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犯罪課vs紫の兄弟:歪曲の奏

<オープニング>

●犯罪課襲撃計画
 紫煙群塔ラッドシティに現れた、噂の黒き聖女。
 彼女が抱く真の名――それは『蛇喰らいシェラハ』。黒聖女の内情を探っていた仲間達より、その名を聞いたエンドブレイカー達の間に戦慄が走る。
 マスカレイドであるシェラハは、先日のヘレノス監獄視察の際は確かに牢獄内に居たはずだ。
 いつの間にか脱獄していたんだね、と呟いた桜苺の星霊術士・アミナ(cn0004)は神妙な面持ちを湛えて口を開いた。
「それでね、情報を届けてくれたみんなから敵の大変な企みが聞けたの」
 少女の言葉に灰雨の狩猟者・イスルギ(cn0106)も頷き、敵の計画内容を告ぐ。
「蛇喰らいシェラハは、革命政府に不満を持つ失業者や下層労働者達……『紫の兄弟』を集めて、ラッドシティ警察犯罪課の襲撃を行おうとしているみたいなんだ」
 シェラハの目的はおそらく、エンドブレイカーのラッドシティでの拠点となっている『犯罪課』を制圧し、自分の都合の良い組織に作り替えること。
 この情報を事前に得る事が出来なければ、ラッドシティ警察犯罪課はマスカレイドの手に落ちていただろう。
「でもでも、わたし達は事前に情報を得られたから敵を迎え撃つ事ができるの!」
 アミナは強く掌を握り締めて語る。敵となる紫の兄弟の軍勢は数も多く士気も旺盛だが、今はなんとしても犯罪課を守り抜かなければならないときだ、と。
「ということで皆、戦いの準備をして」
 抜からないでよね、と仲間に告げたイスルギの瞳もまた真剣そのものだった。

●黒き音色の導く先は
 そうして先ず二人が説明したのは敵の戦力について。
 集められた紫の兄弟達の多くは、マスカレイドではない。しかしシェラハ達の唱える『犯罪課の制圧が、真の革命への第一歩である』という言葉に騙され、熱狂的に襲いかかってくる。
「だから、まずは紫の兄弟達の軍勢を撃退するのが先だよ」
「それから敵の中枢に対して逆撃を加える。それが今回の作戦ってところかな」
 アミナ達は、迎撃を成功させるためには三十名程のエンドブレイカーが必要となると予測をした。もしその迎撃に失敗した場合、敵は犯罪課本部に乱入するだろう。
 本部内には犯罪課長ドンチャッカが控えており、多少の戦力ならば制圧することが可能だ。
 しかし内部に突破した紫の兄弟の人数が多く、ドンチャッカが討ち取られた場合は犯罪課の敗北となってしまう。
 そうさせない為にも戦いに負けるわけにはいかない。
 そして少年と少女は迎撃後に戦う事になる敵の詳細を語る。中枢には蛇喰らいシェラハ直属のマスカレイドの他、マスカレイドではない紫の兄弟の重鎮達、黒き聖女の親衛隊などがいる。
 そしてその中には、『蛇喰らいシェラハ』本人の姿もあるようだ。
「黒き聖女さんの親衛隊にはマスカレイドも多いみたいだから、皆も十分に気を付けてね」
 強敵揃いであろうことを危惧し、アミナは仲間達に視線を巡らせる。
 中枢にいるマスカレイド達を敗退させ、紫の兄弟の重鎮達を無力化するか、あるいは撤退に追い込めば、この作戦は成功となる。
 しかし今回の事件は、マスカレイドではない紫の兄弟が多数参加している。問題は其処だ、とイスルギは口許に手をあてて考え込んだ。
「紫の兄弟をただ力で制するだけじゃ不満を助長するだけだ。だからこそ如何にして、彼らの不満を抑えて勝利できるかが重要になると思う」
 強敵を倒すこと、そして紫の兄弟に何を語り掛けるべきか。両方の意味で厳しい戦いとなるはずだ。それでも、犯罪課を――ひいてはこの都市の為にも此処が正念場となる。
 守るべきものを背に今、犯罪課と紫の兄弟との戦いがはじまる。


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<リプレイ>


 偽りの革命を塗り潰す、新たな革命の歌を――。
 黒き聖女の謳う言の葉と音色に魅せられ、紫の兄弟は『望んだ明日』を求めて刃を抜いた。
 今こそ俺達の力を、と意気込む敵を見据え、エンドブレイカー達は迎撃態勢を取る。現状、抑えに集まった者達に対して犯罪課を襲う兄弟達は数の上では勝っていた。
「行くぞ、オレ達ならば犯罪課に勝てる!」
 誰かの上げた声に周囲も応え、彼等は単純明快に頭数の差だけで状況を判断したらしく、力で押せとばかりに突っ込んでくる。
「手前ェ等の志は解るがな、この光景はアンタ等自身の意思だったかい」
 迎え撃ったジェイの銃弾の雨が容赦なく降り注ぎ、兄弟達は一瞬の戸惑いを見せる。
 エンドブレイカー側である自分達も、不公平という事柄の意味はよく識っている。力で押し潰され、蹂躙される不毛さや理不尽さすら理解できる気がした。
 だが、この襲撃の裏に潜むものは仮面の悪意。
 紫の兄弟達の裏で、その熱を後押しして利を得る者の影――蛇喰らいシェラハを思い、リィは竪琴を爪弾き始める。
 彼等は利用されているだけに過ぎない。本当はこの街で幸せに暮らしたいだけである彼等とは、きっと同じ道を歩めるはず。懸命な想いを掲げて戦うルーンミリカの傍、アリストメリアも叶うならば判り合える事を願う。だが、此方にも譲れないものがある。
 それゆえに、今は戦い続ける他ない。
「力に物言わせたって、物事を良い方に運べないんだよ!」
 扇に風を纏うナハトが必死に紫の兄弟や姉妹に呼び掛ける中、ルーイッヒの紡ぐ魔曲が辺りに響き渡る。音色は相手方の眠りを誘い、力を失った者達が次々と意識を失ってゆく。
「負けてあげる気はないのでね」
 仲間の声に頷き、ルィンも紫煙銃から弾丸を解き放った。だが、兄弟側の攻撃も容赦はない。我らには黒き聖女がついている、と突撃する彼らが狙うのは本部。
 続く道を守るラヴィスローズとリューウェンは攻撃を受けながらも、思いを投げ掛け続ける。
「お願い、犯罪課が今まで市民の為にしてきた事を思い出して」
「解って欲しい、戦わず手を取り合えばきっと道は拓ける」
 しかし、歪曲した熱狂に飲まれた者達に二人の言葉は未だ届かない。
 熱に飲まれた彼らの姿に首を振ったヴィルヘルムに続き、互いへの信頼を乗せたクーリエとディアナが其々の刃を揮う。ネマも亦、仮面の企みに乗せられた兄弟達に苦笑を浮かべながら黒霊の剣を舞い飛ばした。
「言われるまま騒げるなら、白でも黒でも構いやしないとはお安いことで」
 貴方たちの本当に欲しいものは、ひとから奪ったり、ひとを傷つけたりそんなものではない筈。
 そんなことすら気付けぬ人々にオデットは悲痛な思いを抱く。それでも、今は戦い続けなくてはいけない。意志は強く、真っ直ぐに――真剣な眼差しと共に向けられた。


 彼等を一番理解しているのは、この街の住人の筈だ。
 辻斬り兄弟の手痛い一撃を受け止めたベンジャミンは、己の思いの丈を口にする。
「それを手にかけて敵に回して……革命等為せると思うのか」
「思うさ、聖女様ならば為して下さるはずだ!」
 返された言葉を聞き、ナイは僅かに瞳を伏せた。血と炎に命を晒して残るものが彼らの望みとは思えないのに、歪曲の熱はその思考すら奪ってしまったのか。
 皆で幸せになれる路を一緒に探したい。そう願うハルも亦、懸命に槌を掲げる。
 そして、カイトの解き放った一撃が盾の兄弟を打ち倒した時――相手は漸く、個々の戦闘力の違いに気付いた。戦況は歴然、圧倒的に紫の兄弟の劣勢だ。
「なんだよコイツら、聞いてた話と違うじゃねえか!」
「強すぎる、俺達じゃ敵わない……」
 驚愕のまま倒れる兄弟達には勿論、トドメは刺さない。代わりにシェラハは何処だとアサノアやブランが問うが、彼らはそれを語る前に意識を失った。
 ならば、と片割れと頷き合ったネーロは、劣勢を悟って逃げはじめた敵軍勢が向かう先へ視線を向ける。彼らが戻る先へと追撃すれば、其処にシェラハ本人が控えている可能性が高いのだ。頭領の居所は、矢張り奥の院か。そう感じたミカルも亦、確信めいた思いを抱いていた。
 既に迎撃は決着が付きかけている。
「少しばかり辛抱してくれりゃァ、案外片がつくかも知れねェぜ」
 ――この戦いも、そしてこの都市の未来も。
 夜影にも似たキルスティンの一閃は思いと共に敵を裂き、逆撃の機も秒読み段階だ。
 取り返しのつかない事になる前に醒めて欲しい、と願いながらローズベルは兄弟達を薙ぎ倒してゆく。無論、それは路を拓く為のものであり、本当に倒したいのは彼らではない。
 アスターも真の標的の存在を思い、道を塞ぐ敵へと星霊を遣わせた。
「ごめんね、ちょっとだけ痛いのいきます……!」
 飛翔した星霊羊は紫の兄弟達の眠りを誘い、黒の革命軍勢は次々と地に伏してゆく。
 もう駄目だ、と兄弟の誰かが叫んだ。その瞬間、残った兄弟が散り散りになって裏路地の方角へと退散して行った。
「……止めなきゃ」
 行きましょう、と踏み出したアルフレートの傍、コヒーレントとゼスも続く。
 奪ったものは奪い返される、革命という名を持った無為な悲しみの連鎖を断ち切る為にも。この先に巡るはずの未来を見据え、エンドブレイカーは駆け出した。


 そして――蛇喰らいシェラハの気配を探り、辿り着いたのは雑多な裏路地。
 入り組んだ道の最中、不意の一撃がブランピエール・シゾー(c04150)達を襲った。
「わわっ、何っすか。どこからの敵襲っすか!?」
 身を蝕む毒の残響音にふらつきそうにながりながらも、シゾーは攻撃の主が居るであろう物影を睨み付ける。そして、其処から姿を現したのは露出度の高い衣装を纏った、二人の妖艶な女。
「貴女達は……何方かしら?」
 シェラハではないが、恐らくはその配下である重鎮達だろう。ただならぬ気配を感じ取った輝蒼極・シノン(c07868)は彼女達に問いかけながら、しかと身構える。
「アンタ達の冥途の土産として教えてあげる。アタシの名は『宵琴のアドワ』さ」
「わたくしは『夜鏡のイトル』。さぁ皆々様方……我らの姿を胸に刻みながら、お逝きなさい」
 嘲笑を浮かべ、名乗った二人の背後には獰猛な獣が数体も控えていた。
 鋭い爪と巨体を誇る狼のような獣の唸りが辺りに響き、キマエラ・ティイ(c05937)はヴァレイシュと共に確信する。この軍勢を倒さぬ限り、蛇喰らいの元へは辿り着けぬだろう、と。
「よし、いっちょ暴れるか、ティイ?」
 彼の言葉に笑んで頷き、前を向いた少年は笑みを消す。
 睨み付けた女達に宿るのは哂う仮面。それが解るからこそ、棘には一切容赦しないと決めた。
 そして始まった戦いは、先程の迎撃よりも一層激しいものとなる。
 嗾けられた狼の一撃を受けながらも、究極超絶最終的スーパー美少女・ミライ(c30080)の獣の腕はその内の一体を打ち倒した。だが、後方から解き放たれるアドワの不協和音とイトルの具現化した鏡の力とて相当なもの。
「……油断はならないという事ね」
 痛手を受けた仲間へと向け、純白の黒・ニルチェ(c14823)が描く癒しの陣が蒼の光を放つ。
 力で捩じ伏せるなどは言語道断。これ以上の悪しき扇動を行わせぬ為にも、配下を含めてしかと打ち倒しておかなければならないだろう。そして、ステファノの神火を纏う刃が獣の体躯を切り裂く最中、宵の蒼星・スコル(c26736)の遣わせた星霊ジェナスが津波を起こした。
 星鮫の一撃を受け、断末魔をあげて地に伏した狼獣を一瞥し、スコルは新たな標的へと狙いを定め直す。アドワからの毒残響の痛みが響こうとも、その青瞳は勝利を見つめているようだった。
「おやおや、アンタ達も中々に愉しませてくれるじゃあないの」
「あまり侮らん方が賢明と思うけど」
 未だ余裕の笑みを湛えるアドワへと、風迷の標・ユシィ(c05182)が呟きを返す。開いた魔道書から解き放たれる呪いの蛇影は女へと絡み付き、動きを制限してゆく。其処へ、獣が伏した事で開いた道を突破したサイアが踏み込み、トエリカと共にイトルへと一撃を打ち込んだ。
 しかし、呪い返しの鏡が彼らの身を穿つ。
 それでもラカがすかさず神楽舞の力を施したお陰で、大事には至らずに済んだ。相手の女達はただ此方を甚振る事を愉しんでいるようにも見える。そんな悪逆非道の者達に、紫の兄弟は弄ばれているだけだ。この連鎖を終わらせなければ、誰の苦しみも終わらない。
 顔を上げたウルディハの雨霰の矢は一直線に飛翔し、仮面の腕をひといきに貫く。
 その機を瞬時に捉えた灰砂・コーシカ(c05441)が駆け、薔薇舞う剣戟で以てイトルを斬り裂いた。
「あなたたちは、ここで倒す」
「あらまぁ……小娘の癖に生意気ですわね」
 彼女達の連携により、流石のイトルも体勢を崩す。そして女は怒りの侭にコーシカ達へと最後に残った二体の獣を嗾けようと、艶めかしい爪の先を向けて怒りをあらわにした。
 だが、ホロケウカムイ・キョウカ(c17741)達がそうはさせない。
「エリザルドさん、一気に片を付けましょう! 兄さんの分まで……!」
 苛烈さを思わせる呼び掛けと共に、彼女は牙を剥く獣に太刀を向けた。心の眼を開いたキョウカの一撃は片方の獣を斬り伏せ、続く欠けた蒼月・エリザルド(c04798)も黒のナイフを構えた。
 二人が思うのは、先の迎撃で無念にも倒れたハヤテのこと。お前らは前を向け、と告げられた彼の言葉を胸に抱き、エリザルドは最後の一匹となった狼獣を鉄の竜で以て打ち倒した。
 風向きは既に追い風となっている。
「さ、て……まだまだ終わっていない。もう一暴れと洒落込もうか」
 琴を構えたアドワと荒い息を吐くイトルを見据え、仲間達は更なる戦いへの意志を固めた。


 自分達の居る路地を越えた更に先でも、戦いの喧騒が聞こえる。
 おそらくは、この二人のマスカレイド以外にもシェラハの配下が控えており、別隊の仲間達も戦っているのだろう。黒棘の魔術師・クラウス(c02858)は、それならば尚のこと急かねばならぬと感じた。
「死の羽音で、終曲を奏でようか」
 クラウスが遣わせた棘烏はイトルを狙い、黒翼を羽ばたかせる。足止めの役目を担っているであろう彼女達に手間取っていては、首魁を打ち損じてしまう。星霊の楼閣・エステル(c21474)も同様の思いを抱いていたらしく、アニスと共にイトルを狙い打った。
「回りくどいことして……あんたらは相変わらずだね」
「あなた達の思い通りにさせないことが私の意志、私の願いです……っ」
 先に倒れたチャールズの分まで、と力を尽くす二人の攻撃によってイトルが更に揺らぐ。
 だが、仮面憑きは深闇のシエル・フェンネル(c00463)を見つめ、唇の端から流れる血を舌で舐め取った。流石はシェラハの配下と呼ぶべきか、痛みに耐える姿すら妖しい美しさが宿っているように思える。
「わたくしを此処まで追い詰めるなんて……うふふ、骨のあるボウヤたちですこと」
 嫌いじゃないですわ、と哂う様は正に艶めかしい。
 夜鏡の禍々しい光はフェンネルを貫くが、彼とて負けられぬ意志を宿していた。そしてフェンネルは妖精のエトワールを世界樹の弾丸へと変えて解き放ち、仮面憑きの動きを縛る。
 イトルの力もあと僅か。機を感じ取ったクリップラー・ビビアーノ(c04157)は身構え、片足を強く前へと踏み込んだ。これが狂奏だというのならば、全てを此処で終わらせるまで。
「テメェらのコンサートにアンコールは無しだ」
 とっておきのフィナーレは俺達が奏でてやるから、と大地を崩すが如き震動の衝撃は敵を巻き込み、堪え切れなかったイトルが地面へと力なく膝を付く。何とか足掻こうと唇を噛み締めた女だが、樹氷の華・コルネリア(c12931)がそうはさせない。
 ――棘を無くすこと。そこからが本当に、人の力で豊かさを得られるはずだから。
「貴女達のような悪意を、いつまでも蔓延らせておくわけにはいかないわ」
 鈍い銀の棘を纏う銃を構え、コルネリアは標的へと狙いを定める。そして、その引鉄が引かれた瞬間、銃弾の雨に貫かれた夜鏡のイトルの仮面が音を立てて割れた。
 残る敵はアドワのみ。
 魔人・ヨミュルス(c06955)が相手取っていた彼女も随分と消耗しており、後ひと押しのように思えた。しかし、抵抗を続ける仮面憑きの不協和音は容赦なく此方を惑わせてゆく。
「イトルを倒すとは大したものね。でも、アタシのこの音色には堪え切れないだろうさ!」
「何の此れしき、じゃ。……此方からもくれてやろうぞ」
 身体を蝕む痛みに耐えながら、遊糸の鎮め人・シリア(c09841)は扇を構え直す。向けた眼差しに込めた思いは強く、先へと向かう為の意志が宿っている。そして掲げられたシリアの掌から神鏡が召喚され、放たれた光はアドワの身を真正面から貫いた。
 その一撃によって随分と体力を削られたはずだが、敵は未だしかと立っている。
 それでも、流石にこの場面を拙いと考えたのだろう。振りかかる集中攻撃を掻い潜り、アドワはじりじりと逃げの機会を窺っているように見えた。
「駄目よ、逃がしたりなんてしないわ……っ」
 すぐさま、桜色ドロップス・サクラコ(c25454)が仲間達に呼び掛ける。未だ、この向こう側で戦っている仲間の気配が感じ取れる。それだからこそ、一度相手取った敵を逃がすわけにはいかない。
「遅いね、そんなのでアタシが捉えられると思っていたのかい?」
 アドワはサクラコが放った不可視の衝撃波をいとも簡単に回避すると、するりと身を翻した。しかし、仮面憑きは気付かない。逃走の先に選んだ路の先――其処には既にレーア・レヴール(c00933)が回り込んでいた、ということに。
「誰が遅いって? ……ほら、捕まえた」
 引き結んでいた口許に薄い笑みが宿った刹那、彼の張り巡らせた罠の数々がアドワに襲い掛かる。マスカレイドから甲高い悲鳴があがり、この戦いにも終わりが近付いている事は誰の目にも明らかだった。
 白皙・サージュ(c00336)は、駆け出したエドガーと一瞬の頷きを交わし合うと掌を掲げる。見据えたのは剣を振り上げる大切な人と同じ、最後に残った敵の姿。
「いくとしようぜ、サージュ」
「……ああ。おれたち二人の力、存分に味わって果てるといいよ」
 棘烏の羽、そして火の斬撃。二人の重ねた一撃は女の身を穿ち、そして――宵琴のアドワは醜い悲鳴を上げて地に伏し、もう二度と起き上がることはなかった。

 それから、仲間達が新たな戦場へと辿り着いたとき、既にシェラハは逃亡した後だった。
 無念な思いが胸を衝くが、相手はそれだけ用意周到に自分だけは脱出できる手筈を整えていたということだ。その蛇のような狡猾さに歯痒さを覚える中、一行は強い決意を抱く。
 黒き音色に惑わされた人々に真実を伝える為にも。
 いずれ訪れるはずの戦いで、この決着を必ず果たしてみせよう、と――。



マスター:犬彦 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:66人
作成日:2012/03/16
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  • カッコいい22 
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  • 生死不明:
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   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
 

<戦闘結果>

●Battle1(勝利!)


順位戦功点名前
1410白皙・サージュ(c00336)
2393桜色ドロップス・サクラコ(c25454)
3372レーア・レヴール(c00933)
4352魔人・ヨミュルス(c06955)
5309遊糸の鎮め人・シリア(c09841)
6298樹氷の華・コルネリア(c12931)
7275星霊の楼閣・エステル(c21474)
8269クリップラー・ビビアーノ(c04157)
9266深闇のシエル・フェンネル(c00463)
10260黒棘の魔術師・クラウス(c02858)
11239欠けた蒼月・エリザルド(c04798)
12229ホロケウカムイ・キョウカ(c17741)
13222宵の蒼星・スコル(c26736)
14182灰砂・コーシカ(c05441)
15181究極超絶最終的スーパー美少女・ミライ(c30080)
16176キマエラ・ティイ(c05937)
17175ブランピエール・シゾー(c04150)
18174輝蒼極・シノン(c07868)
19173風迷の標・ユシィ(c05182)
20169純白の黒・ニルチェ(c14823)
21166ライフベリー刑事・ステファノ(c23888)
22165静かなる花筐・サクラ(c06102)
23164皎漣・コヒーレント(c12616)
24160ひよこ捜査官・ナハト(c00101)
25156花に捧ぐ・レア(c14963)
26151禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)
27147紗幕覆いの狐・アルジリア(c11622)
28146憂色・キルスティン(c13654)
29145彩凛・ローズベル(c01524)
30130虚骨・ナイ(c10070)
31128黒鋼・エドガー(c01811)
32124奏燿花・ルィン(c01263)
33123青藍・オデット(c13378)
33123橙灯・ルーク(c07530)
35115イケメン魔獣戦士・カイト(c05447)
36110雪葬・アルフレート(c08186)
37108堕ちた蒼穹・ベンジャミン(c04958)
37108スリーピー・サンクティア(c12682)
37108鳥曇・アサノア(c19009)
40106未明・ウルディハ(c00022)
41104玉風の民・ルファ(c06436)
42100アーベントレーテ・ネーロ(c27339)
4399森籃の菫・イレーネ(c20721)
4496砂海を渡る風・ルーイッヒ(c10234)
4595絃歌・リィ(c04382)
4692牙靂の・ジェイ(c00883)
4692夢見鳥・トエリカ(c14560)
4884晴風の・アスター(c01777)
4884白き大鴉・セシル(c00289)
5083ウィード・チャールズ(c22191)
5182万華響・ラヴィスローズ(c02647)
5279紫蝶・ルーンミリカ(c05152)
5376遥夜の導煌・アリストメリア(c01246)
5475春色ロマネスク・ディアナ(c01140)
5574宵菫・ラカ(c01106)
5673砂柩・ゼス(c00490)
5772継承者・ハヤテ(c00810)
5868漆黒ノ竜・リューウェン(c02487)
5960絶えぬ波音・アニス(c21467)
5960凛華・クーリエ(c23688)
6159幽宴の昏・ネマ(c01067)
6252虚鍵の番人・サイア(c05952)
6345モルゲンレーテ・ブラン(c27340)
6441花暮・ハル(c02018)
6536銀の腕・ヴァレイシュ(c13222)
6634白夜行・ミカル(c25966)