい服――パジャマのような着ぐるみを着た子供達が10人。くるくると踊りながら、城に行く道を作り出そうとしている。
 その子供達は、『夢姫』レムの力でマスカレイドの力を与えられており、頭部にかマスカレイドの仮面が月光に照らされている。踊りを邪魔しようとする者には、全力で襲い掛かってくるようだ。
 他の村人は、眠りについているかのようにただ立っているだけど、戦闘に参加する事は無い。
 踊っている子供は全部で10人。
 猫の着ぐるみは女の子3人。とても仲が良く、一緒になってくるくると楽しそうに踊るようだ。
 兎の着ぐるみは3人。男の子が1人に女の子が2人。それぞれ別に行動を行い、悲しそうに踊る。
 犬の着ぐるみは2人。どちらも男の子で、どこか偉そうな雰囲気で大振りなダンスを踊る。
 鳥――カナリアの着ぐるみは子供は男女の兄妹。とても仲が良く、一緒に行動を行おうとする。
 全員攻撃は遠距離。それぞれの性格に合ったダンスを踊り、こちらの動きを封じつつ攻撃を行うようだ。どの子も子供らしい無邪気な仕草で踊るようだが、1種のダンスしか出来ない。相手の動きに合わせた作戦は立てやすいだろう。
 また、子供達は完全なマスカレイドでは無い。夢の城への魅力を忘れる事が出来れば、元に戻る事も可能だろう。その結果に関しては、エンドブレイカー達の行動次第だ。

「夢の城に入れるのは、『夢姫』に招かれた者だけのようなの……私達が入る事は出来ないわね」
 夢の城に入る為の鍵を持っていれば、入る事が出来たかもしれないけれど……。静かに瞳を伏せて、ミルティーユは語る。けれど、無いものはしょうがない。出来る限りの事を行うだけだ。
「子供をマスカレイドにして、操るだなんてしては駄目だと思うの。絶対に、止めてきてね」
 尚も真剣な眼差しでエンドブレイカー達を見るミルティーユ。しかし、その口元には笑みが浮かんでいる。それは信頼の証。右手を挙げ、彼女は小さく手を振りエンドブレイカー達を送り出した。


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参加者
ぎんいろにゃんこ・レティーファ(c00039)
レイテルパラッシュ・キリスティア(c01561)
槍の忍者・キーア(c02996)
ぎんいろわんこ・レイ(c03414)
アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)
宵の口・マルコ(c15900)
星菫のセレーネ・ジゼル(c16354)
地孤星・ラン(c25417)
天哭星・ミコト(c25455)
山杜ノ赫絲・マヨリ(c25799)

<リプレイ>

●夢への階段
 輝く星々の元、月夜に浮かぶは硝子の階段。それは螺旋を描き、くるりくるりと空へ導く架け橋のように輝きつつ、地へと伸びてくる。
 それはとても、幻想的な光景。しかし、地にて踊りを舞う子供達の姿はどこか不気味だった。
 可愛らしい姿をした子供達には、輝くマスカレイドの仮面。硝子の螺旋階段と合わさり、それはお城の舞踏会のような錯覚を覚えるほどにロマンチックな光景にも見える。
 ――けれど、これは全て大きな事件へと繋がる架け橋でもある。
 星菫のセレーネ・ジゼル(c16354)はきゅっと唇を噛みしめ、深海の瞳を踊る子供達へと向ける。罪の無い子が向かう先が悲劇ならば、葬り去るまで。その想いを宿して。
『綺麗な夢の城。きらきら輝く夢の城♪』
『全てを忘れて楽しめる。素敵な素敵な夢の城♪』
 歌を口ずさみつつ、子供達は踊り続けている。その子供達をを見て、槍の忍者・キーア(c02996)は大きな矛先の付いた槍を握り締める。
「子供たちを利用して悪いことしようなんて、『夢姫』レム、絶対許さない!」
 いつもは明るく輝く瞳に真剣さを交え。彼女は子供達を無傷のまま解放する為にと軽く頬を叩き気合いを入れた。レイテルパラッシュ・キリスティア(c01561)もまた、キーアと同じように子供達の無事を祈り、『夢姫』レムの事を思い握った手を胸元へと当てる。
「無垢な子供たちを操って自分の望みをかなえようとか気に入らないね」
 笑み浮かべつつ、ぎんいろにゃんこ・レティーファ(c00039)は髪を結わえていた淡黄色のリボンを外し左腕へと巻きつける。高い位置で一つに結わえていた髪が、風に乗せてふわりと舞った。
 レティーファのその行動を見て、ぎんいろわんこ・レイ(c03414)も二つに結っていた髪を下ろす。――もしかしたら、髪を下ろせば強くなれたりするかも。そう思って。
 まだ見ぬ『夢姫』を想い、会ってみたかったと地孤星・ラン(c25417)は溜息を零した。しかしそれが叶わぬのならば……今は自身が出来る事を精一杯やるのみ。
 そう思い、緑の瞳を踊る子供へ向ければ――隣で瞳を輝かせる天哭星・ミコト(c25455)の姿が。
「ミコト様、どうかなさいました?」
「硝子の階段はきれいなのじゃ♪」
 怪訝な顔を浮かべ首を傾げれば、返ってくるのは純粋な言葉。空に浮かぶ階段は確かに美しいけれど――その階段の出現を止めなければいけないと言えば、分かっていると顔を真っ赤にして彼女は答える。けれど、踊る子供達を見れば皆可愛らしい姿をしており――。
「あの着ぐるみ欲しいのぅ♪ 言えばくれるじゃろうか?」
 近寄ろうとすれば、彼女の足元で炎を揺らすバルカンのヒメが猫の着ぐるみへと駆けようとし、ケイがそれを止めようとする。その様子を見て、ランは仲良しだと柔らかく微笑んだ。
 どこか幻想的で夢のような空間。この光景を見て、皆の反応もそれぞれ。
 宵の口・マルコ(c15900)は、月のように輝く金の瞳で空を見、子供へと視線を移す。
 虚ろな瞳で踊る子供達。ただただ立ち尽くす村人達。
 まるで夢のパレード。行かせる訳にはいかない。村人も、子供達も皆、目を覚まして貰わなくては。
「……行きましょう」
 想いを胸に静かに彼が呟けば、こちらを気にした様子も無く踊り続ける子供へと彼等は近付く。
「いざ、尋常に……」
 ランは姿勢を正し深々と優雅な礼をした後、太刀を構えた。

●踊る歌声
「さあ、いくわよ!」
 アイスレイピアの星霊術士・ファイナ(c03790)がアイスレイピアを構えれば、それが戦闘開始の合図となった。その掛け声と共に戦場を吹き荒れる冬の嵐。それはどこか悲しげな踊りを踊る、兎の着ぐるみを纏った男の子を襲い足を凍り付かせる。
「行って、忍犬!」
 キーアが右手に握った槍を、対象となる兎の着ぐるみの少年へと指せば忍装束を纏った犬が真っ直ぐに駆けて行く。そのまま凍り付いた足へと勢いよく噛み付き、また少年の動きを止める。
 ミコトが鞭を勢いよく振るえば、それは敵を包囲し結界となる。
「その着ぐるみ欲しいのじゃ♪ だめかぇ?」
 愛らしい着ぐるみに心奪われたミコトは、少女を包囲しながらも笑顔で語り掛ける。年の変わらぬ子供達に向かい――。しかし、子供達の瞳は虚ろでこちらの言葉に頷く事は無い。
「これは夢じゃない……現実だ。今、悪夢から解放する!」
 その虚ろな眼差し。そして踊り続ける子供達を見て、山杜ノ赫絲・マヨリ(c25799)が叫び野太刀を構える。そのまま勢いよく振るえば、手を繋ぎ仲睦まじく踊るカナリアの着ぐるみ着た少女を襲う。
 こちらが武器を振るう中も、子供達の踊りが止まる事は無い。
 くるり、くるり。
 可愛らしく幻想的なその光景は止まることなく、どこからか曲が聞こえてくるよう――。
 手を取り合い、猫の着ぐるみを着た女の子達が楽しげに口ずさみつつ踊れば、マヨリやレイの身を炎が包み。兎の着ぐるみの少年がせつなげな歌声を披露しつつ踊れば、ジゼルの身が傷付く。
 しかし彼女は魔鍵を握り締め、手を取り合うカナリアの少女へと投げ放つ。月灯りと街灯から生まれた少女の影に、真っ直ぐ飛び魔鍵は確かに突き刺さった。マルコが続き勢いよく地面を叩けば、鋭い衝撃波が少女へと飛び――衝撃に耐えきれず、カナリアを纏った少女は高らかな声を上げ倒れた。
 パートナーを失ったカナリアの少年は、それでも尚歌を奏でつつくるりと舞う。
「君たちは何が好きだ? チャンバラ? 読書? おままごと? 踊っているだけで楽しいかい?」
 レティーファが下ろした銀の髪を月光に煌めかせながら、星空を高々と飛び上がり蹴りを与える。レイが続き薔薇の幻を舞わせ華麗な斬撃を披露する。キリスティアは太刀を握り、真っ直ぐと駆け気魄を乗せつつその身にのしかかる。
 尚踊る子供達の姿を見て、ランは澄んだ瞳を細め優雅に微笑む。
「可愛らしい踊りのご披露は日を改めてお願い致しますわ」
 そのまま野太刀を大きく振りかぶれば――その斬撃は一緒になり踊る犬の着ぐるみを着た少年を巻き込みつつも、カナリアを纏った少年がぐらりと身体を傾げる。
 どさり。
 地面に重いものが当たる音が、耳に残るほど大きく響いた気がした。

●温かい想い
 兎の子供達の動きを封じたエンドブレイカー達。カナリアを纏った子供の意識を奪い、次なる目標を犬の着ぐるみ纏う少年達へと向ける。
 少年は大振りなダンスでレイを傷付ける。――一緒に行こうよ夢の城。その言葉に続くように、兎の着ぐるみ纏った少女がまた、少女を襲う。
 レティーファが庇うように前を駆け蹴りを繰り出す。ファイナの呼ぶ冬の嵐が吹き荒れ、自らの影を生み出したキーアは、その巨大な影で少年を殴った。
「城へ行ったら、もう家族やこの村の皆と遊べなくなっちゃうのよ!」
「皆様が夢のお城へ行ってしまったらお父様やお母様が哀しみますわ。そんなお顔は見たくないでしょう?」
 マヨリが大きな太刀を軽々と振るい、ランも語り掛けつつ同じ動作を行う。
 虚ろな瞳をし、踊り続ける子供達に言葉は通じるのか。それは分からない。しかし子供達を救うことに全てを賭け、エンドブレイカー達は子供達に問いかける。幸せというものを。
 レイが薔薇の幻を舞わせつつ剣技を見せれば、また1人少年が倒れる。
 ――それがきっかけとなったのか。パートナーを失った、もう1人の犬の着ぐるみを纏った少年は狙いをレイへと定める。何やら口ずさんだかと思うと、彼の踊りや兎の踊りがレイを。そしてマヨリをも襲っていく。くるくると。くるくると。可愛らしいダンスは止まらない。
「きゃあ!」
 続く攻撃にレイは悲鳴を上げ、その場に膝を付く。慌ててマルコが牽制するように地面へハンマーを勢いよく叩きつけ、衝撃波を犬の少年へと放ったが――彼の命令は止まらない。続く猫の踊りを受け、レイはその場に倒れた。
 ジゼルは魔鍵を握り締め、蓄積された傷を癒す為深い青の瞳で戦場を見渡す。マヨリの傷を魔鍵の力で塞ぎ、ミコトが鮮やかなピンクの髪をふわりと広げつつ、月光の中清らかな舞いを踊る。鈴音響き戦場へと広がる祝福の舞いは、ジゼルとランの傷を癒した。
 傷の癒えたランは、ふわりと柔らかな笑みを浮かべて少女に向かい会釈を。そのまま子供達を見据える。敵を倒す事が、回復をして貰った仲間へ対する礼になるから。
 癒しが飛び交う中、キリスティアは真っ直ぐ犬を纏う少年へと駆け行く。戦いの中から、繋がる気持ちもあると信じて。彼女は長い緑の髪を靡かせ、太刀を振るい勢いよく少年へ向かう。
 ――夢は現実の世界で頑張ってこそ得られるものだ。
 その想いを伝えるように、彼女は太刀を少年へと叩きつける。響く剣を振るう音。
 そのまま少年は動きを止めて倒れた。
 既に傷を負い、動きを封じられた兎の着ぐるみ着た少女へ向かうマヨリ。
「子供たちは拒絶体です。無駄な殺生は無用!」
 救える命ならば救いたい。その想いを込め、命を奪う攻撃は行わないよう彼は気遣いつつ刀を扱う。ミコトが霊力込めた鶴の符を放ち、キーアが力を込めつつ巨大な影で攻撃すれば1人倒れる。
 尚も踊る子供達。兎の耳が揺れ、猫の尻尾が揺れる。
 そんな子供達を見て、ジゼルは風に揺れる宵闇の髪を抑えながら笑みを零した。
「――ねぇ、みんな、お菓子は好き?」
 柔らかな声で語り掛ける。幼い子供ならば、甘いお菓子は好きである筈。しかし、反応は無い。
「踊り疲れたでしょう? 少し、休憩しましょう?」
 諦めずに語り掛けても、子供達の反応は……無い。ジゼルは溜息を零し、魔鍵を握る力を込めると紅蓮の門を開き数多の火炎を放ち兎の着ぐるみ纏う子供達を焼き払う。
 キリスティアが居合を行い、レティーファが跳躍し華麗な蹴りを行う中、ランは緑の瞳を瞼で覆い精神統一を行う。ゆっくり、ゆっくり。深呼吸を行い心の目を開けば、敵の隙を見出せるはず。
 踊る子供達。手を取り合い楽しげに踊る猫を纏った少女達の舞いは、炎を伴いマヨリを襲う。
 続く少女の攻撃。炎が纏う。纏う。調和の取れたその動きは、こちらの態勢を整える暇を与えてはくれなかった。続く攻撃にマヨリはがくりと膝を折り、地面へと剣を突き立て立ち上がろうとする。
 しかし、その力も続かない。彼はそのまま支える力を失い地面へと倒れた。
 傷付いた彼を庇うかのようにマルコの地面を打つ気合いの入った衝撃は戦場に広がり、兎の耳を揺らす子供達を傷付け、ファイナの召喚した冬の嵐もまた戦場を勢いよく吹き荒れる。通常よりも大きな嵐となったその吹雪は、氷柱を生み次々と子供達に襲い掛かり――2人の子供の動きをまた、止める事に成功した。

●温もりの絵本
 残るは手を取り合い、仲睦まじく歌を歌う猫の着ぐるみを着た少女のみ。
 少し油断した為かこちらにも被害は出ているが、ここまでくればもうひと押しだ。敵の動きを封じ、数多の対象への攻撃が可能だった者が多いのは、かなり有利に運んだだろう。
「頑張るよ!」
 あともうひと押し。レティーファは自身を勇気づけるように声を上げると、そのまま天へと飛び上がりそのまま急降下する。キーアが自身の影を用いて攻撃を行い、ジゼルの魔鍵が影へと突き刺されば1人が地面へと倒れる。それでも少女達は、尻尾を揺らしながら踊るのを止めはしない。
 ランは野太刀を握り締め、真っ直ぐ少女目掛けて駆けて行く。
 可愛らしいその容姿を見ていると、攻撃をする事は心が痛む。だが――。
「手加減は致しません。お赦しくださいませ……!」
 高らかに宣言をしつつ、彼女は野太刀を斬り上げる。視界に映る鮮やかな緑の髪……キリスティアも太刀を握り締め、真っ直ぐに少女へ軌跡を走らせた。
「もう一度考えてみるべきだ。これが正しい事なのかと」
 夢の城の魅力を忘れる事が出来るように。只それだけの想いを込め、彼女は少女に語り掛ける。
 ふわりと宙を舞うミコトの作り出した符。それは聖なる龍神となり襲い掛かり、また1人の少女が横になる。ファイナが冬の嵐を呼べば、残る1人の少女の身を凍てつかせる。
 ふらり、ふわり。夢見心地の足取りのまま、それでも少女は歌い続ける。夢の城を目指して――。
 しかしその歌を遮るように、マルコがハンマーを握り締めながら真っ直ぐと金の瞳を向ける。
「何処に行くのでしょう。そこは果たして本当に良い所なのでしょうか?」
 一つの疑問。静かな問い掛け。それは少しずつ、夢から覚める波紋となり広がっていく。
 夢の城。それは惑わしの場。その名の通り夢の場所。
 それよりも、この村では楽しい事がいっぱいいっぱいあるから。そして何より、それは現実だから。
 小川遊びや木登り、花の冠等自然と戯れる事。母親の作った手料理の味。全てが無かったものとなる。だから、行っては駄目。全てを失う事になってしまうから。
 ――怖がらないで。俺達は君達を救う為に此処に来たんです。
 マルコはそっと、優しげな笑みを浮かべ手を伸ばす。大きな手が、とても頼もしく見える。
「手を伸ばして。俺達はその手を離さないから」
 戦闘中、常に掛けられた現実の素晴らしさ。そして差し出される、温かい手。1人残り、歌を歌っていた少女は歌を止める。夜色の虚ろな瞳は、ぼんやりとしているけれど――それでもぐるりと。集まるエンドブレイカー達を見た。
 ゆっくり、ゆっくり。彼女はマルコの手を取る。
 それを合図に、レティーファが勢いよく少女を蹴り上げる。ごめんね。その一言を零しつつ。
 ぐらりと揺れる少女の身体。マルコの手を握ったまま、少女はその場に倒れ伏した。
 ――しかし、少女の顔には柔らかな笑みが浮かんでいた。

 全てが終わり、星瞬く空を見上げれば、消え失せていく硝子の螺旋階段。
 消えゆく姿を見て、エンドブレイカー達は顔を見合わせ安堵の息を吐く。1つの事件は、収束した。
「お手合わせ有難うございました」
 手にしていた野太刀を鞘へと納め、ランは正しく礼をする。そのまま皆、倒れた子供達の様子を伺う。――大丈夫。どの子も気を失っているだけで、命に別状は無い。
 また安堵の息を零し、彼等は笑みを交わし合う。
「みんなで頑張った甲斐があったね!」
 レティーファはとびきりの笑顔で、仲間へと語り掛ける。不幸へと誘われる事無く、無事に終えられた事が誇らしくも嬉しい。
「さて、子供や村人を助けましょうか」
 起きてくれるかしら……? とある村の事件を思い出しつつ、ファイナは子供へと近付き肩を揺する。それに倣い皆でこの村人を助ける為にそれぞれ声を掛けて回る。全ての村人を自宅へと帰すのは大変な事だろうが、時間が掛かっても問題無い。全て終わったのだから。
 ――この村で起きた、夢の架け橋の事件。それは夢のように儚く消えた。
 ――残るは『夢姫』レム。少女の作る絵本の終わりを、これから紡がなくてはいけない。



マスター:公塚杏 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/09/25
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