ステータス画面

大鎧

<オープニング>

「無謀なトレジャーハンターが、遺跡の底で妙な物を発見してきてね……。察しの良い人はもう判ったかな? 例のメタルゴーレム絡みの話さ」
 狩猟者・セラ(cn0120)が、そんな感じで話を切り出した。
「鉄神ギガメタルに良く似てて、まあ試作品になるのかな? マスカレイドでもないけど、侮る事はできないよ」
 何しろ試作品と言っても『ギガメタルの試作品』である。並みのゴーレム以上の力を有しているのは間違いないし、試作品ならではの特徴的な機能もあるだろう。
「動く気配はないらしいけど、完成はしているので……。今のうちに倒してしまいたいんだ」
 そう言って、遺跡のある場所を書いて簡単な地図を、そして白紙の部分に情報を書き込み始めた。
 
「外見は、大きめの甲冑とか鎧の類。中は空洞で、サイズ的にも人間が着るのは無理だね」
 そして全身に書きこまれた邪悪な精霊建築の力を発揮して、攻撃を行うのだという。
「色彩は赤で、鹿の様な双角があるんだ。格闘用なのか、ゴッツイ腕があるそうだよ」
 技こそない物の、重視する能力を切り替える事が出来るらしく、実質的にそれが技に匹敵するのだという。
「このゴーレムはまだ動いていない、戦闘が始まれば動き出すとは思うけどね。だから最初の1回は全員の力を合わせて攻撃すれば、少なくない傷を負わせる事が出来るんじゃないかな?」
 強力な相手である、この最初のダメージが勝敗を分ける事になるかもしれない。気合いを入れて掛るべきであろう。
「あ、間違っても挨拶程度で済ませて力比べをする……。なんてのはしないようにね、それで大怪我とかは、ね?」
 そういうのが好きな人が居るのは知っているから、強くは言えないけどね。と苦笑いしながら締めくくった。
「マスカレイド出ないが強敵である。その事を覚えておいてね……。油断しちゃ危ないからね」
 そうしてセラは皆を激励すると送り出した。


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参加者
黎明の紅・サイサリス(c00422)
滅びの北風・ヤンネ(c01189)
尾崎・ナオ(c08194)
金色の夢・レイ(c09602)
散椿の黒猫・エレナ(c11583)
アックスソードの自由農夫・クエヒコ(c14594)
赤案山子の・ジュリア(c17193)
フルールドゥリス・ディルアーク(c18214)
轟咆雷烙・ワルゴ(c21958)
輝械武神錬成術士・サクラ(c26138)

<リプレイ>

●おおみかげ、きしんこんごう、たてなしよろい、かがんれっか
「読みは、お……おおみかげ、きしんこんごう……、これはどっちで読むんでしょう?」
「大御影旗神金剛盾無鎧火が……って長い呼び名ね!」
 プレートに書かれた文字を読もうとして、散椿の黒猫・エレナ(c11583)とフルールドゥリス・ディルアーク(c18214)が挫折した。ちょっと長すぎる名前である。まあ倒すべき、技と自分を磨くための相手なら名前など関係ないのではあるが。
「読みは良いよ、意味は?」
「前、中、後で意味が分かれます。前は……、この場合は魔王の影響というか勢力を。中部分は防御の不要な……、いえ統率用メタルゴーレムかな。最後が赤い眼の赤い鎧という感じになりますね」
 意訳ですが……。
 と前置きして応える彼に、後ろからケラケラと笑い声が……。
「凄い名前! 厨ニ病マジ乙!」
「くすっ。思ってても言っちゃ駄目だよ、誰かさんに、もふり殺されちゃうよ?」
 尾崎・ナオ(c08194)の笑顔に金色の夢・レイ(c09602)が突っ込みをいれると、せっかくの気分に水をさされて御機嫌斜めになったのか、ムっとして押し黙る。あるいは……、もふり殺される自分の姿を考えてゾっとしたのかもしれない。
「それにしてもギガメタル級のがゴロゴロしてるなんて、アクエリオの遺跡も凄い物だねぇ」
「ギガメタルの試作品ね〜。……これまた厄介なのが出てきたものだわ」
 ワルツを踊れなさそうなサイズに、苦笑を洩らす。
 この個体が試作品であるのもその辺だろう。誰かが着こむには大き過ぎ、メタルゴーレムが乗るには小さ過ぎる中途半端な代物なのだから仕方がない。
 彼の感想に同意して、黎明の紅・サイサリス(c00422)が先の戦いで出てこなかった事に小さな感謝を抱く。恐るべき敵ではなく、次の都市に行く前の後片ずけとしてなら安心が出来るのだから。
「巨大な鎧か……。旅団の仲間達が見たらきっと喜ぶであろうなあ。なあ、物は相談なのだが……」
「もったいないなぁ、これだけのガタイがあればいい働き手になれるのに……」
 赤く巨大で勇壮な武者鎧……。
 轟咆雷烙・ワルゴ(c21958)アックスソードの自由農夫・クエヒコ(c14594)は眺めて、ほんの少し惜しい気持ちに誘われた。
「トドメはチャンスがあった人が行う。その上で封印なり氷漬けですんだら好きにすれば?」
 でも遠慮はしないよ?
 皆を代表して赤案山子の・ジュリア(c17193)が苦笑して応えた。何しろ相手が相手、トドメを譲っている間に、誰かが死んだのでは笑い話にもならない。
「欲しいのか? いいぜチャレンジするだけならな、無理だったら俺のパーツつーことで」
「じゃ、まあいきましょうか? 各自持ち場と最初の一斉攻撃のタイミングを確認しとくわね」
 滅びの北風・ヤンネ(c01189)がワルゴと相談し合っている中、合図を上げるから合わせてと輝械武神錬成術士・サクラ(c26138)が、周囲の位置と状況を確認しつつ声を掛けた。
「さて、と。デカ物が動く前に一気に畳み掛けるわよっ」
「いいみたいね、じゃあ……」
 エレナが頷いて、サクラが掲げた片手を振りおろし、花火を上げた。
 それは戦いを彩る、大輪の花となる!

●砕け散れやぁぁぁ!!!
 ヤンネの姿が天を駆ける。
 滑るように躍り出た彼は、身も心もフルスロットル!
 道の半ばを駆けた時には、既にワルゴとの話も頭から消えていた。
「ラッドシティへ行く前にデカブツとっととばらして屑鉄にしてやんぜぇ」
「遊んでおいで、片目の海哥」
 そんな彼の姿を気だるげに見ていたナオは、ナイフをぺっちんぺちん弄びながら傍らを眺めた。
 アオーン!
 そんな感じで啼いたかどうかは知らないが、コヨーテが駆ける。何時もより多く飛んでるヤンネよりも速く!
「ふう、みんなハイテンションね。付き合うのも大変だわ……、『白秋の如く戦刃を刻め』、白椿」
「エレネさんも、人の事言えないきがするなあ……。さて僕も行こうかな?」
 冬の魔力が儀式刀に刃を灯す。
 天より来たれ冬将軍、にわかにかき曇る空が吹き寄せる風と共に、遺跡を染め上げていく。
 気分屋の彼女がノリノリで力を解放し始めたのを見て、スカートをたくしあげ上げてレイも全力を出すことにした。
 より優雅に、しなやかに。
 最後の踏み込みで、脇にステップ仲間に道を譲る余裕と、口元に指を当てて艶雅に微笑んで見せる。
「くっ……、いまの笑顔はやばかったべ……。おらが好きなのは男じゃねえ、落ちつけ油断していただけだべ」
 よし、いきますよ!
 落ち着きを取り戻して、クエヒコがあらゆるものを脱力させる、危険な煙を撒き散らす。
 仲間に浴びせぬように細心の注意を払い、美しい幻影さえ撒き散らし始めたのだ。
「射ぬけ」
 故郷の森より来たりて、射ぬくが良い……。
 ジュリアが短く呟き、森に思いをはせる。
 片目を閉じて精神集中、打ち放った後も閉じた目で追い続ける残心の目。
「さて、戦後処理と行きましょうか。我が名において命じ、汝に契約の履行を求め訴える」
 汝、その銘は魔導なり!
 実行せよアルファザール、求める役目は……。
「はーい、ストップ。それは私がやるから火力をお願いねぇん!」
「了解しました、速やかに滅びをもたらせ契約の魔人!」
 サクラの呼びかけにディルアークが応え、術式の変更を中断する。
 彼女の心より、もやい綱、荒神を輝神に替えるまで縛り続ける、鋼の糸がもたらされた。
「自分の手で壊さねばならんとは何とも皮肉だが……。が、全力で行こう手加減は好みじゃない」
「さっさと方つけちゃいましょ♪ この一撃は……、痛いわよっ……!」
 ワルゴとサイサリスの姿が、二本の騎兵槍と共に戦場を駆け抜ける。
 俺は矢をつがえる弦、刃を阻む盾! 俺のこの手は届かずとも、皆の手を届かす為の、明日へと続くきざはしとなろう!
 その巨体の陰で、疾走する彼女は闇から躍り出る輝きとなった。
 奔流が身体の中から迸る!
「敵性体、熱源を感知。急速起動開始を開始しますカウントダウン省略」
 うつろな声が周囲に響く。
 キュイン、ズゴッゴゴ!
 地煙上げて、皆の一斉攻撃が炸裂したのは刹那の後だった。
「システム、スタンバイ」
 戦いの音を何処までもうつろな声が告げた。

●起動、マスターメタル!
「ペルソナ・システム、スタンバイ」
「敵性体完全沈黙までの間、100%全力稼働を承認」
 ヴィン、コウン……。
 赤く輝く目が灯ると同時に、どこかカン高い声が鎧より響く。
 うつろな声が応じて、その力が解き放たれた。
「寝ぼすけがぁ遅せェんだよ、って痛えェェぞ、コラ。オラァオラァ!!」
「速い、速すぎるって、アレってパワーモードでしょぉぉ!?」
 コッ、ズパアアア!
 ズゴーン!
 踏み込むだけで、怪しげな音が響く。そしてヤンネの体にめり込むと危険な角度で大地に振り下ろした。
 中身がないゆえの恐るべき速度、そして中身を気にしないでいられるが故の危険なパワーを発揮する。
「生きてる……、なら?」
「はいはい〜、センセイに、お、ま、か、せ♪」
 ジュリアの視線を受けてサクラが応えようとして……。
「今度は僕がサポートに回りましょう、彼の攻撃と相性が良いですしね。それと毒と鉄神との相性も」
「ほいほい。冷静だねぇん、君は」
 カンカン! と大きなハサミが、雷電を呼び込んだのを見て、ディルアークは担当替えを申し出る。また毒と耐久力の高い相手の相性が良いのも本当の事である。先ほどの攻撃でダメージがどのくらいなのかは大まかにしか判らない。ここは当初の目的を続けるのが良いと判断したのだ。
「相談はすんだ? 治すわよ?」
 こくりと頷くのを確認して、湖より海原を渡る風を呼び込んだ。
 草原を越える清々しい風が、命の炎を灯す。
 風に煽られ炎が翻る、不滅の炎が倒れたまま攻撃を繰り出す男に闘志と命を吹き込んだのである!
「もう一度合わせるぞ? せっかくの好意だ繋ぎ直す」
「おーけー、いっちょやるとしますか♪
 蠍が後ろに回って毒を注入し、払いのけようと隙を創ったところで、ワルゴとサイサリスが再び飛び込んだ。
 サクラが繋いだ意図と彼が、その思いを彼女が受け継いで行く。
「これが、俺たちの」
「結束の、ちから、だぁ〜!」
 鎧を砕く、その傷跡は……。
 次手の攻撃、仲間へと続く懸け橋となった!
「あ、思いつきました。この子……。マスターメタルと呼びましょう」
「略してM! あっはーん、武器、ナイフだと思ったぁ? こいつ、もしかして馬鹿なんじゃない?」
 熱くなってきた前衛たちに、気分屋の彼女達はむしろ乱高下。
 長ったらしい名前に思いを馳せて、エレナは再び白帝の剣を振り下ろす。
 ハイテンション吹っ切れ型と、ダウナーに挟まれた形のナオは、自分のペースを続行することにした。いや、まあ彼女は何時だって自分本位だけどね?
 目立つ位置にいどうして、ナイフを右に左に動かすと、赤い目が追いかけるのを見て、呟きざまに指示を出す。
 凍嵐を束ねて長大な剣となって振り下ろされ、再びコヨーテが駆ける。
「ん〜大男、総身に知恵が……かな?」
「だな。毒が有効で、排除する機能もないみたいだし」
 二人の共同作業と行きましょう。
 そう言われてちょっとがっくりきたクエヒコは、気を取り直して花開かせた。
 その様子に、戦場に咲く華として対抗意識を覚えたのか、レイは艶やかにスカートを上げ……。
 見えそうで見えない処でナイフを取り出し毒刃を飛ばす。
「アキレスドライブ、30%限定機動承認」
 緩々と追いつめる毒が、恐るべき猛毒蝕む。
 どちらの攻撃が効いたかは分からないが、有効なのは間違いがないだろう。
 そこまでの経緯を踏まえ、一行をサーチした敵が新たな攻撃に打って出た。
「エアリエル・モード」
 カン高い声が、再び戦場に響いた……。

●何時の世でも、くろがねの巨人は数多の脅威から人々を守る武神たれ
「はっ、速すぎる……」
「見えた?」
 無理無理……。
 そう誰かが首を振った、攻撃の時にしか使用できないのが幸いであろう。
「こういう時は持てる全力をぶつけるのみ! だね。ふふ、どんな窮地でも激しい攻めの中でも。あくまで優雅に……、それが紳士の嗜み、だよ」
 じゃ、僕からイクね?
 レイがスカートを持ち上げ、ちょことんと礼をしたかと思うと、軽やかに跳ねた。
 その動きは先ほどの敵ほどではなかったが、素早くスカートに刃が仕込んであるのか、それとも単に鋭い蹴りなのか判らなかったほどである。あとスカートの中身も、コレ重要。
「はは、言われてみればそうだな。動きは制限させてるんだ、後は逝くのみ!」
「ヒャッハーー!!」
 天高くクエヒコが甘い果実を放り投げると、ヤンネが飛びついてもぎ取り味わう時間も惜しいと胃の中に放り込む。
 いつもの二倍高く飛び、何時もの二倍は速く飛び、イツモノ二倍は躊躇なく。傷が直るのもモドカシイ、そんな速度で多重スピンを掛けた突撃を始めたのである!
「あとはとにかく集中攻撃で押し込む! そこっ!」
 烈風が駆け抜ける中を、ジュリアの閉じた目が真眼となって押し通し、跳ねる敵の芯中を貫いた。
 そこが急所であったのか、赤い瞳が明滅し、荒ぶる鬼面にヒビが入り始める。
「嘆きの扉をこじ開けよ。此処が我らの正念場である、全騎全刃突撃せよ!」
 一歩も引くな!
 黒鉄の軍団が舞いおりる。
 紋章より降り立った武神たちが、陣形を打ち揃えて殲滅の為に行軍を開始した。
「そう、鉄の巨人はこうあるべし、人を守る武神たれ。悲しいけど貴方は人の世に存在してはいけないのよ!」
「すまんな、攻撃したかったろうに。だが、その思いは受け継いだ!」
 サクラは憤激する割に冷静であった、学者とはそういう者なのだろう。
 冷静に見てとり、まだ時間がかかるとみた彼女はワルゴの治癒を優先したのである。ディルアークがその役目を譲ったのも、消耗戦になるのであれば彼女の力の方が有効であるからに過ぎない。
「よーし、終わった終わったコレで最後の一撃ぃ……。飽きた、ナオちゃん帰りまーす」
「はぁ!? あと一撃残ってるじゃない、もう勝ってなんだから!」
 それから数合の時間が過ぎ、とうとう追いつめる事に成功した。
 肩をすくめてトドメを放置して帰りだす彼女に、突っ込みをいれてエレナが最後の一撃を繰り出した。
「折角大きいのだもの。氷像にでもなりなさいな」
 まったくもう……。
 未完成とは言いえ厄介な相手だって言うのに……。
 そのため息が声になる前に、巨大なゴーレムは氷像と化した。
「まあ、良いじゃない? 敵将討ち取ったりー♪」
 調度、二人が攻撃を外したとしても、相手の順番までには何人か居た訳で、大事なければ全て良し。
 そう考えてサイサリスが笑顔で氷の像を叩いた。
 輝きで作った旗は既に消えており、その旗が鼓舞すべき鉄神の将は既に居ない。
 お土産に出来て、良しとしようではないかと何人かと笑い合った。
「もしかして俺達の為に……?」
「はぁ? 終わってまで一緒に居るとか、意味判んなぁい〜」
 満足そうに巨体を見上げながら尋ねるワルゴに、ナオはそう返した。
 勝負がついて面白くないから替えるんですぅ〜、自意識過剰じゃないの?
 と背中が語っているが、研究したいサクラ達にとっては、程よい結果であったろう。
 まあ、研究成果が出るとか、新しい鎧になるかとかは別の次元の話であろうが、興味から言えば持ち帰りたかったのは確かである。
「まったく素直じゃないんだからぁん」
「研究に失敗したら俺にくれよ? パーツにすっからさ」
 良い雰囲気がたちまちのうちに台無しになり、爆笑の渦に包まれていった。
 こうして強敵との戦いは、終わりを告げたのである。



マスター:baron 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/10/09
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  • カッコいい8 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
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