『 …君を護ると誓う…俺の全てをかけて 』

●泉での誓い

 ルシールとバルトの二人は、夜のさえずりの泉に来ていた。
 鳥の声はないが、その分、月明かりに照らされる泉が美しさを際ださせていた。
「バルト、見てください……こんなに綺麗な泉、はじめて見ました……」
「ああ、俺もはじめて見る……」
 二人は泉のほとりで、ゆっくりとその眺めを楽しんでいた。
 他にも泉の美しさを楽しむ恋人達の姿が見える。
 バルトとルシールは顔を見合わせ、微笑んだ。

「ルシール……」
 バルトはルシールの前に跪き、右の手の甲に、そっと口付けをした。
「……君を守ると誓う。俺の全てをかけて」
 そのバルトの瞳には、決意を漲らせて。
 告白というよりも、誓いを立てると言った方がいいのかもしれない。
 ルシールはバルトのその言葉に、少しはにかみながら頷いた。
 そして、そのバルトの手に自分の両手を添えて、膝を折る。
「一番傍に、います。いさせてくださいね? バルト」
 そのルシールの行動に、バルトは少し驚いていたが。
「ああ、もちろん」
 にこりと笑みを浮かべ、強く頷いた。

 二人は泉のほとりで寄り添い、美しい泉を眺めていた。
 今日が二人にとって、大切な日になった事を喜びながら……。


イラスト: 桜木晶