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花換え幻燈

   

<オープニング>

 暖かな春風が吹き抜ける、花咲く季節。
 暗き夜の中、ほんのり色付く灯火の下。逢い見えた縁の証に、藤の枝を手折って。
 お互いに想いを伝え合って花を交換し合えば、花の命が巡るように、その縁はずっと巡りゆく。
 それが、村に古くから残る『花換え』の言い伝え。
 廻り訪れた春の晩。緑の村では今年もまた縁を繋ぐ祭り――灯花の宴がはじまる。

「ねぇみんな、お花のお祭りにいっしょに行かない?」
 桜色の髪をくるりと翻し、杖の星霊術士・アミナは目の前の仲間達に微笑みかけた。
 ――咲き揺る藤花は想いと廻り、燈し巡りて千花の縁を。
 ――花換えましょう、花換えましょう。
 アミナはこほんと咳払いをして、村でよく謡われるという伝統曲を口ずさんで披露した。その少女の肩に乗る星霊スピカも、その唄に合わせて「すぴ!」と楽しげに尻尾を揺らす。
「ふふ、素敵な歌だよね。村の『花換え灯籠祭』っていうお祭りの曲なんだって」
 頑張ってメロディを覚えたんだよと胸を張りながら、少女は本題の村の祭りについて語り始めた。
 祭りの主役は夜闇で見事に咲く藤の花と、その下で行われる花換えの儀。
 藤の花並木を中心に其処彼処に灯籠が掲げられ、辺りは燈の彩りに包まれて。幻想の色に染まる中、言い伝え通りに藤の小枝に想いや願いを込めて家族や恋人、友人達と花を交換するのだ。
 今では藤の花にも限りがあるので、造花を用いて花換えを行うようになっているが、現在は“枯れぬ思いを換える”という意味も加わり、幸せを分かち合う祭りとされている。

 村の中心には、造花の細工をあしらった小物を売る出店なども在るようで。
 豪華な料理を出す店は流石にないが、甘酒や花茶、飴細工の屋台もあるのだと少女は告げる。
「なかでもお勧めは食用花入りの花飴だって聞いたよ。甘いお花、絶対においしい筈だよね……♪」
 琥珀色の飴の中に広がる花弁を想い浮かべ、アミナは真朱の瞳を細めて甘味に思いを馳せた。
 祭りの雰囲気は賑わいよりも、のんびりとした空気に包まれているらしい。
 村中に飾られた灯籠の燈を眺めて静かに、そして緩やかに時を過ごしてみるのも良いだろう。
 けれど、祭りには多数の村人や見物客も訪れている。
 羽目を外し過ぎてしまい、他の参加者に迷惑を掛けないように気を付けること。
 未成年の飲酒喫煙も駄目だよ、としっかり付け加えた後に少女は柔らく口元を緩めて微笑んだ。
「お祭りではマスカレイドもエンディングも関係ないからね。みんなでたくさん楽しんじゃおう!」
 えいえいおー、と掌を天高く上げて少女はすぴきゅーと鳴くスピカと一緒に意気込む。
 行き交う人々の中、幾人もの人の手から手へと花が舞う。
 それは正に花の縁と呼べるはず。
 大切に想う人達とともに大事にしたい縁を紡ぐ。その時を、心から楽しみにして――。


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参加者
NPC:杖の星霊術士・アミナ(cn0004)

<リプレイ>

●暮唄
 春に紡がれ、花で繋がる縁を祝う宴が祭囃子と共に始まりを告げる。
 移ろう天上の色、映るのは夜の底へと暮れゆく色合い。
「わー、揺れる灯りって幻想的だねえ」
「こりゃァ風情有る趣向だね」
 イツカが仲間達へ笑顔を向け、灯火を見上げ頷くジェイは屋台に向かう女性陣に視線を向けた。
「見て見てこの髪飾り! 凄く可愛いと思わない?」
 皆に似合いそう、とキアルルが髪飾りを指差す。どれも可愛くて選べないとおろおろするシアだが、迷う事も楽しいとはしゃいで。笑みを零すラカは飾りを手に取り、男性陣にどうかと問う。ジェイに似合うと誉められた少女が妙に照れる様子にアンブローズが口元を緩める。
「よし、おにーさんが何でも買ってやるぞ!」
「奢り……いいのか?」
 無表情ながらも瞳を輝かせたクロッツが鉄板焼きを頼むと、仲間内で林檎飴や串焼きも振る舞われて。その後、かの財布がただの袋と化すのも時間の問題かもしれない。
 琥珀に沈む花、浮かぶ淡い色。辺りには甘い香りがふわりと広がって。
 ナハティガルは同行者の袖をくいくいと引っ張り、屋台を指差す。
「花飴のお店がありますよう! ナハト、あれ食べたい!」
「飴細工に花茶、こんな素敵なものだとは思わなかったな……」
 ふわりと目を細めたクロアハルトが妹に贈る花飾りを探したいと告げると、少女は花の様に笑った。
「ね、ね、おねーちゃんはどういうのが好き?」
 問い掛けるシェリカにお花のリボンが良いかな、とベンテンは花飾りを手に取る。
「シェリカ、こんなの似合うんじゃない?」
 お土産も忘れない様にと微笑み合う二人にもまた、花の縁が繋がった。
「にーちゃん、このリボンとか似合うのさっ……あれ?」
 小物を手にしたインニャヤールが、わふわふはしゃいでいた筈のプリスの姿が無い事に気付く。
 花飴を堪能していたカタルーニャも辺りを見渡すが、当の団長は絶賛迷子中だった。暫し後、涙を堪える少年と二人の感動の再会があったとか、なかったとか。
「こいつぁ、結構イケるぜ。食ってみ食ってみ」
「あ、美味しい。甘いものはいいねぇ」
 様々な食べ物を手に賑やかに屋台を回るのはカウスアークやトーリ、股旅亭の面子だ。
 グロリアーナに白花のピンを髪に留めて貰い、真っ赤になったクロムはお返しにと道端の花を髪に挿す。その姿に微笑むハルイは仲間達に土産を買いたくなるなと屋台を見渡した。

「あ、いい匂い。ウセル、あっちの美味そうだぞ!」
 うきうきしてエニスが呼び掛けると、藤蔓細工を見ていたウセルが楽しげに頷く。食べ物を中心に見て回るスオウ達とは変わり、女性陣は早速小物屋台へと興味を向けて。
「エニスは明るい色が良さそうね。シエルにはこのリボン、リーネは此方の髪飾りなんてどうかしら?」
「フェイルさんには、この小さな赤い実の飾りも似合いそうです」
 仲間に色々と見繕うヤトの隣で、セルフリーネもフェイルの髪へ飾りを合わせてみる。
「花飾りも素敵ですが、花飴が売り切れてしまうかもしれま……あ」
「人ごみの中ではしゃぐな、はぐれるぞ」
 人波を突っ切ろうとしたシエルが転びそうになる寸前にティエンがその手を掴み、コイツを見失うのが一番怖いと軽く溜息を吐く。だが然し、その後見事な方向音痴を発揮したフェイル達がはぐれ、メンバー総出で大捜索が始まってしまったのは、また別の話。
「ねえ、皆、美味しいもの食べましょうよ!」
 満面の笑みを浮かべたシラベが仲間に呼び掛け、屋台巡りが始まる。
 ジェイドを花で飾ろうと言い出したのは誰だったのか、暫し後に出来たのは花だらけの彼の姿。
 ステラが花を結わえる様にクロウは必死に笑いを堪えた。
「いいわ、いいわよ。あなた、すごくいいわ! オーラを感じる!」
 わざとそれらしい口調で振る舞うウィードに無言の重圧を掛けるジェイド。
 後に丁寧に外されたその花は、各々の大事な思い出のひとつとして残るだろう。
 これも似合う、あの飾りが可愛いと小物屋台を楽しんだエレノア達は花飴を買い込んで一休み。
「エレノアさん、アミナさん、ご一緒しましょうっ♪」
 両手一杯の食べ物を手にしたチアがアミナに駆け寄り、暫し談笑の時が訪れた。
「ラズリィさん……何だか、お兄ちゃんみたい、ですね」
 手を繋ぐセシルとラズリィ。花飴だけどね、と紡ぐ唄と共にささやかに花が換えられた。
 ふと足を止めたルーンミリカが見るのは花の小物屋台。気に入ったん買うたるで、とロータスが申し出ると少女は満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、私もロータスさんに!」
 交換された藤蝶のピンと藤の腕輪。それは、一緒に楽しい時を過ごしたという思い出の証だ。
 右手にはおにーさんの手、左手には花飴。それだけで幸せなのに、更に渡された細工物。妹分への贈り物を買う位どうという事でもないと告げるジンに、システィナは嬉しさに思わず瞳を潤ませた。
「ほら、折角だから交換しとくか?」
 綿飴を頬張るラビから花が渡されれば、レジェロは俺かよと溜息を吐きつつ代わりの花を投げ返す。
「花より何か食える物寄越せ」
 軽口を叩きながらも、また来てやっても良いけどよ、と呟いた言葉は宵の空気に交じった。
 幸せそうな誰かの顔を見るのは嫌いではないから。シノンは微かに笑むと、歌を口ずさみ始める。
(「枯れぬ思いか……あの人に贈ったら迷惑、かな?」)
 渡せずとも、思いを届けられれば。シャオリィは前のマスターを思い、静かに灯籠を見上げた。

「花も色々あるもんだのぅ」
 アクロが呟いた視線の先では、ポニーとリートが花飴を舐めながら仲良く小物を見ている。あれが欲しいと強請るセリにジンが折角の祭りだから奢るぜと意気込む中、レギネーも屋台に興味津々だ。
「いいおっちゃんは皆が楽しむのを眺めておくかねぇ」
 アレクセイは彼らがはしゃぐ様子を見守り、ミツキも愛すべき仲間が増えたと感慨に浸る。皆と一緒に食べると格別だと花飴を配るルートの言葉に頷き、セラエも穏やかな笑みを浮かべた。
「あの、ラビオラさん。手……繋いで貰って、いいですか?」
 レンマーツォがおずおずと申し出ると、ラビオラは親愛の証だと花飴を手に握らせ笑顔を向ける。パメラとナギもまた、お互いに気に入った菓子を幸せのお裾分けとして交換し合っていて。
「しゃーわせ、しゃーわせ。……幸せ」
 祭りを満喫するパーフ達の傍、丘に巡る風のような暖かな空気が吹き抜けた。
「皆サン、ヒトツずつ好きなの選んでクダサイネ?」
 花飴を奢りマスヨと微笑んだスラトに懸命に礼を言い、ピアが瞳を輝かせる。
「うわぁ……すごぉい」
 鮮やかなミニドレスに身を包むシャレンは仲間にお勧めの花を指差して。
 迷うジェミニが花咲く飴を手に取ると、甘い花の香りがいっぱいに広がった。
「一人より皆で食べた方が美味しいと、先日の花見で教えて貰ったからな」
 楽しげに蒲公英の花飴を選んだメルフィーネに、アミナは桜が好きだよと答える。
 飴の甘さに幸せを感じつつ、二人は並んで屋台の小物を見て歩く。
「あ、みんなもこーんばんは〜!」
 アミナにお辞儀を返したサフィア、小物選びに悩むニトも加わる。
 イトカもひっそりと祭りを楽しみ、ミメイは星霊達と花飴を分けつつ、賑わう時は過ぎてゆく。
「花飴よりも花よりもやっぱ、アミナが一番綺麗だぜ? 愛してる、結婚しよう」
 カイトからの突如の愛の告白に、少女はいつもの軽口だと思い笑って首を横に振る。
 だが友情の花換え申し出にはしっかりと頷く、そんな光景を眺めていたのはシシィだ。
「……いつかはボクも恋人さんと来たりしてみたいなぁ」
 大人になったら、と。彼は友達用に多めに買った土産を抱え直した。
「む、このように美味とは……」
 花咲く琥珀を口にしたエヴァルトは花飴を絶賛中。
「恋に酔わす藤の花ってのは、案外罪作りな花かもな」
 満足気なケイも甘味を楽しみ、屋台前のライも甘い花色に魅せられていて。
「薄紅色の闇に包まれるのも良いモノだな……」
 ベリエラがわくわくした気持ちを抑えきれず呟く傍、クリュウは飴細工屋台の技術に釘付けだ。
「これ、ボーンに似合うんじゃないの?」
 花飾りを指差してからかうユアに、内装品を探していたボーンは慌てて首を横に振る。そんな和やかな仲間に付いて回るユイは、ふと思う。――今日の土産はこの景色と仲間の笑顔なのだろう、と。

●藤灯
 灯籠の燈に淡い影が落ち、紫紺の彩を映しだす。
 藤を見上げるマンジの隣、ヒスイが団子や手拭きを渡して甲斐甲斐しく世話を焼く。
「色々と気ぃ遣ってくれるのんは嬉しいんじゃが、ちゃんと景色、見とるかぇ……?」
 ――そういえば、こうして景色をのんびり眺める事はなかったが気がする。
「……美しい景色ですね」
 頭上を見上げ呟いた言葉は流れる和やかな空気に混じり、花の下で静かにとけた。
「はぅ、素敵ですね〜。灯りに照らされてお花がキラキラです♪」
 瞳を輝かせるアトラが迷子にならぬよう、アレクサンドラが手を差し出す。
「こうすれば、転ばない」
 飴玉に頬を綻ばせたレティーファも加わり、手を繋ぐ少女達。
 その姿を見付けたアスは花飴を持って合流し、ディアークも女性陣の髪へ花飾りを挿してやる。
「うん、似合うよ」
 飾らぬ言葉を送られれば、連なる藤花のような笑みの花が開いた。
 行き交う人を眺め思いに耽るシドニウスの横に座り、ウェンは食べ物を片手に藤並木を愉しむ。
「この状態で交換できるものとなら友誼を結びたいな」
 出会いは欲しいがなかなか。藤の花を髪に挿し、彼女は小さく笑った。
「さぁ、座ってのんびり眺めようか?」
 淡く広がる夜花の佇まいにシェンルーが座り込むと、アゼルが紅茶を取り出す。
「さすがにミルクはないけれど……甘い方が好きな人はいるかな?」
 茶を受け取ったアロルオンは女性二人が藤以上に魅力的な華だと告げ、花飾りを贈る。
「あの、今日は一緒に来てくれて、ありがとう」
 仲間を照らすのは幻想的な灯籠。来て良かったと礼を告げ、ルーウェンは緩く微笑んだ。

 気付かれない様、クロはそっとカヤツヒメの後髪に藤の花を飾る。
「漸く休めるのじゃ……って、もう行くのかクロ殿!?」
 休む間もなく引っ張られる少女が花飾りに気付くのは何時か。それもまた、楽しみな事なのだ。
「こういう平和なのも、時にはいいもんっすねぇ……」
 ミルシェリスがしみじみと口にする傍では花の香りが漂っていて。
 ユーリは自分と似ていると言われた花に思いを馳せ庭の藤が綺麗に咲く様に願う。
 灯籠の幻想的な光景にバルキスは甘酒を一口呷り、イーグルも酒を片手に彩りに目を細める。
「あの、花飴は美味しかったですか?」
 問いにアミナが大きく頷くと、クアルは帰ったらお土産話しなくちゃ、と穏やかに笑みを零した。
 自分は藤が好きなのだとユレルミは藤の花を見上げ呟く。
「桜は見てとばかりに咲いて散る。だが藤は、奥ゆかしげにさらりと垂れて……」
 藤が似合うとの同行者の言葉を聞いたデュカが微笑む。揺れる花の下、小さな縁が繋がった。
「――ボクもいつか、キミの様になれるのかな?」
 花を見つめ佇むスエは薄紫の藤の下で微かに呟く。
 其処に流れるハープの音色は、リィンティアが奏でる祭事曲のメロディ。
 耳を澄ますレインは夜闇に消え入りそうな声で唄を紡ぎ、勇気が持てるようにと小さく祈った。
「ほう……なかなか幻想的な雰囲気だ」
 ぎこちないエスコート、ジョンの緊張した面持ちに気が付かぬ振りをして。
「やっぱり勿体無い。折角だからして帰ろうか、花換え」
 呟いたシュナイゼが彼の片腕に自分の腕を絡めて屋台へ向かう。
 今後もこの気持ちが枯れぬ様に。灯籠の明りに照らされ、二人の影がぼんやりと重なって見えた。

●宵唄
 天上に視線を移せば、宵は其処まで降りてきていて。
「素敵で楽しい夜ね、この賑わいに藤花の精も誘い出されてくるかもしれないわ」
 藤を眺めるルリアの言葉にアミナがゆるりと頷く。
 その隣に立つアストルロージアは花換えにと、おずおずと花のリボンを渡した。
「今日、こうして出会えた……感謝を、込めて」
「ふふ、じゃあわたし達からも」
 スピカに渡された花にアミナが微笑む。
 花の下、図書館の面子も其々の思いを伝え合い、ささやかな花換えの儀が交わされる。
「いつもありがとう、リゥに出会えて良かったよ」
 己の瞳に映るその笑顔が少しでも守れたらいいとデメルは願う。
「何だか、とっても嬉しいね」
 渡された花を両手で受け取り、リゥはこれからも仲良しで居られる様にと返す。明るく笑い合う二人は林檎飴を交換すべく、仲睦まじく屋台通りへと向かって行った。
 守護者になった事を後悔していないかとエクレールが問えば、タルトはその額を軽く小突く。
「あたし達は二人で一人。一人で二人。これまでどんな時もずっと一緒だったでしょう」
 それはこれからも絶対変わらないから。姉弟で交わされた花の縁は、更に深く巡る筈だ。
 こっそりスカードエンドの集まりから抜け出したサイレントは、あうあうと頬を赤らめる。
 好きでいたい、好きでいて貰いたいから。最後は心の声ではなく己の言葉で。
「アレサ……だいすき」
「もっと、ずっと仲良くしましょうね」
 高鳴る鼓動を抑え、アレサが抱き締めたその体は熱を持っていた。

 これからも一緒に居てよね。
 改めて告げられた言葉に照れ隠しに頬を掻くクロウを見つめ、ユインは勇気を振り絞る。
「その……わたし、本気でクロウの事、す……」
「ユイン、屋台でもいこうぜ!」
「は、話は最後まで聞きなさいよ!」
 言葉は喧騒に掻き消されたが、彼から無理矢理渡された花はきっと。紛れもない縁の証だ。
 白い花は姉さんに似合うから。そういったソラから贈られる花をサクノスが受け取る。
「家族っていう縁。オレ、ずっと、ずっと大切にしたいんだ」
「それじゃ、はい。僕からも……ソラに!」
 大好きなその笑顔をなくしたくないから、この子を絶対守ってみせる。
 互いを想う心の温もりは、誰よりも大切な繋がり。
 ――親同士が決めた許嫁で、お互いをよく知らない。
 相手が自分をどう思っているのか判らず、ほんの少しの不安を抱くマリアムは花を見つめる。
(「健やかな日々を送れます様に」)
(「彼女が幸せでいてくれれば、それだけでいい」)
 願いを秘めた藤花に表情を綻ばせる少女に、ベネデットは優しい微笑みを向けた。
「これからも、仲良くしてくれると嬉しいな」
 そっと渡されたシェリーローズの花を手に、ワンダは緊張気味に花を換える。
「こちらこそよろしくね……シェ、シェリー」
 ずっと呼びたかった愛称がやっと言えた。ほっとするワンダに少女はくすりと笑みを返した。
 これからの縁と気持ちを、枯れぬ花に託して――。

 想い合う心、繋がる花の縁。
 それは連なって咲き誇る藤の彩りのように。優しく、巡り廻って往くのだろう。



マスター:犬彦 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:199人
作成日:2010/05/09
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