『 街の灯り、星の瞬き、ニーの微笑み・・。 』

●誰もいない場所で……

 星屑の丘を降りていく。
 ほのかな町の明かりが、夜の闇を淡く照らす。
「ピート、とても綺麗ね」
「ん? 星のこと?」
「星もそうだけど、町の明かりも……とても綺麗だなって……」
 ピートは隣にいるニクスの横顔を見た。
 にこにこと微笑み、話すニクスの横顔が……。
「うん、綺麗だね」
「だよね♪ ああ、出来るのなら、今ここにある綺麗なもの全て、手に入れたいくらいだよ」
「それなら僕が手に入れてこよう。この星も、あの町並みの明かりも全て……」
 その言葉に嘘はない。
 ただ少し、実現可能ではない事を除けば、だが。
「遅くなったけど……ニー、チョコありがとう」
「何? 急に改めて……」
 照れたようにピートを見上げる。いつの間にかニクスはピートのすぐ側まで来ていた。
 辺りには、二人以外、誰もいなかった。
「ニーの欲しい物があって、それが僕の持っているものなら……何だってあげたいって思えちゃうくらい……好き」
 恥ずかしそうにそう、ピートは伝える。
「ピート……」
 ニクスは微笑み、その頭をピートの胸に預ける。
「私も、好き……」
「ニー……」
 嬉しそうにピートは笑みを浮かべ、ニクスを抱きしめた。

「ねえ、知ってる? ノソリンってとっても素晴らしいのよ?」
「へえ、知らなかったな……」
 二人は笑いながら、丘を降りる。
 弾むように会話しながら。
 大好きな人と、一緒に………。


イラスト: 的場つかさ