『 煌く日差しの中で 』

●いつまでも抱きしめて

「ごめん、待った?」
 マオの前にアズライトがやってくる。
 ここは泉の優しいせせらぎと鳥のさえずりが響く、さえずりの泉。
「ううん、マオもさっき来たところだし」
 にっこり微笑むマオ。
「あ、これお疲れ様のアズにプレゼント♪」
 そう言って差し出したのは、お菓子とプレゼントの入った箱。
「ありがとう、マオ姐!」
 アズライトは嬉しそうに受け取る。
(「僕のために用意してくれたプレゼント……」)
 その気持ちだけでアズライトは胸がいっぱいになった。
「じゃあ、いこっか」
「え?」
 貰ったプレゼントをもう一度、マオに持ってもらう。そして、アズライトはマオを抱き上げた。
「落ちないように気をつけてね」
 突然の行動にマオは少し戸惑ったが、それもあっという間。この幸せな瞬間にマオはアズライトの言うとおりにしていた。  ひょいひょいと、軽いステップで泉の飛び石を超えていく。
「わ、きゃあ♪」
 嬉しそうに声をあげるのはマオ。アズライトに抱き上げられ、とても幸せであった。
 もちろん、アズライトのプレゼントはなくさないよう、しっかりと持っている。
「ついたよ。なかなか良い場所だと思うけど?」
 そういって、アズライトはマオを地面に立たせる。
 アズライトが導いた場所。そこは小川を越えた先にあった、休憩するのに丁度良い木陰であった。  マオは、あっという間に終わったささやかな時間を残念に思いながらも、アズライトを見上げる。
「うん、ばっちり合格♪」
「それならここで、一緒に食べようよ。一人で食べるよりも、二人で食べる方が美味しいしね」
 その言葉にほんのり頬を染めながら、マオはうなづいた。
「一緒に、だね」
 二人は程よい木陰で、マオの作ったお菓子を楽しそうに食べる。
「あ、帰りもまた、抱っこしてね?」
 もちろんマオのお願いも忘れずに。


イラスト: 幸村まなつ