『 小休止なのだ 』

●疲れたときの……

 女神ランララの木。
 ここでは、数多くの恋人達が待ち合わせの場所として使う目印でもあった。
 そして、ここにも……。

「こっちこっちなのだ♪」
 フェイに半ば引きずられるかのようにして、トウヤは女神の木までやってきた。
「おいおい、何処まで連れて行くんだい?」
「もうすぐだから♪」
 そして、程よい木陰を見つけて、二人して座る。
「はーついたぁ!」
 一息つくフェイ。
「今日はちょっと疲れたのだ」
 フェイのいう通りかもしれない。
 ランララの試練とやらも、かなり面倒なものだった。
 かなり疲れた。
 体はもちろん、なぜか精神的にも。

 ころん。

「わ、フェ、フェイっ?」
 フェイはそのまま横になる。トウヤの膝を枕にして。
「細かいことは気にしちゃダメなのだ」
「そうじゃないだろう?」
 慌てふためくトウヤ。
 そんなトウヤにフェイは、綺麗なラッピングを施したお菓子の袋を突き出した。
「それより、クッキーを作ったのだが、食べるか?」
 そのフェイの言葉にあっけに取られていたトウヤだったが。
「喜んで♪」
 嬉しそうにそのクッキーを受け取っていた。

 和やかな昼下がり。
 トウヤとフェイは幸せそうに昼寝を楽しんでいた。
 その傍らにフェイの作ったクッキーを置いて……。


イラスト: 聖マサル