『 ボクの想い、メイリィちゃんに届け! 』

●勇気の告白

 その日、メルメルはとても緊張していた。
(「メイリィちゃんに、言うんだっ!」)
 女神の木の下で、当の本人であるメイリィを目の前に、メルメルの心臓の鼓動は破裂するかのごとく早かった。
 メルメルは持っていたお菓子をずいっと差し出し、勇気を振り絞る。
「メイリィちゃん。ボク、初めて会った時からずっと、メイリィちゃんの事が好きなんだ……ボクの恋人になってください!」
 メイリィはいつもと変わらぬ笑みで。
「私も大好きですの」
「ほほほ、本当っ!?」
 メルメルは天にも昇る気持ちだった。
「だって、大切な『お友達』ですの♪」
 その言葉を聴くまでは。
「そういう好きじゃなくてっ……」
 メルメルの瞳の端には涙がにじむ。
「? この『好き』とは違うですの? ええと……フェイと同じくらい大好きですの♪」
(「ボクはメイリィちゃんの飼い猫と同じくらいなの……?」)
 このまま消えてしまいたい、そう思い始めたとき。
「メルメルさん、お菓子、ありがとうですの。せっかくですから、一緒に食べませんか?」
 微笑んで手を差し伸べるメイリィ。
(「いや、飼い猫さんと同じくらい好きということは、嫌われていないってことだよね? それに、大好きだって……」)
 うんと、顔を上げ、差し伸べられたメイリィの手を繋ぐ。
「はい、一緒に食べましょう♪」
 こうして、ぽかぽかとした暖かい陽気の中、女神の木の下で小さなお菓子パーティが開かれたのであった。


イラスト: 黒百合姫