<星凛祭の準備 〜落涙の滝>

●キナイの地にて
「綺麗なりね〜」
 冒険導士・サツキ(a05435)が清めた後の落涙の滝で流れ落ちる水しぶきに心清められる思いで見つめていた。
「お疲れ様です。サツキさん、これで最後ですから後は警戒の人たちに任せて戻りますか?」
「ん? もうそんな時間なりか? 色々立て込んでてごめんね〜。とりあえずって程度しかお手伝いできなかったなりよ」
 照れくさいのか、ふらんそわ〜ず・サガン(a18767)にお疲れ様と声をかけられて笑うサツキ。
「ここが皆さんとの集合場所から少し離れていますからね。そろそろ帰らないと、準備にも手がいると思いますよ」
 小石とごみを分別して、昨日の雨で落ちた落葉を掃き集めた袋を担いだサガンが歩き出す。
「これで、歩き易くなったと思うのですけれどね」
「ん。大丈夫そうなりよ」
 水量も豊かに落ちてくる水滴が、二人の足元を濡らしている。落葉が集められ、ゴミも取り除かれた足元は始めて訪れる者でも余程のことがない限りは足をとられないだろう。
「を〜い? こっちに滝があるの?」
「ああ、こちらですよ!」
 林の中を抜ける小道から、海辺の虹・マロウ(a42261)の声がして、気づいたサガンが返事をすると、やや遅れて左岸と同じゴミの袋を抱えたマロウが姿を現した。
「去年と同じ場所……だよね?」
「ん?」
 見れば、マロウはその手に地図を握り締めている。
「ほら、地図から変わったとこがないかとかの確認もするつもりだったんだよぅ?」
「いや、気持ちは分かるなりよ」
 マロウの狼狽振りに、何となく迷ってしまいそうだった林の状態を思い返してサツキが苦笑する。
 巡回の人間が迷ってはいけないし、ここを訪れる人が迷っては大変だからと、当日には道案内を立てる話も出ているが、今のところは去年まで使った地図だけでも大丈夫そうだとマロウは改めて地図と見比べて地形を確認していた。
「それじゃ、ゴミを集めて帰りますか」
 サガンがマロウの手にしたゴミ袋に手をかけ、掃除道具を抱えたサツキがマロウとサガンの後に続いて小道を歩き出す。
「きっと良いお天気でしょうね」
「きっと、そうなのよね♪」
 サガンとマロウが話し合う姿を見て、笑顔のサツキだった……。