『 ランララ聖花祭〜いつまでも一緒にいようね♪〜 』

●星空の夜想曲

「これをボクに? 嬉しいよ、レナスさんっ! 本当にありがとう!!」
 オイスターは目の前に差し出されたレナスのお菓子に、とても喜んでいた。
 甘いものが好きなオイスター。
 けれど、それ以上に……想いを寄せるレナスから貰ったお菓子。
 それがどんなに特別で大切なもので、そして、どんなに嬉しいプレゼントなのか。
 オイスターには、それがよくわかっていた。
「喜んでもらえて、私も嬉しいです……」
 だからこそ、ほんの少し頬を染めたレナスが、オイスターにはとても愛しく思えた。
 オイスターは、自分の視線をごまかすかのようにお菓子を手に取る。
「じゃあ、さっそく……いっただきまーす♪」
 ぱくんと一口。甘い味が口いっぱいに広がる。
「う………お、美味しいっ……」
 すぐに食べたら、あっという間になくなっちゃうよ。
 オイスターは手にしていたお菓子を、今度はゆっくりと口に入れる。その度に幸せそうな笑みを見せていた。
「まだまだありますから、ゆっくり食べてくださいね」
 そのオイスターの様子を、楽しげに微笑みながら、レナスは見ていた。

 ランララ聖花祭の試練。
 それは、想いを胸に秘めた者達の体力をも減らす過酷なものであった。
 もちろん、オイスターも。
「ごめんね。ちょっと休ませてもらってもいいかな?」
 お菓子をいくつか食べたオイスターは、申し訳なさそうにそう、レナスに告げた。
 レナスは微笑み、それを承諾したのだった。

 そして。
 気付けばオイスターは、レナスの膝枕の元、気持ちいい夢の中へ。
 そんな様子を温かく微笑みながら、愛しむように見守るレナス。
 オイスターの側にいられる。
 レナスはそれだけでも充分であった。
 ましてや今日は、レナスが作ったお菓子を嬉しそうに食べてくれた。
 まだ残ってはいるが、後で全て食べるとオイスターは約束してくれた。
「オイスターさん……」
 今、レナスはとても幸せに満ちていた。
 と、そのとき。
「レナスさん、いつまでも一緒にいようね……」
 もぞもぞとオイスターは動き、そう呟いた。
 ただの寝言だ。
 だが、レナスにとって、それは大切な宝物。
「はい……ずっと一緒ですよ……ずっと………」
 レナスの言葉は、オイスターの耳に届いただろうか?
 レナスはまた、ゆっくりとオイスターを見つめる。

 空にはゆっくりと星が瞬き始めていた……。


イラスト: 柳瀬真紀