『 待ちぼうけ〜? 』

●待ちぼうけ?

「まぁ、いくらゲンヤだって最初の一人は無理よね」
 女神の木の前でカリンは、少しがっかりしていた。
 もしかしたら、一番乗りとかしてくれるかなと期待していたから。
「でも、10位には入るよね♪」
 ゲンヤは、フォーナの祝福の相手でもある。
 ここは、やっぱり頑張って欲しい。
「だって、私のためだもんね☆」
 今日は、ランララ聖花祭。女の子の為に男の子が頑張る日なのだから。

 しかし待てど暮らせど、ゲンヤはやって来ない。
「ぶぅぅぅ。いくらなんでも遅いよぉ。これは、文句の一つも言っちゃうんだから」
 カリンは少しぶーたれる。

 そろそろ日も傾いてきた。
 カリンの目の前で、何組ものカップルが楽しそうに女神の木の前でお菓子を渡して朝露の花園とかに消えていく。
 微妙にカリンは涙目だ。
「もしかして、私、嫌われたのかな? ううん、ゲンヤに限ってそんな事は無いよ。無いよね、ゲンヤ?」

 そんな自問に答える者もなく、更に時間は無常に過ぎていく。  すでに周りは、人がまばらな状態だ。
「また自分は捨てられたんすか〜」
 滂沱の涙を流しつつカリンは自らの身の処遇を決めていた。
「ゲンヤに捨てられたカリンなんて、萌えないゴミでしかないんです!」
 カリンは萌えないゴミの袋をとりだしたのだった。

 と、そのとき。
「それは困るな。つーか、お前、なんでそんな所にいるんだ?」
「へっ?」
 それは、紛れも無いゲンヤの声。
「全く、何を泣いてるんだか」
 少し呆れたような声に、カリンは泣き笑いの表情を作って答えた。
「決まってるでしょ。嬉し泣きよ」
 カリンはそういうと、萌えないゴミ袋を畳んでしまったのでした。


イラスト: れんこ