ステータス画面

ガリクソンとナマケモノ

<オープニング>

●ガリクソンドリーム
「おおおぉぉぉ、わしのキノコが……わしのキノコがぁぁ!」
 ガリクソンさん(68歳)は森の中で倒木が多くあるエリア、通称『ガリクソンさんの秘密のキノコ畑(そのまんま)』にキノコを取りに来て、キノコを食い漁っているバルバを見つけ木の陰に隠れた。
「ひい、ふう、ひっ、ひっ、ふー。ち、違う……こ、これはラマーズ法ぢゃっ」
 ガリクソンさんは自分でツッコミを入れた。
「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ……4匹もおるわい」
 どうする、わし? 手持ちの見えないカードには、村人に応援、キノコ畑放棄、その他とある。
「村人に応援……だめぢゃ、秘密の畑がバレてしまう。キノコ畑の放棄……これもだめぢゃ、明日からどうやって暮らせばいいんぢゃ。その他……そうぢゃ、村人じゃない誰かに助けてもらおう」

●ガリクソンファンタジー
「こちらが依頼人のガリクソンさんです」
 竪琴の魔曲使い・ミラは皆に老人を紹介すると老人はぺこりと頭を下げる。
「わしのキノコ畑がバグラバグラというバルバにに荒らされておるんじゃ、退治してくれんかのぅ。ところで、今の『バグラバグラというバルバ』の部分は韻を踏んでて良いと思うんぢゃが、どうぢゃろう?」
 笑みを浮かべて問う老人を前に、皆が顔を見合わせる。困っているのかふざけているのか、よくわからないからだ。
(「マスカレイドが絡んでるのか?」)
 誰かがそっとミラに耳打ちすると、
(「いいえ、マスカレイドは関わっていません。しかしここで助けないとガリクソンさんは、顔見知り5人でバルバ退治に向かって皆殺されるエンディングが見えたのです。だって、この5人全員よぼよぼのお爺ちゃんなんですよ」)
 ミラにそう小声で返され、天を仰ぐ。

●ガリクソンのこれから
 ガリクソンさん(来月誕生日で69歳)がトイレに行っている間にミラが説明を続ける。
「バグラバグラはミツユビナマケモノのバルバです。地上での動きは遅いですが、木の上となるとかなり機敏に動きます。木の上に逃げられる前に戦闘に持ち込めれば有利に戦う事ができるでしょう」
 ちらっとトイレの方を一瞥し、ミラは続ける。
「ナマケモノなので首はありません、頭がにゅーって伸びます。あ、爪は鋭いので注意するのと、取り逃さない様お願い致します」
 トイレから帰ってきたガリクソンさんが今一度神妙に頭を下げる。
「嬢ちゃんが是非とも手伝わせて欲しいとの事なので、期待させて頂きますぞ。たいしたお礼も出来ぬが、キノコ鍋を御馳走するので、お願いしますぢゃ」
 とぼけた爺さんではあるが、困っているのは確かだし、助けなかったからと死なれては寝覚めが悪い。エンドブレイカー達はガリクソンさんと酒場の扉を開け、出発するので……。
「ちょっと待ってくれ、残尿感が……もう一度トイレへ」
 ……もう少し後に出発するのであった。


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参加者
シールドスピアの城塞騎士・ログレス(c00473)
大鎌の星霊術士・セフィラ(c02035)
盾の城塞騎士・ロイ(c02427)
槍の城塞騎士・ティール(c02667)
暗殺シューズの群竜士・エキリ(c02680)
太刀の魔法剣士・サヨ(c02704)
斧の城塞騎士・ギロチーヌ(c02927)
太刀の群竜士・シーク(c03349)
爪の魔獣戦士・リット(c04276)
大鎌のデモニスタ・マリアリア(c04354)

<リプレイ>

●ガリクソンロード
「とても68歳には見えないですわ」
 にこやかに話し掛ける太刀の魔法剣士・サヨ(c02704)に、そうぢゃろそうぢゃろ、来月69歳になるが気持ちはいつもヤングボーイぢゃ。と返しながらガリクソンはご機嫌で、会話を楽しみながら一行はキノコ畑に向う。 
「おーおー、キノコ畑にはその様なものがあるのですな?」
 盾の城塞騎士・ロイ(c02427)の問いにうんうんと頷きながら、あのキノコが生えてきた時は……と苦労話を語りながらガリクソンは満足そうに目を細める。太刀の群竜士・シーク(c03349)の入念な準備が功を奏し、早々に現場に辿り着いた一行は風下から茂みに隠れながら近づく。
「アレですぢゃ」
 茂みの影からガリクソンが指さす方向を見ると、確かに森の中のぽっかり開けた部分に4匹の直立するナマケモノ。ミツユビナマケモノのバルバ、バグラバグラがキノコを咀嚼している。
(「おっと、気付かれるといけねぇ、ここからは小声だな」)
 暗殺シューズの群竜士・エキリ(c02680)が口の前に指を立て皆に注意を促す。
(「では気付かれないうちに囲んでしまいましょうか?」)
 爪の魔獣戦士・リット(c04276)が柔和な笑顔を浮かべたまま提案すると、皆が頷いて二人一組のチームを作る。
(「それも大事ぢゃが、飯はまだですかな?」)
 緊迫感なく言い放つガリクソンに、
(「さっき食べたでしょう」)
(「おじいちゃん、お昼ごはんはもう食べたでしょう」)
(「じいさん、飯はさっき食べただろ?」)
 大鎌のデモニスタ・マリアリア(c04354)、槍の城塞騎士・ティール(c02667)、斧の城塞騎士・ギロチーヌ(c02927)の小声ハモリツッコミトリプルアタック! そうぢゃったかのぅ、とガリクソンは意気消沈して沈黙する。
 そのガリクソンを置いて4つのペアがするすると動き始める。
(「じいさん、子供たちのこと頼んだよ」)
 最後の組のギロチーヌが振り返って小声でガリクソンをそう諭す。ガリクソンの隣にはマリアリアと大鎌の星霊術士・セフィラ(c02035)が立っている。共に一行の最年少の6歳である。
「よろしくおねがいしますです」
 ペコリと頭を下げるセフィラと、頑張ルンバとグッとこぶしを握りしめるマリアリアにガリクソンは、
「めんこい子ぢゃのう。こんな子供も戦っておると言うのにわしは……もうひと踏ん張りするしか!」
 と、いらぬハート燃やし始めた。
(「あやや、これはだめです」)
 セフィラは大鎌を足元に置いてガリクソンに話し掛ける。
(「おじいさま、みなさまが配置に着くまですこし時間がありますので、流行の遊びをしてお待ちしましょう」)
 ほぅほぅ、それはなんぢゃな? と問うガリクソンにセフィラは順を追って説明する。
(「まずはおててを後ろに組んで下さい。はい、それをこうやってロープでぐるぐるするです」)
 みぅみぅふにふにしながらガリクソンをロープでぐるぐる巻きにしていく。
(「あぅ、ちょっと手伝ってくださいです」)
 途中、手が届かなくなったセフィラはマリアリアに助けを求めると、
(「あまり動きたくない……お腹すくから」)
 と言いつつ、マリアリアは最小限の動きで手伝ってくれる。
(「さいごに目隠しをしてかんせいっと」)
 これでは見えぬし動けんぢゃないか。ともごもご言ってるガリクソンに二人は草を掛けはじめる。
(「草のおふとんです。ゆっくりおやすみください」)
 さらばガリクソン、ありがとうガリクソン、あなたの事は一生忘れ……
(「誰だっけ……まぁいいや、お腹すいた」)
 マリアリアはそう言ってバルバ達が食べているキノコを見つめる。

●バグラバグラ遁走
 エンドブレイカー達が4方向からキノコ畑に入るとバグラバグラ達は驚いて樹上に逃げようと四散するが、エンドブレイカー達がそうはさせじと行く手を阻む。

「アーイー!」
 1匹のバグラバグラが、行く手を阻むシークを邪魔だと言わんばかりに飛び乗って爪を横に薙ぐ。シークは頬に3条の傷を受けながらも着地して逃げようとするバルバに、
「ナマケモノ……怠けてる割に逃げるのが早いな、こら、逃げるな」
 と頬の血を払いながら足払いをして掴むと、畑の中央に投げ飛ばす。そこを死角からティールが槍で直突きする。
「おっと、逃がしませんよ」
 更に逃げようとするバルバの前に立ちはだかり、流蒼槍をぶうんと回して威嚇する。逡巡するバルバに、シークが編んだ漆黒の髪をなびかせ肘打ちと正拳突きを叩き込む。今だ太刀は抜かれていない。バルバは痛みから逃げる様にシークを避け、ティールに向かって爪を繰り出すが、マントを貫くも爪は武者鎧に当たって乾いた音を立てる。そこに後方から飛んできた黒い刃が突き刺さる。マリアリアのレギオスブレイドである。
「隙あり……終わりだ」
 その隙を逃さずシークが太刀を一閃させると、バルバの無い首の部分から大量の血を噴き出し絶命する。
「うん、まずは一匹」
 そう言ってティールは辺りを見回す。

「恨みはないが仕事だからな」
 エキリが緑のコートを翻しつつ、バグラバグラが樹に逃げようとするのを妨害する。苛立って一声鳴いたバルバが向きを変えて、逃げようとする所にギロチーヌの斧が袈裟斬りに振り下ろされる。
「ハッ、甘い甘い甘いねぇ。逃がさねぇっつんてんだよ!」
 斧の一撃を受けて怒ったバルバは両爪でギロチーヌを引き裂きに掛るが、ギロチーヌも負けじと斧を振るう。右腕と左脇腹に爪の傷を受けたギロチーヌの視界が急に緑に染まった。
「おぬし出血がひどい、ちょと下がれ」
 エキリが飛び込んできたのだ。素直に少し後退したギロチーヌは、かねてから疑問に思っていた事について思案を巡らせる。
(この鎧やっぱり実用性無いんじゃないのかい? いやいや、そんなはずはない、これだけ愛用者が多い鎧……あたいがまだ未熟なだけだ)
 首を振って雑念を振り払ったところにスピカが来て、右腕にギュッと抱き付くと傷口をペロペロと舐め、キュ〜と一声鳴いて消える。セフィラが送ってくれたものだろう。ちらりとそっちを見るとセフィラがぶんぶんと手を振っている。その後ろで草がもごもご動いてるのは何だろう? と思った時、
「アーーイーー!」
 バルバの断末魔に振り返ると、精神統一したエキリの拳がバルバの心臓を捉え、崩れ落ちる所だった。

 バグラバグラの三爪と獣化したリットの五爪が交差すると双方額から血を流して距離をとる。休息をする暇を与えず、ロイがAgainst Windを構えて突進する。それは盾と言うより青い壁、否、青き城壁が迫る様であった。
「恨みはないが、倒させてもらうぞ。人を助け、人の盾たるはブルーランスの矜持なれば」
 突進してきた青い壁に強かに顔面を打たれ、バルバは怒りに任せて爪を振るうも青い盾にガリガリと傷を付けるだけである。側面より繰り出されたリットの獣腕を右手で受け、力比べをする様に爪が閉じ筋肉が盛り上がる。
「ナマケモノに力負けする程弱くはないつもりですよ」
 リットも負けじと力を込めると、バルバの指があらぬ方向に曲がり一声咆えると腕を振りほどいて、なりふり構わず逃げようとする。三歩逃げたところに飛んできた2本のナイフが脚に刺さり、バルバは文字通り転げまわる。見ると少し離れたところでエキリが親指を立て微笑を浮かべている。
「では、終わりにしましょうか?」
 目の奥が笑っていない笑顔を浮かべ、リットが赤く染まった爪を左右に引き裂くとバタバタと動いていたバルバの四肢は糸が切れた様に動かなくなる。
「流石じゃのぅ」
 嘆息しながらそう述べるロイに、何をおっしゃいますとリットも肩をすくめる。

「すまぬが、ここから先は通す訳にはいかぬ」
 逃げた1匹の前に進み出たシールドスピアの城塞騎士・ログレス(c00473)がアイギスの盾鉾を一回転させると、鉾の部分が真円の軌道を描き草を薙ぐ。
「アーイー!」
 バグラバグラは威嚇する様に一声鳴きログレスを避け木に向おうとするが、ログレスの影から赤い髪をなびかせた女性がロジックドレスを揺らし踊り出る。
「……時雨」
 呟きと共に鯉口を切って太刀が鞘から迸るとバルバは左腕を斬り付けられ、再びアーイーと叫んで距離をとる。パチリと再び太刀を鞘に納めるとサヨは居合の構えをとる。
「なかなかに見事」
 称賛するログレスに対して、
「ログレス様の足を引っ張らなくて何よりですわ」
 サヨも目をバルバから逸らさないまま微笑みを浮かべ応じる。二人は積極的に倒すのではなく、木に逃げられる事を阻害するのに重点を置いてバルバに対峙する。2合程打ち合った後、ログレスが踏み込み、サラが間合いを計った間隙をついてバルバが二人を飛び越える。
「しまった」
 木に登られてしまう! 焦ったログレスが振り返って見たものは、逃げれると油断したバルバに華麗にドロップキックを決めるガリクソンさん(御年68歳)の姿であった。
「わしは今、大空を舞う鷹となる」
 なんか言ってるけど、そこはスルーで。

「あれ……いつの間に……余り勝手に動くとお迎え来ちゃうのに……」
 マリアリアが振り返ると解けたロープとまだ温かい草だけがあった。
「じじぃ無理すんな!」
「ははつ、年を取っても壮健な者は壮健と言う事か」
 ギロチーヌの叫びとエキリの呟きが聞こえる中、吹っ飛ばされたバグラバグラの着地点にはログレスとロイ、二人はさっとアイコンタクトを交わすと、タイミングを合わせて獲物を振るう。ドゴンという音が響き、2つの盾に挟まれ押し潰されそうなるバルバに、
「秘剣……紫電」
 飛翔したサヨの太刀が2つの盾の間を上から下へと雷光を放ちながらすり抜ける。と崩れ落ちたバルバという緩衝材をなくしたロイのAgainst Windと、ログレスのアイギスの盾鉾がぶつかり合って鈍い音を立てた時、戦闘は終わりを告げた。

●キノコ鍋
「ガリクソン殿、これでよろしいかな?」
 ログレス達が戻ってきた。死臭が他の獣を呼ぶ事になるからと、エキリの提案でバルバの死骸を少し離れた所に埋めに行ってたのである。
「おぅおぅ、ありがとうございますぢゃ。キノコはだいぶ食い散らかされたが、1ヶ月もあれば元に戻るぢゃろう。皆さんにはお土産にも持って帰って欲しいが、今はキノコ鍋をするので精一杯ですぢゃ、すまんのぅ」
 申し訳無さそうに頭を下げるガリクソンに、一行を代表してロイが、
「いえいえ、お気遣い下さるな。こうして鍋を振舞って頂けるだけで十分じゃ」
 と応じると、
「そうぢゃな、ない袖は振れんしな。また近くに来る事があったら寄って下され、御馳走しますぞ」
 そう言って子供の様な笑顔を浮かべる。
(まったく食えないじいさんだぜ)
 ギロチーヌはそう思いながら鍋のキノコを口に運ぶ。隣ではエキリがキノコ鍋〜♪と子供の様にはしゃぎながらキノコを食べている。辺境暮らしが長かった彼は久しぶりのキノコ料理にテンションが上がっているのであった。
「御老、甘いキノコは無いか、甘いのは」
 シークがガリクソンに詰めよると、このキノコが甘いが、食べると1ヶ月ぐらい耳毛と鼻毛が異様に伸びるという謎の副作用を教えられ食べるのを断念する。
「ガリクソンさん、獣人の話を聞いた事はありませんか?」
 シークの話が終わったタイミングでリットがそう切り出すと、
「おぬしの様に魔獣戦士はしっとるが、獣人というのは知りませんぢゃ……あ」
 と言うガリクソンにおっ! と期待を込めた目でリットが続きを促す。
「その昔、俺の下半身が獣になるぜ! と言って村の娘達に獣人と呼ばれた男ならここに」
 そう言って胸を張るガリクソンに冷たい目でアリガトウゴザイマシタと言ってリットは離れる。
「……おかわり」
 座ったままおかわりを受け取って食べるサヨの太腿に、セフィラがちょこんと座りリボンを揺らしながらお行儀よくキノコを口に運ぶ。その隣にはマリアリアが座り、一心不乱にキノコ鍋を食べている。一行の中でサヨとマリアリアの食べっぷりは半端なく、あっと言う間に鍋のキノコは無くなった。
 キノコ鍋を堪能し帰り支度をする一行の中で、ティールは鍋から取り除いて置かれた捻じれてまだら模様のキノコを見つける。
(鍋の中にはなかったな……もしかしてレアものキノコか!?)
 ティールはひょいと口に入れる。それを見たガリクソンが、それはいかん! と叫んだが遅かった。ティールはおもむろに天に拳を突き上げると胸の前に振り下ろし渾身の力を込めて何かを叫ぼうとして鼻血を出してぶっ倒れた。
「『妄想だけ』というキノコじゃ、2〜3日寝込むがまぁ命に別状はないぢゃろ」
 かくてティールはロイの盾を担架にして運ばれる。
「わしの盾は人を護る盾であって、人を運ぶ盾ではないんじゃが…」
 ロイの不本意そうな呟きと手を振るガリクソンを後に一行は帰路に着くのであった。



マスター:刑部 紹介ページ
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いまいち
参加者:10人
作成日:2010/04/22
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