『 星とチョコレートとリボンと 』

●二人だけの真夜中

 星が降るような、綺麗な夜空が恋人達を迎える。
 愛の歌を囁く声。
 愛しい口付けを交わす吐息。

 そして、ここにももう一組。

「貰ってください」
 手渡すものは、ホットチョコレート?
 それともチョコムース?
 いや、違う。
 それはフユカの体中に飾られたリボンが物語っている。
 レオニードは、その瞳を細めて、フユカを抱きかかえる。
 その左手は、長く美しいフユカの尾を弄びながら。
「まさか……こんなプレゼントがあるとはな?」
 レオニードの微笑が、吐息がフユカの耳元をくすぐる。
「じゃ……ありがたく頂くな」
 そう告げてレオニードはフユカの唇を奪った。
 静かな夜。
 なのに、こんなにも燃えるように激しいキスは、何故?
 フユカの白い肌にレオニードの手のぬくもりが、伝わる。
「ん………」

 これは、ただの気まぐれ?
 それとも?
 その答えは二人だけのもの。
 今宵は、二人だけの………。


イラスト: 綺人