60 2 無限のファンタジア




『 ランララ祭でもあいかわらず・・・ 』

●大切な君に花束を

 たくさんの花が咲き乱れる場所、朝露の花園。
 そこで二人は、仲良く座っていた。
「はい、ウォーレン。これ、プレゼントよ」
 少し照れたようにエレアノーラは持ってきたお菓子を渡した。
「実は、俺からもプレゼントがあるんだ」
「ウォーレン?」
 そう言ってウォーレンが差し出したもの。
 それは綺麗な花束だった。
 照れくさそうに頭を掻くウォーレン。
「花束ありがと……」
 その言葉はあっという間に消えてしまう。
 ぐしゃぐしゃぐしゃ。
 きちんとまとめたエレアノーラの頭をウォーレンがぐしゃぐしゃに乱したのだ。
「って、ウォーレンのばか」
「悪い、悪い」
「そうじゃないでしょっ!」
 ぷんとそっぽを向いて、エレアノーラは乱れた髪を直していく。
「も、もしかして……泣いているのか?」
 少し焦った声が聞こえる。
「………怒っているの」
 せっかくの二人の時間。
 なのに、こんなに上手くいかないのか。
 何だか切なくなってしまう。
「ほんとうに、ごめん……」
 そういうウォーレンが可愛そうに感じる。
「もう、知らないっ」
「そう言わずに……」
 結局、ウォーレンは振り回されていた。
「なあ、機嫌直してくれよ……」
「だから、知らないんだから」
 けれど、それが心地良い。

 二人のやり取りはしばらく続いた。
 これが、彼らの恋の形なのだと……。


イラスト: chita