『 ずっと待ってたの・・・』『ん・・・悪かった 』
●大好きなカイネさんへ
(「カイネさんおそいな」)
シャルムは一生懸命作ったお菓子の入った箱をもってたたずんでいた。
一緒に待っていた少女達も一人減り二人減りして、女神の木のまわりも寂しくなってきた。
(「もしかして来てくれないのかも……」)
待っている時間もデートの時間。いつもなら、ドキドキとワクワクが一緒になる待ち時間。
だけど今日はちょっと違う。
(「……シャルムの事、迷惑だったのかな」)
今日は特別な日。
特別な日だからこそ、不安に思う気持ちが大きくなる。
「にゃぁぁぁぁん」
黒にゃんこのリューが、かすかに震えるシャルムの足にまとわりつく。慰めるように、あるいは元気付けるように。
「ありがとリューちゃん。私は大丈夫だから」
シャルムは、そういってリューを抱き上げようとする。
「えっ、リューちゃん!」
そのシャルムの手を逃れるようにリューは駆け出し、あわててシャルムが後を追う。
トン。
と、そのシャルムの頭が何かにあたった。
「遅れてすまなかった…」
かなり申し訳無さそうな声。その持ち主は……シャルムには確認する必要は無かった。
「ずっと待ってたの。このケーキ食べてください!」
シャルムは、そういって持っていたケーキの箱を差し出した。
「ありがとう。……貰うな」
カイネはそう言うと、シャルムをベンチへと誘った。
少し離れた草むらで、それを見ていた黒猫のリューが「にゃぁ」と鳴く。それは、手間のかかる人間達だと言っているようだった。
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イラスト: 深生とり子
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