『 おまたせっ! 』
●花園で会いましょう
朝露の花園でレキは、姉のレナを待っていた。
「まだ来ないのかな……? 早くレナと一緒に、いろいろ見に行きたいな♪」
いろいろな試練を乗り越えやってきたというのに、レナはまだ来ていなかった。
「………も、もしかして、途中で何かあったとか?」
だとしたら、どうしよう? ここで待っていてはダメなんじゃないか?
そう考え、あたふたとしてしまう。
いや、と考える。
「もしかして、私の事、嫌いになったとか?」
レキはがっくりと肩を落とした。
「もしそうだったら、どうすれば……」
だからと言ってここを離れるわけにはいかない。
離れた後に、レナが来る可能性だってある。
「きっとレナは来てくれるのだから」
むんと立ち上がり、待つことを決意した。
が、なかなか来ない。
「も、もしかして、忘れ去られた?」
そう思った瞬間。
「レキ! お待たせっ!」
突然、レキの後ろからレナが抱き付いてきた。
「わ、レナ!」
「あ、ごめん。驚かせちゃった?」
にこにこと笑みを浮かべるレナにレキも微笑む。
「もう、遅いよ?」
「ごっめーん。あ、ほらほら、たくさんお菓子持ってきてあげたんだから♪ ありがたく食べること!」
「はいはい」
「はいは一つまで」
くすくすと二人は微笑み合う。
そっくりな二人。
こんな素敵な二人は他を探しても見つからないだろう。
「じゃあ、さっそくごちそうになりましょうか」
「そうね、私も一緒に食べよっと♪」
こうして、様々な花が咲く花園で、二人だけのティータイムを始めたのであった。
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イラスト: 黒百合姫