ステータス画面

炎獣フレイムレオ

<オープニング>

●雪も氷も、全てを溶かして
 寒い冬の最中でも、決して眠らぬ炎の獅子が居る――そんな昔話があった。
 たとえ雪風が外を覆いつくしても、山の奥に行っちゃいけない。眠りにつかない炎の獅子が、ずっと眠らず歩いているのだから。子供達に遠出させない為に、誰かが語った昔話。
 旅人は、そんな噂を知っていた訳ではない。いや、知っていたとしてもそんな噂信じはしなかっただろう。よくある御伽噺だと鼻で笑い、それで終わっていた筈だ。
 実際問題、それは確かに作り話で――違う点があるとすれば運が悪かっただけ。
 岩場だらけの山の奥。その岩場の影から見え隠れする、動く炎。
 一体なんだ。そう思う暇は一瞬の事。俊敏な動作で迫ってくる炎の形。
 開かれる顎と、振るわれる爪牙を目に焼き付けて旅人は倒れた。
 炎に包まれた獅子が三体。その獅子の頭部には、マスカレイドの証である仮面が浮かんでいる。

●奇妙な偶然
「つまり、敵さんの正体はマスカレイドになることで変質したライオンってことだ。勿論作り話が本当だったって訳じゃない。奇妙な偶然で、姿形が一致しちゃったってだけだぜ」
 強さの方は作り話に負けないくらいに強いみたいだけどな、閃きの錬金術士・ガーネット(cn0130)はそう言って苦笑する。
 彼女が語ったエンディングの詳細。それは山奥で姿を現す獅子のマスカレイドについてだった。
「敵は外見を裏切らず、炎を主体とした攻撃をしてくるぜ。火吹いたりしてな。そして数が三体……これだけでも厄介なのに、場所が更に厄介なんだよ。大きな岩が沢山転がってる岩場だ。どれくらい厄介かっていうと、攻撃の射線を封じちゃうくらいに」
 天然の障害物が戦場にばら撒かれている事になる。これでは遠距離から範囲攻撃で一気に、という戦い方が出来ない。もっとも、それは敵にも言える事なので、一概にエンドブレイカーだけが不利という事態にはならないが。
「このマスカレイド達は三方向に分かれて、前から横からと襲ってくる……どういう戦法を選ぶかは、あんた達に任せるぜ。厄介な相手と場所だけど、倒してくれよな!」


マスターからのコメントを見る
参加者
始まりと終わりの・ティルミーナ(c00307)
自由の空・ディーナ(c00728)
星に願いを・ネフェルティティ(c01000)
ギ・ア(c01635)
魔剣・アモン(c02234)
夢の狭間に見た奇跡・エミリオ(c02422)
紅水晶・フィーア(c03049)
白炎鬼・レイガ(c04805)
金色の夢・レイ(c09602)
修羅乃王・パトリック(c12044)

<リプレイ>

●咆哮
 獅子の吼え声が、エンドブレイカーの耳に届いていた。
 歩みを止め、視線を咆哮のした方角へ向ける一同。そこは、酒場で聞いた通りの場。多くの岩が転がり、天然の障害物となっている。間違いなく、ここが悲劇の現場。
「こんな厄介な所で攻撃を仕掛けてくるとは、なかなか頭の良い獣だな……とはいえ、相手はマスカレイド。倒すしか無い、か」
 残念そうに呟きながら、弓を構える自由の空・ディーナ(c00728)。仲間のホークアイでも、あの岩場に隠れて姿は見えないが、間違いなくあそこに炎の獅子がいる。御伽噺の存在に似たマスカレイドが。
 だって、先程から獅子の唸り声が消えない。
「勇ましい敵はやっぱり怖いですねー……でも、寓話は寓話であるために、理不尽を起こさないために頑張りませんと」
 星に願いを・ネフェルティティ(c01000)も竪琴を手に持ち、戦闘準備に入る。寓話を真実にする訳にはいかない。本当に炎の獅子を徘徊させ、人の命を奪わせる前に、何としてでも倒さねば。
「何、心に燃える炎の熱さなら、僕達だって負けちゃいないさ! ……さあ、派手に往こう。敵の炎より熱いものを見せてやろう!」
 魔剣・アモン(c02234)の力強い声に頷き、三班の内Cチームは岩だらけの戦場に駆け出していく。遠めで見ても解る。あそこはちょっとした迷路に近い。岩で入り組んでおり、皆が一斉に赴いたら囲まれてしまう可能性がある。この地をで活動する敵に比べ、エンドブレイカー達は今日来たばかりなのだから。敵の地の利は揺るがない。
 だからこその三班作戦。名づけて。
「オペレーショントライデント発動! ……ん、言ってみたかっただけ、んじゃまぁゴーな、ゴーCチーム。おじさん達もすぐ行くからな」
 ギ・ア(c01635)がマイペースに言葉を発する。しかし今は彼のようにペースを乱さない事が重要だ。ここで気持ちが逸れば、折角立てた作戦が台無しになる。
 しばらくした後Bチームが、そしてAチームが動き出す。
 互いの姿が確認できなくなったところで……各班が、炎を獅子と対峙したのであった。

●Bチーム
「炎獅子……良い姿じゃないか。飼えたらいいんだがな、そうもいかないかっ!」
 白炎鬼・レイガ(c04805)が真紅の大太刀で斬り付け、炎獣の体を爆破する。遠距離から火を吹いていくる、厄介な獅子の攻撃範囲を狭める為、レイガは果敢に前に出る。
 敵の鋭い爪や炎に晒されながらも、彼女は退かない。接敵しなければ、敵は岩陰に隠れてしまうという理由もあるが……後衛の元にまで行かせる訳にいかないのも、理由の一つだ。
「エミリオ! お前は岩陰から出るなよ! 前は俺とパトリックに任せておけ!!」
「解ってる……ウィズ、レイガお姉ちゃんをお願い!」
 岩陰に身を潜めつつ、前衛に的確な癒しを施す夢の狭間に見た奇跡・エミリオ(c02422)。障害物が多い為、遠距離攻撃は当てずらいが、それは敵も同じ。こうして岩陰に身を潜めていれば、敵の遠距離範囲攻撃に巻き込まれる危険性を、大きく下げる事が出来る。
 あとは前衛が倒れぬように、タイミングを逃さず回復すれば……それだけで戦いは随分と有利なものになる。
「そんな炎で、俺を止められると思うなよ百獣の王!!」
 修羅乃王・パトリック(c12044)が星霊グランスティードの背に乗って、岩場の影から影へ移動しながら攻撃を繰り返す。積極的に死角からの攻撃を狙っていくパトリックの攻撃は、その全てが成功している訳ではなかったが、効果はあった。炎の獅子は、彼があちこちに移動する所為で、攻撃対象を絞れない。広範囲に広がる火を吹いたところで、命中する相手はレイガ一人。これでは折角の範囲攻撃も無意味になる。
「大分、有利に戦えてる……なら、行くよもっくん! 一気に押す! 身に纏うゎ禊殺ぐ炎、其の様ゎ水面に咲く紅の蓮! いけぇ!!」
 戦闘が優勢ならば、後衛も攻勢に回る。エミリオはバルカンに呼び掛けて、炎獣の火に負けぬ炎弾をお見舞いした。敵はこの一匹だけではない。まだ二匹居るのだ。それ故に出来るだけ早く倒し、加勢に行くことが勝利への近道。
 レイガが構え、パトリックが応える。前衛の役割は下がる事でも防ぐ事でもなく、打ち倒す事。
「合わせろパトリック! 一気に決めるぞ!」
「応! ここで終わりにしてやるぜ!」
 炎獄の銘を持つ大太刀と、白雷竜の牙と名付けられた騎槍が、唸りを上げる。
 破壊の力と、光輝のエネルギーが、同時に獅子へと襲い掛かった。斬られ貫かれ苦悶の唸り声で眼光を放つ獅子。ダメージは大きいが、まだ倒れる様子は無い。
 そんなしぶとい敵の様子に辟易しながらも……戦士達は笑みを浮べ、戦いを続行するのだった。

●Aチーム
「……ワルツの相手向きじゃないなぁ。でもまあ、お相手お願いするよ。ほら、コッチコッチ」
 金色の夢・レイ(c09602)が黒のドレスを靡かせて、踊るようにステップを踏む。獅子の放つ炎に身を焼かれ何度も苦しむが、その度に不調を吹き飛ばす呼吸法を駆使し、鋭い蹴撃を放つ。スカートを舞わせて浴びせる蹴りは、吸い込まれるように獅子を打っていく。
「影は移し身、魔鍵は本身、合わせて閉じるは汝が身体……麻痺と防御封じは、あなたみたいな強敵には定石よ」
 笑みを零した紅水晶・フィーア(c03049)が、レイの後方より、黒銀の装飾が施された魔鍵を投げ放つ。獅子の影に突き刺さり、獅子は苦しそうに呻き声を上げた。
「さあ、長々と戦ってる余裕は無いわよ。まだ他にも居るんだし」
「ほいほい。了解したよっと。おじさんもハンティングに洒落込もうかな」
 始まりと終わりの・ティルミーナ(c00307)がフラスコの内に真紅の蠍を創造し、アが白兵用の刃を着けたガンナイフを構える。敵は、前衛と爪牙を持って交戦中。
 そこを狙って、魔力弾と蠍の猛毒が襲い掛かった。
 痛みに怒り震える獅子。大きく顎を開き、広範囲に火炎を放射する。
 獅子とて攻撃は一辺倒ではない。自らの体を焔に包み、エンドブレイカーが付与した呪縛を解除する。ティルミーナは魔鍵を掲げて楽園の門を開き、仲間を癒しながら叫ぶ。
「レイ! もう一度ギアスを!」
 ティルミーナの位置取りは良い。獅子の炎の射線を、岩場で隠せる位置に居る。後衛の回復役としてその位置取りは最良だった。傷を負った仲間を癒すのも的確に行え、今のように指示も的確に飛ばせる。
「解ってる……熱すぎだもね。寒いからって、それはやりすぎだよ!」
 レイが応え光輪を生み出し、炎の獅子目掛けて解き放った。直進する光輪は獅子の頭部を掠め、その体躯を切り裂く。一度で駄目なら何度でも縛るまでだ。幸い、手数はエンドブレイカー達の方が多いのだから。
「傷を閉じるは我が鍵。呪力を喰らいて友の傷を閉じよ! ……どんなに強くたって四対一じゃそこまでよ。そろそろ終わりにしましょうか?」
 フィーアも癒し手に回り、仲間の傷を回復させていく。幸いにも、リペアキーは呪力が上手く完成すれば自身の力を消耗しないまま、仲間を癒せる事がある。その為、回復にかなりの余裕が生まれる。
 それに引き換え、獅子の回復手段は無い。
 攻撃は強くても、多数を相手に癒せないのは致命的すぎた。
「悪りぃな、おじさんの守るスカードてなぁ人類なのさ。ようするに……アレダだよアレ。アンタはここで退治されるっていう、アレな?」
 仮面に隠されたアの表情は読み辛い。
 だが唯一見えた口元に、確かな笑みを浮かべて――彼は幾度目かの魔力弾を放った。
 弾雨の嵐に晒されながらも、獅子はまだ倒れない。だが、決しての勝利の道は遠くない。
 再び陣形を整え相対する四人。あと、もう一押し――。

●Cチーム
「――はっ!」
 鋭い呼気を発し、ディーナが獅子の背後より鋭い延髄斬りを叩き込む。脳を揺らされ、ふらつく炎の獅子。体勢を崩し、防御が崩れているのが目に見えて解った。
 その隙を狙って、アモンが駆ける。手に持ちしはオーラを纏いし闇色の剣。
「叩き斬らせてもらう!!」
 その一閃は闇色の残光の如く。漆黒の軌跡を描いて、宣言通り獅子を叩き斬った。
 凄まじい咆哮を上げて苦しみ悶える炎の獅子。睨みつけ、口蓋より炎を撒き散らす。
 ディーナとアモン、両者に炎が纏わりつくが……後方、岩陰よりネフェルティティが星霊を召喚する。
「スピカちゃんお願い! いたいのいたいのとんでいけですよー!」
 後方より駆け寄ってきたスピカが、アモンの周りでダンスを披露しつつ、その傷を舐める。
 岩陰より傷つく仲間を何度も癒す、ネフェルティティ。獅子もその存在を厄介には思っているのだろうが、獅子の炎は大きな岩に阻まれて当らない。しかし接近は二人の前衛が阻む。数の有利を活かした陣形で、三人は戦っていた。
 癒されていくアモンの身体。ディーナの炎はまだ消えていなかったが、ならば自分で吹き飛ばすまでと、跳躍し華麗な空中殺法を獅子に叩き込む。スカイランナーは捕まらない、その言葉通りに彼女の不調は消え去っていく。
 獅子の傷は深いが、こちらの傷も深い。他の仲間達の様子はここからでは解らない。
 ならばこの一撃で――そう決意し、アモンは力強く剣を握り締める。
 必殺の構え。ハイパー化した力が唸りを上げる。黒い刀身にオーラが噴き上がる。
「眠れる獅子を呼び起こしたのは、お前の方だよ! キミは永遠に眠れ、炎の獅子!」
 まさにその剣閃は一撃必殺。長い戦いの果て、炎の獅子は醒める事の無い眠りについた。
 ふと気配を感じ、三人は振り返る。そこには駆けつけた仲間達が。
「皆さん大丈夫でしたか? ……これで旅人さんはぶじですよね!」
 全員が無事なことを知り、ネフェルティティが喜びの声と、砕けた悲劇を確認する。
 一同は笑みを浮べ手を上げて、各チームの勝利を祝った。

●埋葬
 獅子の死体を集めて、一同はその亡骸を地に埋めた。
 祈りを捧げて、弔って、最後に酒を送る。それが強者への餞。棘に見入られ仮面憑きに堕ちてしまった獅子への、エンドブレイカー達の供養。
 仮面に憑かれた炎の獅子は眠った……もうこの地に居るのは、御伽噺の獅子のみ。
 何故、御伽噺そっくりのマスカレイドが生まれたのかそれは解らない。奇妙な偶然? それとも何か他に原因が? エンドブレイカーの一人、フィーアは疑問に思うが、それを解明する手立ては無い。
 確かな事は一つだけ。
 決して眠らぬ炎の獅子――それは、御伽噺の中だけの、人を殺めない存在になったのだ――。



マスター:哀歌 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2012/01/29
  • 得票数:
  • カッコいい8 
  • ロマンティック1 
冒険結果:成功!
  • 生死不明:
  • なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。