『 星の見える丘で 』

●星降る夜

 空には今にも降り出しそうな星々がきらめいていた。
 そして、時折零れ落ちるような流れ星が落ちていく。

「ティエンさん、綺麗ですねぃ〜」
 のんびりしたリヒトンの言葉には、僅かな震えがあった。
 ティエンの姿を追いかけ、ここまで来てしまった事。
 それがティエンの迷惑になっていないかと……。
 リヒトンの不安が募る……。
「ええ。とても……リヒトンさん」
 そんな不安を消し去るような、暖かいティエンの声。
 リヒトンは思わずティエンを見上げた。
 ティエンの笑顔が、リヒトンの胸の鼓動を早くさせる……。
「はわわぁ〜」
 それは永遠に続く時のような一瞬の出来事。
 星の祝福を受けた、甘いキス。
 リヒトンはそれを受け、顔を紅色に染めていた。

 そんな彼女をティエンは、優しく抱き上げる。
 まるでそれは、異国の姫君を抱き上げるかのように。
 そして、ティエンはリヒトンの耳元で囁いた。
「今夜は……ずっと一緒にいようか?」
 ティエンのぬくもりを感じながら、リヒトンは甘えるような声で微笑む。
「一緒ですねぃ〜」


イラスト: さとをみどり