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『光よりも(中略)高貴なる騎士』バッハトマ

<オープニング>

●『光よりも速く駆け振るう剣は優雅かつ力強い高貴なる騎士』バッハトマ
「我輩こそが『光よりも速く駆け振るう剣は優雅かつ力強い高貴なる騎士』バッハトマ・ディオンであるっ!」
「騎士さまー、よく聞こえなかったからもう一度お願いします」
「ええい、耳の穴をかっぽじってよく聞くのだ! 我輩こそが『光のごとく現れ華麗に剣の舞を披露する典雅なる騎士』バッハトマ・ディオンであるっ!」
「騎士さまー、さっきと名乗りが違いますよー」

 騎士バッハトマと交わした他愛もない会話を、ヨハンは今も覚えている。
 珍妙な名乗りや必殺技の名前を考えては、子供たちに嬉々として披露するのが楽しみだったあの騎士は、村の近くに現れたバルバの群れに単身戦いを挑み、相討ちとなって世を去った。
 あのとき、まさに彼が戦いへと赴くところだったのだと、幼いヨハンは気づけなかった。ヨハンを心配させまいと、バッハトマはいつものように振舞ってみせたのだ。
 バッハトマは村を見下ろす丘に葬られた。もう何年も前のことだ。時が過ぎても墓の手入れが行き届いているのは、村を守った彼への感謝と、それ以上に、村人と親しく交わった彼の人柄の賜物だろう。
(「騎士様」)
 青年となったヨハンは、目を閉じて村の恩人に祈る。
(「俺も自警団の一員になることができました。騎士様のように立派に村を守ります」)
 と、突然。

 がさり。

 静かな祈りを乱す音。
 はっとして目を開いたヨハンが目にしたのは、わずかに盛り上がった墓の前の土。

 がさり、ごそり。……ばさっ。

 突如土を割って現れたのは、見覚えのある紋様のガントレット。がしっ、と地面を掴んで、何度もヨハンが夢に見たあの鎧が現れる。
「ひ、ひいっ!」
 ヨハンは必死に逃げようとするが、腰を抜かして無様にはいずるのみ。
 そうだ、彼なら、自分に害を与えるはずがない。混乱した頭で唐突にそう思いつき、振り返って精一杯の愛想を浮かべる。
「お、お久しぶりです、バッハトマさ……うわあっ!」
 冷静に考えれば、もう何年も前に死んだバッハトマが生きて現れることはない。ヨハンが見たのは、鎧の継ぎ目から覗く人の骨。白骨が甲冑を着込んで立っている姿であった。
 白骨の騎士は、手にした獲物をヨハンの頭上へとためらいなく振り下ろす――。

●エンドブレイカーたち
「アクスヘイムの各地に騎士のアンデッドマスカレイドが現れている、という話は、もう、皆さんはご存知でしょうか」
 杖の狩猟者・リディア(cn0039)はエンドブレイカーたちを迎えると、剣の城塞騎士・ディアーク(c00600)が予期した未来が現実になってしまったことを伝える。
「はい、皆さんにお願いしたいのも、その件です。『光よりも速く駆け振るう剣は優雅かつ力強い高貴なる騎士』バッハトマ。マスカレイドとしてよみがえったこの騎士を、皆さんの手で倒してください」
 なんだよその名前。よく噛まずに言えたね頑張ったね。お前もう一回それ言ってみろよ適当に言っただろ。
 そういう視線を一身に受けつつリディアは続ける。
「バッハトマは村から少し離れた墓地、彼の墓に現れます。今から急いで向かえば、村人が来る前に現地に着くことができそうです」
 振るう『剣』は優雅かつ力強いと言いながら、バッハトマの武器はハンマーと盾である。
 巨大なハンマーの一撃は、鎧の上からでも敵を粉砕することが可能なほど強力だ。また、盾で守りを固めながら戦うことも得意としている。
「生前のバッハトマは、樽みたいな体形で、すばやく動くのが苦手でした。マスカレイドになってからも、変わらないと思います」
 ますます優雅でもなんでもない。
「それと、両手を振り回してたくさんの敵を相手取る得意技があります。きっと、また長い名前がついてるんでしょうけれど……」
 また、バッハトマと同時に、剣を手にした3体の骸骨のマスカレイドが現れる。バッハトマとは個々の強さに大きな差があるが、こちらへの対応も忘れてはならない。
「村人に親しまれていた騎士が、守ろうとした村人を殺してしまうなんて、そんなエンディングは絶対阻止しなければいけないですよね。甘くない相手ですけれど、いい知らせを待っています」
 リディアは一礼し、エンドブレイカーたちを送り出す。自分が見たエンディングが打ち払われるように、と祈りながら。


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参加者
エアシューズのスカイランナー・カタルーニャ(c00066)
扇の星霊術士・ナハト(c00101)
大剣の城塞騎士・ラヴェイン(c03052)
トンファーのスカイランナー・クローナ(c03113)
杖の群竜士・アルスラミネア(c06151)
鞭のデモニスタ・サノーザ(c06818)
太刀のスカイランナー・アヲイ(c10212)
エアシューズの群竜士・シュウガ(c10286)

<リプレイ>

●テイクワン
 騎士の墓は村を見下ろす丘の上にあった。
 悲しいエンディングをブレイクするために集い、急行するエンドブレイカーたちの前に立ちふさがったのは、三体の骸骨を伴った、鎧の騎士。
 騎士バッハトマ。
 人呼んで、光よりも速く駆け振るう剣は優雅かつ力強い高貴なる騎士。
 誰も呼んでないよというツッコミは無粋である。
 面頬から覗くは空ろな髑髏。かつての豪快な声で名乗ることはもうない。感情や知性さえ失われている。
 それでもだ。
 村を守り通した英雄はそこに在り。
 圧倒的な威圧感をもってパーティの前に立ちふさがる。
 そしていま、一人の群竜士が前に進み出て、高らかに名乗りを上げる!
「私は闇の運命に縛られし幽玄なる龍気の使い手にして魔導のつはぅあっ!?」

 ――エンディングとかマスカレイドより先に、杖の群竜士・アルスラミネア(c06151)さんの舌がブレイクされてしまいましたので、しばらくお待ちください。

●テイクツー
「わ、私は闇の運命に縛られし幽玄なる龍気の使か、使い手にして魔導の礫を纏いし黒翼の乙女、アリスラミュア・フォールンアンジュよ!」
「アルスラミネアさん、噛んでますし名前間違ってます……」
 思わず訂正するトンファーのスカイランナー・クローナ(c03113)だが、ポーズを決めた彼女の右手がかすかに震えているのを見て取り、そっとその横に並び立つ。
 ちなみに、右手の横向きピースを目の前に持ってきてウィンクというのが決めポーズらしい。
「我が名はクローナ。定命だからこその輝き、見せてげほっごほっ」
 突然咳き込むクローナ。助け起こされながら、大丈夫です、戦えますと言っているが、大丈夫なのか本当に。
「皆、かっこいいよなぁ……」
 名乗りを上げる仲間たちをうらやましく思い、扇の星霊術士・ナハト(c00101)は悔しがる。自分を表す名前を考え付かなかった彼は、目の前のアンデッドを警戒しながら、仲間の声に聞き惚れる。本当にかっこいいのかという議論は横に置いておこう。
(「騎士って、小さい頃憧れてたんだよな」)
 憧れの騎士そのままに戦ったバッハトマの名を汚させるわけにはいかない。ナハトは戦いの決意を固める。
「きっとヨハンもバッハトマも望んでいない終わり、だから倒す!」
 元気よく飛び跳ねるのは太刀のスカイランナー・アヲイ(c10212)。長く伸び首に巻かれた毛は、鍛えられた彼の体を白く飾り、白熊のごときボリュームを与えている。
「アヲイ・カロケファルス、絶対負けない!」
 満面に浮かぶは天真爛漫な笑顔。強敵との戦いに心躍らせ、裸足で大地を踏みしめる。
(「ああ、もう。長い肩書きだ、めんどくせえ」)
 本来しょっ引かれる側のごろつきが、騎士さんを倒すってねぇ、とエアシューズのスカイランナー・カタルーニャ(c00066)。
「か、かっこいいだなんて、思ってないからな……」
 なにやら妙な形に口元を歪め、明後日のほうを向いて言い訳をしながら進み出る。
「我こそはー、あー、……光速の、速さでー……」
 ごにょごにょ。カタルーニャ・バヌッティ十一歳、なんとも微妙なお年頃。
「敵を討つー、……うがー!」
 耐えられなくなったらしい。
「もう行く! さっさと戦ったほうがいいさね!」
 たたたんっ、と軽やかに大地を蹴って、カタルーニャ少年は走り出す。それを合図として、双方の突撃が始まった。
(「よし、俺も何かかっこいい名乗りを……」)
 ところで、下を向いて頭をかきかき、あれこれと考えていたのは大剣の城塞騎士・ラヴェイン(c03052)。ぴこーん、と何かに思い至ったか、得意げに顔を上げる。
「決まった! 俺は……ってみんなもう行ってるー!?」
 残念、タイムアップでした。

●騎士の魂よ御照覧あれ邪悪なる力は我が盾を貫くこと能わず
「面白い……。腕が鳴るな」
 エアシューズの群竜士・シュウガ(c10286)はクールに言い放つ。
 エンドブレイカーたちの作戦は極めて明快。少人数でバッハトマを足止めし、その間に付き従う骸骨を仕留めるというものだ。ベーシックかつ有効、だがそれだけに、バッハトマと対峙するシュウガと鞭のデモニスタ・サノーザ(c06818)の危険は大きい。
 いや、危険だからこそ、この二人がその役目を買って出たのかもしれない。冷静に構えるシュウガの目に、燃えるは静かに熱い炎。常に高みを目指し鍛え上げるのみ、彼はためらいなく騎士へと向かう。
「貴様がバッハトマとやらか。俺はシュウガ。お手合わせ願おう」
 裂帛の居合いとともに蹴りを放つと、大気が震え、不可視の刃と化してバッハトマに襲い掛かる。ガコン、という鈍い音。
「なるほど、簡単に倒せる相手ではないということか」
 来たれよ強敵。死闘の予感に心震える。
(「……正面からじゃ敵わないでしょうね」)
 サノーザもまた、眼前の騎士の力を正しく見積もっていた。しかし、それは決して恐れに直結しない。
「鞭もデモンの力も変幻自在が本領。一手ご教授頂く代わりにお目にかけるわ――クールに熱い私の戦い方を」
 銀の髪をなびかせ、サノーザは軽やかに戦場を舞う。一気にバッハトマとの距離を詰め、びしり、鞭を一撃。
(「在りし日の彼に敬意を表して」)
 そのまま右側に跳び、騎士の左手に鞭を絡ませ、動きを封じる!
「サノーザ・イルフリーテ、お相手させて頂くわ!」
 右手を力いっぱい引いて、必死にバッハトマの自由を奪うサノーザ。
 だがバッハトマもただやられているわけではない。右手のハンマーを振るい、一度はサノーザに動きを止められるも、力任せに振り払って叩きつける!
 以上、シリアスパート終わり。

「こ、これが『雷のごとき怒号を放ち確固たる意思を持って汝の敵を滅ぼせ』の威力か……」
「知っているのかラヴェイン!」
 『ら』は『ら』でもラヴェインの『ら』ですからね。ハンマーが地面を叩く轟音を聞いて振り返ったラヴェインの言葉に、鋭く反応してしまうナハト。
「おっと、よそ見してる暇はないぜっ」
 空から舞い降りてラヴェインの前の骸骨に頭突き一撃、そのまま別の骸骨へと向かっていくカタルーニャ。彼らは、墓とバッハトマから骸骨を引き離すことを狙っていた。
「風のように空を駆けるその姿は鷹の如くってうぁぁぁぁ無理!」
 照れてる照れてる。……あ、外れた。
「はああっ!」
 クローナもまた宙を舞う。さっきあんなに体調が悪そうだったのも何のその、というかあなた本当は健康なんじゃないんですか。てっぺんから急降下、トンファーで殴りつける。
「よしお前、手合わせしろ!」
 攻撃が集中している骸骨を避け、別の骸骨へと向かうアヲイ。素足でしっかり大地を踏みしめて、跳躍!
「俺も、がんばる!」
 落下する勢いで、唐竹割りに太刀を振りぬく。骨の砕ける、耳障りな音が聞こえた。
「さしずめ騎士を守る従者、ってとこかな」
 ぽんぽんと舞い上がるスカイランナー三人衆に感心しつつ、ナハトもまた扇を構える。
「それじゃいくぜ、お洗濯ターイム!」
 なにやら気の抜ける掛け声。ともあれ、ばっ、と手を振って扇を開くと、彼の周囲を流水が取り巻き、現れた波が敵を押し流していく。
「我が魂魄に封じられし暴竜よ、猛り狂うその顎で敵を噛みゅ砕け!」
 こちらは絶好調のアルスラミネア。相変わらず噛んでますが気にしない。
 ちらりとバッハトマを抑えている二人に目をやってから、今は目の前の敵を少しでも早く、と思い直す。
 ――ためらって足手まといにはなりたくない。心優しかった騎士の名誉のためにも。そして自らの背負う闇の宿業(ちゅうにびょう)のためにも!
「闇の茨解き放てデーッド・エーンド!」
 肘打ちから正拳突きへと流れるような攻撃。集中攻撃を受けていた骸骨は、めきっ、と音を立てたかと思うと、ついに耐え切れず、粉々に弾け飛んだ。

 まあ、そういうわけで、残る二体の骸骨もさしたる被害なく倒されてしまいました。
 だって仕方ないじゃない、やられ役なんだから!

●鍛錬されし肉体は躍動し美しき戦いの舞を戦場に咲かせる
「はっ、どうした。ご自慢の長ったらしい名前の技は飾りか?」
 一方バッハトマ組。シュウガの言葉は強気だが、その実、彼らは守勢に立たされていた。ただの二人で抑え切れているのは、まさしく僥倖といってよい。それほどに、バッハトマの攻撃は苛烈である。
 大盾を構えつつ、恐るべき速さでハンマーを振るうバッハトマ。風を切って唸るその得物が、シュウガを強かに打つ。
「硬い防御だからこそ、搦め手に意味があるのよ」
「負けはせん! はあぁぁぁ、唸れ俺のこの拳よ!」
 構えられた盾の防御をサノーザの鞭が崩し、その隙をシュウガの正拳が襲う。鎧を貫き骨に響く衝撃、手ごたえはあるのだ。
 だが、しかし。
 ぶぅん。遠心力をかけて振るわれるハンマーと、守るだけでなく叩き潰さんとばかり襲い掛かるシールド。勢いをつけて回転する巨体は、二人を捉え、地に叩き落す!
「きゃあっ!」
「スピカ、飛んでけー!」
 サノーザをぎゅっと抱きとめるのは、ナハトの連れたスピカ。飛んでいってもらったんだよ投げたんじゃないよほんとだよ。彼女の傷をゆっくりと癒していく。
「次は俺が相手だ。いざ尋常に勝負!」
 バッハトマに切りかかるラヴェインを先頭に、骸骨たちを片付けた仲間たちがカバーに入る。さほどの脅威ではなかったとはいえ、そのタフさはやはり目を見張るものがあった。もう少し遅かったなら、バッハトマに対峙していた二人は無事ではなかったかもしれない。
「騎士同士、正々堂々護りきってみせる!」
 雷鳴のごときバッハトマの一撃を、構えた剣で受け流す。そう、たとえ堂々たる呼び名がなかったとしても、彼もまた『城塞騎士』、護るために剣を振るう者なのだ。
「最後は騎士様……、貴方よぅ」
 アルスラミネアは杖を高く掲げ、自らの周囲に幾何学的な文様を浮かべる。研ぎ澄まされる精神、朗々たる詠唱――!
「宿ご」
「我こそは『光よりも早く空を斬る太刀を振り下ろす姿は優美かつ力強い白熊』アヲイ・カロケファルス! 受けてみろー!」
 ちょっとわたしのでーばーんー! 悲壮なアルスラミネアの声を背に、アヲイが肉薄する!
「お前は強い。でもこっちは八人だ!」
 太刀をつかんだ右腕に力が入る。ぐん、と鍛えられたアヲイの腕が太さを増す。
 振るうは愛用の太刀、目にも留まらぬ居合い一閃、ばさりと肩から切り下ろす! その背後から降り注ぐ魔法の矢は、結界陣で精度を増したアルスラミネアの渾身の一撃。
 クローナは銀鼠の髪を振り乱し、トンファーを振るう。左右連続して振るわれる彼女のトンファーがバッハトマに浴びせられる。
「せめてこの拳で安らかに……眠るがいい」
 バッハトマの兜を弾き飛ばすハイキックでコンボを締めるクローナ。
「……クローナ、本当に大丈夫なのか?」
 血でも吐きはしないかと、思わず声をかけてしまうナハト。今回はツッコミ担当です。その彼も再び腕を振って扇を開き、おもむろに怒涛の水流を喚んでバッハトマを押し流す。気がつけば、バッハトマの動きが鈍くなってきたのがわかった。
「何か言わないとだめなのかね、やっぱ」
 やっぱこれを恥ずかしいと思わないやつの頭が理解できねぇうがぁ、と毒づきつつも、気分よく跳ね回りながら攻撃を加えていたカタルーニャ。生まれた隙を逃すまいと、今日一番高く飛び上がる!
「俺様必殺! 空を翔る何とか以下省略!」
 やはり気分がいいらしい。ともあれ、彼はいつもより多めにぐるぐる回り――兜の脱げたバッハトマの頭蓋骨を、渾身の勢いを叩きつけ、唐竹割りに両断した。

 ぐらり。
 ぐらり。
 カタルーニャの攻撃で頭部を失ったバッハトマは、徐々にバランスを崩していき。
 ず……ん!
 ついに、大地へと倒れ伏す。

 その身体は、生前と同じく前のめり。
 決して光ほど速くもなく、剣を使うわけでもなかったが。
 死してなお、敵に背を向けることのない、勇敢で高貴な騎士であった。

●光よりも速く駆け振るう剣は優雅かつ力強い高貴なる騎士
 戦いが終わって。
 誰が言うともなく、エンドブレイカーたちは戦いの痕跡を片付け、遺体を埋葬していた。
 それはバッハトマへの敬意であり、これから訪れるヨハンへの思いやり。
 ナハトは墓に一輪の花を添える。これからも、ここで村を護ってあげておくれ、と。
「あれ、こんなに人がいるのは珍しいですね。あまりお見かけしない方々のようですが」
 そこにちょうどよく現れたのはヨハン。勇敢な騎士が眠っていると聞いたんだ、とラヴェインが説明する。そうしたらスケルトン達が墓を暴こうとしてたから、私たちが退治したの、とアルスラミネア。辺りの痕跡を見て、ようやく彼は納得したようだ。
「俺もまだまだだな。こんなところでてこずるとは修行がたりん」
 鍛えなおさなくては、と表情を引き締めるシュウガ。一方クローナは、こほこほげふっと何かを吐いている。あなたは鍛えなおさなくていいので無理しないでください。
「強い奴が居たって聞いた」
 アヲイの言葉に、ヨハンは目を輝かせる。いかに彼が勇敢に戦ったのか、またいかに彼が親しみやすく、村の人たちがそのユーモアに励まされてきたのか。
「ふん、憧れるのは信念だけにしとくさね。はたから見たら……その、恥ずかしい」
 カタルーニャがぼそりとつぶやいた言葉はまったくその通りなのであるが、話に夢中のヨハンの耳には届かない。
「強くなれ、その騎士のように」
 ラヴェインの言葉に、彼は力強くうなずく。バッハトマ様が目標なんです、と。
「そういえば、あなたの名前をまだ聞いていなかったわね」
 あえて聞いたサノーザに、ヨハンの顔はほころんだ。
「よくぞ聞いてくださいました」
 こほん。

「私は、『光よりも速く駆け振るう剣は優雅かつ力強い高貴なる騎士』ヨハンです」

 ――とうやら、騎士の魂を受け継ぐ若者は、十分に育っていたらしい。



マスター:弓月可染 紹介ページ
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いまいち
参加者:8人
作成日:2010/04/29
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