<インフィニティゲート探索 〜廻る盾の回廊>

●序章
 インフィニティゲートの奥で発見された大岩。
 その奥にあるだろう物を求め、冒険者達は探索を続ける。

 円卓で決定した、大岩の破壊は、ブレイク卿と445人の冒険者の力に拠って達成された。
 また、巨石を破壊した向こうに現れた回廊を下った者達は、重厚な扉と不思議な守護像とを発見した。

 巨大な石造りの扉には幾筋かの爪痕が残され、守護像も破壊されている。
 ここでは、はるか昔、なんらかの戦いがあったのかもしれない。

「……この先には、一体何があるのでしょう……」

 ふと漏らした冒険者の声は、石の回廊に小さくこだました。

●探索の始まり
「みんな、ご苦労様♪」
 ストライダーの霊査士・ルラル(a90014)は、大岩破壊を行った冒険者達を労うと、彼らが持ち帰ってきた品物を霊視した結果を発表した。

「この遺跡は、とってもとっても深くまであるみたいなの。幾つかの階層に分かれてて、だんだん探索が難しくなるみたい」
 扉を開けた先には更なる回廊と、そして、更なる扉が待っているのだろうか?
 そう問いかける冒険者に、ルラルはコクンと頷いて話を続けた。
「いまのところ次の扉までの様子しかわからないんだけど、聞いてくれる?」
 と。

 そして、ルラルが説明した『次の扉までの様子』は以下のような物だった。

(1)最初の扉は特に問題なく開ける事ができる
(2)扉を開けた先は幅20mほどの下に降りる階段で、ゆるやかにカーブしながら1km程続いて
   いる
(3)階段や壁、天井は淡く光る不思議な石で作られておりランプなどが無くても充分に行動でき
   る明るさがある
(4)壁と天井はドームのような曲線でできており、天井の高さは30mある
(5)壁や階段には所々破壊された痕がある
(6)階段を降っていくと、盾が変形したような形のギアが多数おり近づくと攻撃してくる
(7)盾型のギアは次の階層に続く扉の横の壁から無限に生み出されてくるらしい
(8)扉の横の壁には3×3のブロックで作られた8枚の壁画が飾られており、壁画の無いブロック
   から盾型ギアが生み出されている
(9)壁画は意味不明の並び方でどんな絵なのかは判らない
(10)壁画のブロックは縦横に1ブロックずつならば移動させる事ができそうだ

「ギアさんたちは、あんまり強くないみたいだけど……倒しても倒してもキリが無さそうみたい。なにか止める方法があると思うんだけど、みんなで色々試してみてね☆」
 ルラルはそういうと、冒険者達にピョコンと頭を下げたのだった。


 

<リプレイ>

●突き進み、切り開け!
 なだれ込むように冒険者たちが、石の階段を駆け下りてゆく。
 階段は十分な横幅があったので、先鋒として突撃する冒険者たちの数は多かったが、混雑や転倒などすることもなく下へ下へと向かってゆく。
 その冒険者たちを迎え撃つかのように、下からは盾型のギアがわらわらと登ってきていた。
 大理石のような壁や階段から漏れる淡い光が、その姿を照らしている。

 づどん!

 梢戦ぐ風樹・ピアース(a29111)の放ったナパームアローが爆発する。
 盾型のギアは多く、その爆発などどこ吹く風といった様子で突き進んでくる。
 牙狩人の冒険者たちが、その群れへ向けて次々とアビリティの矢を撃ち放っていった。
 降りる冒険者たちと登る盾ギアたち、次第にその距離は詰まり……そこに光の華が咲く。
 宵闇に咲く白銀華・プリムラ(a15954)がばら撒くエンブレムシャワーに続けとばかりに、紋章術士・邪竜導士のアビリティが炸裂してゆく。
 牙狩人たちもナパームアローは巻き添えを恐れて控え始め、接近戦タイプの冒険者は武器を抜く。
「無理はし過ぎないようにしましょう」
 紫炎の閻・アルテイシア(a35721)がニードルスピアをばら撒いた所へ、雪月華・アイラ(a35704)がワイルドラッシュを叩き込む。
 そのアイラへ左右から別の盾ギアが飛びかかった!

 ざざん!

 流水撃が一気に盾ギアを薙ぐ。
 ヒトの武人・フレイル(a35711)たちと共に、【12星座】小隊は連携して戦ってゆく。
 直死・ナナヤ(a35098)の流れるような攻撃に続き、斧っ娘・プレセア(a28815)がファイアブレードを叩き込む。
「キリが無いな……」
 戦線が乱れた所を逃さずに飛び込みながら、奏でるは一滴・レイン(a32057)が次から次へと向かってくる盾ギアを睨み付けて吐き捨てた。
 何の経験も無い冒険者たちも多数参加していたものの、【紅月光】や【紫哭】のように、小隊を組んで連携攻撃を仕掛ける冒険者たちの活躍もあって、盾ギアを次々と破壊していった。
 しかし、盾ギアの数はキリが無いと感じるほどに多く、冒険者たちの歩みを遅くする。

「倒してもキリがないけど、倒さなきゃ前には進めない」
 黄水晶の誓い・アウグスト(a27559)が突き進む。
 先鋒として突撃する自分達の役目は、ただ敵を倒すことだと呼びかけるように。
「諦めない意志、それこそが絶対なる力だ!」
 答えるように流水撃を放つ灯の朱雀・ナナキ(a24729)に続いて、突撃槍『紅花』を振るう紅の記憶・ルビィ(a32310)。
「無謀な行動は好きじゃないんだがな!!」
 月想夜剣・ミケーレ(a36984)も続いて放つ流水撃。
 盾ギア一体一体の力はそれほどでもなく、多数を相手にする範囲アビリティを用意してきた冒険者たちの連続攻撃を前に、着実に破壊されてゆく。
 黒椿は眠る・メテオライト(a14942)のエンブレムシャワーが降り注ぎ、月華の堕天使・セレナ(a36078) の大地斬が、光彩蒼天・エルバイト(a36837) の華麗なる一撃がファンファーレと共に盾ギアを打ち倒す。
 【月】小隊の面々を始め、突撃する冒険者たちは敵を倒しながらも……階段の下、意味不明な壁画とその穴から生まれ出る盾ギアたちを視界に捕らえていた。
 しかし気をそらすな、とでも言うように階段を上がってくる盾ギアたちが攻撃を加えてくる。
「突撃っ!」
 黒薔薇の槍騎士・ウェフィレナ(a10283)が槍を構えて突撃するも……多数の盾ギアが取り囲むように攻撃を加えてくる!

 先陣を切った冒険者たちは激戦を繰り広げ、消耗を感じた者は自主的に下がり始めていた。
 そうして後を続けて降りてくる冒険者たちに託して入れ替わるようにしながら、上の扉で控える冒険者たちの元へと退却を始めるのだった。
「怪我人はこちらへ」
 ヒトの医術士・ユーカリーナ(a01801)を始め、何人もの冒険者たちがヒーリングウェーブを発動させてゆく。戦闘不能の者には、白色の祭司・リティス(a37071)が命の抱擁も発動させ、その体力を回復させた。
 上の扉で待機する冒険者たちは、負傷者の回復を想定した者が多く控えており、突撃を掛けて道を切り開いた冒険者たちの傷を癒していった。
「みんながんばってー!」
 水色の甘党エンジェル・ハニー(a31554)は傷ついた冒険者達を励ますように呼びかけるのだった。

●壁画に辿り着け!
「オラオラオラァ!!」
 全力で突き進むリザードマンの翔剣士・ヴェルヘス(a37083)を援護するように、過去と現在と未来・エルラータ(a35928) が飛燕刃を放つ。
 気の刃で切り裂かれる盾ギアに、純粋ヒトノソっ娘・テン(a37088)が止めを刺した。
 【生織華】小隊の面々をサポートすべく、聖樹の麓・レティシア(a22995) が癒しに急ぎ駆け回っていた。
 着実に進む冒険者たちは小隊を組んで行動するものが多く、【想刻癒蝶】、【熱心党】、【財宝】、【とんがり耳特命隊】などの小隊の活躍もあり、壁画の元へと近づいてゆく。

「防御力が高そうですね」
 魔杖を振るってスキュラフレイムを放つ、償う術なき罪想う・ソニア(a04986)。
 問題の壁画に近づいてゆくが……そこから盾ギアが発生している為、その抵抗も激しくなってくる。
 先陣が切り開いた道を繋ぐよう、途切れさせぬようにと、風樹の翡翠姫・アリア(a28713)がニードルスピアをばら撒いた。
「いっくぞー!!」
 エンブレムブロウを叩き込む紫葬凛華白狐・デュランシェル(a37573)。
 その背を守るように太陽笑顔の天然フルパワー娘・パニャナン(a34672)の爆砕拳も炸裂した。

「壁画をどうにかすると、ギアの出現が止まるのでは無いでしょうか」
 多くの冒険者たちがそう考えていた。
 ならば、続いて来る調査班が壁画調査に専念できるようにと、探求者・キルチェ(a03169)を始めとする冒険者たちが盾ギアを片付けてゆく。
「調査班を守らないと……」
 と強く煌く紅金の太陽・イーグル(a14934)も居合い斬りで応戦する。

 そうして冒険者たちは階段を降り切り、次へと続くのであろう扉と盾ギアの生み出され続ける謎の壁画の元へと辿り着いていた。
 荊の王・サーペンティン(a18187)を始め医術士たちがヒーリングウェーブ、癒しの水滴を発動させて、ダメージを回復させてゆく。
 しかしこの場に出ている数は減ったものの、盾ギアの発生は止まらない。
 負傷して上の扉へと下がった者も居たが……無事な者も盾ギアが止まらない限り、徐々にアビリティの残りも、体力も消耗して行くだろう。
「誰かが止める方法を見つけてくれると有り難いんだけどな」
 闇夜の重騎士・ガヴィ(a35207)のその言葉通り、盾ギアをひきつけて倒してゆく冒険者は、徐々に溜まる疲労に息をつきながらも、仲間を信じて剣を振るっていた。
「ギアの数は多いから……無理は禁物」
 青薔薇姫の巫女・ラズ(a36174)が最後のヒーリングウェーブを振りまいた。
 女神の指先・セリス(a36268)と激流の一撃・ライハ(a36267) はそれが最後だと聞いて頷き、後続に被害が出ないように、退却する冒険者に追撃されないように……盾ギアの打ち漏らしを片付けてゆく。
 こうした青薔薇隊、【幽冥鏡】小隊の活躍もあって冒険者たちの通り道が確保され、援護する冒険者や壁画の調査に向かう冒険者たちの安全を確保していった。

「大丈夫ですか?」
 ギアが此処……上の扉まで来ていないか注意しつつ、負傷者の回復に当たる深森の隠者・オラージュ(a15003)。
 ストライダーの吟遊詩人・フロル(a01622)も、昇ってくるのがキツそうな者に手を貸しながら、警戒する。
 しかし上の扉まで盾ギアが近づいてくる様子は無かった。
 降りていった冒険者たちの多くは後ろに逃さぬように倒していったのである。
 仲間たちに続くこの道を途絶えさせぬために。
「何が起こるか分からない……けど」
 疲労した者達に食べ物を配りながら時雨・ヒサメ(a33416)が呟いていた。
 上の扉で備えては居るが、先に進んだ者たちの身を案じるかのように。

「っ! 今のうちに壁画を……」
 ギアの攻撃を防御しながら光翼の天使・メリーベル(a20743)が到着し始めた壁画の調査班にちらりと視線を向ける。

 ざん!

 と愛学者で愛求者・リーヴェンビー(a36476)のファイアブレードも、敵は任せて調査を頼むといわんばかりに振るわれていた。
 傷付いた者は先鋒班と共に下がり始めていたが、まだ余裕があるものは無限に湧き出す盾ギアを片付けて調査班を護衛する。
 そうして意味不明な壁画に、何人もの冒険者が近づいていった。

●謎の壁画……?
 3×3のマス目で分割されたような壁画……。
 多くの冒険者はそれが元は一枚の壁画であり、今はその並び順が違っているので、意味不明に見えるだけなのでは無いかと予想していた。
 一枚の壁画が無い部分からは盾ギアが次々と現れてはいるものの、先陣を切って道を切り開いてきた冒険者、調査班を守るように展開した仲間達の活躍によって盾ギアが出ては倒され、壁画を調べに専念する冒険者たちに辿り着かないように奮戦する。

「パズルみたいなのじゃ♪」
 まずは動かしてみて、盾ギアの発生かどうなるのか見る碧玉のちっちゃな姫の卵・レン(a36021)。
 一つ移動させてみるが、その動かした後の空白の部分から、変わらずに盾ギアが出てくる。
 すかさず月夜に舞うお気楽姫・ニィル(a32549)がニードルスピアで応戦した。
 ソルモニアルバロック・ナイーヴ(a16021)も動かしてみるが……完成形がどうなるのかも分からず、闇雲に動かすだけでは埒が空かないと手を止めた。
 まったりノソ・プリエ(a14023)を始め調査班の中でも、盾ギアとの戦闘に備えていた者達が戦い始める中、調査班は壁画の完成形を予想し、検討してゆく。
「書き写した紙でシミュレーションしよう」
 踊る蒲公英・イーシア(a11866)やチキンレッグの重騎士・グゥ(a22152)など、多数の冒険者たちが壁画を、急ぎ紙に書き写していった。
 これでまずは、どのような形にすれば意味のある絵になるか、完成形を見つけ出そうというのだ。
 頭の中で並べ替えを考えていた緋昏し空の遠く・レキシオ(a02648)や、壁から離れて遠くから見ていた御弓の奏・ユキタカ(a32903)などの冒険者も、実際に試して見るのがいいだろうと、その紙とにらめっこを始めてゆく。
「書き写せば皆で考えられますね」
 と、小夜啼鳥・ベルスーズ(a35899)は書き写す人の護衛に立つ。
 天然系・ラフィリア(a37707)がその後ろで「みんなで考えるのなぁ〜ん♪」とペンを走らせる。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
 旅の鍛冶屋・ジョン(a03315)は、手渡された紙のサンプルを睨み付けながら、絵と絵の繋ぎ目を探して並べてゆく。
 エンジェルの紋章術士・リーフ(a18231)も、一枚一枚の模様それぞれに繋がりがないか、じっくり観察していた。
 砂礫に座す邪竜導士・クァシェラ(a20336)は一枚の端に線が途切れてるかどうかで、それが完成の端であるか否かを予想し、少しずつ並べ替えていた。
「こりゃちっとしたパズルかのぅ」
 塵芥の・ガトー(a02639)も紙に書き写して正しい絵を考えているが、3×3、総数8枚とはいえ、バラバラのパーツを元がどんな絵かも分からず、想像だけで組み合わせるのは容易では無い。
 影幻の織月・ヒサエ(a15841)も紙を見つめながら……ひとまず動かすのは待ってくれと壁画を動かそうとする冒険者たちに呼びかける。
 そして試行錯誤したいという者には、皆で協力して紙に書き写した物を手渡してゆく。

「どれ、やってみるかの」
 生涯馬鹿男・バンミンヤン(a21656)も絵を予想しながら移動させる順も考えていた。
 そう、実際に動かして完成させることも重要なのだから、今の形から完成形へと繋がる移動順も必要になるだろう。
「何かの絵になるんだと思う……」
 彷徨える猟犬・カグラ(a20508)やエルフの翔剣士・ベルメリス(a37041)を始め、何人かの冒険者たちは、壁画の完成が「何か」ということを予想して取り掛かっていた。
 竜……グリモア……クリスタル……そして、神……しかしそれらの見当をつけて完成を予想するものの、どうにもそれらの絵にはならない様子だった。
「繋ぎ目を見れば隣に来るのが分かると思うんだ〜」
 闇を照らす少女・ヒカリ(a34910)や奏失者・クオン(a10500)が協力して、隣り合う絵を探してゆく。
「皆と一緒に知恵を出し合い、何とか……完成を!」
 天花鏡・スズメ(a11019)を始め、何人もの冒険者が知恵を絞る。
 その間にも絵画の空いた部分からは盾ギアは生み出されてゆくが……

 ぞん!

 居眠り番長・ルーナ(a12866)の貫き通す矢が盾ギアを貫き、終わらない夢とともに・キアン(a27381)がソードラッシュを叩き込む。
 考える冒険者たちが専念できるように戦う冒険者たちもかなり居た。
 完成するまでの時間稼ぎを……と思いながら、仲間を信じて武器を振るい続ける。

「この配置で合っているといいのですが……」
 やがて、一枚の絵が完成する。
 不咲花の蕾・リディアルド(a34926)を始め、何人かがその違和感の無い一枚の絵まで辿り着いたが、今の状態から完成形まで移動させていかなければならない。
 当然、その順番も考えなければいけない。
「ブロックをどう移動させればよいのか……」
 紋章術士・プリムラ(a38221)や万年蝋・ボルネオ(a35997)が、今の状態と完成予想状態とを並べ、紙を動かしてゆく。
 そして、その順番はグゥが記録してゆく。

「できたのか?」
 検討していた者達からの指示を受け、緑風の音・イオン(a00157)が壁画を動かす。
 盾ギアの発生場所が動かされた後の部分に変わり、続々と現れてくる。
 ライクアフェザーを発動させていた茨の鎖・ヘマタイト(a14917)は素早くその攻撃をガードした。
「次は……こっち!」
 ギアに注意しつつ、次を動かす冷泉ノ守護者・フブキ(a26290)は抜け穴等が無いか覗き込むが、そこからはまた新たに盾ギアが生み出されるのみ。
 疾風の蒼い牙・アセリア(a28574)が咄嗟に牽制して盾ギアの気をそらした。
「ギアの反応は?」
 風の囁きを歌い継ぐ・トルヴァ(a29023)を含む何人かは、壁画が動くたびに盾ギアの動きに変化が無いか反応を見ていた。
 もし完成しなくても、動きが止まったり発生が収まるなら、その状態で止めるべきだと思ったのだが……盾ギアたちの動きに変化は無い。
 やはり完成させなければならないのか、冒険者たちは作業を急いだ。
「もう少しだ!」
 誰かが叫んだ。
 全てを包む癒しの音色・レイル(a30809)が壁画を動かし、現れる盾ギアをエンジェルの邪竜導士・フォウ(a33546)が払う。

 次なる壁画を、セイレーンの邪竜導士・ヴィクトリア(a36462)が動かし……それは完成した。
「……気をつけろ!!」
 物語を語る魔物・ワイル(a38613)を始め、何人かの冒険者が身構える。
 壁画が完成したと同時に新たな敵が現れたり、開かれた扉から何者かが現れるのでは無いかと警戒を呼びかけているのだ。

 しかしそれは無く。
 辺りには静寂が流れていた。
 そう、静寂。

 ……あれほど際限なく発生し続けていた盾型のギアの出現が、多数の冒険者の予想通り壁画の完成と共に止まっていたのだ。
 戦いの危険が去ったことで、冒険者たちは改めて完成した壁画を見直した。

 そこには平和に暮らす人々が描かれていた。

 どこからともなく牧歌が流れてきそうな程に穏やかな雰囲気を持ち、人々の中にはその平和に感謝するように、何かに祈りを捧げている姿も見える。

「……ここは突破できたようだ。後は後続に任せよう」
 多数の冒険者が参加し、小隊を組んで連携する者たちも多く居た。
 それにより経験の浅い冒険者たちを中心とする今回の探索であったが見事に成功させることができた。
 しかし、無限に発生し続ける盾ギアを前に疲弊し、深い傷を負ってしまった者も何人か出てしまっている。
 これから先は更なる危険が予想されるだろう。
 今回の探索に参加した冒険者たちは後の探索を後続の冒険者に任せ、その背を見送って上の扉へと戻るのであった。

 そして次なる探索に臨む冒険者たちは、扉へと手をかけるのだった。