<通常業務結果報告【4月】>

 団長交代が行われ、私も少しずつ業務になれた頃かしら。
 順調に通常業務も進んでいるわ。

通常業務結果報告【4月度上半期】 ノルグランドの霊査士・オウカ(a04194)

場所:広場   2005年04月10日 23時   発言数:1

【支城改造】達成率40%

 冬はもはや過ぎ去り、辺りには暖かな空気が満ちている。
 戦略拠点としての機能をもはや失ったカディス城塞……現ノルグランド護衛士団本部を見下ろす丘には、この地を守り命を落とした者達の墓がある。その中でも最も新しい墓には、カディス守護将・ラドックの名が刻まれていた。
 墓前にいるのは、イリュードと彼を案内してきたディナーハだ。
「……お前達、ラドック殿が自害した意味を理解しているか?」
 不意に問いを発したイリュードに、ディナーハは怪訝な視線を向ける。
「カディスの誇り……ってのじゃないのかい?」
「それもあるが、それだけでは無いだろう」
 イリュードはディナーハに一つ首を振り、苦笑をその口の端に上らせた。
「彼の死が、我等との関係においてどういう意味を持つのかを考えてみるべきだろう……お前達が、本当に『対等な交渉』をしたいと思うのならば、な」
「ラドック団長の死の意味……?」
 『カディス護衛士団の団長が自ら死を選んだ』という事がどういう意味を持つというのか。考え込むディナーハから墓へと体を向け、イリュードは静かにラドックの冥福を祈る。


「まず、お前達はグリモアガードとしてグリモアを死守しなければならない」
 カディスの地についての説明を受けに来たノルグランド護衛士達に、ジャルイマはそう説明する。
「それが、グリモアガード本来の役目だからな。とはいえ、ソルレオンと和議が結べたならば……それ程多くの戦力を割く必要も無かろう。万が一の時には本部にいる者でどうにかするしかないが」
「そうなる危険性は低い……ですね」
 エドランの言葉をジャルイマは首肯、
「それと、地域の巡回を怠らない事だ。地域の異変に最も敏感なのは、やはり住民達だからな。お前達が信用を得ていれば、得られる情報も増えるだろう」


 カディス城塞がなくなった今、『カディス』と言えば街の名を指す事になる。カディス城塞の城下町だ。
 位置的にノルグランド護衛士団本部から至近となるこの街は、カディス城塞の破壊後も地域の流通拠点となっている。だが、
「雰囲気が、良くないですね……」
 ビクトリーは呟き、柳眉をしかめた。カディス城塞の破壊は、やはり人心に不安を落としているらしい。と、ビクトリーの耳に不穏な呟きが聞こえて来た。
「いっその事、ソルレオン領にでも――」
 驚きそちらへ視線を向けるが、誰がそれを口にしたのかは分からない。
「私達の民を守る意志を、疑われているという事でしょうか……けれど」
 それを示すには、行動を以って行う他に無い。心に決意とかすかな不安を抱き、ビクトリーは巡回に向かうべく歩き出した。


「息子の遺品を借りたいだと……何をする気だ貴様等!」
「いや、だから霊査を」
「白々しい……どうせ同盟に都合の悪い事は隠す気に決まっているだろうが!」
 取り付く島も無いといった様子のバクスに苦笑し、ゲイブは彼の牢を後にする。
(現に同盟に都合が悪い事は隠してるからな……)
 別の牢にいるゼニスキーの事を思いながら歩く彼に、同じく歩哨をしていたティエランが声をかける。
「お疲れ様です。その様子だと駄目だったようですね……」
「ああ、ありゃ同盟に味方する気なんざさらさらねぇな。下手に今解放なんかすりゃ……」
 ゲイブはやれやれと肩をすくめ、
「ソルレオン領に速攻駆け込まれて、洗いざらいぶちまけられちまうだろうな」
 その言葉に、ティエランはその眉根を寄せる。
「そうなれば、和平も何もかも……」
「オジャンだろ」
「オジャンですか……」
 少しの沈黙の後、二つのため息がノルグランド城砦の地下牢に大きく響いた。

通常業務結果報告【4月度下半期】 ノルグランドの霊査士・オウカ(a04194)

場所:広場   2005年04月26日 00時   発言数:1

 ノルグランド護衛士団本部の一室で、サビルはカディス城塞から持ち出された周辺地域の記録を読みふけっている。
「グリモアは、カディス城塞と、近傍の合計3箇所か……だが」
 カディス城塞跡以外のグリモアを守る価値は無いと彼は判断する。
「そもそも、失う要因が無いな」
 ソルレオンが攻めて来ることは現状ではまずありえないし、仮に攻めて来るとしても正使を立ててくるだろう。
 問題があるとすればノスフェラトゥの存在だが、
「所詮列強グリモアではないからな……」
 グリモアは取られても取り返せる。カディス周辺地域の小グリモアであれば、グリモアレベルに変動を及ぼすこともまずあるまい。
「一応、場所だけは押さえておくか」
 彼は資料を閉じると、地図を手にグリモアの場所を確認に向かう事にした。


 カディス城塞跡の北に広がる葦原は、かつてリザードマンとソルレオンが激しく争った戦場だ。今、その只中で何かを探して動く二人の人影があった。
「……ディナーハさん、どう?」
「ああ……例の噂、間違っちゃいないようだ」
 苦々しげに言い、ディナーハは煙草を捨てると足で踏み潰した。一瞬それを非難するような目で見、レイは村で聞いた噂を思い返す。
「……古戦場の、死体が……減っている、ね……」
 それがどういう事を示すのか、現状ではっきりとした事は言えないが、
「誰かが、動かした以外には考えられないな。……死体が自分で歩いて行ったんでもない限り」
「……どちらかと、言えば……」
「そっちの可能性の方が高いって言うんだろう? 分かってるさ」
 肩をすくめるディナーハだが、その表情は目をすがめ、眉間に皺を寄せたものだ。
「どうしたもんかね、これは……」


「ゼニスキーさんって、手広く商売をされてたんですよね?」
「ああ、その通りだ」
 地下牢に響く明るい声は、アヤナとゼニスキーのものだ。おだてを交えながら話を進めるアヤナに、ゼニスキーはすっかり調子に乗っている。
(やれやれ……これは私が口を出さない方が良さそうですね)
 小さくため息をついたシャオルンは、二人の会話の推移を見守ることにした。
「例えば、セイレーンさんとかとも商売をされていたんでよね? どれだけ沢山儲けたんですか?」
「セイレーンか……連中は交渉相手としちゃぁ最悪の部類だな。俺は連中とはそれほど取引してないが。付き合いのあった連中は苦労してたようだ」
 高官に取り入って国内取引する方が楽だったからな、と語るゼニスキーにアヤナは内心で苦笑し、表面は感心したように頷きを一つ。
「でも、ゼニスキーさんならセイレーン相手でも余裕ですよね?」
「俺位になれば、な。同盟の連中のオツムじゃ……口八丁で体よく金や財宝を巻き上げられるのが関の山だろうよ。連中、絞れる相手からはとことん絞るぞ。商売人としちゃ優秀だな」
 感心したように頷くアヤナの後ろでシャオルンは腕を一つ組んだ。
(とはいえ、ゼニスキーの視点でしかないですからね……)
 大体セイレーンの事を知って自分達ノルグランド護衛士団に何か利益があるのか、と考え……シャオルンは微妙な表情になった。


「カディスGGの移転先は旧バグウォッシュの砦で本決まりね。周辺のモンスター掃討とかで頼むわ」
「了解した。だが……」
 新カディス団長・イニチェリは言葉を切り、オウカを見つめた。
「移動はどうする」
「あ”〜〜」
 困ったように眼鏡に手をやり、オウカは軽くその位置を直した。
「やっぱり、今行くのはアレよね〜」
「死の国での動きが活発化しているからな……」
 ふぅ、と溜息をついた両団長に、二人の様子を見ていたスピットは苦笑を作る。
「移動の準備自体はもう殆ど終わっとるみたいやね?」
「ああ、移動は毒蛇城からインフィニティゲート、インフィニティゲートから黄金霊廟を経由して向かうことになるな」
「ゲート転送様様やね……でないとどんだけ食糧だの物資だのが必要になったことか」
 ふと、横で話を聞いていたフラトが辺りを見回しイニチェリに問いかける。
「そういえば、ジャルイマさんは?」
「ああ……ガルドスのおやっさん達を連れて、現地の方で砦の状況や食糧の調達方法について調べてもらっている」
 ゲート転送では手荷物しか運べないため、現地で残りの物資を整える必要がある。納得の頷きを返したフラトだが、次のイニチェリの一言にノルグランド護衛士達は驚きの声を上げることになった。
「まぁ、あの人達もこれで引退だからな」
『ええっ!?』
「どうした?」
 と視線で問うて来るイニチェリに、シファレーンが逆に問い返す。
「そ、それは本当なんですの?」
「ああ。特に副長は前団長と長い事コンビを組んでいたからな……出発前の宴会の時には戻って来るだろうから、その時にでも本人に直接尋ねてみるといい」
 言うイニチェリに、護衛士達は言うべき言葉を失った。
●次の項目へ
⇒⇒⇒【東方ソルレオン領】の扱いについて