<『悪』の旗印 〜悪鬼羅刹〜> ●悪鬼羅刹 「我らの地を、奴らごときに踏みにじらせてはならぬ!」 ヴァルゴンの号令一下、『悪』の旗を掲げた一団はディグガードを出撃した。 その数およそ20数余名。しかし、その全てがキマイラと呼ばれる特殊な存在であり、その全貌を知る者は未だ存在しない。 彼らは、一糸乱れぬ呼吸で散開、一番の脅威となるレイジングの効果を半減させると同時に、剣と鎧に身を包んだ者が仲間を守る盾となって個々のトロウルに当たる。 一方で攻撃はと言えば、単独のヴァルゴンを含め武道家風の者たちが3人1組となり、斬鉄蹴を中心とした攻撃を仕掛ける。 そして後方からは術者や牙狩人たちが攻撃と回復に当たり、トロウルが出て来た際には迷わず逃げる。その間にヴァルゴンを含めた前衛のいずれかが戻ってフォローするというシステムになっていた。 「しかし……それだけじゃトロウルは倒せない筈!」 その読みは正しい。トロウルの体力は尋常ではなく、その上に召喚獣タイラントピラーまでもがある。そこに来て、吟遊詩人を交えた回復要員がいる訳で……まさに底無しである。 だが……。 「あれは……!?」 その時、目に入ったのは異形の忍びの姿。トロウル側の数少ない術者の傍らに突然現れた彼らは、シャドウスラッシュやバッドラックシュートを以て、徹底して倒す策。
一方のトロウル側は、精鋭とは言えど、警衛隊が誘導した24名(8人の冒険者パーティ3組分)である。こちらは漲る体力にモノを言わせた力押しの攻防。回復は後方に控える医術士や吟遊詩人に任せ、攻撃はレイジングを中心としながらも、デストロイブレードやホーリースマッシュ、達人の一撃など……。幾人かが抜けて『悪』の術者を狙うが、それ以外は、ひたすらの全体での前進。取り囲んでのレイジングなどを狙っているのだろうか。
数はほぼ同数ながら、個々のキャパシティに勝るトロウルと、全体での統率と連携で柔軟な策を展開する『悪』。そしてヴァルゴン。 時期的なものもあるとは言え、戦場は凄まじいまでの熱気を帯び、両者の戦いは尚も烈しさを増す。 しかし、先に回復要員を打ち倒したのは『悪』。先に大きな傷を負った仲間のモンスター化を、機を計って成すことで、それまでも利用した非情な戦い方を見せる。 そしてヴァルゴンだけは、わざと自らの身を敵の前面に晒しつつ、無風の構えを併用して敵を誘う。しかし相手は完全に体に特化したトロウル。8体に二重に包囲された形ではヴァルゴンと言えど完全に攻撃を返すことは出来ないようであったが、共にいる部下とともに確実に1体ずつを打ち倒していく。 「我が身、悪鬼羅刹となりても、仇なす敵総てを討ち滅ぼさん!!」 吼える異形の獅子。 そこには、かつての心は一片も無く……自らの持つ総てを否定し、如何な犠牲を払ってでも敵を滅す。それは誓い……『悪』を掲げてでも果たすべき事。ある意味で頑なソルレオンらしいとも言えよう。
しかしそれは、捨ててはならぬモノまでも捨てた末路。引き換えに如何なる力を手にしたとしてもそれは……禁断の果実。 禁断の果実は摘まねばならぬ。そして、今ならそれが適う筈……トロウルと戦い、多少なりとも傷ついた今ならば。 形勢は次第に『悪』側優位に展開。今や戦場は既に半数以上が遺体かモンスターに成り果てており、いずれトロウルは倒れるか潰走することだろう。そうなれば『悪』はディグガードに退く……。 「こうまでして戦い続けてるのは、ヴァルゴンが光輝の武都を守っているつもりだから…よ。ならばチャンスはディグガードに戻る前の今しかない! 私たちの手で直接引導を渡す事。それが私たちの『ケジメ』でしょ。きっちり決着つけて……皆で帰るわよ!!」 運命を信じてる霊査士・フォルトゥナ(a90326)は、警衛隊全員の顔を1人ずつ見つめながら、決戦の命を下したのだった……。
!注意! このリアルタイムシナリオは、西方プーカ街道機動警衛隊の護衛士専用です。
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