『 silent serenade 』

●告白の答え

 星屑の丘。
 星降る夜に二人はいた。

『好きでいていいか?』
 サザにそう、ガイラが告げたのはいつの日の事だっただろう?
 その言葉だけが、サザの胸の中に居続けていた。
 どう答えれば良いのか、分からない。
 サザの心の中で、何度も同じ問いが問いかけられる。
 そして、その答えは、まだ見つかっていない。
「サザ?」
 ふと声がかけられる。
 ガイラだ。
 どうして彼と一緒にいるのか、もう忘れてしまっていた。
 そして、同じ問いをサザに……。
「前の告白の答えが聞きたい……」
 サザの胸の鼓動が、早くなる。
 まだ、答えが見つかっていない。
 正直に話した方がいいのか、それとも……。
「いや、やっぱり……返事はいらない。かわりに……まだ好きでいさせてくれ」
 そして、マント越しにサザを抱きしめる。
 普段なら、ここで殴られるところだろう。
 今日はそれがない。
 ガイラはその事に少し驚いていた。
(「今日はいい日だし……でも、まだ早いよ……」)
 そうサザが思う言葉はガイラには伝わらない。
 ただ、静かに体を預けてくれるサザのぬくもりだけで、ガイラは充分であった。
(「まだ無理だろう……けど、きっといつか――」)
 ほのかな想いがガイラを包む。
「マントが暖かいな」
 思い出したようにサザが呟いた。
「ああ……」
 ガイラもサザを抱きしめながら、頷く。

 寒い夜のはずが、二人にとっては暖かい夜であった。


イラスト: キイル