ステータス画面

逃亡のシーディアホーン

<オープニング>

●逃亡のシーバルバ
 『獣王』と『獣王妃』を失った深海のシーバルバマスカレイド達は、大混乱に陥っていた。
 深海の領主であるマスカレイドの中には、新たな獣王となるべく他の領主達との戦いを始める者までおり、混沌とした状況となったのだ。
 この状況に目をつけたのが『怪盗』ファルケイン。
 奴は言葉巧みにシーバルバマスカレイド達に取り入り、その軍勢を自分の配下に組み込んでいった。
 マスカレイドといえど、所詮はシーバルバ。『怪盗』の弁舌の前に、まんまと丸め込まれてしまったのだろう。
 しかし、一部のシーバルバマスカレイドはこの動きに納得できず、地上と繋がっているという大渦を使い、深海、そしてアクエリオからの脱出を目論んだのであった。

「……ッハァ!」
 びちゃっ、と水を落としながら、獣の影が上がってくる。
 ひょろ長いシルエットに、鹿の頭部。次々に上がってきた幾つかの影は手足に水かきを持つ、シーディアホーンの一群だった。
「オノレ……ナゼ我等が、コンナメニ……」
「ボヤクナ」
 ふらふらと立ち上がったそいつらに向かい、一体のシーディアホーンが静かに言い放つ。小さな声ではあったが、その一言で他の奴等は黙り込んだ。
 それだけの力と権威を、この一体は持っているのだろう。全員の準備が整ったのを確認し、そいつは再び口を開いた。
「アノヨウナ輩、我ハ好カヌ」
 一度、二度と周囲を見回し、シーディアホーンは進む方向を決めたようだ。リーダーらしきそいつに従い、他のシーディアホーンもそれに続く。
「モウココニヨウハナイ……」
 アクエリオから脱出すべく、シーディアホーン達は味気の無い、放棄領域を進み始めるのであった。

●シーディアホーンのアダイル
「皆も知っていると思うが、アクエリオのエンディング……大きな戦いが近付いている」
 トンファーの群竜士・リー(cn0006)は酒場の片隅にエンドブレイカー達を集め、硬い表情で話を始めた。
「拒絶体マスカレイドとなってしまった水神アクエリオ、そして魔王の部位を持つマスカレイド達……今は決戦に向けて準備を整えているといった所か。しかし全てのマスカレイドが、その戦いに挑もうという訳ではないようだ」
 どういうことだと問うエンドブレイカー達に、リーは続ける。
「深海の……獣王配下だったシーバルバマスカレイド達が、アクエリオから脱出しようと大渦を越えて放棄領域に現われ始めているらしい。獣王の支配が無くなった奴等が、アクエリオから脱出しようというのは分からない話では無いが……」
「マスカレイドを見逃す訳にはいかない」
 続けたエンドブレイカーの言葉に、リーは頷く。
「その通りだ。不幸中の幸いか、奴らは地上の様子を知らない。結果、アクエリオからの脱出路を求めて、見当だけで適当に放棄領域を歩き回っているようだ。そこを襲撃して、撃破してくれ」
 それからリーは敵のシーバルバマスカレイドについて、説明を加えていった。
「皆に倒してもらいたいのはシーディアホーンの一群だ。ディアホーンは鹿の頭部を持った背の高いバルバで、この群れを率いているのはアダイルというシーディアホーンだ。こいつの右腕は鋭いトゲが何本も生えていて、それで敵を殴りつけたり、針を発射してきたりする。針には毒もあるようだから、注意が必要だな」
 こいつと戦う際には、心して挑むようにしてくれとリーは言う。
「それから配下のシーディアホーンが四体だ。こいつらは槍を手にしていて、槍風車や百烈槍で攻撃を仕掛けてくる。配下ではあるが、油断していると足元をすくわれるかも知れないぞ。それからそのうち一体が、苔を生やした古びた宝箱を背負っているらしい」
 中に何が入っているかは不明だが、深海から持ち出して来たのだろうとリーは言う。
「こいつらをここで取り逃がせば、もう探し出すことはほぼ不可能だろう。奴らが別の都市国家に辿り着くかどうかは分からないが……万一到達してしまえば、その都市でまたマスカレイドの被害が出てしまうことだろう。それを阻止する為に、シーバルバのマスカレイド達を倒してくれ」
 マスカレイドの被害を広めてなるものか。リーの言葉に、エンドブレイカー達は真剣な眼差しで頷くのだった。


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参加者
盗賊の娘・イヴリン(c00723)
月灯願倖・セツカ(c00808)
夢紡・フェリス(c00931)
白騎士・カイジ(c02217)
宵銀月・ラス(c05348)
双翼の歌姫・フィアナ(c05484)
ついぞ想わぬ・アズハル(c06150)
リネアメンタ・イザーク(c08333)
銀糸の守人・フェイ(c17133)
守銭道・リンネ(c25268)

<リプレイ>

「他の都市に影響があるかもしれないなんて……マスカレイドをそのままにしてはおけないわね」
 月灯願倖・セツカ(c00808)を始めとしたエンドブレイカー達の一行は、アクエリオの放棄領域を進んでいた。深海と繋がる例の大渦から伸びる水路を辿り、森林地帯から荒野地帯へと変わろうという辺りか。
 セツカが言うように、他の都市への逃亡を目論むシーバルバが深海から上がってきたとの情報を得て、その退治をしようと捜索を続けていたのだ。
「どこにいるんだろうな?」
 シーディアホーンのマスカレイドを探す白騎士・カイジ(c02217)。
「少しでも早く見つけられるようにしたいですね」
 耳を澄ませ、物音に注意しながら銀糸の守人・フェイ(c17133)は仲間達との距離にも気を配っている。
「足跡でも水の跡でも、兎に角手掛かりを追うしかないっすー」
 隠るのと探すのとでは、やはり探すのを優先せねばなるまい。アクエリオを脱出されてしまっては、それこそ追跡は不可能に近くなる。
 何か手掛かりは無いかと眼を凝らす守銭道・リンネ(c25268)が、乾き掛けた足跡を指差した。
 一同はそれを手掛かりに、追跡のスピードを上げた。
「背の高いシーバルバでツノまで生えてるから、にょっきり目立ちそうよね」
 言いながら盗賊の娘・イヴリン(c00723)は辺りを見回す。荒野が近付くにつれ木や茂みの量が減り、徐々に障害物も少なくなってくる。岩などがあるので完全に何も無い訳では無いが、視界の良さは段違いだ。
「あれは……!」
 イヴリンが指差す先に、背の高い鹿の獣人の群れがある。シーディアホーンのマスカレイドの一群に間違いないだろう。
「見つけたか。しかし奇襲は……厳しいか」
 宵銀月・ラス(c05348)が仲間達とタイミングを合わせようとした所で、敵の方にも動きがあった。
 どうやら追跡に気付き、迎撃体勢を取ったようである。

「アクエリオに見切りをつけて脱出しようとしているマスカレイド、か」
 夢紡・フェリス(c00931)がハンマーを手に、ダッシュで敵との間合いを詰める。狙いは右腕に棘を生やした、一番強そうな奴だ。
「他所に行かれても困るから、ここで退治しておかないとねー」
 闘気を帯びて突き出されたハンマーを、シーディアホーンは右腕で受け止めた。情報によれば、そいつの名はアダイル。この群れのリーダーだ。
「あ?」
 叩き付けるようにしてフェリスのハンマーを払い、そのままその腕で殴りかかってくる。喉の辺りを思い切り打たれ、激しい痛みがフェリスに叩き込まれた。
「新たな枠組みに取り込まれる事を是としない者が逃亡してもおかしくはないけれど、マスカレイドであるならば倒さないと、だね」
 そこにリネアメンタ・イザーク(c08333)も踏み込み、回転させた棍で打撃を与える。ガガッとアダイルの腰を打ち、そのままくるりと棍を翻して構えた。
「エンドブレイカー……コンナ所マデ」
 牙を鳴らし、恨みの言葉を吐き捨ててから配下のマスカレイド達に指示を出すアダイル。しかしその地面から、衝撃波が噴き上がって来た。
「何処へ逃げる気だ?」
 打ち込まれたのはラスの震脚だ。小さく舌打ちし、アダイルはバックステップで下がってから右腕を振り上げる。
「……そうそう上手くはいかないっすねー」
 リンネの投げた手裏剣が察知され、ギィンと弾き飛ばされたのであった。

「ヒュプヒュプ……ふわもこにしてあげて♪」
 配下のシーディアホーン達の前に双翼の歌姫・フィアナ(c05484)の星霊ヒュプノスが着地し、眠りの魔力を染み込ませてゆくが……二体のシーディアホーンは何とか耐え、槍を回転させて旋風を巻き起こす!
 ダブルの槍風車がフィアナに襲い掛かり、衣装を揺らして動きを縛り付けてゆく。
「他の都市にマスカレイドを向かわせる訳にはいかない。俺達が彼らを確実に退治するよ、うむ」
 その片方に向かい、ついぞ想わぬ・アズハル(c06150)が飛び込んだ。不意の蹴りをみぞおちに叩き込み、纏った風を四散させる。そのまま棍で槍を思い切り跳ね上げさせた。
「お前等に逃げ場所は無いぞ、覚悟しろ!」
 生まれた隙を狙って、カイジがナイトランスを捻じ込んだ! 腹に突き刺さった衝撃に、シーディアホーンの口からがはっと血飛沫が舞った。
「……このまま外へは、行かせないわ」
 セツカが真っ直ぐに扇を突き出して、開く。同時にまるで雪の花でも咲いたかのように、セツカの纏う空気が張り詰めた。
 その主の意志に応えるように、妖精達が舞い飛び、翔ける。携えた針でプスプスシーディアホーンの体を穿ち、仮面に向かって三つの穴を打ち込んだ。
「フイユ!」
 最後に一つ。仮面の真ん中に穴が穿たれる。そこから亀裂が広がって仮面が砕け散り、シーディアホーンはその場に崩れ落ちるのであった。
「ちゃっちゃと頭数を減らしたいわね」
 その活躍にひゅうっと息を吐いてから、イヴリンは魔鍵を突き出していた。完成させたリペアキーの魔力でフィアナのダメージを塞ぎ、体の縛りを開放する。
「みてみて、あれっ!」
 直後にイヴリンが何かに気付き、声を上げた。シーディアホーンの一体が、宝箱を担いでいたのである。
「ウオオオッ!」
 だがそいつもブンブン槍をぶん回しており、起こした旋風でセツカを攻撃し始めるのだった。
「ここで逃がしてしまったら、後味が悪くなりそうですね……倒してしまいましょう」
 次の敵を目指してフェイが敵陣へと駆け込んでゆく。一体の腹へ横薙ぎの斬撃を叩き込み、そこから生まれた衝撃波が二体目も引き裂く。
「クソッ!」
 だがその二体目が槍を何度も突き出してフェイの体を突き、そのまま槍衾の構えでこちらの動きを窺い始めた。

「邪魔ハ、サセン!」
 振り回されるアダイル右腕がイザークの顔と肩を殴り、皮と肉を棘で抉ってゆく。だがその間にフェリスが逆サイド、やや後方よりまで回り込み、スタンインパクトを叩き込んだ!
「宝物が気になるけど、とりあえず倒さないとだね」
 ばちっと闘気が一瞬だけ、アダイルの体を揺すった。その瞬間にイザークも地面を蹴り、棍を回転させた。
「力いっぱいがんばるね」
 あれだけの攻撃を受けたにも関わらず、静かな心で打撃を打ち込む。それが自身の動きを正常に保つものだと、イザークは知っているのだ。
「隙ありっすー」
 投げ込まれたリンネの手裏剣が炸裂し、その影で別の数枚がアダイルの影を地面に縫い付けた。突然縛られた動きに、微かにアダイルは動揺を見せる。
 そしてその直後、天より降り注ぐ光が、イザークとフェリスの傷を癒してゆく。
 ラスが楽園の門を開き、陽光を招き入れたのだ。
 自身が静かな心で戦えるのも、仲間が居るからだ。その援護を噛み締めるように、イザークは小さく頷くのだった。

 フェイの刃が槍の穂先をガキンと叩き、シーディアホーンの槍衾の構えを打ち崩しにかかる。しかし相手はすぐさま突きの連打を返し、フェイの体をガスガス突いた。
「ソウソウ好キニ、ヤラセルカッ!」
 愉快そうに笑うシーディアホーンだが、フェイも揺るがない。僅かに身をずらすように、半歩だけで立ち位置を調整した。
「アクエリオの棘は、ここで終わらせる!」
 アズハルが気魄を乗せつつ飛び込んできたのだ。一撃で相手の槍を持つ腕を払い、蹴りをぶち込む。
「癒しの舞……いっくよー」
 にこっと優しい笑みを浮かべ、杖を中心にフィアナが舞った。
 同時に大地に描かれるは、治癒の魔方陣だ。その輝きでフェイを回復させ、破れた傷口を塞いでゆく。
「深海からわざわざお越しのところ悪いけど、あなた達をにがすわけにはいかないのよね」
 言い放つイヴリンの目の前に、巨大な門が出現する。魔鍵をかざして開かれたそこから、怒涛の炎が噴き出した。
「ギャアアアッ!」
 じゅっ。炎の流れがアズハルの前でシーディアホーンを呑み込み、焼き尽くす。仮面が灰に変わったのを確認し、イヴリンはニッと笑顔を浮かべて見せた。
「他所に行ってもマスカレイドに居場所はない!」
 ナイトランスと共に突撃するカイジだが、シーディアホーンの突きがガスガス胸を叩く。
 僅かにカイジが下がった所に、ふわりと妖精が降り立った。
「……」
 キラキラ輝く碧の羽を羽ばたかせ、妖精と同化したセツカが敵を斬り裂いてゆく。
 羽ばたく度に光が煌き、飛び回るように斬撃が叩き込まれ、ぱきんと仮面が砕け散った。
「くっ……」
 そのセツカを狙って、宝箱を担いだシーディアホーンが、槍風車で攻撃を仕掛けてくる。さっきもこいつは自分を狙ってきたか。セツカは小さく息を吐いた。
「炎の舞、見せてあげて!」
 フィアナの召喚した星霊バルカンが猛り、尾から炎弾を打ち込んでゆく。
「お前達を生かしておく訳にはいかないんだ」
 燃え盛るシーディアホーンの元にアズハルも踏み込み、棍を思いっ切り振り抜いた。勢いのままに身を捻り、更に打撃を与えてゆく。
「何が入っているんだろうな?」
 宝箱の中身が気にはなるが、今は力を集中する時。カイジの突撃が敵の胸にめり込み、みしみしと軋ませた。
「狙っていくっすよー」
 リンネの命で忍犬が唸り、回転しながら突っ込んでゆく。ばぎゃんと敵を腹を食い破り、宝箱が落ちてその背に乗った。
「おおおーっ!?」
 戻ってきた忍犬が背負うは、戦利品の宝箱。その先でガシャンとシーディアホーンは力尽きて崩れ落ちた。
 この光景に、リンネは思わず歓喜の声を漏らすのだった。
「きゃー、すごいすごいっ!」
 運をつかめるのも実力のうちと、その栄光を祝福しながら、イヴリンは魔力を完成させていた。
 リペアキーの力でセツカを回復させると共に、それじゃあ後は敵を倒すだけだと笑みを浮かべる。

「護る為に……行くわ」
 セツカの意志が妖精達の力となり、嵐の陣が展開される。
 針を携えた小さな光が幾つも舞い、アダイルへと突撃していった。
「ヌゥ……」
 全身を穿たれ、呻くアダイル。うるさそうにブンブン右腕を振り回し、その針が静かに震え始める。
 ががががががががががっ!
「くっ!?」
「これは……!」
 針のばら撒き攻撃。しかし……長い! どれだけの量の針を打ち出そうというのか? フェリスが、イザークが、ラスが、ざくざく針の雨を浴びて、徐々に血の色に染まってゆく。
「やりすぎ……だよ……」
 眼に流れ込む血を拭いながら、何とか体勢を保とうとするフェリス。そこでフェイが紋章を描き、コルリの力を解き放った。
 治癒の意志が両腕を広げ、フェリスとラスを包み込む。そうして静かに穿たれた傷が、優しい光で治療されていった。
 動けるならば、力を放て。
 フェリスがスタンインパクトを突き出し、アダイルの腹部へ衝撃と痛みをぶち込んだ。
 相手の体がビクンと揺らぐ。
「棘を倒せるよう、なんとか頑張らないとね」
 イザークは清らかな風を自らの元に呼び込み、傷口と出血は止めることができたようだ。そうして戦えることを確かめるかのように、棍をしっかり握り締める。
 回復の時間を稼げるように、ラスは大地を思いっ切り踏みつける。その強烈な衝撃が波動となり、アダイルをガクガク大きく揺さぶるのだった。

「この歌で、見送ってあげるね」
 ひらりと舞い、歌を紡ぐフィアナに応えるようにヒュプノスが跳ね、アダイルに眠気を注ぎ込んでゆく。
「明日の未来を、開く為に」
 眠気に抗おうともがくそいつの目前に踏み込み、アズハルは棍を叩き込んでいった。胸と腹とを縦に撃ち、そこにカイジもダッシュで向かう。
 がすっ!
「くっ!?」
 だがその突撃を、棘の腕が打ち返した。
 振り出された一撃で顔面を殴られ、勢い余ってカイジはガシャンと倒れ込んだ。
「逃がさんようにいくっすよー」
 援護に忍犬を走らせるリンネ。咥えられた忍犬刀が敵の胸を薙ぎ、僅かに怯ませる。
「ごめんね、地上にもキミたちの居場所はないみたいなんだ」
 そこにイザークも立ち塞がり、棍を振り出して思い切り打ち据えていった。
「フイユ……お願い。みんなの為に力を貸して……」
 その間にセツカは祈りを捧げるように精神を集中させ、妖精『フイユ』に光の輪を描かせる。そこに込められた祝福の力が、カイジに立ち上がれるだけの力を取り戻させていった。
「いきますよ」
 アックスソードを振り被り、フェイがランバークラッシュを叩き込む。パラパラと腕の針が斬られて落ち、腹部にも斬撃を叩き込んでやった。
「マスカレイドは逃がさない。恨むなら……恨め」
 踏み込んだ衝撃が噴き上がると共に、アダイルの足元を崩してゆく。ラスの震脚の威力に敵が驚いたその一瞬を逃さず、フェリスが光をハンマー『立葵』に集めた。
 何よりも速く、輝き……貫け!
 ぞんっ!
 踏み込みと同時に繰り出された鋭い突きが、アダイルの腹を貫いた!
 がくがくと揺れ、血を吐くシーバルバ。フェリスは素早く武器を引き抜き、その場から大きく跳び退ってゆく。
 頭上に現われた紅蓮の門が、今にも開きそうだったから。
「ここでぶっ倒させてもらっちゃうわ!」
 イヴリンがその扉を開放し、炎の竜を降臨させる。空気を焦がして咆える炎竜がその顎を開き、奔流となってアダイルを喰らった。
 …………ばきんっ!
 仮面が砕け、灰となって消滅してゆく。焼き払われる敵の最後を確認し……イヴリンは勝利の拳を、力強く振り上げるのであった。

「できれば死体を埋葬してあげたいですね」
 戦いが終わり、仲間達の治療を終えたエンドブレイカー達は、フェイの提案もあってシーディアホーン達の亡骸を埋葬していた。
 失われた命を大地に還し、暫く祈りを捧げ……フェイは静かに眼を開いた。
「そういえば、お宝があるのでしたっけ。どういうものでしょう」
「おぉ、早速あけてみるっすよー」
 リンネは手の平を合わせてニギニギしながら、その宝箱を開いてみた。
「一体中には何が……」
 興味津々で身を乗り出すカイジ。どんなものか気になると、イヴリンもそれを身に駆け寄ってきた。
「これは、服……? いや、水着っすかー?」
 東方の雰囲気を持った水練服で、古びた宝箱に入っていたにも関わらず保存状態はかなり良い。これなら着てもなんら問題ないだろう。
 しかし……。
「シーディアホーン達がこれを持ち出して、一体どうするつもりだったんっすかねー?」
 リンネの問いに一同は首を傾げるが、答えが出る話ではない。
 ともあれ一旦戻ろうという話になり、シーバルバのマスカレイド退治を終えたエンドブレイカー達は、悲劇の広がりを防げた事を嬉しく思いながら、それぞれの帰路に着くのだった。



マスター:零風堂 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/10/03
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