『 ど・・・どうだ?』『ああ・・・とても美味しい 』

●あなたにチョコレートブラウニーを

 女神の木の下で、リュシュカとディオナは座っていた。
 夜遅くまでかかったチョコレート製作。
 ディオナは作りなれていないチョコレートを渡すのに、とても緊張していた。
 可愛くリボンのラッピングをし、ディオナはリュシュカに渡す。
「……これは?」
 手渡された箱を開けると、そこにはハート型のチョコレートブラウニーが入っていた。
「味は多分、大丈夫……」
 控えめな言葉に、自信のなさが窺える。
 思わずリュシュカが笑みを浮かべた。
「とても美味しそうだ」
 そういってチョコレートブラウニーを取り出し、一口。
「ど、どうだ……? リュシュカ……」
「ん……美味い」
 その一言にディオナはやっと、微笑んだ。
「よかった」
 そんなディオナを。
「わっ……」
「俺の為にありがとう、ディオナ殿」
 リュシュカはディオナを抱きしめた。
 チョコレートブラウニーの感謝を込めて……。
「リュ、リュシュカ……こ、これは反則だぞ……」
「じゃあ、ディオナ殿。一緒にチョコレートブラウニー食べようか? 何だか一人じゃもったいなくて」
「……じゃあ、一口だけ」
 二人の甘い時間は、まだ始まったばかり……。


イラスト: 深生とり子