『 大樹の下の誓い 』

●女神の木の下で……お昼寝?

 女神の木が風に揺られる。
 そのたびに、小さな花がはらはらと落ちていった。
「お疲れ様、デアさん♪」
「このくらいなら、大したことはない」
 オウカの言葉にデアカルテは、呟くように応える。
 といってもデアカルテの顔には『とっても疲れた』とはっきり出ていた。
 その様子にオウカは思わず微笑む。
「何かおかしいか?」
「ううん、何も。ねえ、デアさん。ここで休憩しようよ。綺麗だし……ね?」
 オウカの言うとおり、その場所はとても綺麗であった。
 二人とも早くたどり着けたせいか、周りには、他にカップルもいない。
「そうだな……」

 しばしの休憩。
 誰が言い出したのか、いつの間にかデアカルテはオウカの膝枕で横になっていた。
 オウカのぬくもりが、とても心地良い。
「デアさん……ここから見上げると、本当に綺麗だね。夜、ここに来たら、月明かりでもっと綺麗かもしれないよね?」
「そうだな……だが、そこまでいる気はないぞ」
「それは同感♪」
 顔を見合わせ、そして微笑み合う。
 この時が永遠に続けばいいのに………。

 くすくすくすくす。
 二人の側で笑い声が聞こえる。
 けれど、デアカルテとオウカの耳には届かない。
 二人は一緒に、夢の中に入っていたからだ。

 暖かな昼下がり。
 恋人達が気付くのは、もう少し後の事。
 それまでは、もう少し夢の中で………。


イラスト: おおゆき