『 試練の先の試練? 』

●ぺんぎんさんの受難?

 この日、ルーニィは、うきうきと星屑の丘で待っていた。
「ランララって、お菓子あげる日なんだよね。普段なら食べる専門だけど」
 そう言って、三日前から仕込みの準備をして、海と山の幸の凝縮エキスを抽出。そのエキスを入れて、作ったお菓子を用意して、ミファナが来るのを待っていた。
「なんかちょっと変な色しているみたいだけど……喜んでもらえると嬉しいな♪」
 るんるんとルーニィはミファナの姿を探すのであった。

「もう、ルーニィ来ているのかな?」
 普段の服と化したペンギンの着ぐるみで、ミファナは丘を登る。
「ルーニィと合流したら、楽しみにしている、このタルトをあげるぞ♪」
 るんたったーとペンギンミファナはスキップしながら、目的地を目指す。
 ミファナが持ってきたもの、それは美味しいリンゴのタルトであった。
「それから、のんびり試食会やって……後は、帰り際にキスして……逃走しちゃおうかな?」
 淡い夢を見ながら、鼻歌交じりで歩いていく。
「あ、ルーニィはっけーんっ!!」
 ミファナはそのまま飛んでいく勢いで、彼女の元へ走り出した。

「……………こ、これ……何?」
 ランララ聖花祭の試練を乗り越えたミファナに、新たな試練が訪れようとしていた。
「んーと、海の幸、山の幸エキスの入った、スペシャルケーキだよ♪」
 怪しい色、怪しい香り。
 どれを取っても、ミファナにこう告げている。
 これは明らかにヤバイ。
(「キスする前に逃げようかな?」)
 でもそれを行えば、ルーニィは悲しむ事だろう。
(「神様、俺に腹痛にならないグリモアエフェクトをお願い……」)
 意味のない願掛けをかけて、一気にルーニィのケーキを食べた。
「どうかな?」
「う、うん……その、野性的な味、だな」
 最後は自分の持ってきたタルトで口直し。
「本当にタルト持ってきてよかった……」
「何か言った?」
「うううん、何もっ!!」
 とても甘いひと時を過ごした二人。
 翌日、倒れているペンギンさんの姿を目撃したという噂が、町中に広まったのは言うまでもない。


イラスト: 風音昴