<第3作戦:ドラゴン界襲撃作戦>
第2作戦で多くの情報を得た冒険者達は、それを元にドラゴン界襲撃作戦を開始した。
作戦に携わるのは、総勢435人のドラゴンウォリアー。
彼らは43の部隊に分かれ、ドラゴン界の各地へと散っていった。
「やるのは戦闘じゃない、一方的な蹂躙だ。極めて短期間でのな」
紅の4枚羽を背に生やした羽黒龍騎朱雀眼・ザンクウェル(a08604)の言葉通り、ドラゴンウォリアーの力は圧倒的だった。
ザンクウェルの流水撃や、大地を翔ける蒼き翼・カナメ(a22508)の砂礫衝、森羅万象の野獣・グリュウ(a39510)のデンジャラスタイフーンなどによって、儀式の為に祈りを捧げていたドラグナー達が次々となぎ倒されていく。
「ドラゴンの姿なしっ! それでは一斉攻撃開始といきましょう!」
別の部隊も、真夜中の太陽・ハロウィン(a68100)の号令と共に、ドラグナー殲滅を開始していた。
春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)が頭上からレイジングサイクロンを撃てば、外神殲軌超乳巫女・ユイ(a63891)はワイルドキャノンでドラグナーを掃討していく。
慌てて助けを呼ぼうとしたドラグナーも、冷静沈着なストライダーの牙狩人・ジースリー(a03415)の矢に貫かれた。
順調にドラグナーの殲滅、あるいは拠点の破壊を進めていくドラゴンウォリアー達。
だが、その一方で、苦戦を強いられたチームも少なくなかった。
「ドラゴン……居たんだ、ね……」
「1体か……1体だけならいけるかな……」
水薔薇・チェネレントラ(a65535)の呟きに、蒼穹の讃美歌・ルピア(a60692)はそう判断しながら、自分を落ち着けようと呼吸を整える。
施設を破壊するには、あのドラゴンをどうにかしなければいけない。
「そう簡単に死ねるか!」
空を駆ける不完の盾・ウルカ(a20853)の部隊もまた、ドラゴンと接触していた。
ウルカが斧をドラゴンに叩き込めば、すかさず征嵐の牙・ガリュード(a25874)のサンダークラッシュがドラゴンを直撃する。
「いけえええぇ!」
戦いの闘気が炎となって燃えさかりミズキの槍に宿る。髪をなびかせ、ミズキはドラゴンへとその槍を突き立てた。
彼らがドラゴンとの戦いを繰り広げている間に、残る仲間が作戦の完了を急ぐ。
けれど、ドラゴンもそれを、やすやすと許しはしない。
「二匹目……!」
「撤退だよ、撤退! 急いで下さい!」
いくつかの部隊は、更に厳しい状況に直面していた。
今回結成された部隊の人数は、それぞれ10名前後。その戦力はドラゴン1体と互角程度だろう。
2体以上のドラゴンが出現すれば、ドラゴンウォリアー達は圧倒的に劣勢となるのだ。
「必ず全員で帰りましょう……誰も犠牲になったりしないで」
「心配すんな。途中で倒れても、俺が絶対に抱えて帰ってやるなぁ〜ん」
素早く撤退を決断した彼らは、生きて帰る事を決して諦めずに、ただ一途に翔ける。
それでも、苛烈な追撃を受け続け……限界を感じた、その瞬間。
「味方が戻って来た。追われてるぞ!」
彼らの危機を救ったのは、本陣の周辺で第3作戦参加者を支援するべく、待ち構えていた第2作戦参加者達だった。
襲撃作戦に参加した部隊が作戦を完了させ、あるいは止む無く途中で断念し、本陣へと帰還する。
追撃を受けていた部隊や、負傷者の多い部隊も支援を受けて、帰還を果たした。
だが……。
「……どうした? 君達の所は、もう1人いたはずだろう……?」
帰還した部隊に生じた『異変』に、不安に駆られながら尋ねた時。
「…………」
返るのは、ただ沈黙だけ。
それが、彼らに起こった現実を、雄弁に物語っていた。
――この場所まで、戻れなかった者がいる。
そして、失われたのは者は、1人だけに留まらない。
ある部隊は、出発した時と変わらぬ人数で帰還した。けれど、彼らが取り囲んでいるその人物は、呼吸を止めたまま、動かない。
……まだ微かに温かいその身体は、もう2度と、決して瞳を開く事は無いのだ。
永遠の別れを迎えた仲間がいる。
その事実は、ドラゴンウォリアー達の胸に、重く、重くのしかかる。
だが、彼らに、それを悼んでいる時間は、無い。
今はまだ、涙を流す事は許されない。
「最後の部隊が帰って来たよ!」
「よし、急いで撤退するぞ!」
やがて、一番最後の部隊が帰還したのを受けて、ドラゴンウォリアー達は次の作戦へと移行するのだった。
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