<リプレイ>


●禁忌の場所へと
 はるか昔からドリアッド領を守り続けてきた森の結界。
 この結界こそ、ドリアッドたちが他の列強種族から襲われずに生き延びてこれた理由……。今回のリザードマンの襲撃も、この結界が破られてしまった事が直接の原因なのだという。

 この結界の消失には、なんらかの魔力が働いた気配がある。
 それが、ドリアッド達からもたらされた情報である。
 ……しかし、蛮勇を誇るリザードマンが、結界を破るなどという事ができるのだろうか?
 その原因を確かめるべく、同盟の冒険者達はドリアッドの協力を得て、その結界の力の源があるという場所へと赴くこととなった。

 この探索は、同盟諸国を横断しドリアッドの森を北上するもので、さいはて山脈と森との境までという、かなりな強行軍となる。

 リザードマンとの戦いは膠着状態となっているが、レグルス以西ではリザードマンとの遭遇戦も充分に考えられる。探索隊の面々は、リザードマンの偵察部隊等に発見されないように充分な警戒をしつつ、レグルスの包囲陣の右手を抜けドリアッドの森に向けて移動する事とする。
 その道中、ストライダーの武道家・シンヤ(a01112)は、数日後に控えた大作戦に関して、漠然とした不安を感じていた。
「大作戦ではレグルスには最小限の包囲を残してアイザックを撃つ……。ガウローがそれに気付いて背後を襲えば……」
 二正面作戦をするだけの戦力が無いが故の決定ではあるが……。本当にこれで良かったのだろうか? と。

蒼閃剣姫・クラリス(a00081)  特に大きな問題無く同盟領を抜けた一行は、ドリアッドの森へと入った。この森でも、記憶の探求者・ティアース(a00068)らによる、警戒は続けられる……。
「……今のところ、リザードマンなどの姿は見受けられないようだな」
「でも、この森のどこで何が襲ってくるか分からない以上、慎重に行動しなくちゃね」
 蒼閃剣姫・クラリス(a00081)も辺りを警戒しながら足を速めた。
 その甲斐もあり、無事にさいはて山脈の麓のドリアッドの村へと到着した冒険者たち。
 そこでは、一足先に現地に入っていたドリアッドの調査隊が出迎えてくれた。
「皆さん、よくお越しくださいました。それでは時間もおしておりますので先を急ぐとしましょう」

 休むまもなく現地への出発準備に入る冒険者たちであったが、その前に知るべき事があると求道者・ギー(a00041)が尋ねた。
「この結界についての情報に関して何か調べはついているのか? できれば事前に知ることができれば助かるのだが……」
 と。この問いには、調査隊の報告をとりまとめていたベルフラウが答える。
夜露の谷の護り手・ベルフラウ 「……これから向かうのは、はるか古の時代に築かれた遺跡『ドラゴンズゲート』です。そこは、邪竜の力に満ちた禁忌の場所……私達は竜脈鉱脈と呼んでおります。それ以上のことは、直接現地で説明しましょう」
 口で説明するよりも、それを見たほうがドラゴンズゲートとは何であるかを実感できるという。
 ベルフラウの言葉に促され、一行はドリアッドたちに案内されながらドラゴンズゲートへ向かうこととなった。
 果たして、ドラゴンゲートとはどのような場所なのであろうか。
 一行は期待と不安を胸にその村を出発したのだった。

 エルフの忍び・サンタナ(a03094)は、そのドラゴンズゲートの付近に徘徊するアンデッドたちの不可解な行動が気になっていた。
「アンデッドはアンデッドに襲われてもアンデッドにならぬゆえ、操り手がいる様に思われるじゃが……。意志をもったのかのように動くなど、まったく変な行動じゃしな」  アンデッドがなぜ生み出されるのかなど、アンデッドに関しては謎に包まれた部分が多いが、少なくともサンタナの知っているアンデッドは『明確な意志などもってはおらず、ただ生者を見つけると襲い掛かってくる』だけのものである。
 それがまるで意志をもったかのようにドラゴンズゲートの付近を警護し、侵入しようとするものを排除するというのは、あまりにも不可解な行動だ。
 椿酒姫・カメリア(a02670)も、その事に関しては非常に気にかかっていた。
「アンデッド達の行動に統率が観られるというのは、どこかに統率している輩、いわば黒幕のような者がいるからだと思いますのよ。でも、アンデッドを操る技術なんて存在しましたかしら?」
「私が知る限り、そのような力をもっている者を知るものはいません……。ただ、以前ドラゴンズゲートの付近を邪竜導師のような格好をした女性がうろついていたという情報が入っています。もしかすると、その者が何か関係しているのかもしれませんが、詳しいことは分かりません」
 結界が破壊される前に、ドラゴンズゲートの付近を通った村人がその姿を確認しているという。
 何にせよ、そこを護ろうとしている存在がいることは確かなようであるが、それが何であるのか臥龍の武人・トゥバン(a01283)は首をひねった。
「ま、正直、何が出てくるのか楽しみだが、正直どうやってアンデッド達を操ってやがるんだろうな。連中を使っているということは、中に何かそれの元になるものがあるのかもしれないが……」
暗闇の使者・ラスティ(a01275) 「ドリアッドの祖先たちが封じたという、恐ろしい力、とは考えられないかな。その者が封印を破るために行なっているとか……」
 ドラゴンズゲートの力の源は邪竜と呼ばれる存在の力であるが、それの仕業ではないかと暗闇の使者・ラスティ(a01275)は口にしたが、それは考えられないとベルフラウが否定する。
「邪竜の力が自らの意思をもって動くことは考えられません。何か他に理由があるのだと思います。それが何であるのかまでは分かりませんが……」
 そうこうしている間に、遂に一行はドリアッド領内の森の中でも最も奥深き場所に存在する遺跡、竜脈坑道へとたどり着いた。
 邪竜の力を秘めしドラゴンズゲートの一つである竜脈坑道……。
 その威容を目にして、冒険者たちは皆息を飲むのだった。

●不死者たちに警護された遺跡
 竜脈坑道。
 遥か古の時代に建造されたこの遺跡は、巨大な竜の姿を象っていた。入り口はズラリと牙の並んだ口の部分であり、竜の身体の内部に入るような形になっているようだ。
 見上げるように巨大で、山のような大きさの威圧感に満ちた竜の姿に、しばし冒険者たちは圧倒されたがベルフラウのかけてきた言葉に意識を周辺に戻した。
「……見てください。ドラゴンズゲートを取り囲むように沢山の人影が見えるでしょう? あれが全てアンデッドたちのなのです」
 彼女の言うとおり、ドラゴンズゲートの入り口付近にはかなりの数の人や動物のような影が見受けられる。
 より詳しく見るために近づいてみると、それは死したドリアッドの人々や動物たちがアンデッド化したものだった。
 腐乱した肉体に白濁した目を辺りに向けているゾンビに、もはや一片の肉すら残さずに骨だけとなって尚この世を彷徨うスケルトンたち。
 普通のアンデッドとは行動パターンが違うというそれらの動向を、ヒトの紋章術士・ヤクモ(a00047)は物陰に隠れながら窺う。
「あの連中、辺りを見回しているだけでまるで動こうとしないな……。ずっとあの位置に留まっている」
「あそこを護っているだけなのかなぁ。そうなると倒すしかないけど……」
 相手はたかがアンデッド。
 冒険者たちが本気になって戦えば勝てない相手ではない。
 ストライダーの牙狩人・リル(a00032)も様子をうかがってみたが、どうやらアンデッドたちはその場から動かずに警戒にあたっているようだ。
 こうなれば、後は敵中を突破してドラゴンズゲードに侵入するだけである。
 ストライダーの牙狩人・タッスル(a00179)は慎重に狙いを定めて、何体かのアンデッドが斜線軸に入るように調整すると貫きの矢を放った。
「じゃあ、行くよ! 皆もアンデッドの相手よろしくね!!」
 身体を貫かれて何体かのアンデッドが打ち砕かれる。
 これにより、アンデッドたちは冒険者たちの存在に感づいてうめき声をあげながら襲い掛かってきた。
 これに対し、ヒトの重騎士・キアー(a00200)は砂礫陣を用いて砂の嵐を発生させてアンデッドの足止めを行なう。
「これで何とか足止めくらいはできるはず……!!」
「……せめて眠らせることができれば……」
 アンデッドはかなりの数が存在しており、一々倒していては面倒だ。
 眠らせて無力化してしまおうと、ヒトの吟遊詩人・ミストラル(a03485)が眠りの歌を歌うが、アンデッドには効果が無かったようだ。
 ドラゴンズゲートに近づく冒険者たちに対しては、掴みかかり殴りかかってくるアンデッドたちであるが、一定の距離を保って攻撃を仕掛けない者たちを襲ってくる気配は見えない。
 この事を見て、エルフの紋章術士・ディ(a03230)はやはりアンデッドたちが明確な目的をもって行動していることを実感した。
「やはりここを護っているようですね。ドラゴンゲートに入ろうとするものを排除するためだけにいるようです」
六風の・ソルトムーン(a00180)  アンデッドの素体となっているのは、ドリアッドの死体に森の動物たち。その中には死んで1ヶ月も経たないような動物達の姿も多くみられる。これもかなり異常かもしれなかった。
 六風の・ソルトムーン(a00180)も、この背後になんらかの人為的な理由がある事を疑わなかった。
「この中にはリザードマンの死体が無いな、やはりリザードマンの手によるものか……? 我らに霊査士が居る様に、我らの知らぬグリモアに死霊使いというクラスがあるのやもしれぬな」
「話は通用しそうに無いな。やはり知恵のようなものはもっていないようだが、背後の者の手がかりでも掴めれば……」
 攻撃を仕掛けてくるアンデッドは、やはり他のアンデッドと同じく本能的にこちらを攻撃しているに過ぎないようだ。
 特別な攻撃を仕掛けてくるわけでもなし、言葉もまったく通じないことを理解して血眼・ゼロ(a01097)はブラックフレイムの漆黒の業火により容赦なくそれを破壊する。
沈黙の使徒・ジンロ(a01101)  彼と同じようにブラックフレイムを打ち込みながら、沈黙の使徒・ジンロ(a01101)はやはり内部に入って詳しく調べてみるしか無いと仲間たちに告げた。
「私たちの使命は、できるだけ詳しくこの場所について調べ上げることですが、今はアンデッドを駆逐して先に進むことを考えましょう。推測に基づいて行動するだけでは仕方ありませんし……」
 ともかく中に入らなければ何も始まらないことは事実で、冒険者たちは一丸となってアンデッドを駆逐しながらドラゴンゲートへの道を切り開いた。
 そして、竜の口となっている入り口周辺に存在していたアンデッドを何とか片付けると、更に内部を調べるために彼らは闇に包まれたその内部へと足を踏み入れることとなる。
 しかし万が一に備えて、ストライダーの武道家・ロアン(a03190) は外で待機することにした。
「ドリアッドたちの祖先が封じたって言う恐ろしい力ってなんだろ……? それを守ってるみたいだっていうアンデッドも変だよな。ともかくオレは洞窟には入らず外で見張ってるよ。アンデッドのボスみたいのが外にいたら大変だしさ。それにオレ、狭い場所より広い場所の方が好きだし」
 こうして幾人かの冒険者が周りを警戒することも含めて待機する中、一行はドラゴンゲートの内部へと足を踏み入れるのだった。

●邪竜の力
 ドラゴンズゲートの内部は闇に包まれており、松明などの照明で照らし出される明かりだけが冒険者たちの周りを照らしている。
 内部には、邪竜の力を受けて変容した恐るべき獣や相変わらず護衛を行なっているアンデッド、それにこの場所を探索している間に変化したのか冒険者の成れの果ての姿であるモンスターすらも確認できた。
 それらを何とか排除しながら先へと進む一行であったが、元来それほど身体が丈夫ではないベルフラウはかなり体力を消耗しており辛そうだ。
 そんな彼女の事を気遣いながら、炎髪の大番長・フィル(a00166) は今まで破壊してきたアンデッドの体を見て溜息をつく。
業を背負う者・ゴウリュウ(a01374) 「……死んでからも利用されるなんてヒデエ話しだな……。まったくリザードマンだか何だか知らんが頭にくる野郎たちだぜ」
「中もやはりアンデッドが多いな……。しかし、これほどの力をリザードマンが行なったとは考えにくい。やはり同盟を狙う第三者が動いているというのか」
 他のモンスターや獣とは違い、明らかに内部のアンデッドも奥に進もうとする者の行く手を遮り妨害するように配置されている。
 ドリアッドたちの結界を破壊し、リザードマンの侵攻を容易くしたのは何か別の者の仕業のように業を背負う者・ゴウリュウ(a01374)は考えており、内部に来るまでにその思いはより強くなっていた。
 果たして、この奥に潜むものとは一体何のか。
 それを探るために調査を続ける一行であったが、奥底に近づくに連れて何か強烈な力のようなものが感じられ始めた。
 とてつもない圧迫感を与える強烈な力。
 これこそがドラゴンズゲートの力の源なのだろうかと、冒険者たちはそこへ近づく。
 その時、カンテラで辺りを照らしながら進んでいた 暁の傭兵・ラギシエル(a01191)が何か巨大な化け物の影を見つけた。
「……! 何だあれは? 何か巨大な獣の影のようなものが見えたんだが……うわぁ!!」
 それは突然うなり声をあげて冒険者たちに飛び掛ってきた。
 鋭い爪が風を切ってその体を切り割こうと迫り、ライクアフェザーによってかろうじて月魄の奇傑・リィン(a00861)はその攻撃を回避する。
「……かなりあぶなかったですね! この化け物は一体……」
 それは奇怪な姿をした化け物だった。
闇夜に翔る蒼き死徒・メディック(a00026)  獅子のような体に山羊と、獅子と竜のようなものの三つの体が合成されたかのような恐るべきモンスターだ。
 冒険者たちを睨みつけて敵意を顕わにするそれに対して、闇夜に翔る蒼き死徒・メディック(a00026) は拳を構えて攻撃の準備に入った。
「もしかすると、こいつがここのボスのような奴かもしれません。皆さん、気をつけてくださいね!」
 そして戦いは始まった。
 爪や牙を振るい、強烈なパワーで襲い掛かる化け物に対して冒険者たちは総攻撃を浴びせた。
 ヒトの牙狩人・ビクトリア(a01407)が矢を放ち、ストライダーの邪竜導士・アティフ(a01464) がブラックフレイムを打ち込む。
「攻撃を集中させましょう!」
「幾ら協力な敵でも、これだけの冒険者から攻撃を受けては生きてはいられないはず!!」
 ここまで同行したドリアッドの冒険者たちも攻撃に協力して、化け物に対して次々と矢や炎、それにエンブレムシュートによる光の球が放たれた。
 強靭な体力を誇るさしもの化け物も、これには耐え切れずに体に深い傷を負って後退する。
 そしてそれを見逃さずに、一気に間合いをつめた深淵の邪龍を誘う者・アオイ(a01192)は居合い切りを繰り出した。
「悪いが俺たちには、まだやるべきことが残っているんでな! ここでお前に時間を食わされる訳にはいかないんだ!!」
 目にも留まらぬ剣の一撃が化け物の首を切り払い、そこから血が噴出すと、どうっと音を立ててそれを倒れ付す。
 こうしてあらゆる障害を排除した冒険者たちの前に、薄緑色の燐光を発する不思議な金属で作られた柱が現れた。
 その柱には、闇で出来たような巨大な蛇が巻き付いている。
 勿論、普通の蛇がこんなところに存在しているはずがない。
蒼き疾風・ゲイル(a01603)  その蛇の闇が脈動する度に、金属の柱の燐光が明滅する。
 まるで、その力を吸い取られているかのように……。
「こいつは一体何だ? これが力の源なのか?」
 ここまで調査隊を護衛してきた蒼き疾風・ゲイル(a01603) は、この謎の蛇の存在に圧倒されながらも、それをきりつけてみた。
 その攻撃を受けて、闇の蛇は少しだけその闇を薄める……。
 ならばもう一撃を食らわそうとするが、今の一撃で生命力を吸い取られてしまったかのように戦う気力が奪われ、彼は武器を振るうことができなかった。
 どうやら、攻撃による影響を受けているようだ。
 彼と同じように矢を撃ち込んだ風切り・エイミー(a01378)も、同じように強烈な脱力感を感じていた。
「……ダメですね。一撃を浴びせるのが限界のようです……。ここが危険な場所であることには変わりありませんし、引き上げるしかなさそうですね」
 他の冒険者たちも闇の蛇に対して攻撃をしかけるものの、致命的な一撃を浴びせることはできなかった。
「この闇の蛇が結界の力を消していると思います……」
 そのベルフラウの言葉と共に、冒険者は遺跡から撤退し、外で待っていた仲間たちと合流する。
 探索隊は、見事、結界を消失させた原因をつかんだのだ。

鋼鉄の乙女・キール(a00004) 「あの闇の蛇はとても強い邪悪な力を感じる。しかも一度攻撃すればそれ以上の攻撃をする力を奪われるとなると……」
 帰路につく鋼鉄の乙女・キール(a00004)は、だが、諦めてはいなかった。
「冒険者が1000回攻撃すれば、どのような力であっても破壊できるだろう。大作戦の前に結界が戻れば……」

 探索に向かった冒険者達の情報は、ただちに多くの冒険者へと広められる。
 伝説のドラゴンズゲート。そして、ドリアッドの森の結界消失の原因となった闇の蛇


 探索に向かった冒険者達の情報は、ただちに多くの冒険者へと広められる。
 伝説のドラゴンズゲート。そして、ドリアッドの森の結界消失の原因となった闇の蛇。

 今、冒険者の前に、新たな冒険の扉が開かれたのだ。