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タカば

お題ショートストーリー(2012/04/08執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:タカば
【得票数:10】

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プレイング
「鬼さんこちら!」
 裏道を駆けながらジェットは軽口を叩いた。その後ろからはバルバの巨躯が迫ってきている。数日後この街に不幸をもたらすモンスター達だ。
「グォォォッ!」
 唸り声を上げながらバルバは重いハンマーを振り回す。まともに受けたなら一撃で骨が砕けるであろう攻撃だ。ジェットは不敵な笑みを浮かべたままひょいとかわす。しかし、避けた場所が悪かった。
 どかん。
 狙いがはずれたハンマーが当たった場所。それはすぐ後ろの壁だった。衝撃を受けて壁ががらがらと崩れる。
「おっとっと……」
 バランスを崩したジェットの足がざぶん、と壁の内側に入った。熱い液体の感触。足を浸しているのがお湯だと理解するまでに数瞬かかった。
「え? お湯?!」
 ざばりと水しぶきをあげて振り返る。
 その先にいたのは何人もの裸の女の子だった。
 彼女たちは一様に呆然とした顔でジェットを見つめている。その先に洗い場らしいタイル張りの床と水道の蛇口の列が見えた。
(えーと、これは? いわゆる女風呂……ってやつ、か?)
「きゃあああああ!」
「チカンー!」
 突然目の前に広がった桃源郷に心を奪われたジェットを正気に戻したのは少女達の悲鳴だった。
「いや〜っ、変態〜!」
 少女達は思い思いに叫びながら一斉に脱衣所に逃げていく。
「あ、ちょっと、俺はチカンじゃ……うわっ!」
 説明しようとしたジェットは殺気を感じてその場から飛び退いた。水柱をあげてハンマーが湯の中にたたき込まれる。振り向くと、バルバはまだ臨戦態勢のままジェットをにらみつけていた。
「ちょ……待て!」
 そう言われて待つような相手ではない。
 ざばざばと湯をかき分けて風呂に侵入してくるバルバに向けてジェットは剣を構え直した。バルバがハンマーを持ち上げる隙をついてその腕を切り裂く。
「グォッ!」
 痛みで武器を取り落とした瞬間に懐へ。喉を切り裂くとバルバは大きな水しぶきを上げて風呂の底へと沈んだ。
「はー……」
 ざぶ、と湯の中にへたりこむと背後から複数の剣を突きつけられた。
「城塞騎士だ! チカンはお前か!」
「え、違うっ! 俺はチカンじゃない!」
 あわてて振り返るとそこには剣をもった城塞騎士が数名立っていた。皆殺気立っている。
「こんな壁に大穴あけて侵入しておいて何を言う!」
「そうだ! よりによってミーナちゃんが入浴しているところに……!」
「違うって! こっちを見てくれよ! ほら、モンスターが倒れてるだろ! こいつに追われて逃げてたら偶然壁を壊されたんだって!」
「はあ? モンスター?!」
 城塞騎士達はうさんくさそうに湯の中をのぞき込む。果たしてそこには数体の哀れなバルバが沈んでいた。
「だいたいこんな派手に入ってきたらろくに裸を見る間もなく女の子に逃げられるだろうが!! やるならもっと隠れてやるっての!」
「確かに」
 不本意な誤解の解け方に、ジェットは心に大きな傷を負ったのだった。
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