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涙は望まない

<オープニング>


 村の共同墓地を、黒衣に身を包んだ多くの人達が訪れていた。
 墓地の奥に並ぶ複数の墓標はひときわ大きく、その前で人々は黙祷を捧げ、故人の生前の偉業を称え、安らかな眠りを祈る。
 祈りを終えた人たちは一人、また一人と墓地を後にしていく。そして男が一人だけ残った。
「早いものだな、ライル。もう20年だぞ」
 50代半ばと思われる男は墓標の一つに向かい、呟く。
 墓標に刻まれている名はライル・クリストフ。20年前に村がボアヘッドの群れに襲われたとき、群れのボスと相打ちとなって死んだ人物だった。
 その隣には一緒に戦って死んだ村の戦士たちの墓がある。
「リィラは半年前に風邪をこじらせて逝っちまったよ。一人で頑張っていたんだけどな……」
 リィラとはライルの妻だった。夫が亡くなった後、女手一つで二人の息子を立派に育てあげた。その子達は今では村の自警団を支えるほどの人物になっている。
 亡き友を思い、男の口からこぼれるのは深い溜め息。亡き友との思い出はいつになっても色あせることはなかった。
 ライルは村で一番腕っ節が強く、皆の先頭に立ってボアヘッドに立ち向かっていった。他にも命を落とした者もいたが、誰もライルが死ぬとは思っていなかった。
 ライルにしてみれば一番腕が立ったからこそ、傷を負いながらも最後までボスと戦い続けたのかもしれない。もし彼が下がれば、多くの村の者達が帰らぬ人となってしまうかもしれなかったから……。
「だからって誰も相打ちなんて望んでなかったぜ」
 共に戦った男は涙を溢して泣いた。もう20年も前だというのに、その時の事を思い出すと泣かずにはいられなかった。あの時の悔しさと悲しみは今でも忘れられないのだ。
 だから毎年、この日だけは男は泣いた。今は亡き、友を思って。共に戦った戦友達を思って。
 しばらくの間、男はその場で泣いた後、気持ちが落ち着けて息を吐く。
「また来るよ。今度はお前が好きだった酒を持って来るからな」
 男は背を向けて村へと歩き出す。だが、その動きが不意に止まった。
 ゴボリ、と口から血を吐き出す。
「な、んだ……?」
 振り返ると、鎧を着た骸骨が立っていた。骨の手が持つ剣は真っ直ぐに男の胸を貫いている。そして男は信じられない物を目にした。
 骸骨の指で輝く青い石の指輪。それはライルが結婚した時に揃いで作り、二人ががいつも肌身離さずにつけていた指輪だった。
「ライ、ル、なの、か……?」
 ゆっくりと倒れながら尋ねる男に、返る返事はなかった。


「ねぇ、誰か手の空いてる人いるかな?」
 酒場に響いた元気な声に何人かのエンドブレイカーが振り返った。
 入り口に15才くらいの少年が立って酒場の中を見回している。
「アクスヘイムのあちこちで高名な騎士の墓からアンデッドマスカレイドが出現しているって話し、皆も聞いたことがあると思うんだけど、僕も同じ様なエンディングを見たんだ」
 そう言ってソードハープの魔獣戦士・キチェル(cn0047)は自分が見たというエンディングを集まってきたエンドブレイカーに話した。
 その内容は剣の城塞騎士・ディアーク(c00600)が予見した通りの未来といえた。
「でもこれは、今から起こる未来だからまだ間に合うよ。慰霊祭が行われる前に墓地に行ってライルのアンデッドを倒そう」
 かつて共に戦い、守り抜いた村人を殺すなんて悲劇は、ライル自身も望んではいないはずだ。
 そして、村の人たちにとっても、英雄として眠るライルに殺されるなんて誰も信じたくはない悪夢だろう。
「村から少し離れたところに墓地はあるんだ。村からは途中にある林を抜けないと辿り着けない。だから慰霊祭が始まるお昼前に墓地に行って、ライルのアンデッドを倒せば誰にも見つかる事はないと思う」
 キチェルの話によるとアンデッドはライルの他に骸骨のアンデッドが三体いるという。
「アンデッドは三体とも剣と盾を使って、攻守共にバランスの取れた能力を持っているんだ。ライルは両手持ちの大剣を使ってくるよ」
 ライルの大剣の腕は、近隣の村や町でも指折りの実力だったようだ。手下のアンデッドがライルを守る様に立ちはだかっているため、この三体を倒さなければ、ライルと戦う事はできない。
 しかもライルは大剣を振るうことで衝撃波のようなものを発生させて、離れた場所にいる人にも攻撃できるという。いささか厄介な相手といえた。
 だが、皆で力を合わせれば倒せる相手なのは確かだ。
「犠牲者が出る前に僕たちでライルを倒そう! これ以上悲しませる人は増やしちゃダメだよ。きっとライルもそんな事は望んではいないはずだよ」
 英雄はいつまでも英雄として人々の心にの中のあり続けて欲しい。とキチェルはいう。
 キチェルは集まったエンドブレイカー達を見つめた。
「僕たちで不幸なエンディングなんて壊してしまおうよ。だから、みんな力を貸して!」


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参加者
杖の星霊術士・バシル(c00004)
槍の魔獣戦士・カイエン(c01096)
弓の群竜士・エリザルド(c04798)
大鎌の魔曲使い・ステラ(c05375)
扇の群竜士・ラウレス(c06070)
太刀の魔獣戦士・ギア(c06073)
シールドスピアの魔法剣士・ヤイトニング(c07169)
弓の狩猟者・イスカ(c07276)
NPC:ソードハープの魔獣戦士・キチェル(cn0047)

<リプレイ>


「うう〜、眠い〜」
 朝日の差し込む林の中を歩きながら、ソードハープの魔獣戦士・キチェル(cn0047)は手で瞼をこすった。
 朝早くに出かけたため、まだ眠気眼のようだ。
「キチェルの分のブラックも用意してくればよかったな」
 シールドスピアの魔法剣士・ヤイトニング(c07169)が隣を歩きながら言った。
「あれは臭いと味が……」
 眠いときに飲むと頭をシャキッとさせ、眠気を吹き飛ばしてくれる飲み物なのだか、これがなかなか苦い飲み物ので、人によって好みはあるが、キチェルはあまり飲みたい代物ではなかった。
 逆にヤイトニングは起きた時に、眠気覚ましの為に飲んできたので、頭はシャキッとしている。
「大丈夫、眠いけどがんばる。それに……」
 キチェルは後を振り返る。離れた所に見える人影。それは彼をサポートする為についてきた沢山のエンドブレイカー達だ。ちなみにキチェルの荷物の一部は彼らが持っている。
 それに出かける時に、無事を願い、送り出した人達だっている。
 彼らの為にも頑張らないと。とキチェルは思うのだ。
「見えてきたぞ」
 スコップを肩に担ぎ、戦闘を歩いていた弓の群竜士・エリザルド(c04798)が振り返った。
 視線を前方に戻すと、歩いていた林は終わり、その先には木の柵に覆われた墓地があった。
「時間的には大丈夫だと思いますが、慰霊祭で人が集まる前に全てを終わらせましょう」
 扇の群竜士・ラウレス(c06070)の言葉にエンドブレイカー達は頷いた。その為に早起きをして墓地を訪れたのだ。
「ボアヘッドから村を守った英雄……。勇敢な方だったんですもの。そんな方だからこそ、友人や村の人々を傷付けたいだなんて決して思わないはず」
 杖の星霊術士・バシル(c00004)はじっと墓地を見つめる。
 そこにはライルだけではなく、同じ様に20年前の戦いで命を落とした者達が眠っている。その者達も皆、思いは同じはずだ。
「騎士の誇りを守る為、誰からも望まれない悲劇……防いでみせるさ。キチェルの言う通り、英雄は英雄のままで居るのが一番だ」
 エリザルドはキチェルを見ると、彼は笑顔を浮べて頷き、目的地である墓地の奥へと向った。

 墓地の奥に大きな墓が複数並んでいた。立派な作りに村人達がどれほどの敬意を払っているのかが良くわかった。
 その墓の一つ、ライルの名が書かれた墓へとエンドブレイカー達が近づく。すると墓の下の地面に変化が起こる。
 ボコリと盛り上がった土を押しのけ、青白い骨の腕が現れる。続けて現れたもう片方の手では、話に聞いた青い石の指輪が鈍い輝きを放っていた。
 パチンと愛用の扇を閉じ、ラウレスは冷ややかな視線で立ち上がる骸骨を見据える。
「この様な形で蘇るなど……本意ではないでしょうに」
「心ならずも復活をしてしまったであろう英雄。私どもは彼らに永久の深き眠りをあたえるための役目を果たそう」
 ヤイトニングはシールドスピアを構えた。同じ様に仲間達もそれぞれの武器を構えて対峙する。
 鎧に身を包み、大剣がライルの手に握られると同時に、彼の前に三体の骸骨アンデッドが姿を表わした。
「揃いやがったな、ファッキン骸骨」
 槍の魔獣戦士・カイエン(c01096)が一歩前に踏み出す。
「生前はいーい男だったくせ―ふいん……、ふん……ふいんき?」
 雰囲気と言いたいらしいが正しい言葉が出てこないカイエン。頭を振って意識を切り変える。
「俺が槍のカイエンだぜっ、ぶったおーっす!」
 先陣を切って駆け出した。それに合わせてバシルがマジックミサイルを放つ。
 マジックミサイルは真ん中に立つ骸骨の足元に命中する。たたらを踏む形となった骸骨にカイエンの槍が突き出される。骸骨はその攻撃に盾をかざす。
 周囲に甲高い金属のぶつかる音が響いた。


 太刀の魔獣戦士・ギア(c06073)の振り下ろした太刀を骸骨アンデッドは盾で受け止めた。
 力で押し合う形となった二人の元へ、弓の狩猟者・イスカ(c07276)のファルコンスピリットが飛来し、羽ばたきながら爪で骸骨を攻撃する。
 鷹を追い払いように剣を振り回す骸骨に、キチェルは横から忍び寄るとソードハープで斬りつけた。
 肋骨の数本が砕かれ、塵の様に崩れるのを見てキチェルは後へ下がろうとしたが、体が横から吹き飛ばされた。
「気をつけてっ」
 イスカが吹き飛ばされたキチェルを目の端で見ながら、ギアへと注意を促す。
「厄介だな……」
 ギアは対峙していた骸骨を太刀で押し放し、後へと下がる。ギアは三体の骸骨の後方に位置するライルを見る。先程キチェルを吹き飛ばしたのはライルの放つ衝撃波だった。
「ちっ……! どうにももどかしいな」
 ギアは太刀を握りなおす。
 これから慰霊祭が行われる墓地を荒らさないように派手な戦いを避け、直接対峙する太刀を選んでいたが、満足するほど使い慣れていないのだ。
「援護します」
 後方からの大鎌の魔曲使い・ステラ(c05375)の声と共に、紡がれる竪琴の音色が骸骨を縛り付ける。
「助かる」
 短く礼を言ってギアは間合いを詰めると、麻痺している骸骨に居合い斬りを放つ。
 防御の出来ない骸骨は胴を二つに断たれ、肩から地面に転がる。すると急降下してきたイスカのファルコンスピリットの突撃が残った体を打ち砕いた。
「まずは一匹目だね」
 立ち上がったキチェルは意識をはっきりさせる為に頭を振る。そこに後方から数匹の精霊スピカが駆け寄ってきて、キチェルの傷をあっという間に癒した。
「ありがとう」
 離れた所から見守っている人達に礼を言い、キチェルは次の敵の元へと駆け出した。

 バシルの紡ぐ詠唱が終わると魔法の矢が一斉に骸骨へと降注ぐ。
 それを見ながら、エリザルドは番えた矢を解き放った。
「穿て……天駆ける星屑の如く!」
 矢は雨となって骸骨へ降注ぎ、バシルのマジックミサイルで傷ついた体を更に叩きつける様にして削っていく。
 二種類の矢によってダメージを受けた骸骨は、辛うじて落とさなかった剣を振り回す。
 その攻撃を身に受けながらも、カイエンは槍を握り締めると腰を落として踏み込み、素早く疾風突きを繰り出した。
「もう死んでる相手だと手加減はいらねーよな!」
 攻撃が腰に命中した骸骨は勢いで前に倒れこむ。カイエンはそれを転がって避けると、エリザルドの放った矢が頭蓋を貫き、地面と縫いとめた。
 そしてそれがトドメとなって骸骨は砕け散った。
「ライルに行くぜ!」
 駆け出すカイエンをバシルは叱責する。
「怪我ぐらい治してから行ってください!」
 呼び出された精霊スピカにペチペチと叩かれるカイエン。
「お、わりぃ。ありがとな」
 癒してくれたスピカの頭をなで、バシルに礼を言うとカイエンはライルに突っ込んでいった。
「元気な奴だ」
 見ていたエリザルドは呆れて笑みを溢した。
 カイエンは構えた槍でライルに突きを作り出した。
 ライルはそれを避けずに喰らっていたが、微動だにしない。痛みを感じないアンデッドならではの反応だ。
 振るわれるライルの大剣をカイエンは槍で受け止める。
 そこにバシルが召還した星霊バルカンが駆け寄ってきて炎を放つ。一度ライルの体を包み込んで炎は消えたが、鎧の隙間などでちりちりと細かな火を撒き散らしていた。
 下がって間合いを空けようとするカイエンに向けて、ライルは大剣を振り下ろす。それは衝撃波となってカイエンを襲ったが、カイエンはその場に踏ん張った。
 頭から流れる血を拭いもせず、カイエンは口元に笑みを浮べる。
「しばらく俺の相手をしてもらうぜ」
 まだ手下は全て倒されていない。
 仲間が手下を倒すまでの間、ライルを他に行かせる気はカイエンにはなかった。


 骸骨の突進と共に、弾き飛ばす様に押し出された盾をラウレスは広げた扇で受け止める。
 後方へとバックステップを踏み、衝撃を緩和して押される力を横に流すと、ラウレスは骸骨の横へとすり抜けて拳を振るった。それらの動きは無駄がなく、まるで舞を舞っているようにも見えた。
 拳は肋骨を砕く。
 ラウレスを振り返る骸骨は眼窩に怪しい輝きをまとって睨みつけてくる。それに笑みを返し、ラウレスは下がって間合いを空ける。
 するとそれを待っていたかのように電光が骸骨に落下した。ほとばしるいかづちに骸骨は声にならない悲鳴を上げる。
 ショックで巧く動けない骸骨に近づいたキチェルは、魔獣化させた鋭い爪で斬りつける。
 折れた枝の様に斬られた骨が地面に落下する。
 だが、盾と剣を握る両手は無事のため、骸骨は盾をかざし、剣を振るってきた。
「けっこう頑丈みたいね」
 イスカはそう言って空を舞うファルコンスピリットを降下させる。
 頭上を跳び、爪を立てる鷹に骸骨は剣を振るったが、それに気を取られている間にラウレスが死角から詰め寄り、腰骨を掴むと投げ飛ばした。
 地面に全身を叩きつけられた骸骨は、その衝撃で関節は外れ、体がばらばらになる。
 痙攣するように動いていたが、ヤイトニングのサンダーボルトが命中すると骨の体は一度だけ大きく跳ね、動かなくなった。
 手下を倒した事を確認するとヤイトニングはライルを振り返る。
 真っ向勝負こそ騎士の本懐だと考えているヤイトニングは、ライルとの一騎打ちを希望したいのだが、ライルの目の前には既にカイエンが立ちふさがっていた。

 ライルが大剣を振り下ろすと、剣圧が衝撃波となってエンドブレイカー達に襲い来る。
 ギアは太刀を掴んだ手を顔の高さに上げ、視界を確保しつつ衝撃を耐えた。そして衝撃が止んだ瞬間に踏み込み、太刀を真横に振るうがライルの両手剣に受け止められる。
 しかしライルの意識がギアに向いている隙に、ラウレスが死角から忍び寄り竜撃拳を繰り出す。
 拳は鎧の継ぎ目に沈み、ヒビが走る。揺らぐ体にヤイトニングのサンダーボルトが飛来した。
「一騎打ちしたかったんだけどな……」
「時間に十分なゆとりがないですから仕方ありませんよ」
 ステラが慰めるがヤイトニングはなんとも残念そうだ。歯噛みするヤイトニングを見ながらステラは竪琴を奏でる。
 鳴り響くメロディーにいらつくのか、ライルの動きが緩慢になる。大きく振り回されるライルの大剣に再び衝撃波が生み出された。
 エンドブレイカー達の四肢は斬り裂かれ、滲む血が筋となって後方に流れて落ちる。
 風の刃が治まった時にはライルが踏み込んで大剣を振り下ろしてきた。今度は受け止めきれずにギアの体は血をまき散らしながら吹き飛ばされた。
「スピカ、お願い」
 地面に叩きつけられるギアの体を、駆け寄ってきたバシルのスピカが抱きしめる。
「すまない……」
 膝を着くギアが顔を上げると、イスカのファルコンスピリットがライルに襲い掛かっていた。
「皆で畳みかけるよ!」
 イスカのファルコンスピリットの動きに合わす様にエリザルドが矢を放つ。放たれた矢は鎧の継ぎ目を通り、関節部分に打ち込まれる。
「あんただって一度守ったものは傷つけたくないはずだっ」
 一気に距離を詰めるとギアは居合い斬りを放つ。斬られた胴は藻屑の様に崩れ、鎧の破片を散らしていく。
「死んだ後に迷惑かけてちゃ、世話ねーぜ!」
 ギアと入れ替わり、カイエンがライルの腰元から頭上へかけてビーストクラッシュで斬り裂く。
「愛する者の涙は誰も望みませんよ」
 振り下ろされるライルの大剣をラウレスは閉じた扇で受け止め、角度を変えて横へと滑らせる。大検は地面を抉って土を撒き散らす。
 ラウレスは身を屈めてライルの懐に潜り込むと、その腕を掴んで投げ飛ばした。
 地面に叩きつけられて、ガシャン、と鎧が音を立てる。立ち上がろうとするライルの額を、一本の矢が射抜く。
「ここでは何も起きなかった。英雄は目覚めなかった。それが一番なのよ」
 矢を放ったイスカにライルの首が向けられる。
 だが、眼窩にあった怪しげな光は鈍り、すぅっと消える。それと同時に動いていた四肢はバラバラとなって崩れ落ちた。
 青い指輪の石だけが陽光を浴びて、鈍く輝いていた。


 戦闘で荒らされてしまった墓地の修復は、多くのエンドブレイカー達の手によって速やかに行われた。
 「墓地に人がいたらグーパン? 眠ってもらうけどなっ、邪魔だし!」
 とカイエンが言っていたが、幸いまだ誰も墓地を訪れる者はいないようだ。そう言った彼は率先して片づけをしていた。それにドローブラウニーの力も借りれて作業は順調に進んだ。
 ステラは元通りになったライルの墓を見つめ、何事か考えていた。
「同様の事件が各地で起こってると聴くけれど、偶然というには数が多い気もします……」
 何が原因で一連の事件が発生しているのか気になるところではあったが、まだ答えは見えてこない。
「どうかしましたか?」
 近づいてきたラウレスの問いかけに、ステラは何でもない。と頭を振った。
 ステラが周囲を見渡すと、片づけを済ませたエンドブレイカー達が集まってくるところだった。
「貴方は英雄であり続けなくてはいけません……愛する人達のためにも」
 ラウレスはライルの墓を見つめ、持参した白百合を供えた。
「もう、貴方が剣を手にする必要は無い……静かに眠れ」
 エリザルドも花束を供え、そっと目を閉じて冥福を祈る。
 同じ様に持って来た花を添えて、エンドブレイカー達は黙祷した。
 顔を上げたキチェルの元へ墓地の入り口で林の方を警戒していた男が走ってきて、何事か告げていた。
「林の方に村の人達が来始めたみたいだよ」
 キチェルの言葉にエンドブレイカー達は持って来た荷物を担ぐ。
「帰るとしようか。誰かに見つかると面倒だ」
 エリザルドは先頭に立って歩き出す。その後に皆が続いていく。
 沢山の花束が供えられた墓をギアは振り返る。
「……今回は災難だったよな。まぁ、またゆっくり休んでくれよ、じゃあな」
 朝からあんなに沢山の花が供えられた墓を見たら、きっと村の人たちは驚くに違いない。そう考えると、自然と笑みがこぼれた。



マスター:あかつきなお 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2010/04/26
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