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【あなたへの贈り物】継がれる願いは、その先へと

これまでの話

<オープニング>


「ねえねえ、その宝箱はなあに?」
 ブランホワの村に、ラパスと共に訪れたエンドブレイカー達。彼らが手にした小さな宝箱に気づくなり、チェレが怪訝そうに問いかけていた。
「はい! これはチェレへの贈り物だよ!」
「こないだフラウも、宝箱もらっていたよね……ぼくにも?」
 好奇心旺盛な村娘・ティティアナ(c13018)の言葉に、目を丸くするチェレに、
「そうです。いつか大人になる君へと――託された物ですよ」
 真顔で社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)が告げると、
「この中には、とても大事な物が入ってるんだ。だから、けして手放しちゃダメだよ」
 ミラージュカラー・セリカ(c01569)の笑顔にうなずくチェレの表情は、未だどこかあどけない。
「今、開けちゃダメなの?」
「……大人になってから、ゆっくり開けてみてくださいね」
 槍の天誓騎士・リオ(c01808)が温和な笑顔で言うと、
「だったらぼく、早く大人になる!」
「あら、あたしのほうが先よ! チェレになんか負けるもんですか!」
「ほらほら二人とも、そんなことでケンカしていたら、いつまで経っても宝箱は開けられるようにはならないわよ?」
 いつもの口ゲンカを始めそうになった二人を、リラが苦笑してたしなめる。
(「……確かにまだ、チェレには早いかな」)
 頬を膨らますチェレに、辿り道・タオ(c02608)はほっとしたように微笑んでいた。
「アンタに託されたものを抱いて、ゆっくり大人になりなさいね……?」
 白い蛇苺・ドゥケスネア(c11085)の言葉に、不思議そうな顔をするチェレに、
「うんうん。チェレくんが大人になったら、その宝箱についてゆっくり考えてほしいかなぁ」
 でりしゃす・マアム(c04123)もやわらかく微笑み、声をかけた。
「早く大人になりたい気持ち、ボクにも分かるけど――ゆっくり、も大事だと思うよ」
 賢者の石を片手に・アメリア(c20558)にそう言われ、うなずくチェレ。それを見た赤壁の城塞騎士・ジュン(c05187)は、甲冑の奥で目を細めていた。
 だが――
(「……さびしそうだな、リラ。それにラバス?」)
 溜息をつくリラと、その横顔を見て唇を噛むラバスを、蒼穹の箭・ルシエラ(c07486)は首をかしげて見比べていた。


「そういえば、リラに遺された形見の品は?」
 ブランホワの村からの帰途、そう尋ねられたラバスはしばし黙考していたが。
「リラへの形見の品を隠したのは、他ならぬこの俺ですから」
 そう口にしてから、ふと笑う。そんな彼を、エンドブレイカー達はしげしげと見つめてしまうが、
「少し、昔話をさせてください」
 その視線に気づいたラバスが、ゆっくりと語り出した。
 ラバスのパートナーだったダークエルフ、ラウラが恋した相手。それが自分の親友のリカルドと気づいた時にはすでに、ラウラは新たな命を宿していた。
 戒律に背くなどと、大それたことを――そうと思いながら、それでも、たいせつな親友とパートナーを失いたくないがゆえに、ラバスは二人を匿うことにした。だが、リラが生まれて間もない頃に、エルフヘイム騎士団を名乗る男達に隠れ家を強襲され、激しく抵抗した二人は、ラバスの目の前で殺されてしまったのだ。
「……あのときはリラと、二人の形見の品とを隠すのがやっとでした。でも、それがきっかけで――俺はハーフエルフの子供達を匿う手伝いを、続けることにしたんです」
 そこでラバスは目を細め、話を続ける。
「リカルドとラウラの形見の品は遺体と一緒に、市街地の西にあるレリュの村の共同墓地の片隅に埋めました。何せ辺鄙な村だし、遺品を隠すにはうってつけと思ったんですが……最近、行商の若い酒屋に聞いた話では、レリュの村は今はもう廃村になってしまい、共同墓地にはかなりの数のアンデッドがうろついているそうです。
 おまけに村から市街地に戻る途中の街道には歩行樹が群れを成していて、危険な場所になっているとか」
 ラバスは唇を噛みしめ、一枚の紙片を差し出した。どうやら墓地までの地図と、遺品を埋めた場所の目印らしい、百合の紋章とが書き留められている。
「皆さんに頼りっぱなしで不甲斐ないことは、百も承知しています。けれど――お願いします。
 どうかリカルドとラウラの形見の品を、リラに手渡してやってください」
 深々と頭を下げるラバスを見、彼らは顔を見合わせていた。


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参加者
ミラージュカラー・セリカ(c01569)
槍の天誓騎士・リオ(c01808)
辿り道・タオ(c02608)
戦神無宿・フェリアル(c02753)
でりしゃす・マアム(c04123)
蒼穹の箭・ルシエラ(c07486)
赤髪の運び屋・シヴィル(c07933)
社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)
白い蛇苺・ドゥケスネア(c11085)
好奇心旺盛な村娘・ティティアナ(c13018)

<リプレイ>


 レリュの村へと続く街道を行くエンドブレイカー達の頭上では、冬枯れの枝が重なり合っている。その裏寂れた景色に、ふと重なるもの想いがあったのか、
「リラへの遺品を隠したのが、ラバスさんだったなんて……」
 ぽつりと、槍の天誓騎士・リオ(c01808)がそう口にしていた。
「まいったねぇ、さぞや心苦しかったろうにな」
 ラバスの昔話を思い返し、戦神無宿・フェリアル(c02753)も葉の落ちきった枝から視線を逸らす。
「彼がどうしてあの子達を、まるで自身の人生を掛けるように護るのか、ようやく合点はいったが……」
 この道をかつて、ラバスはどのような想いで往き来したのだろう――そんなことを思いながら、蒼穹の箭・ルシエラ(c07486)はふ、と息をついていた。
「まあ、それもこれまでだ。両親の形見の品、ちゃーんとリラに届けてやらにゃあな」
 すると、とまどいを吹っ切るような力強い声を、フェリアルが仲間達へとかける。
「……そうだね! リラちゃんへの形見の品、ここまで来たら絶対に見つけ出さないとだね!」
 その声を後押しするように、ミラージュカラー・セリカ(c01569)は明るい笑顔を浮かべていた。
「そのためにはまず、道塞ぎの歩行樹を倒さないとな」
 目を細め、行く手をうかがっていた辿り道・タオ(c02608)が前方を指さす。
「今回も、遺された想いを無事に届けたいわね」
 白い蛇苺・ドゥケスネア(c11085)が、青色のスカートをひるがえして駆け出すと、
「敵の数が多くても、皆でがんばろー!」
 後に続く、好奇心旺盛な村娘・ティティアナ(c13018)が仲間達に声をかける。
「おう! リラにとっても、ラバスにとっても大事な形見の品だからな。ちゃんと届けてやろうぜ!」
 それに答え、赤髪の運び屋・シヴィル(c07933)はぐっ、と拳を握りしめていた。
 ――ほどなくして、彼らはしなる枝に青々しい葉を茂らせた八体の歩行樹と相まみえる。敵の姿から感じられるのは生命力と、周囲にそぐわぬ猛々しさ。
(「……体力は温存しとかないと、ねぇ」)
 そんな歩行樹を眺めるなり、でりしゃす・マアム(c04123)は敵との距離を置き、出方をうかがう。対する歩行樹も威嚇のつもりか、葉擦れの音を打ち鳴らしてきた。
「私達の道行きを、阻むのでしたら――」
 社会の理不尽と闘う男・ジョセフ(c11046)は戦端を開くビクトリースマッシュの一撃を、眼前の歩行樹に叩き込んでいた。


「街道の歩行樹なんて物騒な話ね……キッチリ退治していかなきゃ」
 独りごち、ドゥケスネアは幹に斧の跡がついた歩行樹を棍で薙ぎ払う。その脇にいた歩行樹をも巻き込んでの、縦横自在の棍撃に続いて、
「この一撃、受け切れますか!?」
 リオは威勢を弱めた歩行樹を光り輝くエネルギーを集中させた槍で貫き、その命脈を絶っていた。
 しかし、歩行樹は前線のエンドブレイカー達へとツルを叩きつけ、後方から大量の木の葉を飛ばしてきた。間断ない報復に、つかの間足を止めた彼らのもとへと駆け込む歩行樹を見、
「これ以上は、近づかせない」
 ルシエラが足止めのトラバサミを撒く。そこにティティアナは照準を合わせ、弾丸鳳仙花を放っていた。幹にめり込んだ種子弾を見るなり、フェリアルは方頬に笑みを浮かべて斧を振るう。嵐さながらのオーラの刃に強襲された歩行樹は、完膚無きまでに斬り裂かれていた。
「ここで、足止め食らうわけにはいかないんだよっ!」
 シヴィルは跳躍を繰り返し、三体の歩行樹を急降下して突く。だが、彼が着地したその脇から、無傷の歩行樹が枝を振り下ろしてきた。それを見たタオは敵の頭上から矢を飛来させて牽制する。
「こっちはわたしにまかせて!」
 迫り来る二体の歩行樹を、セリカは旋風刃の術で押し戻した。それでもなお、木の葉を飛ばして応戦してきた歩行樹をマアムはちらりと見上げ、
「……懲りないねぇ」
 そう呟くと、振るった爪から生じた虚空の刃で、その幹を深々と裂いていた。傷だらけになった歩行樹へと、ジョセフは斧を振り下ろして止めを刺す。
 だが、同胞を倒された歩行樹の群れが、退く気配は未だない。幹は傷つき、枝は折れてもなお、歩行樹は彼らの前に立ちはだかった。
「……これで御仕舞いよ、終焉の舞踏……見せてあげるわ!」
 二度と立てぬようにと、ドゥケスネアが回転させた棍で歩行樹を薙ぎ払えば、リオも枝の折れた歩行樹へと、狙いを過たず急所を突き刺し、その歩みを断つ。
 この勢いに乗じ、彼らは道の先へと進もうとしたが――歩行樹は木の葉を飛ばして抵抗してきた。薄刃にも似た木の葉はルシエラの頬をす、と裂いたが、彼女は動じることなく、ライフエナジーを籠めた矢を放つ。
「おとなしく、ここから立ち去ってくれないか」
 幹の中心を射貫かれた歩行樹はその声に従い、街道をあとにしていた。


 リラへの遺品を捜すため、レリュの村へと向かうエンドブレイカー達。その途上に現れた歩行樹の群れを、彼らは互いに力を合わせ、一体ずつ確実に倒してきた。そして、いよいよ残り二体となった歩行樹へと、彼らはあらためて気合いのこもった眼差しで向かい合う。
「ボクの鳳仙花は樹だって貫くよー!」
 ティティアナが仕向けた鳳仙花から放たれた種子弾に幹を抉られ、くずおれた歩行樹。その傍らで、ツルを振るって攻撃してきた最後の一体へと、後方に退いたシヴィルが目にもとまらぬ速さで、紫煙銃を三連射していた。
(「何としても、形見の品を届けてやりたい……!」)
 入れ替わりに前に出たタオが弓をつがえ、歩行樹の根とツルとを正確に射貫く。もがき苦しむ歩行樹を前に、
「三人のためにも、退いたりはしないよ!」
 セリカはアイスレイピアを振るって冬の嵐を召喚し――歩行樹を分厚い氷の壁に閉じ込めていた。
「さぁ、あらためてリラさんへの形見の品を探しに行こうねぇ」
 仲間達の負った傷の具合をゆっくりと見終えてから、マアムは声をかける。それを聞いた彼らは再び立ち上がると、先を急ぐように街道を歩き出していた。 
 頭上を覆う寒々しい枝が先細りしていくにつれ、周囲の風景も色なくさびれていくのを眺めながら、彼らはようやく、形を失った家屋が軒を連ねるレリュの村に辿り着いていた。
「……なんというか、ここまでとは思ってなかったな」
 共同墓地の手前で、これまで道中の様子をスケッチしていたティティアナが思わず苦笑し、鉛筆を止める。人が住んだ名残は今や、間近に見えてきた共同墓地の墓石のみとなっているが――そこには今、ゾンビとスケルトンが闊歩している。
「リラの両親が眠っている場所なのに……」
 だからこそ、目の前の危険は看過できない――そう思うタオは、弓を取る手に力を込め、共同墓地へと足を踏み入れていた。そんな彼らに気づくなり、ふらふらと歩み寄ってきたゾンビを一瞥し、
「まずはかれらを一掃しましょう――手堅く、確実に」
 ジョセフの放った輝く獅子のオーラは、その喉笛に喰らいついていた。
「それじゃ、行くわ……手加減はなしで、踊ってあげる」
 ぴくりとうごめくゾンビへと、ドゥケスネアは棍を横に払い、偽りの命脈を断つ。だが、その口からこぼれていた断末魔の唸り声に引き寄せられたか、スケルトンが剣を手に彼らのもとに駆けてきた。
「飛龍の一撃、受けてみますか!」
 その出鼻を挫くように、リオはスケルトンの頭上から脊椎に深々と槍を突き刺し、その動きを止めていた。


 荒れ果てた共同墓地にたむろするゾンビとスケルトンの群れを駆逐すべく、エンドブレイカー達は苔むし、摩滅している墓石の合間から、敵影を捜し続ける。
「ゾンビさん、ボクとも遊ぼうね!」
 大鎌を振り下ろしてきたゾンビを、ティティアナはシールドスピアで捻り突き、膝をつかせる。さらに墓石の陰から、呪詛の塊を飛ばしてきたゾンビを、ルシエラが捕獲網で完全に捕縛していた。
 しかし、共同墓地のさらに奥へと進もうとした彼らの背後から、二体のスケルトンが忍び寄ってくる。
「おっと、てめぇらの相手はこの俺だ!」
 それに気づいたフェリアルが振り向きざま、雪崩にも似たオーラの刃を撃ち出していた。
 時が澱んだような共同墓地に突如現れた、生気に溢れる人間達。それを目の当たりにしたゾンビは、大鎌を回転させて振り下ろす。その一撃のお返しだと言わんばかりに、シヴィルは頭突きをお見舞いし、ゾンビの動きを止めていた。
「おとなしく眠って。お前達がここにいては、生者がここに来て昔を偲ぶこともできなくなる」
 タオは青き炎を宿した目を向け、狙いを過つことなくゾンビの手にした大鎌を射貫けば、
「数が多いからって、諦めないよ!」
 得物を拾おうとしたゾンビへとセリカが仕掛けた竜巻葉刃の術は、その朽ちかけた身を共同墓地のはるか外へと吹き飛ばしていた。
「回復は、僕に任せてねぇ」
 マアムの描いたコルリ施療院の紋章から引き出された治癒の力に後押しされ、シヴィルが再び前を向く。その間にも彼らは墓石越しに敵の動向をうかがいつつ、隙を見てはアンデッドの群れに勝負を仕掛けていた。
「……ここで負けるわけにはいかないの、わたし達は……!」
 握りしめた棍をなぎ払おうとするスケルトンの剣技に抗うように、ドゥケスネアは縦に回転させた棍で押し返す。そんな彼女を援護するように、ジョセフは手傷を負ったスケルトンへと、止めのビクトリースマッシュを叩き込んだ。
 しかし、彼らの死角から姿を現したゾンビが、やおら大鎌を振り上げる。
「外しません!」
 不意の襲撃にも慌てることなく、リオは疾風のごとき槍撃でゾンビを再び葬り去っていた。脆く崩れた遺骸に構うことなく、なおも大鎌を振るうゾンビへと、ルシエラの放った矢は雨霰と降り注ぎ、その総身から力を奪う。
 それに気づいたスケルトンが、侵入者の命脈を絶たんと剣を振り上げたが、
「迷わずに逝きやがれ!」
 フェリアルは持ち替えたナイトランスを回転させ、乱れ突きにして敵の動きを止めていた。


(「このアンデッド達……まさか、この地に眠る者達のなれの果てではない、よな?」)
 ちらりとよぎった疑念を振り払うように、タオはスケルトンの一団目がけ、アローレインを放つ。頭上から降り注いだ矢に腕を貫かれ、身を屈めたスケルトンへと、セリカが迷うことなくアイスレイピアを振るう。吹雪が行き過ぎた後には、骨格も見えぬほどの氷壁だけが残されていた。
「あともう少しだよ、頑張ろうねぇ」
 マアムの描いたブルームスターの紋章から引き出された、愛の睦言を紡ぐ声。その声に忘我するほど魅入られたスケルトンの手から剣が落ちた。
 共同墓地に巣くうアンデッドと戦う、彼らの胸に去来するのは――両親の、そしてラバスの想いが込められた形見の品を、リラの手に取らせたいと願う、つよい想い。
「未来へと繋がる形見の品――子供にそれを託すことこそ、大人の務めだ」
 剣の乱舞にも負けず、ジョセフはスケルトンを渾身の力で突いて倒す。
「そうさな、あいつらが未来を手にできる身の上になったなら、なおのことよ!」
 それを見るなり、フェリアルが斧を振るった。轟々と雪崩れる気刃の前に骨片と化したスケルトンに、最後に残った一体は――生ある者への憎悪を剥き出しにして、剣を振り回す。
「だから……俺達は絶対に負けない!」
 シヴィルはスケルトンへと紫煙銃の銃口を向け、引き金を引いた。迅速に連射された弾丸に貫かれ、その動きが止まると――共同墓地がしん、と静まりかえる。
「さあ、形見の品を捜しましょう……早く見つけて、持って帰ってあげたいわ」
 連戦の後でありながら、ドゥケスネアはひと息つくことなく、リカルドとラウラの形見を埋めた場所を捜しはじめていた。後に続いたセリカが、ラバスから預かった地図と墓碑とを念入りに見比べていたが、
「百合の紋章……この下にあるかも!」
 ささやかな墓石を指さし、仲間達へと声をかけていた。彼らは地図と墓石の彫られた紋章とを見比べ、ここに間違いないと見て取ると、その周囲からゆっくりと掘り返していく。ほどなくして、石室の中から姿を現したのは――やわらかな翠色の石をあしらった、小さなブローチだった。
「ラバスさんは……親友とパートナー、どちらにも幸せになって欲しかったんでしょうね」
 リラの瞳とよく似た色の石を見つめ、リオがしみじみと口にした言葉に、
「きっと、そうだね――リカルドさんにラウラさん、リラちゃんは元気だから、安心してくださいね」
 ティティアナはうなずいてから、そっと墓石に手を合わせる。
(「この形見の品がリラにとっても、ラバスにとっても、未来へと繋がるものになることを――」)
 ブローチをしっかり布に包みながら、ルシエラは心の中でそっと祈りを捧げていた。


「これ……わたしに?」
 ラバスと共にやってきた旅の仲間達から、小さな宝箱を手渡されると、
「みなさん、ありがとう!」
 たちまち、リラの顔に嬉しそうな笑みがこぼれる。
「やった! これで三人、おそろいだね!」
 はしゃぐチェレとフラウへと、笑顔でうなずくリラを見、
「三人への贈り物、揃って良かったね♪」 
 ティティアナのかけた明るい声に、セリカも明るい笑顔で応えていた。
「……リラにも、両親の想いが届くと良いわね……」
 ドゥケスネアの呟く声に、リオは宝箱を眺めるリラ達へと温かいまなざしを向ける。そんな仲間の姿と三人の子供達とを見比べながら、
(「いつか宝箱を開けたときに、あの子達はどんな顔をするのかなぁ?」)
 そんな想像をしていたマアムは、くすぐったそうに笑っていた。
「ラバスさん、あの子達の将来のために必要なものがあれば、遠慮なく仰ってください」
 ジョセフの申し出に、恐縮したように頭を下げるラバスへと、
「なぁ、あんたってリラに自分が両親のダチだったって伝えてあるのか?」
 シヴィルがそう問いかける。だがそこで、首を横に振っていたラバスを見、
「そんじゃ、そのうち伝えてやんな。気丈なようで、一番寂しがってんのはリラかもしれねぇからよ」
 さらりとそう告げ、シヴィルは笑顔で子供達のもとに駆け込んでいった。子供らしい歓声をあげるリラ達を見、タオは三人とも幸せであって欲しいと、桜に捧げた願いごとを思い返しながら、
「もしかしてリラの名は――リカルドとラウラの頭文字から?」
 ラバスにそう尋ねる。それに対し、ラバスが掛け値無しの笑顔でウィンクしてみせると、フェリアルはにっ、と唇の端を上げていた。
(「これから先もずっと……彼らのもとに、良き風が吹きますように」)
 継がれ、繋がれていく想いに心を馳せながら、ルシエラはそっと、やさしい笑みを浮かべていた。



マスター:内海涼来 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2011/12/17
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  • ハートフル6 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
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