<タロスの聖域攻略戦>
北の大陸コルドフリード。
その北辺遺跡で、コルドフリード北辺調査隊は冒険行の末にタロスのグリモアを発見した。
だが、タロスのグリモアのある広大な空間を包み込んだ侵入不能の領域、『絶対不可侵領域』は、彼らがグリモアに近付く事を許さなかった。
さらには停止を余儀なくされた彼らを排除するべく、『絶対不可侵領域』から戦闘艇に乗った単眼のギア、サイクロプスの軍団が出現したのだ。
北辺調査隊からの報告を受けた冒険者達は遺跡へと赴き、襲い来るサイクロプスを倒し、彼らの乗っていた戦闘艇の確保に成功した。
この浮遊移動する戦闘艇を利用することで、冒険者達は『絶対不可侵領域』に突入することが可能となったのだ。
冒険者達が乗り込んだ戦闘艇は、全長10m程の多面体の形をしていた。
そのクリスタルにも似た透明な外装は、サイクロプス撃破の際に冒険者達が与えた損傷を自動的に修復していく。
「動作には支障ないようだな」
「これを使えば、立ち入れなかったあの領域……『絶対不可侵領域』に入れるわけか」
コルドフリード北辺調査隊の団員達が、感慨深げに呟く。
『絶対不可侵領域』の中央に座すタロスのグリモア……そこに達することで、タロスを新たな隣人として同盟諸国に迎えることが出来るのだ。
「あとは、先に進むのみだ!」
黎明の閃光・ヴェローナ(a51653)が力強く言う。
「この辺に棒の先端がぶつかった痕があるみたいやね」
「ふぅむ、どうにか操れそうや」
別の一機では悪路王・コロクル(a08067)と未来の豪商・ナルヤ(a37402)が操縦席のレバーを動かし、具合を確かめる。
「とにかく試してみよう、ようは声と気合だ!」
また別の戦闘艇では、姫椿の鐘楼守・ウィズ(a65326)がそう声を上げた。彼の言う通り、試してみなければ操作方法は分からないのだ。
冒険者達はサイクロプスが行っていた操作を参考に、レバーを引き、あるいは押し込み、操縦法を手探りで確認すると、すぐさま反転させた。
そして、冒険者達の操る戦闘艇は次々と『絶対不可侵領域』へと突入し、タロスのグリモアを目指して飛行を開始する。
サイクロプスを倒した冒険者達によって確保された戦闘艇は、全部で26機。
その行く手を妨害しようというのか、サイクロプスの乗ったままの1機の戦闘艇が前方を飛翔し、冒険者達の戦闘艇へと攻撃を放って来る。
「邪魔だな……ここから攻撃すれば良いか?」
サイクロプスの戦闘艇との距離が詰まった時を見計らい、戦闘艇の砲座……外装に開いた穴から、隠者・タナトス(a01890)はニードルスピアを発射した。針の雨がサイクロプスの戦闘艇へと降り注ぎ、クリスタルのような機体表面に細かな穴が開く。優秀な復元能力を持つ外装はそれをすぐさま復元しようとするが、他の戦闘艇に乗った冒険者達がそれをさせなかった。
それぞれの戦闘艇の砲座から、サイクロプスの乗った戦闘艇へと射撃攻撃が集中する。
戦闘艇の修復能力も、その威力には追いつけなかった。
集中砲火を受けた戦闘艇はたちまちのうちに砕かれ、乗ったサイクロプスごと『絶対不可侵領域』の床に墜落していく。
「よし、これで邪魔者はいなくなったな!」
近付いて来るグリモアの放つ美しい輝きを見つめ、意気込む冒険者達。
だが、このまま何事もなく行くかと思われたその時、異変は起こった。
操縦席の一角に赤い光が灯ったかと思うと、激しく点滅し始めたのだ。
さらには激しいアラーム音が鳴り響いたかと思うと、大広間そのものが激しく鳴動し始める。
「何が起こった!?」
戦闘艇の操縦席についた紅翼の騎士・セラ(a38962)が周囲を見渡す。赤い光は、他の戦闘艇の操縦席からも放たれていた。
「なんだか分からないが、ヤバそうな気配はするな……」
爆走する玉砕シンガー・グリューヴルム(a59784)は戦闘艇の外装を透かして外を見る。
鳴動を続けていた大広間は、その響きの中で変貌を遂げようとしていた。
タロスのグリモアのある中央部の床が盛り上がり、グリモアを包み込むようにして圧倒的に巨大な金属の球体を作り上げる。グリモアの輝きが、無骨な金属の塊に遮られた。
「あれじゃ、グリモアに近付けない!?」
驚きの声を上げる冒険者達をよそに、グリモアを包み込んだ金属はさらなる変貌を遂げた。波が起こるかのように球体表面の側面部の一部が形を変え、大きな瞳のような模様を作り上げる。
瞳の中央部に生み出されたレンズが、まばたきをするかのように光を放った。
まるで眼球のような印象となった球体は、レンズを自分に近付こうとしている戦闘艇へ向ける。
値踏みするかのように戦闘艇、そしてその中にいる冒険者達を無機質な視線が撫でる。
次の瞬間、球体の表面に幾つもの穴が開いたかと思うと、その穴の内から無数の金属の部品が一斉に飛び出した。金属の部品達はまるで織物を織り上げるかのように絡まり合い、柱のような巨大な物体を造り上げていく。
「あれは……刃か!!」
造り上げられたその物体が身を引き締めるかのように薄くなり、凶暴な輝きを宿すのに気付いて、瞬殺の・キオウ(a25378)は咄嗟に戦闘艇を後退させた。
巨大な鎌状の刃は次々に林立すると、グリモアを取り込んだ球体を取り巻くように床に突き立ち、冴え冴えとした輝きを放つ。
「これが……タロスのグリモアを守る、最後の防衛システムか!」
完成したその姿は、丸い胴体と長い脚を持つ、巨大な蜘蛛を連想させるものだ。
蜘蛛ならば脚に当たるであろう鎌状の刃が、侵入者を阻むべく振り回される。その刃に触れるたび、『絶対不可侵領域』が切り裂かれていった。
「『絶対不可侵領域』が……なんて力だ」
「けど、こいつの周辺でなら、戦闘艇を降りても大丈夫そうだな」
それは、戦闘艇からの攻撃も、床に下りて地上からの攻撃することも可能になったということだ。
圧倒的に巨大な相手と幾度も戦い、そして勝利を収めて来たのが同盟諸国の冒険者である。
必ずや活路を見出せるであろうという確信が、彼らにはあった。
「こいつを倒さなければ、タロスのグリモアには辿り着けない……みんな、行くぞ!」
戦闘艇を駆り、冒険者達はタロスのグリモアを巡る最後の戦いへと突入した。
■参加作戦選択解説
(1)戦闘艇から遠距離攻撃を行う
戦闘艇から防衛システムに向けて遠距離攻撃を行います。
(2)飛び降りて接近戦を挑む
戦闘艇から飛び降り、防衛システムに接近戦を挑みます。
(3)鎌を攻撃する
防衛システムを取り巻く鎌状の刃を攻撃し、攻撃能力を奪います。鎌による攻撃を引き付けることで、仲間の攻撃が成功しやすくなる効果も期待できます。この作戦を選んだ冒険者が50人以上いた場合、(1)(2)を選択した冒険者への被害が減少します。
※注意
今回の作戦は、全体シナリオ『タロスの聖域攻略戦』に参加し、依頼を成功させたキャラクターのみ、参加可能です。
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