『 フィーナ殿、ありがとう御座います・・(〃〃) 』

●愛しいあなたに……

 恋人達が待ち合わせる場所、女神ランララの木の下で、リークは恋人が来るのを、今か今かと待っていた。
 試練を早く乗り越えたリーク。
 いうなれば、愛の力ともいうべきだろうか。
 この驚異的な速さに恋人のセルフィナは残念ながら、追いつく事は出来なかったようである。
「まだでしょうか、フィーナ殿……転んで怪我をしていなければいいのですが……」
 妙なところを心配しているように思うが、気のせいにしておこう。
 リークは楽しげにセルフィナを待っているのであった。

「はあ、はあ……」
 息を切らしてセルフィナは女神の木を目指していた。
「ラッピングに、時間が……かかって、しまいました……」
 好きな人の好きなものを模った、特別なプレゼント。
「喜んでもらえると……いいのですが……」
 急ぐセルフィナの顔に笑顔が浮かんだ。

「あ、フィーナ殿!」
 リークが嬉しそうな声を上げる。
 やっとセルフィナが女神の木にやってきたのだ。
「リ、リーク様……お待たせしてしまって……申し訳、ありません……」
 息を切らしながら、リークの元にやってくる。
「いいえ、気にしないでください。着いたばかりですから」
 にこにことリークは笑みを浮かべる。
「あの、このお菓子一生懸命作ったので、食べて下さいね♪」
 弾む息もそのままにセルフィナはそのプレゼントを渡した。
 リークは、セルフィナのプレゼントを照れながら受け取る。
「フィーナ殿……ありがとう、ございます……」

 そよそよと心地よい風が、女神の木の下まで届けられる。
 けれど、二人にとっては、その風の心地よさを感じる事はなかった。
 二人の世界が、彼らを満たしていたのだから……。


イラスト: うおぬまゆう