『 ウィスちゃん!?』『‥‥うゅ?‥ 』

●泉でドッキリ!?

 びしゃんっ!!
 さえずりの泉で転んでしまったウィスタリア。
 木陰に隠れ、濡れた服を乾かしていた。
「ちょっと失敗しちゃったにゃ……」
 影に隠れて、辺りを見渡す。
 服が乾くまでの時間が、ちょっと暇になっていた。
「何も持ってこなかったし……そうだ、皆の様子をちょっと見させてもらうにゃ♪」
 るんるんと濡れた服に隠れながら、恋人達の様子を覗き見る。
 どのカップルもぴったりと寄り添い、そして、キスを交わす。
「わあ……ボクもあんな風に過ごしてみたいな〜」
 と、うっとり見とれていたときであった。
「え? ウィスちゃんっ!?」
「うゅ? フィーネ……ちゃん?」
 そこに現れたのは、ウィスタリアの好きなルィンフィーネであった。
 ルィンフィーネは急いでウィスタリアを自分のマントで包み込んだ。
 もし、このあられもない姿を、他の者に見られたら大事になるだろう。
「い、一体、何があったの?」
 思わず尋ねるルィンフィーネ。
「ちょっと転んじゃって、服が濡れちゃったのにゃ。大丈夫♪ 全然怪我してないし、平気にゃ♪」
「もう、気をつけてね。それと……誰もいないからって、裸にはならないこと」
「ん? どうして?」
 きょとんと首をかしげるウィスタリア。
「どうしても!」

 二人はウィスタリアの服が乾くまで、一緒のマントに包まっていた。
「フィーネちゃん、暖かい……」
 そんな呟きにルィンフィーネは思わず笑みを零すのであった。


イラスト: おおゆき