●お花畑で逢いましょう♪

「わあっ! みてみて! すごい綺麗っ!!」
 嬉しそうにはしゃぐのは、ウィスタリア。
 ここは夜の朝露の花園。
 二人は楽しげに花園の散歩を楽しんでいた。
「ねえねえ、この花も綺麗♪」
 ウィスタリアは喜んでじっとしてない。
 しまいには、その場でくるくる回っていた。
「足元危ないですから、気をつけて……」
 そうアスティルが注意を促すが……。
「きゃっ!」
 ちょっと遅かった。
「大丈夫?」
 アスティルは急いで駆け寄り、ウィスタリアの頭を撫でて、額にキスをする。
「う、うん大丈夫にゃ……」
 突然のキスにどきどきしながら、そう答える。
 ウィスタリアが転んだ場所は花の上。
 少し花がつぶれてしまったが、お陰で怪我は何一つなかった。
「よかった。では、行きましょうか」
 微笑んで手を差し伸べるアスティル。
「うん♪」
 差し伸べた手を繋ぐウィスタリア。
 けれど、繋いだ手は、いつの間にかアスティルの腕を組んでいた。
 アスティルはその様子に、思わず笑みを浮かべる。
「にゃ?」
 それを見て、ウィスタリアはきょとんと首を傾げた。
「なんでもないですよ。さあ、行きましょう。他にもたくさん花があるのですから」
 そんなアスティルの言葉に、ウィスタリアは嬉しそうに微笑み返した。

 夜の花園。
 恋人達が愛を囁く横で、二人は花園での時間を楽しむのであった。


イラスト: うおぬまゆう