『 真昼の夢の約束 』

●二人の約束

 小鳥達が羽を休める場所、さえずりの泉。
 そこでライカとキドーは二人座って、ささやかなティータイムを楽しんでいた。
「うん、この菓子、いけるよ!」
 片手をクリームまみれにしながら、キドーは笑みを浮かべる。
「そう? そう言ってもらえると嬉しいわ」
 ライカはキドーの分の紅茶を手渡し、続ける。
「来年の同じ日に、お互いに好き人がいなかったら、また、一緒にこの場所に来ようね♪」
 そして、指切りをねだるライカ。
「えっ!?」
 突然のその言葉に、キドーは驚く。
 が、すぐにいつもの笑みを浮かべた。
「おうっ! ライカちゃんとなら俺は来年もOKだぜ〜。ま、でもライカちゃんが想い人と結ばれるよう祈ってた方が良いのかもな〜」
 キドーはそう言って指を出す。
「それってライカと一緒が嫌って事?」
「ち、違うってっ!!」
 慌てるキドーにライカは笑みを浮かべた。
「ふふ。冗談、冗談。じゃあ、指きりね」
 ライカとキドーはそっと指を絡める。

 鳥達がまた、さえずり始めた。
「今日はマジ楽しかったわ〜」
「ライカも」
 二人は微笑み、ゆっくりとさえずりの泉を後にする。
 また二人で来れるように願いながら……。


イラスト: 綾乃ゆうこ